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改算記序
夫世間に行るゝ塵劫記といふ算書を見るに事わづらはしくして相違のみおほし.
其後亀井諸算参両録等の諸書も本にちりはめ梓に録す.是も先書にすきて
猶あやまれる事おほし.塵劫記に十二条参両録に八条の図をのするといへ共
刻積をしるさす.是は引て発せさる意にて世の人に工夫をなせとにや.
作者の心には難算とおもはれけんはしかあるべけれと初心の人はさもあらん.
此道に少しこふろへあらん人は迷ふへき事共見えす.故に今右の書の違闕をたゞし
彼図を委く注し改算記と名つけ侍る.寸分の内にて糸毫の末をわかち家を出ずして
千里の外をもしるは此道の習ひ也.況や眼前明白の事においてをや.又習やすく
忘がたきと云法あり.あはれ算法に志あらん人もあれかし此道の妙なる理りを語らまほしとぞ.

改算記上目録
一 九九
二 八算図付かめい割
三 見一図并九々引算付いろは割
四 検地付斗代
五 知行方萬
六 毛見ノ次第
七 蔵二俵入積リ
八 杉成ノ註
九 米売買并俵廻
十 銭売買
十一 薪の売買
十二 材木売買
十三 絹布売買
十四 薄売買
十五 同積リ
十六 金銀両替
十七 借銀利足
十八 萬舛積リ
十九 同寸法
廿一 柄𣏐積リ
廿一 平樽積リ
廿一 長樽積リ
廿三 桶大小積リ
和州郡山之住山田彦右衛門尉正重作
萬治二年巳亥二月日

第一 九九
○二二  四    二三  六    二四  八    二五  十
二六  十二    二七  十四    二八  十六    二九  十八
○三々  九    三四  十二    三五  十五    三六  十八
三七  廿一    三八  廿四    三九  廿七
○四々  十六    四五  廿    四六  廿四    四七  廿八
四八  卅二    四九  卅六    五々  廿五
五六  卅    五七  卅五    五八  四十    五九  四十五
○六々  卅六    六七  四十二    六八  四十八    六九  五十四
○七々  四十九    七八  五十六    七九  六十三
○八々  六十四    八九  七十二
○九々  八十一

第二 八算付たりかめい割
二割声
二一    天作五
とは二つにわる時一つあらは
五とつくれといふ事なり
逢二進   一十
とは二つにわる時は二引ては一
上け二つ引ては一上けよといふ事也
銀百弐拾三匁四分五厘を二つにわれは
○六拾壱匁七分弐厘五毛に成
二ちんの一十二進の一十二一天作五
二ちんの一十二ちんの一十
二ちんの一十
二一天作五
わる
かける
二五 十
二二 四
二七十四
一二 二
二六十二
△かめい割
二二四と云て上へ二立此内四引一残 二五十と上の五をおろして残一を引なり  五
ひく  二
一二の二と云て上へ一立此内二引也跡に一残 二七十四と云て残一を七にして下の四を引也  七
ひく  一
二六十二と云て此一を六にして下の二は引也  六
わりはしめ
三割声
三一  三十 とは三つにわる時一つあらは一を三にして下ヘ一くはゆるなり
三二  六十二とは三つにわる時二つあらは二を六にして下へ二つくはゆるなり
三進  一十とは三つにわる時三つ引ては一つ
上け三つ引ては一上るなり
米千百三拾四石を三つにわれは
○三百七拾八石つゝに成
三ちんの一十〇三ちんの一十
三ちんの一十○三二六十二
三二六十二
三一卅一
わる
かける
三八廿四
三七廿一
三三九
△かめい割

三八廿四引と云て二を八にして下の四を引なり   八
三七廿一引と云て二を七にして下を一引なり   七
三三九引一残と云て此一を三にして下ヘ一くはゆる也   三
四割声
四一  二十二とは四にわる時一つあらば一を二にして下へ二つくはゆるなり
四二  天作五とは四にわる時二つあらは五とつくるなり
四三  七十二とは四にわる時三つあらば三を七にして下へ二つくはゆるなり
四進  一十とは四にわる時は四引ては一つあげ四引ては一つあくるなり
銀壱貫三拾弐匁を四つにわれは
○弐百五拾八匁つゝに成
四進一十
四三七十二
四二天作五
四一廿二
わる
かける
四八卅二
四五廿
二四八
△かめい割

四八卅二引といふて三を八にして下の二を引なり   八
四五廿引といふて上の五をおろして此二を引なり   五
二四の八引て二のこるといふて此一を二にして下へ二おく也   二
五割声
五一  加一とは五つにわる時一つあらば又一つくわゆるなり
五二  加二とは五つにわる時二つあらは又二つくはゆるなり
五三  加三とは五つにわる時三つあらは又三つくはゆるなり
五四  加四とは五つにわる時四つあらは又四つくはゆるなり
五進  一十とは五つにわる時は五つ引ては一つあくるなり
米六石七斗四升三合を五つにわれば
壱石三斗四升八合六夕に成
五三加三
五四加四
五ちんの一十○五二加二
五ちんの一十○五一加一
わる
かける
五六 卅
五八 四十
四五 廿
三五 十五
一五 五
かめい割
五六卅引と云て此三を六にするなり   六
五八四十引と云て此四を八にするなり   八
四五廿引と云て上にの五をおろして二は引なり   四
一五五引と云て上ヘ一立此内五引也   三
三五十五引と云て一を三にして下にて五引   一
六割声
六一  加下四とは六にわる時一つあらば一つは其まゝおき下へ四くわゆるなり
六二  三十二とは六にわる時二つあらば二を三にして下へ二つくはゆるなり
六三  天作五とは六にわる時三つあらば五とつくるなり
六四  六十四とは六にわる時四つあらば四を六にして下へ四くはゆるなり
六五  八十二とは六にわる時五つあらば五を八にして下へ二くはゆるなり
六進  一十とは六にわる時六つ引ては一つあげ六引ては一つとあくるなり
銀弐拾壱貫百壱匁四分を六つにわれば
○三貫五百拾六匁九分に成
六ちんの一十
六五八十二
六四六十四
六一加下四
六三天作五
六二卅二
かける
六九五十四
六六卅六
一六六
五六卅
三六十八
かめい割は九々引そろばんといふてむかしより有当代の人つくるにあらず此算あしきゆへ今八算
見一を用る間是よりのせす
七割声
七一  加下三とは七にわる時一つあらば一は其まゝおき下へ三くはゆるなり
七二  加下六とは七にわる時二つあらば二は其まゝ置下へ六くわゆるなり
七三  四十二とは七にわる時三つあらは三を四にして下へ二くわゆるなり
七四  五十五とは七にわる時四つあらは四を五にして下へ五くわゆるなり
七五  七十一とは七にわる時五つあらは五を七にして下ヘ一一一くわゆる也
七六  八十四とは七にわる時六つあらは六を八にして下へ四くわゆるなり
七進  一十とは七にわる時七つ引ては一つ七つ引ては一つと上るなり
米六千七石壱合を七つにわれば
○八百五拾八石壱斗四升三合
七ちんの一十
七二加下六
七三四十二
七進一十○七一加下三
七五七十一
七四五十五
七六八十四
わる
かける
三七廿一
四七廿八
一七七
七八五十六
五七卅五
七八五十六
八割声
八一  加下二とは八に割時一つあらば一は其まゝおき下へ二くはゆるなり
八二  加下四とは八にわる時二つあらは二は其まゝおき下へ四くはゆるなり
八三  加下六とは八にわる時三つあらは三は其まゝおき下へ六くはゆるなり
八四  天作五とは八にわる時四つあらは五とつくるなり
八五  六十二とは八にわる時五つあらは五を六にして下へ二くわゆるなり
八六  七十四とは八にわる時六つあらは六を七にして下へ四くわゆるなり
八七  八十六とは八にわる時七つあらは七を八にして下へ六くわゆるなり
八進  一十とは八にわる時は八つ引て一上け八引ては一とあくるなり
銀百三貫拾壱匁六分を八つにわれば
○拾弐貫八百七拾六匁四分五厘に成
八進一十〇八四天作五
八三加下六
八五六十二
八六七十四
八七八十六
八二加下四
八一加下二
わる
かける
五八四十
四八卅二
六八四十八
七八五十六
八八六十四
二八十六
一八八
九割声
九一  加下一とは九にわる時一つあらは一つは其まゝおき下へ又一つくはゆる也
九二  加下二とは九にわる時二つあらは二つは其まゝおき又下へ二くはゆるなり
九三  加下三右同前
九四  加下四おなしことわり
九五  加下五おなしことわり
九六  加下六おなしことわり
九七  加下七おなしことわり
九八  加下八おなしことわり
九進  一十とは九にわる時は九引ては一つ九引ては一つとあくるなり
米拾壱万千百拾壱石壱斗壱升壱合を九つにわれは
○壱万弐千三百四拾五石六斗七升九合に成
九進一十
九八加下八
九七加下七
九六加下六
九五加下五
九四加下四
九三加下三
九二加下二
九一加下一
わる
かける
九九八十
七九六十三
六九五十四
五九四十五
四九卅六
三九廿七
二九十八
一九九

第三 見一并に九々引算付たりいろは割
見一無頭作九一 見一とは目安に一と半を以て割ては引割
ては引する算也此時頭に一つ見て次に引物なき
時は見一無頭作九一と云て頭の一を九と作一下へ置也
帰一位一 とは割付と目安の半を九九によひ引共
たらすして引れぬ時に帰一位一といふて割付の
内を一引下ヘ一かへしておくなり
銀百五匁三分を○十三にわれは○八匁壱分つゝに成
目安
一ちんの一十 此一はらひて上ヘ一あくる
今上る頭の一と目安三を九九によひ 一三三下引
頭の八と目安三を九九によひ 三八廿四引 廿はこゝを引四は下を引下一のこる  一
作九一 此一を九と作り下ヘ一おくなり 帰一位一 此内一引下へおく跡に八あり  八
わる
右八匁壱分○十三をかくれは
○百五匁三分と成
かける   三
一三の三此一を其まゝなをさす下へ三置たす也   五
三八廿四此八を其まゝ置又外に廿四置たす也   一
目安
これかしらかけなりけたをかそへす
けたかずもいらす
九々引算
一一の一引と云て一かみへ立此は引なり 今かみに立一と目安三を九九によひ 一三三下を引也
頭の八と目安の三を九九によひ三八廿四引 廿はこゝを引 四は下を引也○下に一のこる   一
一八引て二のこるといふて此一を八にして下へ二置也   八
目安
右百五匁三分を十三の割也何ほとにても同
心持なり是を今のかめいさんと名つく
むかしよりあるさんなり
いろは算かな割
三引
三引 七残 三引 三引 七残 三引 三引 三引 一引
九残 一引三 一引 一引 一引三引 一引 一引 一引   一
一引て  一 つ
一 つ 一 つ 一 つ 一 つ 一 つ 一 つ 一 つ 一 つ   八
目安
右同十三の割也先百五匁三分と置十三匁引
て一つ上へ立又十三匁引て一つ上へ立其けたに
有程引又次のけたを壱匁三分引て右かみに一つ一つと立たる次ヘ
又一と立時かみに八匁下としるゝ也如此に何程にても目安の
数程つゝ引ては一つ一つとかみへ立又次のけたを引時かみにても
次へ立次第に右のことく引て立時は八算見一九九もしらすして何程の
事もわるゝ也又かける時は一つ引ては目安の数程上へ立也何程にても心持同前也
銀弐百四十目八分を二十八にわれば
八匁六分つゝに成
これは割こえ これは引こえ これはかけるこえ
六八四十八引 二ちんの一十 六八四十八
六分
八八六十四引 二一天作五 二六十二 八八六十四
八匁
作九二帰一位二 かける 二八十六
わる
目安
見二無頭作九二   見一のことはり
不引時帰一位二   いつれも同前也
銀三百四十六匁貳厘を三百十六にわれば
○壱匁九厘五毛つゝ成
かける
五六三十 五六三十引
一五の五 六九五十四引 六九五十四 六ちんの二 一五五引
五毛
三五十五 一九九引 一九九 三一三十一
九リ
一六の六引 作九三 三九廿七 一六六
三ちんの一十 一 一の一引 一 一 一
一匁
わる    一三三
目安
見三無頭作九三
ひかれぬ時帰一位三
わるこえ
同ひくこえ
かけるこえ
銀四貫八匁六分を○四百八つにわれは
○九匁八分貳厘五毛つゝに成
五八四十 五八四十引
かける 二八十六 二八十六引
四五二十 八八六十四引 八八六十四 四二天作五
八九七十二引 二四八引 四ちんの一十 四一廿二 八九七十二
四三七十二 四八卅二
作九四  四九卅六
わる
目安
見四無頭作九四
ひかれぬ時帰一倍四
くろきはわるこえ
しろきは同引
上のくろきはかけるこえ
銀五十一貫四百卅貳匁三分を○五千八百五にわれば
○八匁八分六厘つゝに成
かける
五六三 五六卅引
五八四十引 五八四十
五八四十引 六八四十八 六八四十八引 五八四十
六リ
五六三十 八八六十四引 八八六十四 五三加三
六分
八八六十四引 五四加四 五八四十 八八六十四
八匁
作九五帰一倍五   五八四十
わる
目安
見五無頭作九五
ひかれぬ時帰一倍五
銀三拾六貫四百八十四匁六分七厘を
六千九十五にわれば○五匁九分八厘六毛つゝに成
五六三十   五六三十引
六九五十四 五八四十 五八四十引 六九五十四引
かける 八九七十二 五九四十五引 五九四十五 八九七十二引 六ちんの一十
六毛
六六卅六 五五廿五引 九九八十一引 九九八十一 五五二十五 六三天作五
八リ
五九四十五引 六八四十八 六五八十二 五九四十五
九分
わる 作九六 六九五十四
五匁
六三天作五   五六三十
目安
見六無頭作九六
不引時帰一倍六
銀四拾五貫四百五十目六分貳厘を
七万九千八百五拾に割は○五分六厘九毛二彿つゝに成
二五十   二五十引
二八十六 五九四十五 五九四十五引 二八十六引
二九十八 八九七十二 五六三十引 五六三十 八九七十二引 二九十八引 七ちんの一十
二彿
二七十四五五廿五引 九九八十 六八四十八引 六八四十八 九九八十一引 五五二十五 七一加下三
九毛
五八四十引 七九六十三 六九五十四引 六九五十四 作九七 五八四十
六リ
五九四十五引 七五七十一帰一倍七 六七四十二 五九四十五
五分
七四五十五   五七三十五
目安
見七無頭作九七
不引時帰一倍七
銀七拾八貫百五十九匁六厘を
八千四つにわれば○九匁七分六厘五毛つゝに成
四五二十   四五二十引
四六廿四 四六廿四引
四七廿八引 四七廿八引
五毛
五八四十引 四九三十六引  四九三十六 八四天作五
六リ
六八四十八 八五六十二
七分
八ちんの一十 八六七十四 七八五十六
九匁
八七八十六   八九七十二
目安
見八無頭作九八
不引時帰一倍八
銀八百三拾貫六百八拾九匁八分九厘を
九万九百五つゝに割は○九匁壱分三厘八毛つゝに成
五八四十 五八四十引
三五十五 三五十五引
八九七十二 一五五引 一五五 八九七十二引
五九四十五引 三九二十七 三九二七引 五九四十五 九ちん一十
八毛
八九七十二 一九九引 一九の九 九七加下七
三リ
九九八十一引 三九二十七 九三加下三 九九八十一
壱分
九ちん一十 九一加下一 一九の九
九匁
九八加下八   九九八十一
目安
見九無頭作九九
不引時帰一倍九

第四 検地付たり斗代盛
○此田三拾間四方有何反そと問
答三反有と云
是をごはんわりといふなり
右のつもりやうはまつ三十間を両におきかけ合九百坪と成是を田の法三百坪をもつて割は三反とし
るゝなり
▲○長三拾七間半横貳拾八間有此田何程有と問
 答て三反五畝といふなり
是は長卅七間半に横二十八間をかくれは千五百坪と
成是を田の法三に割ば三反五畝としるゝなり
▲此田何程と問
答一町二反一畝廿四歩と云
長八十一間一尺三寸 横四十五間
まつ長八十一間壱尺三寸と置壱尺三寸ばかりを六五に割は八十一間二分と成これに横四十五間をか
くれは三千六百五十四坪と成これを田の法三に割は一町貳反一畝廿四歩としるゝなり○又横にも尺
寸有は六五に割てかくるなり 又田の法三にわる時三拾坪迄はわるそれより下はわらぬなり此ゆヘ
は三拾坪を一畝と云により三拾坪にたらぬ時は何拾何歩といふなり
これは十一間に七間おき合二に
割は九間と成これに長さ四十
五間をかくれは四百〇五坪と成
これを田の法三に割は壱反
三畝十五歩としるゝなり
右十一間に七間おき合二つに
割事はひろき所をせはき所ヘ
ならす十一間の方を二間取
は残九間又七間の方へ貳間
くはゆれは合九間是に長
四十五間をかくれは四百〇五坪あるなり
これは十八間に四拾間をかくれば
七百二十坪と成これを二つにわれば
三百六拾坪と成是を田の法三を以て
割は一反二畝と成なり
右十八間に四十間をかけ二つにわる
事はかくのことく四角にとれはなき
地を一はい打こむによつて二つに
割としるへし
是は四間を二つにわれは貳間と
成これに六拾間をかくれは百廿
坪と成これを田の法三にわれは
四畝としるゝなり
これは六間に貳間おき合二つにわれば
四間と成これに六拾間をかくれは貳
百四十坪と成是を田の法三にわれは
八畝としるゝなり
是は廿五間を二つにわりそれに二十四
間をかくれは三百坪と成これを田の法三に
割は壱たんなり
是は三十間に四十間をかけ千貳百坪
と成是を右に別に置又かり八間に
六間をかけ四十八坪と成是を二つに
わり 廿四坪を右千貳百坪の内にて
引残て千百七拾六坪有是を田の法
三にてわれば三反九畝六歩としる付ゝなり
六畝廿二歩二分四厘
是は十六間両におきかけ貳百五十六坪と成
是に七九をかくれは貳百〇貳坪二分四厘と成是
を田の法三に割は六畝廿二歩二分四厘と知る也
是は百五十間両置かけ合貳万貳千五百坪
と成是を一二六四に割は千七百八拾坪と成是
を田の法三を以て割は五反九畝十歩と成也
是は長十五間にはゝ八間をかけ百廿坪
と成右に別に置又八百両に置かけ合
定法二一をかくれは十三坪四四と成是
程右百廿坪の内引は残る百六坪五六
有これを田の法三に割は三畝十六
歩五分六厘としるゝなり
四尺 此通長二十間五尺二寸下まで 四尺
右は廿間五尺貳寸と置
廿間はかりに六五をかけ十三丈五尺貳寸と成これに四尺をかくれば
四五〇八と成是を平坪の法四二二五を以て割は拾貳歩八としるゝ也
これは二十間に六間合廿六間有是に十二間
をかくれは三百十二坪と成是を二つに割は百
五十六坪是を田の法三に割は五畝六歩
としるゝなり
是は九間に五間おき合十四間是に廿五間
をかくれは三百五拾坪と成是を二つにわれは
百七十五坪と成是を田の法三に割は五畝廿
歩としるゝなり
八畝十六歩
是は十六間両に置かけ貳百五拾六坪と
これを田の法三に割は八畝十六歩也
二反五畝十七歩
是は先十八間に八間置合廿六間是に
四十間をかくれば千四坪と成右にへちに
置又廿四間に十四間をくわへ三十八間
是に十三間をかくれは四百九十四坪右と
合て千五百卅四坪有是を二つに割は
七百六拾七坪と成是を田の法三を以て
割は二反五畝十七歩としるふなり
▲長百貳間広十間有田は三反四畝なり是を畠に作る時うねの広四尺みぞ六寸つゝにして四方廻りにも
みぞをほり此みそを引てのこる畠地何程そととふ
答二反八畝二十九歩七九四と云
但うねよこに切時
先百貳間に六五をかくれは六十六丈三尺と成此内
六寸引残を四尺六寸て割は百四十四うねと成
是に四尺をかくれは五十七丈六尺と成右にへちに置
又十間を六丈五尺と置両みそに壱尺二寸引は
残て六丈三尺八寸と成是を右の五十七丈六尺に
かくれは尺坪三万六千七百四十八坪八と成是を平坪
の法四二二五を以て割は八百六十九坪七分九厘四と
成是を田の法三に割は二反八畝二十九歩七分九厘四としるゝなり
▲又右の畠うねを立に切時は
二反九畝七分貳厘に成なり
如此一畠の内にてもうねの切様によつて作地の多少出来なり
右のけんちの外いろゝゝ地形是ありといへ共たゝ其時の見あはせによつてけんちの打やうかんよう
也とかく四角々々に取なをす心得可有也
斗代もり
▲二反五畝有時壱反に付斗代壱石八斗にして此高何程そと問
高四石五斗といふ
右は二反五畝に壱石八斗をかくれは四石五斗なり
▲八畝拾五歩有時壱反に付壱石八斗代にして此高何程と問
高壱石五斗三升と云
右は八畝十五歩と置此十五歩を三に割は八畝五と成 是に壱石八斗をかくれは高しるゝなり
▲壱町貳反三畝有此高貳拾貳石壱斗四升なり是は何石代に当ると問
壱石八斗代に当るといふ
右は高貳拾貳石壱斗四升を一町二反三畝に割は壱石八斗としるゝなり

第五 知行方萬
▲高拾五万石此物成四つ六分に成時物成壱石に付口米三升夫米八升つゝにして此高の物成何程そ口米
夫米何程つゝそと問

物成六万九千石
口米貳千七十石と云
夫米五千五百貳十石
右は高拾五万石に四つ六分をかくれはまづ物成しるゝなり其物成に三升をかくれは口米しるゝなり
又物成に八升をかくれは夫米しるゝなり
▲又三口の成米合一度に見る時は口三升と夫八升合壱斗壱升有是に壱石くわへて四つ六分をかけそれ
を高にかくれは本米口米夫米共に合て七万六千五百九拾石と一度にしるゝなり
▲物成本米 三升の口米 八升の夫米
三口合七万六千五百九十石有時
物成は四つ六分口米は物成壱石に付三升夫米物成壱石に付八升つゝにして此高は何程そと問
高拾五万石と云
右は三升と八升合て壱斗壱升有是に壱石加へて四つ六分をかけ候へば五つ壱分下六毛と成 是を目
安にして七万六千五百九十石を割は高としるゝなり
▲又右の本米ばかりは何程とと斗
本米六万九千石と云
右は七万六千五百九十石を壱石壱斗壱升を以て割は本米ばかりしるゝなり
▲三升の口米 八升の夫米
二口合七千五百九十石有時
此本米は何程そと問
本米六万九千石と云
右は二口の有米を壱斗壱升を以て割は本米と知也
▲又右の口米ばかりは何程と問
口米二千七十石と云
右七千五百九十石に三升をかけて壱斗壱升て割は口米知也
▲又夫米ばかりを問時は七千五百九十石に八升をかけ壱斗壱升て割なり
▲高拾五万石此物成六万九千石有是はいくつ成に当ると問
四つ六分にあたると云
右は高を目やすにして物成を割なり
▲高三万五千石の所四つ六分物成にして石に三升の口米と又高百石に付三石つゝの夫米と三口合壱万
七千六百三十三石定成之時内千三拾三石当水損川成に遣残成米壱万六千六百石有然は此高何程にヘ
るそ本米何程ぞ口米夫米いつれもなにほとつゝそと問

高三万弐千九百四十九石五斗八升三合
物成壱万五千百五十六石八斗八合弐夕
口米四百五十四石七斗四合三夕
夫米九百八十八石四斗八升七合五夕
といふ
右は定成壱万七千六百三十三石と置高三万五千石を以て割は五〇三八と成是を目安にして川成米千
三十三石を割は二千五拾石四斗壱升七合と成是程を高三万五千石の内にて引ば残て三万弐千九百四
十九石五斗八升三合高としるゝなり是に四つ六分をかくれは物成となる物成に三升をかくれは口米
となる又残る高に三石をかくれは夫代米としるゝなり
▲銀弐百六拾目御年貢米に立る時本米壱石に付三升つゝの口米と同八升つゝの夫米を引又今米のさう
ば三十八匁のねに壱割米高に立る時本米何程の請取出ると問
本米五石三斗六升の請取と云
右は壱石と置三升と八升置合壱石壱斗壱升あり 是に三十八匁をかけ又一〇一五をかけそれを目安
にして有銀を割なり
五つ成 東村 高千五百石
合  有
▲四つ八分成 西村 物成八百拾壱石弐斗三升
但物成の内に高百石に付三石弐斗つゝの夫米と又納り米壱石に付三升つゝの口米こもりて有時両村
の高 何程つゝそと問

東村高千五十石
西村高四百五十石
と云
右は両高千五百石に夫米三石弐斗をかけ四十八石と成 是を両物成八百拾壱石弐斗三升の内にて引
残を壱石三升を以て割は本物成七百四十壱石と成 是を右に別に置又高千五百石に四つ八分をか
け七百廿石と成 是を右の本物成七百四十壱石の内にて引 残て廿壱石と成 右に別に置又五つの
内四つ八分引 残二分を以て右の廿壱石を割は先東村の高千五拾石としるゝ 是を惣高の内にて引
残を西村の高と知なり

第六 毛見免相究事
▲高千三拾石の所は年四つ八分五厘に成時当物成免何程に成そと問

二分二厘五毛の上り
五つ七厘五毛に成
と云
右免を究用は先毛見の以前に其村の水帳を見て田数を知帳のおく書にあるひは
上中下 田合四拾六丁 此高八百五拾壱石
上中下 畠合拾四丁三反弐畝此高百七拾九石
二口高合千三拾石此成米四つ八分五厘と有さて当立も上中下を見立田地一歩の内にて積縦は長一間に稲
かぶ十三有時是を両に置かくれは一間四方に百六十九かぶと成 別に置又上中下三かふ合ほ数廿一
有 是を三に割は一かぶに七ほつゝと成 是を百六十九かぶにかくれば千百八拾三ほと成 又上中
下三ほ合もみ数百八粒有 是を三に割は一ほに卅六粒つふに成 是を千百八拾三ほにかくれは四万
弐千五百八拾八粒と成 是を当京升に入積六万六千粒を以て割は一歩に六合四夕五才二七と成 是
に田法三百歩をかくれは一反に壱石九斗三升五合八タ一才と成 是を田数四拾六丁にかくれば八百
九拾石四斗七升弐合六夕に成 此内を田方の高八百五拾壱石引は残て三拾九石四斗七升弐合六夕有
是に四つ八分五厘をかくれは拾九石壱斗四升四合弐タ一才一に成 是を田方の高八百五拾壱石を
以て割は二分二厘五毛の上り免としるゝなり畠方も田にあふじてめんをあくるなり
▲日損に付立毛を見て免遣事
田三拾弐丁有 此高五百七拾六石
此定成五つ六分なり右田の内
拾三丁は  当年 大屋けなり
拾五丁は  当年 中屋けなり
四丁は   当年 屋けぬなり
何れも見立してならして免何程遣そ又当物成 なに程成と問

めん六分八厘五毛四遣
当物成 四つ九分一厘四毛六成
と云
右は先大屋けの田一間四方かりあけさせもみにして八合有時是を三百歩にかくれば弐石四斗に成
是を拾三丁にかくれは三百拾弐石と成 右に別に置又中屋けの田一間四方にもみ壱升壱合有 是を
三百歩にかくれは三石三斗に成 是に拾五丁をかくれば四百九拾五石右へ加へて八百七石有 又屋
けぬ田壱間四方にもみ壱升七合有 是に三百歩をかけそれに四丁をかくれば弐百四石是も右へ加ヘ
合千拾壱石有 是を二に割此こゝろはもみは米半分に立故也 然は米にして五百五石五斗に成 是
に五つ六分をかくれば弐百八十三石八升是を高五百七拾六石を以て割は当物成 四つ九分壱厘四毛
六成としるゝ也 又五つ六分の内を四つ九分壱厘四毛六引は残て六分八厘五毛四当年遣免也 又畠
も田にあふじて免を遣すなり

第七 俵蔵に入積
此蔵に俵何程入そと問
四千百弐拾五俵入と云
右は長拾壱間に広三間をかくれは
三拾三坪と成是に高弐間をかくれは
六拾六坪と成是に一坪に入る積六拾二俵
半をかくれは四千百廿五俵入としるゝ也
又一坪に七十弐俵人とも云何も俵入小による也
壱坪に六十弐俵半の積は長壱間に俵よこに
五俵ならふ立には弐俵半是に五俵をかくれば
平坪壱間四方に十二俵半有是に又五俵をかくれは壱間
四方六面に六十弐俵半入積也先大かた如此なり

第八 杉成俵数知事
▲此杉成したのはヘ八俵あり惣俵数
何程有そと問
三十六俵有と云
右は下八俵とおき是に九俵を
かくれば七十弐俵と成是を二つに
われは三十六俵としるゝなり或は下何程にても壱俵
ましにかけ合二つに割は惣数しるゝなり
▲杉成下のはへ壱俵ましにかけ二つにわる事はあるひは
八俵の杉なり二つ合時は如此四方になる
然は下八俵に一俵のとまりかならふ
ゆへ合て下九俵と成上へは八俵なり是によつて
壱俵ます事はいつれも同前なり
扨又二つに割事は八俵九俵をかくれは
八九七十二俵と成是は四方の積なれ共
半分はなきゆへ二つ割なり
此杉成下のはへ二十一俵上のとまり九俵有此俵数何程有そと問
百九十五俵有と云
右は下廿一俵に廿弐俵を
かくれは四百六十弐俵と成別に置
又上九俵に八俵をかくれは七十二俵と成是を右四百
六十弐俵の内にて引は残三百九拾俵有是を二つに割也

第九 米売買并并に俵まはし
▲米四斗三升弐合有銀壱匁に付三升弐合つゝの売かいにして代銀何程そと問
銀拾三匁五分といふ
右は有米をさうば三升弐合を以てわれは代銀しるゝ也
▲銀拾三匁五分有壱匁に三升弐合つゝのうりかいにして代米何程そと問
米四斗三升弐合といふ
右は有銀にさうば三升弐合をかくれは代米しるゝ也
▲米百拾五石有壱石に付三拾弐匁五分つゝにして代銀何程そと問
銀三貫七百三拾七匁五分といふ
右は有米にさうば三拾弐匁五分をかくれは代銀しるゝなり
▲銀三貫七百三拾七匁五分有壱石に付三拾弐匁五分つゝにして代米何程そと問
米百拾五石といふ
右は有銀を壱石の代三拾弐匁五分を以てわれは代米しるゝ也
銀壱匁に付三升弐合つゝのうりかいの時壱石は何ほとにあたるそと問
一石に付三拾壱匁弐分五厘といふ
右は壱石と置さうば三升弐合を以てわれは壱石の代知る也
▲米壱石に付代三拾壱匁弐分五厘の時銀壱匁に付米何程そと問
一匁に付三升弐合といふ
右は壱石と置さうば三拾壱匁弐分五厘を以てわれは壱匁ぶんの米しるゝなり
▲米千四百石此代四拾三貫七百五拾目有是は壱石に付銀何ほとにあたると問
一石に付三拾壱匁弐分五厘にあたるといふ
右は代銀を置米高を以てわれは壱石の代しるゝ也
▲米千四百石此代四拾三貫七百五拾目有これは銀拾匁に付米なにほとにあたると問
拾匁に付三斗弐升つゝにあたると云
右は米高を置代銀を以てわれは拾匁の当り米と知る也
▲米壱石に付てめ弐升有俵を三拾弐匁六分四厘にかい申時本石は何ほとにあたると問
一石に付三拾弐匁にあたると云
右はかいねを壱石弐升を以てわれは本石のねとしる也
▲又壱石に弐升たらぬを三拾壱匁八分五厘にかふ時は本石に付何程にあたるそと問
一石に付三拾弐匁五分にあたると云
右はかいねを九斗八升てわるなり
▲三斗弐升俵壱俵に付拾弐匁のねにして四斗弐升俵は何ほとにあたるそと問
拾五匁七分五厘にあたると云
右は四斗弐升と置三斗弐升に割それに拾弐匁かくる也
▲四斗弐升俵弐俵に付三拾壱匁五分のねにして四斗俵六百三拾俵の代は何程そと問
九貫四百五拾目といふ
右は俵数に四斗をかけそれを四斗弐升てわりそれに三拾壱匁五分をかけさて二つにわれはしるゝなり
壱石に付三拾四匁のねにして四斗三升五合俵五百俵の代なにほとそと問
七貫三百九拾五匁といふ
右は俵数に四斗三升五合をかけそれに壱石の代卅四匁をかくるなり
▲米  壱石に付  三拾四匁八分
大豆 壱石に付  弐拾四匁
小豆 壱石に付  弐拾七匁弐分
銀弐百廿七匁九分にて右の三色をかい申時いつれも同し升数にして何ほとそと問
米  弐石六斗五升 此銀九拾弐匁弐分弐厘
大豆 弐石六斗五升 此銀六拾三匁六分 といふ
小豆 弐石六斗五升 此銀七拾弐匁八厘
三口銀合弐百弐拾七匁九分有
右は三色壱石つゝのさうば銀合八拾六匁有これを目安にして有銀をわれば弐石六斗五升つゝとしるゝ也
或は三色七色と云共同升と云時はそれゝゝのさうばをあつめて有銀をわるなり
▲米  壱石に付  三拾四匁八分
大豆 壱石に付  弐拾四匁
小豆 壱石に付  弐拾七匁弐分
麦  壱石に付  拾壱匁弐分
銀七百拾五匁にて右之四色をかい申時米の半分大豆を取大豆の半分小豆を取小豆の半分麦をとり申
度(たき)が何程つゝそと問
米  拾三石      此銀四百五拾弐匁四分
大豆六石五斗      此銀百五拾六匁 これ程
小豆三石弐斗五升  此銀八拾八匁四分 つゝと云
麦  壱石六斗弐升五合  此銀拾八匁弐分
四口銀合七百拾五匁有
右は麦壱石の代小豆弐石の代大豆四石の代米八石の代あつめて四百四拾目有 是を目安にして有銀
をわれは麦の升数と成 それに二をかくれは小豆の升数と成 それに二をかくれは大豆それに二を
かくれは米の升数としるゝ也
▲○米  壱石に付  弐拾四匁八分
大豆 壱石に付  弐拾四匁
小豆 壱石に付  弐拾七匁弐分
麦  壱石に付  拾壱匁弐分
小麦 壱石に付  弐拾弐匁八分
銀七百拾五匁にて右五色をかい申時米と大豆は同升数にして又米より小豆は弐石へして米より麦は
四石まして米より小麦は壱石ましてとる時は五色の升目何程つゝそと問
米六石三斗八升  此銀百五拾八匁弐分弐厘四毛と云
大豆六石三斗八升 此銀百五拾三匁壱分弐厘
小豆四石三斗八升 此銀百拾九匁壱分三厘六毛と云
麦拾石三斗八升  此銀百拾六匁弐分五厘六毛
小麦七石三斗八升 此銀百六拾八匁弐分六厘四毛と云
五口銀合七百拾五匁有
右は小豆のへし弐石分の銀五拾四匁四分を有銀へ加へ又麦四石のまし此代四拾四匁八分有銀の内を
引又小麦のまし壱石分の銀弐拾弐匁八分有銀の内を引残て七百壱匁八分有右に別置さて五色のさう
ばあつめて百拾匁有是を目安にして右の残る銀をわれば米六石三斗八升としるゝなり是にましはま
すへしはへす也
▲四斗俵三百三拾壱俵也に三斗此代小判八拾弐両三分銀拾弐匁但拾両に付四拾俵のねにしてとをくり
状参時此代金銀無相違か又小判のねは何程にして参りたるそと問
答 金銀無相違小判のね六拾四匁にあたると云
右は三百三拾壱俵三斗と置此三斗ばかりを四に割て置 相場四拾俵を以て割は八拾弐両九三七五と
成 八拾弐両は引残りへ四をかくれは三分七五と成 三分を引七五はかりを四にわれば一八七五と
成 是を目安にして銀拾弐匁をわれば小判のね六十四匁としるゝなり
▲いなかよりのほる米大豆売立下す代銀のをくり状に米大豆合五百六拾俵此代銀合八貫八百五十六匁
但米は壱石に付三拾弐匁五分のさうば大豆は壱石に付廿八匁五分のさうばなりと有時右五百六拾俵
のうち米何程そ大豆なに程そと問

米四百三拾八俵
大豆百弐拾弐俵
と云
右は五百六拾俵を二つにわれは弐百八拾石と成 是に大豆のね廿八匁五分をかくれは七貫九百八拾
目と成 是ほど代銀高の内を引残て八百七拾六匁有右に別に置 左に米のね三拾弐匁五分の内大豆
のね廿八匁五分引は残て四匁有 是を目安にして右之八百七拾六匁を割は米弐百拾九石と見ゆる
是に二をかくれば四百三拾八俵としるゝなり 是を五百六拾俵の内にて引は残て百廿弐俵大豆なり
△俵まわし
▲四斗俵千四百五拾俵有是を本石なをしてなに程そと問
五百八拾石といふ
右は俵数に四斗をかくれば石としるゝなり
▲五百八拾石有時壱石に付弐升五合つゝかん立申をたり本石にして何程そと問
五百六拾五石五斗といふ
右は壱石の内弐升五合引は九斗七升五合是を五百八拾石にかくるなり
所によりつかい舛と云て京舛の外にほそき舛を遣国(つかふくに)有たとへば京舛四斗俵をつかい舛にて四斗七升
にはらい申時京舛三斗弐升のかたにつかい舛にて何程わたしてあふそと問
つかい舛にて三斗七升六合渡しあふと云
右は三斗弐升を四にわりそれに四斗七升をかくる也
▲つかい舛にて三斗七升六合有時京舛にして何程に成と問
京舛にて三斗弐升に成といふ
右は三斗七升六合を四七に割それに四斗をかくれば京舛数としるゝなり
▲四斗八升俵五百俵を四斗俵にして何程に成と問
六百俵に成といふ
右は俵数に四斗八升をかけ四斗に割なり
俵まはしと云は皆右之心得同前也何斗何升と云共その舛数を俵数にかけ今直す舛数を以て割也

第十 銭売買の事
▲銭壱貫文に付拾九匁弐分の時銀壱匁に銭何程そと問
一匁銭五拾文と云
右は九百六十と置さうば拾九匁弐分て割は壱匁の銭しるゝなり
▲銀壱匁に銭五拾文つゝ取やりの時壱貫文は何ほとにあたると問
拾九匁弐分にあたると云
右は九百六拾と置五拾文て割は壱貫文の代しるゝなり
▲銀百七拾六匁八分五厘にて銭買時壱貫文に付拾八匁のさん用にして此銀に銭なに程と問
九貫八百廿四文と云
右は有銀をさうば拾八匁を以て割は九貫八百廿五文と成此廿五文斗に九六をかくれは廿五文の目ひ
けて廿四文と成
▲又百よりうちの目を引時下より四をかけて引も有 是は初心成人は引所のけたをうかゞひてまきる
し事有 たとへは右の廿五文の目を引時はまつ四五廿引と云此廿と云は二分か又は二厘かとうかゞふなり
▲銭九貫八百廿四文有壱貫文に付拾八匁のねにして代銀何程そと問
百七拾六匁八分五厘といふ
右は九貫八百廿四文とおき此廿四文ばかりを九六に割てさうば拾八匁をかくれは右之代銀としるゝなり

第十一 柴割木束廻し并売買損徳しる事
▲柴二尺五寸のしめ三百六拾束有是を三尺しめに廻して何束に成そと問
弐百五拾束に成といふ
右は二尺五寸両に置かけ合それに三百六拾束をかけ右に別に置又三尺両に置かけ合九と成 是を目
安にして右を割なり
▲是を三尺六寸なわに廻し銀拾匁に付四拾束のねにして此三尺のしめ
二百五拾束のはヘ一つの代銀何程そと問
答 四拾三匁四分と云
右は三尺両に置かけ合九と成 是を二百五拾束にかけ二二五と成 右に別に置又三尺六寸両に置か
け合それに四拾束をかけ五一八四と成 是を目安にして右の二二五を割は二百五拾束の代しるゝなり
▲又銀拾匁には何束にあたると問
五拾七束六分にあたるといふ
右は二百五拾束を代銀四拾三匁四分て割は五十七束六分としるゝなり
▲又壱束は代銀何程にあたるそと問
壱分七厘三毛六にあたるといふ
右は代銀四拾三匁四分を弐百五十束て割は壱束の代としるゝなり
▲割木
長壱尺一寸に弐尺五寸のしめ 銀拾匁に六拾束のね
長九寸に弐尺三寸のしめ 銀拾匁に八拾束のね
此二色の内いつれをかいにてとくそと問
答 弐尺五寸なわの方か徳といふ
但銀拾匁の内にて八厘三毛つゝそふなり
右は二尺五寸両に置かけ合それに長壱尺一寸をかけそれに六拾束をかけ四一二五と成 右に別に置
又二尺三寸両に置かけ合それに長九寸をかけそれに八拾束をかけ三八〇八八と成 是を目安にして
右の四一二五を割は拾匁八厘三毛と成なり此八厘三毛をとくとしるなり
▲今は束なわにもかまはす長さにもかまいなく貫目にてのうりかい有時銀壱匁に付拾二貫五百目つゝ
のねたんにしてたぐ今請取割木三百六十七貫五百目有今日の木はくちてしやうもわるし是は五分引
よときはむる時只今の代銀何程わたるそと問
答 弐拾八匁と云
右は割本の有目三百六拾七貫五百目を一下五に割それに八をかくれば代銀しるゝなり此八をかくる
心は拾二貫五百目て割もおなし事なり

第十二 材木売買廻し并竹板そ木
▲五寸角の二間木拾本の代銀二十二匁なり 又四寸角の二間木五拾本有是を右の五寸角のまはしにし
て代何程と問又木数何程に成と問
四寸角五十本の代七拾目四分
五寸角にして三拾弐本に成 と云
右は四寸に四寸をかけそれに木数五十本をかくれは八と成 右に別に置又五寸に五寸をかけ二五と
成 是を目安にして右の八をわれは三拾二本と成 是に二拾二匁をかくれば四寸角五拾本の代しるゝなり
▲又右之四寸角壱本は代何程に当ると問
壱匁四分○八毛にあたると云
右は七拾目四分を五拾本て割は四寸角一本の代と知也
四寸角の二間木拾本の代銀拾三匁五分なり 又五寸角長弐間五寸有木拾八本有 是を四寸角のまは
しにして代何程そと問
五寸角十八本の代三拾九匁四分弐厘九毛と云
右は長二間五寸とおき二間ばかりに六五をかけそれに角のおもて五五二十五をかけ扨木数十八本をかく
れば六〇七五と成 右に別におき又四寸に四寸をかけそれに長二間をかけて又六五をかくれば二〇
八と成 是をめやすにして右之六〇七五を割それに拾三匁五分をかくれば五寸角拾八本の代としるゝなり
あつさ三分の杉いた拾間の代銀弐拾八匁なり又あつさ四分の板弐拾五間有是をさい坪廻しにして四
分板の方より三分板の方へ木引ちんの代に拾間に付半間つゝこむ算用にして此四分いた弐拾五間の
代何ほとそと問
八拾八匁八分八厘八毛といふ
右は有板廿五間に四分をかくれば一と成右に別に置 又拾間半と置 是に三分をかくれは三一五と
成 是を目安にして右の一をわれは三一七四六と成 是に弐拾八匁をかくるなり
桧木
▲ふしなし
桧木
ふしあり
此木ふし有ゆへに右の木に二割半引にしてさい坪にまはし代銀何ほとそと問
拾四匁五分六厘と云
右ははゞ壱尺に七寸五分をかけそれに長六尺六寸をかけそれを十二半に割は三九六と成 是を右に
へちに置 又九寸壱分に八寸をかけそれに長さ六尺八寸をかけ四九五〇四と成 是を目安にして右
の三九六をわれば八と成 是に拾八匁二分をかくるなり
指渡し
▲七寸の丸木角の面四勺九分五リに成
右は指渡し七寸を一四一四二を以て割なり 又まわり三尺の丸木を角にけつり何程と問時三尺を四
四六八九に割は角のおもてしるゝ也 此声は一四一四二に三一六をかけて一度に割こえとしるへし
▲八寸角
九寸円
右は八寸に一一二五をかくれは円指渡九寸としるゝなり
▲又指渡九寸の丸木を同し長にして角になをす時は指渡を一一二五に割なり
▲六寸円
同し六寸の角にして長何程に成そと問
六寸角
右は長弐間半に七九をかけ間より下に六五をかくれば尺寸に成なり
▲又六寸角をおなし六寸の丸木にして長何程ととふ時は其長さを七九に割間より下に六五をかくるなり
▲竹壱尺八寸なわにしめて百廿五束可請取内廿五束不足也 此かわりに二尺なわのしめ竹何程とりてあふと問
弐拾束弐分五厘取てあふと云
右は壱尺八寸両に置かけ合それに不足廿五束をかくれば八一と成右に別に置又二尺に二尺をかけ四
と成 是を目安にして右の八一をわるなり
▲又右の弐分五リといふは何程取事そと問時壱束と置二分五リて割ば四と成により壱束を四つにわけ
てとるなり
▲竹弐尺なわのしめ九拾束有時壱尺八寸なわのしめ壱束に付銀壱匁八分つゝの算用にして此弐尺のし
め九拾束の代何程そと問
代銀弐百目と云
右は弐尺を両に置かけ四と成是に九拾束をかくれば 三六と成別に置 又壱尺八寸両に置かけ三二
四と成是を目安にして右の三六を割それに壱匁八分をかくれば弐百目と成なり
▲又壱束代何程と問時は弐百目を九拾束に割なり
▲或はひわた薪のまはしといふ共束の物はいつれも右の心持同前なり
▲こけらそ木あつさ壱分壱リはゝ二寸長壱尺有 そ木弐万八千枚の方にあつさ九り五毛はゝ弐寸八分
長九寸五分有そ木を何程取て右弐万八千枚にあふそと問
三万六千五百六拾五枚と云
右はあつさ壱分壱リにはゝ三寸と長壱尺をかけそれに弐万八千枚をかけ九二四と成右に別に置 又
九り五毛にはゝ弐寸八分と長九寸五分とをかくれば二五二七と成是を目安にして右の九二四を割なり
▲又三万六千五百六十五枚有を千枚に付代銀壱匁八分つゝにしては此代銀なに程と問時は
六拾五匁八分壱厘七毛と云
右はそ木数に壱匁八分をかくるなり

第十三 絹布売買
▲ぬの壱たん長弐丈六尺有を銀六匁五分の時壱尺は何程にあたると問
弐分五厘きれにあたると云
右は六匁五分を弐丈六尺てわるなり
▲布壱尺に付弐分五厘きれの算用にして長さ弐丈五尺有壱たんの代何程と問
六匁弐分五厘と云
右は弐丈五尺に弐分五厘をかくるなり
▲まき物壱まき代銀六拾目にして長三丈弐尺有時銀拾三匁五分には何程と問
七尺弐寸といふ
右は拾三匁五分に三丈弐尺をかけそれを六拾目て割也
▲さや六尺五寸を九匁壱分にかい申時一巻は何程と問
四拾四匁八分にあたると云
右は九匁壱分を六尺五寸に割それに壱巻の長三丈弐尺をかくるなり
▲きぬ壱疋のおも目百九拾三匁七分ある時銀拾匁に付糸目弐拾六匁のまはしにして此きぬ代銀なにほ
とそと問
七拾四匁五分と云
右はきぬの目百九拾三匁七分を弐拾六匁てわれば壱疋の代しるゝなり
又糸百目に付銀なにほとゝきわめ此きぬの代何程ととふ時は きわむる百目の代をきぬの有目にか
くるなり

第十四 薄売買まわし
▲はく三千枚買時百枚に付銀拾弐匁つゝにして三千枚の代何程そと問
三百六拾目といふ
右は三千枚に拾弐匁をかくれば其代しるゝなり
▲銀三百六拾目にてはくかい申時百枚に付拾弐匁つゝにして此銀にはく何程そと問
三千枚といふ
右は有銀を百枚の代て割ははく数しるゝなり
▲はく三千枚の代銀三百六拾目有是は百枚に付銀何ほとにあたると問
百枚に付拾弐匁にあたるといふ
右は銀高をはく数に割ば百枚の代しるゝなり
▲又銀壱匁にははく何程にあたるといふ時ははく数を銀高てわれは壱匁に付八枚三分三厘三毛としるゝなり
▲三寸はく三千枚を四寸はくにまわして何程に成そと問
千六百八拾七枚半に成といふ
右は三寸両に置かけ九と成是に三千枚をかくれば二七と成
別に置 又四寸を両に置かけ一六と成是を目安にして右の二七を割なり
▲四寸はく千六百八拾七枚半を三寸はくにまわしてなに程そと問
三千枚といふ
右は千六百八拾七枚半と置是に四四十六をかくれば二七と成是を三三九を以て割なり
三寸はくと四寸はくとは壱枚に付何程のちかい有そと問時は四四十六と置是を三三九引は残て壱寸四方の
坪七つのちかい有としるなり

第十五 薄おく積り
▲高四尺七寸はく壱尺六寸の六枚屏風一雙にはくおく時へりはゝ壱寸五分又立八寸よこ六寸五分有歌
仙を一方に十八枚つゝ押なり此絵と廻りのへりを引残りに四寸はく何程入そと問
答三百九拾四枚半入といふ
是は先壱尺六寸に六をかくれは九尺六寸と成此内両へりに三寸引は跡に九尺三寸有これに高さへり
引て四尺四寸をかくれは四千九十弐坪と
成別に置 又六寸五分に八寸をかけ五二と成 是に十八をかくれは九百
卅六と成 是程を右四千九十弐坪の内にて引は残て三千百五十六と成
是を薄の坪四四十六を以て割は百九拾七枚弐分五リと成是則
かたしの入用なり 是に二をかくれは壱そうに三百九十四枚半入としるゝなり
▲此柱廻り三尺五寸長九尺有是弐本にはくおく時三寸はく何程入そと問
右は廻三尺五寸に長九尺をかくれは三千百五拾坪と成 右に別に置又三寸両に置かけ合九と成 是
て右の三千百五拾坪をわれは三百五拾枚と成 是に二をかくれは七百枚としるゝなり
▲きぬ壱たん惣地うろこかたに薄(はく)置時長さはこふくて弐丈八尺はゝ壱尺三寸有是に三寸薄何程入と問
弐百九拾壱枚弐分入と云
右は長弐丈八尺に壱尺弐寸をかくれはかねになをし三丈三尺
六寸と成又はゝ壱尺三寸をかねにして壱尺五寸六分
と成是に長三丈三尺六寸をかくれは五千弐百四拾壱坪六分
と成是を三寸ばゝの九坪て割は五百八拾弐枚四分と成 是を弐つに割は弐百九拾壱枚弐分としるゝなり
▲此二つに割事は惣してうろこかた石たゝみすし此類は紋の大小によらす惣地の半分紋(もん)にふさがるゆ
へ二つに割也 又壱尺弐寸をかくる事はごふく一尺かかねに壱尺二寸有故也
半月立物一方のそと廻のなかさ壱尺九寸内壱尺弐寸六分有是うらおもてに薄(はく)
おく時両わきに四寸薄何程入そと問

四寸はくうら 八枚入と云
右は壱尺九寸に二をかくれは両わき共に三尺八寸と成 是を両に置かけ合千四百四十四と成別に置
又内壱尺弐寸六分に二をかくれは弐尺五寸弐分と成 是を両に置かけ六百三十五〇四と成 是程
右千四百四十四の内を引は残て八百〇八九六と成 是を一二六四に割は六拾四坪と成 是を四寸薄
の坪数四四十六を以て割は四枚と成 是に二を懸也
▲四寸薄三枚有是を九ようのほしにつくり大ほし小ほし指渡し何程に成と問時
亀井算記に大星三寸七り八毛小星弐寸五分一り三毛と有是はほし大小のちがい少成
ゆへ如此ほしのあいすきて本の九ようにあらず今是をつくりなをす
今作る大星三寸八分三七九小星弐寸三分九八七
右九よう今つくる法は先四寸はく三枚の坪数四十八を三二五八七八を以て割それを開平にして大ほ
し指渡しを極めそれに六二五をかくれば小ほしの指渡しと成なり
▲又このみ次第によつていかやうにもつくる此外いろゝゝのもんをつくるといふとも坪尺寸の定たる
ものは皆相応を以てつくるなり
指渡し壱尺八寸の丸一はいに
三角を三つおき中に六つほし
を作る時は
三角の面
七寸七分九り四毛つゝ
ほしのさしわたし
一寸五分つゝなり

第十六 金銀両替
▲丁銀四百八拾五匁有はいふきに内壱わり五分引してかゆる時灰ふきなに程そと問
はいふき四百拾弐匁弐分五厘と云
右は一つと置これを壱分五厘引は八五と成是を丁銀の有目にかくるなり
▲灰吹四百拾弐匁弐分五厘有丁銀にかゆる時内壱わり五分ましにして丁銀何程そと問
丁銀四百八拾五匁と云
右ははいふきの有目を八五を以て割なり
▲丁銀四百八拾五匁有まめ板にかゆる時そと弐分ましにしてまめ板何程取と問
まめいた四百九拾四匁七分といふ
右一銀の有目一〇二をかくればまめ板としるゝなり
▲まめ板四百九拾四匁七分有是を丁銀に外弐分引にしてかゆる時丁銀何程と問
丁銀四百八拾五匁といふ
右はまめ板の有目を一〇二を以て割なり
▲内引外引にろん有時内にても外にてもなしと云あつかいの算用たとへは二わり引と究(きわむ)時は一つと置
是を十二に割は八三三三と成右にへちに置 又一つと置 是に八をかくれは則八と成是を右へ加
へ二つに割は八一六六と成是をかけてやるなり
▲又壱わり三分引と云時は一と置 是を一一三に割右に別に置 又一つと置是を壱わり三分引右へく
わへ二つに割てそれをかけてやるなり
▲内引と云事は万事にあしき算なりしさいは銀拾匁を内五わり引と云時は拾匁に五をかくれば五匁と
成是は五わりにてはなくて半分に成なり
▲金三拾四匁有時判金のさうば銀四百九拾五匁かへにして此金に銀何程そと問
銀三百八拾弐匁五分といふ
右は金の有目に判金のさうばをかけそれを金壱枚のおも目四十四匁を以てわれば銀しるゝなり
▲銀三百八拾弐匁五分有時判金のさうば四百九十五匁かへにして此銀に金何程そと問
金三拾四匁と云
右は銀の有目に判金のおもめ四十四匁をかけそれをさうば四百九十五匁て割は金しるゝなり
▲小判八拾弐両三分有壱両に付六拾四匁かへにして此小判の銀何程そと問
五貫弐百九拾五匁と云
右は八拾弐両三分と置三分ばかりを四に割て置扨さうば六十四匁をかくるなり
▲若一朱二朱と云事あらば先それより四に割ておき扨又一分の所より四に割其後小判のさうはをかく
る也 四に割事は分は一度朱は二度と知へし
▲ 銀五貫弐百九拾五匁を小判にかへる時壱両に付六十四匁かへにして此銀に小判なに程と問
小判八拾弐両二分と云
右は有銀を小判のさうばを以て割両より下へ四をかくるなり
▲銀三百五拾壱匁六分八厘を小はんにかへる時右のさうばにして小はん何程そと問
五両壱分三朱と銀三匁六分八厘余る
右は有銀を小はんのさうば六十四匁て割は五両四九五と成両より下へ四をかくれば五両壱分九八と
成 又分より下に四をかくれは五両壱分三朱九二と成 此九二には小はんのさうはを十六に割て懸
は銀知也
▲金九拾五匁七分有内
三拾弐匁三分四リは  判金に五分引
三拾八匁七分弐リは  判金に壱わり引
廿四匁六分四リは   判金に壱わり弐分引
にして此判金何程と問
判金弐枚と云
右は三拾弐匁三分四リを一下五に割右に別に置 又三拾八匁七分弐リを一一に割 是を右へ加へ又
弐十四匁六分四リを一一二に割是も右へ加へ三口合八八と成 是を判金の目四十四匁て割なり

第十七 借銀利足
▲銀壱貫五百目を二わりにかす時此利何程そと問
り 三百目といふ
右は借銀の高に二わりをかくるなり
▲利銀三百目有二わりにして此リとは何程そと問
元 壱貫五百目といふ
右は三百目を二わりてわるなり
▲銀壱貫五百目二わりにかし元利共に何程に成と問
元利共に壱貫八百目に成といふ
右は二わりと置是に元一つくわへて一二と成を以て借銀の高にかくるなり
▲銀元利合壱貫八百目あり二わりにして此元ばかり何程そと問
元 壱貫五百目といふ
右は元利壱貫八百目を一二を以て割なり
又利ばかりを尋時は右の次第にして先元銀をしりそれに二わりをかくるなり
▲元銀三貫五百目此利三百目有是は何わりにあたるそと問
弐わりにあたるといふ
右は利を元にてわれはしるゝなり
▲銀弐貫五百目壱わり八分の利にして四年の間利に利を加へ元利共に何程に成と問
四頁八百四拾六匁九分四厘四毛と云
右は壱わり八分に元一つ加ヘ一一八を元銀に四度かくれはしるゝなり
▲銀二わりにして五年以前にかし当年まてに元利合三貫七百三拾弐匁四分八厘に成時五年以前の元銀
何ほとそと問
壱貫五百目と答
右は先二わりと置一つ加ヘ一二有 是に一二を四度かくれは二四八八三二と成 是を目安にして三
貫七百卅弐匁四分八リを割は元しるゝなり
▲又元利合銀を一二を以て五度割も同し事なり
▲銀元利五年の間合三百六拾目三分六り有
此利
其年は三わり
二年めは二わり半
三年めは二わり
其年は一わり二分
今年は一わり
にして此元何程と問
元銀 百五拾目と云
右は有銀を先十一に割それを十一二に割それを十二に割それを十二半に割それを十三に割なり
銀六百目月弐分の利にして三年以前の二月より一年切に定借当六月迄済さる時元利共に何程に成
問 但二年目は閏あり
六百三拾六匁七分に成といふ
右は元銀に弐分をかけそれに初年の月数十一をかくれは十三匁弐分と成 これに元銀を加へ六百拾
三匁弐分と右に別に置 又左にそれ程おき弐分をかけ二年目の月数十三をかくれば拾五匁九分四リ
三二と成 右へ加へ六百弐拾九匁壱分四り三二あり 又是程左に置弐分をかけそれに当六月をかく
れは七匁五分五リと成 是を右へ加へ合六百三拾六匁七分と成也

第十八 萬升つもり
今升の法 六四八二七
四角なる物に升目つもる時口はゝ長さ両に置かけ合それにふかさ
をかけのち此法を以て割時升数何程入としるゝなり
古升の法 六二五
四角なる物口ひろさ二方と又ふかさ以上
三方かくれは坪と成時此法を以て割は升数
しるゝなり
亦目 坪と成時十六をかけても升数しるゝ是古升のつもりなり
○右今升の法六四八二七といふは壱升の内の一分四方の物数なり是をしる時口ひろさ四寸九分両
に置かけ合それにふかさ二寸七分をかくれは六四八二七と成是法なり
○古升の法も同ことわり但古升は口ひろさ五寸四方ふかさ弐寸五分なり
○又十六をかける事は壱尺四方の内へ古升て壱斗六升入ゆへなり○今升てば壱斗五升四合弐夕六才入也
▲長さ四尺九寸はゝ壱尺四寸七分ふかさ壱尺八寸九分有 此はこに升数何程入と問
答曰
今升 弐石壱斗入
古升 弐石壱斗七升八合弐夕入
是は先長四尺九寸にはゝ壱尺四寸七分をか
くれは七二○三と成是にふかさ壱尺八寸九分を
かくれは坪一三六一三六七と成是を今升の法六四八二七を以て割は弐石壱斗入としるゝなり
▲又古升に積時は右の一三六一三六七を法六二五を以て割は弐石壱斗七升八合弐夕としるゝなり
▲又右の坪一三六一三七に十六をかけてもおなし事なり
▲此桶に今升てなに程入と問
答曰
三拾七石五升一合入と云
先口六尺三寸七分にそこ五尺八寸八分をかくれは坪数三千七百四十五五六と
成別に置又口指渡しの内そこのさし渡し程引は四寸九分残る是を両に置かけ合廿四〇一と成是を済
統の法三を以て割は八〇〇三三三三と成是を右別に有坪数と置合扨ふかさをかけ又円積七九をかけ
後升の法を以て割は升数知也
丸わけ物    七合九夕入
さしわたし四寸九分両に置かけ合それにふか
さ弐寸七分をかけ又円法七九をかけ後今
升の法六四八二七を以て割は七合九夕と知也
わけ物いひ櫃
壱斗五升四合八タ入
壱尺四寸七分に九寸八分をかけ一四四〇六と
成是を右に別に置左に九寸八分両置かけ
合それに円角印法二一をかくれは二〇一六
八四と成是程右の一四四〇六の内を引は一二三八九九一六残る是にふかさ八寸壱分をかけ今升の法を
以て割時は升数しるゝなり
四斗三升三合入
口弐尺四寸五分両に置かけ合そ
れにふかさ三尺弐寸四分をかけ
又三角の法四三三をかけ扨
済統の法三を以て割又升の法六四八二七を以て割升数四斗三升三合入としるゝなり
▲右の外そこなしの口或は五角丸六角八俑にても皆其法をかけ四方の坪に直しふかさをかけ三に割は
あふなり
面壱方の弐寸五分両に置かけ合それにふかさ四寸三分をかけ又八角の法四八二八四をかけ
扨今升の法六四八二七を以て割時弐升○○一六八余入としるなり
弐升六合九夕三才一入
おもて一万の四寸を両に置かけ合一六と成
是にふかさ四寸弐分をかけ六七二と成是に
六角の法二五九八をかけ一七四五八五六と
成是を今升の法六四八二七を以て割は弐升六合九夕三才一入也
すみ切折敷
壱升三合五夕七才入
中さしわたし壱尺両に置かけ合百
坪と成又すみ壱寸五分両に置かけ
合弐坪弐分半と成是程右百坪の
内を引残へふかさ九分をかけ後
升の法六四八二七を以て割は壱升三合五夕七才入としる
是は上壱尺四寸七分に下七寸三分五リ
かくれは坪百〇八〇四五と成別置又上
指渡の内下のさし渡し程引は残り
七寸三分五り有是を両に置かけ合済
統の法三を以て割は十八〇〇七五と成是
を右に別に有坪と置合百廿六〇五二五有是にふかさ弐尺七寸をかけ扨壷ますの法八一〇三三七五を
以てわれば四斗弐升入としるゝなり
是はそこ指渡し五寸六分両に置かけ合三
一三六と成是にふかさ八寸をかけ二五〇八八と
成是に円法八をかけ二〇〇七〇四と成是を済
統の法三を以て割は六六九〇三と成是を升法六四八二七に割也
くび長五寸 口内の径壱寸四分
丸の外廻壱尺但あつさ壱分あり
先あつさ壱分に三一六をかけ倍して六分三り弐毛と成これをそと廻り壱尺の内を引は内の廻り九寸
九分三り六八と成これを四に割は弐寸四分八四二と成是を三乗して十五坪三三〇六二あり別に置
又口径壱寸四分を自乗して一九六と成是に円法七九をかけて一五四八四と成これにくび長五寸をか
くれは七坪七四二と成 右へちに有坪にくわへ弐拾三坪○七二六二ありこれを今升の法六四八二七
を以てわれば入升数三合五夕五才九札としるゝなり
上はゝ弐尺五寸に下はゝ弐尺四寸置合二つに
割二尺四寸五分に成是に長弐尺七寸をかけ
又ふかさ三寸九分弐リをかけ扨升の法
六四八二七を以て割は四斗入としるゝなり
△済統長短升積
○ひらふね 是にむかし升にて何程入と問
答五斗九升三合六夕六六入と云
術四尺に三尺八寸加へ七尺八寸と成弐尺に壱尺
八寸加へ三尺八寸と成是に右の七尺八寸をかく
れは歩数弐千九百六十四と成別に置また
四尺の内三尺八寸引は弐寸残る又弐尺の
内壱尺八寸引は弐寸残る是に右の弐寸をかけ合四歩と成是を済統の法三を以て割は壱歩三と成
是を右別に有歩に加へ弐千九百六十五三三有是を四つに割扨ふかさ五寸をかけ其後古升の法十
六をかくれば升数しるゝなり
つるべ
是にむかしますにて何程入と問
弐升弐合五夕七才九二入なり
術口六寸にそこ三寸六分をかくれは歩数二十一六分と成 右に別に置又口六寸の内そこ三寸六分引
は弐寸四分
残る是を両に置かくれは五七六と成是を済統の法三を以て割は一九二と成是を右に別有歩数とむす
びて廿三五二有是にふかさ六寸をかけさて古升の法十六をかくればます数としるゝなり
右つるへ平ふね惣してそこのすぼりたる物の積やう色々有之といへ共此外かくへつの法不可有是
本つもりなり
▲又口そこおき合二つに割積事是あらきさんなりことにより過分にちがふものなり法坪たらす

第十九 京升寸法
口広四寸九分一升ます底深二寸七分
一合より百石まて
恰合術(かくかうしゆつ)正いを以て作之をく
九合五タ
ひろさ四寸八分一り七毛
ふかさ二寸六分五り四毛二
九合
ひろさ四寸七分三り九毛
ふかさ二寸六分六毛八
八合五タ
同 四寸六分四り一毛六
同 二寸五分五り七毛六
八合
同 四寸五分四り八毛八
同 二寸五分六毛五
七合五夕
同 四寸四分五り二毛
同 二寸四分五り三毛
七合
同 四寸三分五リ○七三
同 二寸三分九り七毛三
六合五夕
同 四寸二分四り四毛七
同 二寸三分三り九毛
六合
同 四寸一分三り二毛八
同 二寸二分七り七毛三
五合五夕
ひろさ四寸○壱り五毛
ふかさ二寸二分一り二毛三
五合
ひろさ三寸八分九り九毛
ふかさ二寸一分四り三毛
四合五夕
同 三寸七分五り五毛
同 二寸○六り九毛
四合
同 三寸六合一リ○三
同 一寸九分八リ九毛四
三合五夕
同 三寸四分五り三毛
同 一寸九分○二毛八
三合
同 三寸二分八リ○二
同 一寸八分○七毛五
二合五夕
同 三寸○八り七毛
同 一寸七分○一毛
二合
同 二寸八分六り五毛五
同 一寸五分七り九毛
一 合五夕
同 二寸六分○三毛五
同 一寸四分三り四毛六
一 合
同 二寸二分七り四毛四
同 一寸二分五り三毛二
二升
同 六寸一分七り三毛六
同 三寸四分○一毛八
三升
同 七寸○六り七毛
同 三寸八分九り四毛○七
四升
ひろさ七寸七分七り八毛三
ふかさ四寸二分八り六毛
五升
ひろさ八寸三分七り八毛九
ふかさ四寸六分一り七毛
六升
同 八寸九分○三毛九
同 四寸九分○六毛二
七升
同 九寸三分七り三毛二
同 五寸フ分六り四毛八
八升
同 九寸八分
同 五寸四分
九升
同 一尺○一分九り二毛四
同 五寸六分一り六毛二
壱斗
同 一尺○五分五り六毛七
同 五寸八分一り七毛
二斗
同 一尺三寸三分
同 七寸三分二リ九毛
三斗
同 一尺五寸二分二リ五毛四
同 八寸三分八り九毛五
四斗
同 一尺六寸七分五り七毛六
同 九寸二分三り四毛
五斗
同 一尺八寸○五り一毛七
同 九寸九分四り七毛
六斗
同 一尺九寸一分八り三毛
同 一尺○五分七リ○一
七斗
ひろさ二尺○一分九り四毛三
ふかさ一尺一寸一分二リ七毛五
八斗
ひろさ二尺一寸一分一り四毛
ふかさ一尺一寸六分三り四毛二
九斗
同 二尺一寸九分五り九毛
同 一尺二寸一分
一石
同 二尺二寸七分四り三毛八
同 一尺二寸五分三り二毛三
二石
同 二尺八寸六分五り五毛
同 一尺五寸七分八リ九毛七
三石
同 三尺二寸八分○二毛二
同 一尺八寸○七り四毛七
四石
同 三尺六寸一分○一毛八
同 一尺九寸八分九り三毛七
五石
同 三尺八寸八分九り一毛三
同 二尺一寸六分一リ
六石
同 四尺一寸三分二リ七毛六
同 二尺二寸七分七り二毛七
七石
同 四尺三寸五分○七毛三
同 二尺三寸九分七り三毛四
八石
同 四尺五寸四分八り三毛
同 二尺五寸○六り四毛六
九石
同 四尺七寸三分○九毛
同 二尺六寸○六り八毛二
十石
ひろさ四尺九寸
ふかさ二尺七寸
百石
ひろさ一間四尺○五分六り七毛
ふかさ五尺八寸一分七リ
第廿 柄杓(ひさく)京升積
一合
さしわたし二寸九り七毛八
ふかさ一寸八分六り四毛七
二合
さしわたし二寸六分四り三毛
ふかさ二寸三分四り九毛三
三合
さしわたし三寸二リ七毛五
ふかさ二寸六分八り九毛三
四合
さしわたし三寸三分三リ
ふかさ二寸九分六リ
五合
さしわたし三寸五分八り七毛二
ふかさ三寸一分八り八毛六
六合
さしわたし三寸八分一り一毛九
ふかさ三寸三分八り八毛三
七合
さしわたし四寸一り二毛九
ふかさ 三寸五分六り七毛
八合
さしわたし四寸一分九り五毛六
ふかさ三寸七分二リ九毛四
九合
さしわたし四寸三分六り三毛六
ふかさ三寸八分七り八毛七
一升
さしわたし四寸五分一り九毛五
ふかさ四寸一り七毛三
二升
さしわたし五寸六分九り四毛二
ふかさ五寸六り一毛五
三升
さしわたし六寸五分一り八毛三
ふかさ五寸七分九り四毛
四升
さしわたし七寸一分七り四毛三
ふかさ六寸三分七り七毛一
五升
さしわたし七寸七分二リ八毛七
ふかさ六寸八分七リ
六升
さしわたし八寸二分一り二毛五
ふかさ七寸三分
七升
さしわたし八寸六分四り五毛七
ふかさ七寸六分八り五毛
八升
さしわたし九寸三り九毛
ふかさ八寸三り四毛六
九升
さしわたし九寸四分一毛
ふかさ八寸三分五り六毛三
一斗
さしわたし九寸七分三り七毛
ふかさ八寸六分五り五毛
   

第廿一 平樽積并大樽
一升
口  五寸四分八り三毛
そこ  五寸一分一り七毛
ふかさ 二寸九分二リ○一糸
二升
口  六寸九分○八毛
そこ  六寸四分四り七毛
ふかさ 三寸六分七り九毛
三升
口  七寸九分○七毛八糸
そこ 七寸三分八リ
ふかさ 四寸二分一り一毛五六
四升
口  八寸七分○三毛七糸
そこ  八寸一分二リ三毛
ふかさ 四寸六分三り五毛四糸
五升
口  九寸三分七り五毛
そこ  八寸七分五リ
ふかさ 四寸九分九り三毛四
六升
口  九寸九分六り三毛
そこ  九寸二分九り八毛
ふかさ 五寸三分○六毛二糸
七升
ロ   一尺○四分八り八毛
そこ  九寸七分八り八毛
ふかさ 五寸五分八り六毛
八升
ロ   一尺○九分六り六毛
そこ  一尺○二分三り四毛
ふかさ 五寸八分四リ○二糸
九升
口   一尺一寸四分○五毛
そこ  一尺○六分四り三毛
ふかさ 六寸○七り四毛一糸
一斗
口   一尺一寸八分一り三毛
そこ  一尺一寸○二リ四毛
ふかさ 六寸二分九り一毛三糸
二斗
ロ   一尺二寸九分三り八毛六
そこ  一尺一寸五分八リ五毛
ふかさ 一尺○九分○四毛
三斗
ロ   一尺四寸八分一り一毛
そこ  一尺三寸弐分六り一毛
ふかさ 一尺二寸四分八り三毛
四斗
ロ   一尺六寸三分○一毛六糸
そこ  一尺四寸五分九り六毛
ふかさ 一尺三寸七分三り九毛
五斗
口   一尺七寸五分五り九毛八
そこ  一尺五寸七分二リ三毛
ふかさ 一尺四寸七分九り九毛

第廿二 長手樽の積并大樽
一升
口  四寸三分四り七毛
そこ  三寸六分八り七毛
ふかさ 五寸○七り四毛
二升
目  五寸四分七り七毛
そこ  四寸六分四り五毛
ふかさ 六寸三分九り二毛八糸
三升
口  六寸二分六り九毛
そこ  五寸三分一り六毛
ふかさ 七寸三分一り七毛九糸
四升
口   六寸九分
そこ  五寸八分五り二毛七糸
ふかさ 八寸○五り四毛四糸
五升
口  七寸四分三り三毛
そこ  六寸三分○五毛
ふかさ 八寸六分七り六毛
六升
口  七寸八分九り九毛
そこ  六寸七分
ふかさ 九寸二分二リ
七升
口 八寸三分一り五毛
そこ  七寸○五り四毛
ふかさ 九寸七分○六毛
八升
口  六寸六分九り四毛
そこ  七寸三分七り四毛
ふかさ 一尺○一分四リ八毛
九升
口  九寸○四り二毛
そこ  七寸六分六り九毛
ふかさ 一尺○五分五り四毛
一斗
口  九寸三分六り五毛
そこ  七寸九分四り三毛
ふかさ 一尺○九分三り一毛
二斗
口   一尺一寸九分二リ一毛
そこ  一尺○二分五り三毛
ふかさ 一尺三寸三分二リ六毛四
三斗
ロ   一尺三寸六分四り七毛
そこ  一尺一寸七分三り七毛
ふかさ 一尺五寸二分五り三毛五
四斗
ロ   一尺五寸○二リ
そこ  一尺二寸九分一り八毛
ふかさ 一尺六寸七分九リ
五斗
口   一尺六寸一分七り九毛
そこ  一尺三寸九分一り五毛
ふかさ 一尺八寸○八り七毛五糸

第廿三 桶大小積り
一斗
ロ   一尺○二分六り九毛四
そこ  九寸一分九り五毛
ふかさ 八寸六分五り五毛
二斗
ロ   一尺二寸九分三り八毛六
そこ  一尺一寸五分八リ五毛
ふかさ 一尺○九分○四毛
三斗
口   一尺四寸八分一り一毛
そこ  一尺三寸二分六り一毛
ふかさ 一尺二寸四分八り三毛
四斗
ロ   一尺六寸三分○一毛六糸
そこ  一尺四寸五分九り六毛
ふかさ 一尺三寸七分三り九毛
五斗
口   一尺七寸五分六リ
そこ  一尺五寸七分二リ三毛
ふかさ 一尺四寸八分
六斗
口   一尺八寸六分六リ
そこ  一尺六寸七分○八毛
ふかさ 一尺五寸七分二リ七毛
七斗
口   一尺九寸六分四り四毛
そこ  一尺七寸五分八リ九毛
ふかさ 一尺六寸五分五り六毛
八斗
ロ   一尺○五分三り八毛八糸
そこ  一尺八寸三分九リ
ふかさ 一尺七寸三分一リ
九斗
ロ  二尺一寸三分六り一毛
そこ  一尺九寸一分二リ六毛
ふかさ 一尺八寸○○三毛
一石
口  二尺二寸一分二リ四毛
そこ  一尺九寸八分一リ
ふかさ 一尺八寸六分四り六毛
二石
口   二尺七寸八分七り五毛
そこ  二尺四寸九分五り九毛
ふかさ 二尺三寸四分九り三毛
三石
口  三尺一寸九分○九毛
そこ  二尺八寸五分七リ
ふかさ 二尺六寸八分九り三毛
四石
口  三尺五寸一分二リ
そこ  三尺一寸四分四り六毛
ふかさ 二尺九寸五分九り九毛
五石
口  三尺七寸八分三り二毛
そこ  三尺三寸二分六り九毛
ふかさ 三尺一寸八分八り五毛
六石
口  四尺○二分○三毛三糸
そこ  三尺五寸九分九り七毛
ふかさ 三尺三寸八分八り三毛
七石
口  四尺二寸三分二リ三毛
そこ  三尺七寸八分九り五毛
ふかさ 三尺五寸六分七リ
八石
口  四尺四寸二分五リ○二
そこ  三尺九寸六分二リ
ふかさ 三尺七寸二分九り四毛
九石
口   四尺六寸○二リ一毛四糸
そこ  四尺一寸二分○六毛
ふかさ 三尺八寸七分八り六毛
拾石
口   四尺七寸六分六り六毛
そこ  四尺二寸六分七り九毛
ふかさ 四尺○一分七り三毛
廿石
口   六尺○○五り六毛
そこ  五尺三寸七分七り二毛
ふかさ 五尺○六分一り五毛
卅石
口  六尺八寸七分四り七毛
そこ  六尺一寸五分五り四毛
ふかさ 五尺七寸九分三り九毛
四十石
口  七尺五寸六分六り五毛
そこ  六尺七寸七分四り九毛
ふかさ 六尺三寸七分七り一毛
五十石
口  八尺一寸五分○八毛
そこ  七尺二寸九分八り一毛
ふかさ 六尺八寸六分九り五毛
百石
ロ   一丈○二寸六分九り四毛
そこ  九尺一寸九分五リ
ふかさ 八尺六寸五分五リ
右おけたるひしやくますいつれもちんかうきにはむかしますの法有之といへ共相違あるゆへ是を
あらためてかつかう術を以て当京升の積にして作之者也

改算記中目録
一 正矩術
二 正絜術
三 正団術并七九の図有
四 正珠術
五 恰合算(かくかうさん)
六 済統(せいとう)并法三発(おこり)
七 鱗形(うろこがた)
八同発註図(はつちうのず)
九 三角   十 同発註図
十一 六角   十二 同発註図
十三 八角    十四 同発註図
十五 萬高下
次第下り    頭下リ
ケ数下り    入子算
職人手間賃  人の歳数知
譲銀割符   荷物持合
鉄炮の薬渡   橋銀の割
拝領米割符(はいりやうこめわつふ)   同町便に割符

第一 正矩術  開平方の次第
先位見とは坪数多少有をまづ大かた何程
四方になると大図をしる事なり
大方取とは先位を見て其当る位を両に置懸合
其坪数程有坪の内引則其位を有坪の上に立也
二方塗とは有坪の内大方の坪積て引残る坪
をは大方を位也それを目安にして残る坪を先一桁割也
角引とは大方を位して残坪割は如此二方等分にぬれ共
又如此角不合ゆへぬりいだす間を九々によひ割残す坪の内引すつるなり
平坪積百四十四坪是を四角になして
位見
十二間四方に成
是より位見る爰を一と定一けた越て十と上へ上る

爰て十と当るゆへ十間四方と見て一一の百坪是を引
扨爰へ十間と大方を立るなり
残リ
右積百四十四位を見て百坪引かみへ十間と
立残り四十四坪此図にあり
大方
此十間は其まゝ置左に又此を倍して二十間と
目安を作る後の図にあり
残リ
是を左の目安二十間を以て割は此上十間の次に
今又二間立つ
大方
下に四坪のこる
又後の図にあり
目安
残り
二二の四是を角に引彿なり

此二を九九によび二二の四下残引    正
大方
目安
今これは不用
正矩術右如図也積百四十四坪置先位を見る坪といふ所より一〇十と次第によみ上る時積の頭へ十と
あたる也
先十間四方ととり一一の百坪積を引其上へ引付て十間と大方を立る下に残て四十四坪有又左に退て大
方の十間を倍し二十間と置それを目安して右残四十四坪をかみ一けた割は大方十間の次に今二間立
下に残り四坪あり今立二間を九九によひ二二の四坪下を引はらへは正十二間と見ゆるなり
積十三万三千弐百弐拾五坪を四方にして
三百六拾五間に成
位見

積を置位を見時千の位はなし百の位
先四百四方に取て見る四四の十六万坪はなき
時三百間四方にとる也三三の九万坪積を引
則其跡へ三百間と大方を立る残に四方
三千二百二十五坪有後の図に見ゆる
残リ
大方
大方の三百を倍六百間と左に退て置
それを目安にして残る坪をかみ一桁割
時大方三百間の次に今又六十間立其
六十間を九九によひ六六三千六百坪下を
引は以上三百六十間と残る三千六百廿
五坪後の図に見ゆる
残リ

大方
目安
大方三百間の次今立六十間を倍し
百二十間を左の目安に加へ七百二十間を
以て残る三千六百廿五坪をかみ一けた割時
三百六十間の次に今又五間立つ其五間
を九九によひ  二十五坪下を引彿は
正三百六十五間としるゝなり

目安

第二 正絜術  開立法の事
先位見とは坪数多少有をまつ大かた何程四方六
めんになると大図をしる事なり
大方取とは先位見て其当る位を三乗して其坪数
程有坪て減其位を残る坪のかみに引付立也
三方塗
とは究(きはまる)大方を自乗して又三をかけそれを
目安にして残る坪を只一けた割なり
三角(すみ) 引 小角
とは大方の次へ割付間を九九によひ左に退置又右
て大方に三をかけそれに次の割付間を加へそれに左
をかけ其坪数程割残す坪て引なり
一間四方六面の積二千百九拾七坪是を一つに四方六面にして
十三間に成
積置位見時十の位脇退て左右に十間
と置一一の百坪と成それに又高十間をかくれば
千坪と成是程有坪積を減し其上ヘ
引付て十間と大方を立わきの左右
は皆破算す十間の次に残て千百九十
七坪後の図にあり
上に立大方のことく脇退て又十間と置
それに本大方の十間よふ時一一の百坪と成是
又三方をかくれは三百坪と成是を目安にし
て残坪かみ一けた割時大方十間の次に又
三間立次に残て二百九十七坪有脇の目
安は皆破算す又後の図にあり
割残坪

大方
右脇左
大方の次に後に立三間を三三の九坪と
脇退て左におき又脇に右に大方のことく
十間とおきそれに三方をかくれは三
十間となり又次に立三間をくわヘ

三十三間有これに左の九坪をかく
れは二百九十七坪と成是を割残す
坪て引はらへは正十三間とみゆるなり
位見

右脇左
積五十六万千五百十五坪六分二リ五置一○○十○○百と位見時百に不当
十の位に取脇に退て左右に八十間と置両かけ合八八六千四百是に高八十間を
かくれば五十一万二千坪是程を有坪積て減し其かみヘ八十間と大方を立
脇の左右は皆破算す八十間の下に残て四万九千五百十五坪六二五後の図に有
残り
大方
目安二九一
上に立大方のことく脇に又八十間と置それに大方八十間をかくれば六四
と成それに三方をかくれは一九二と成是を目安にして残坪をたゝ一けた
割時大方八十間の次に又二間立次にのこりて一万千百十五坪六二五あり
わきの目やすはみな破さんす又後の図にあり
残リ

大方
八十九右脇左
大方の次に後立弐間を二二の四坪と脇に退て左に置又脇に右に大方の八十間
をおきそれに三角をかくれば二百四十間と成又次の弐間をくわへて二百
四十二間有これに左の四坪をかくれば九百六十八坪是程を二間の三角小
角に割のこす坪て引なり八十二間の次に残て一万百四十七坪六二五後の図に有
残リ
大方
目安
二七一〇二
上に立八十二間を又脇に退て八十二間と置上の八十二間とかけ合六七二
四と成是に三方をかくれは一越一七二と成是を目やすにして残坪を一け
た割時八十二間の次に又半間立下に残て六十一坪六二五あり脇の目安は
みなはさんする又後の図にあり
上に八十二間の次に後立半間を五五二分五リと脇に退て左に置又脇右にかみに立八十二間を置それに三
をかけ又次の半間を加へ二百四十六間半有是に左の二分五リをかくれば六十一坪六分二リ五毛と成
是を半間の三角と小角に下に残る坪て引はらへは正八十二間半とみゆるなり
正絜成就の図

第三 正団術   開平円法の事
▲一寸四方の平坪三千八百七十一是を真丸にして指渡何程に成と問 答てさしわたし七尺に成と云
術に有坪を円積七九を以て割は
数増時正矩術を以て除之は
径七尺としるゝなり
▲右径七尺のまるの坪数を見る時七尺両に置かけ合後七九をかくれば寸坪三千八百七十一ありこれ本
の坪とあふなり
▲指渡七尺の円まわり何程有と問時
答廻弐丈弐尺一寸二分有と云
法に三一六に径七尺をかくれはまわりしるゝなり
▲此円物廻り一丈五尺有時是寸坪何程有と問
術廻り一丈五尺両に置かけ合二二五と成是を
定法一二六四を以て割は坪数しるゝなり
▲又右の二二五に七九一一四をかけてもよし又廻りを三一六に割時指渡と成それを両に置かけ合七九
をかけても坪数しるれ共是は悪し只廻りをいふて坪の問時は右の算吉
▲円積七九を以てかけ割はいかにと問
答指渡一尺の円に一寸四方の坪数七十九有ゆへなり又七十九は何と
して知るそと問 時円砕七九の図
径一尺の円なり 周三尺一寸六分
径一尺の円廻三尺一寸六分を卅二に割は九分八り七毛五糸つゝ有又卅二を二つに割は一方十六つゝ
有是に九分八リ七毛五糸をかくれは一尺五寸八分と成是に五寸をかくる時に七九と成是円定積なり
▲又円周を両におきかけ合のち一二六四を以て割は坪になる事はさしわたし一尺のまわり三尺一寸六
分両に置かくる時寸坪九百九十八五六ありこれを本坪七九を以て割は一二六四と成ゆへ十二坪六分
四り引ては本坪一つとなをすこゝろなり
▲又七九一一四をかけるといふも右おなしこゝろ持にてわりつくるなりこれにはすこしほこりあるなり

第四 正珠術  開立円法の事
▲一寸四方六面の積三十五万九千四百二十五坪四分三厘一毛を玉にして径何程と問
答玉径九尺に成といふ
術積数を正絜の法以て除之後七九を以て割は玉さしわたしとしるゝなり
▲玉坪積は廻りを四に割両に置かけ合又一度かくる時四方六面の積何程有としるなり
▲又径を両に置かけ合又一度かけ其後四九三〇三九をかけても同積なり
右玉の積これはやき算也又本算の定法有之候へ共是は口伝多くして積にふかきちかいなしとかく
径一尺の玉に一寸六面の積五百まてはなし是を心得へし本積定法は秘伝
▲亦ぢんかうきに積六万二千二百令八立円法にして径四丈八尺成とあり是大ちがいなるゆへふ審なり
但下巻にくはしくあらためしるすものなり

第五 恰合術
右かけ物古をうつし今新筆は右の三ケ一にしては紙の内立よこ表ぐいつれも何程つゝに成と問
答新筆
紙の内立二尺七寸七分一り三毛
同  横一尺二寸七分
上一尺二寸一分二リ五毛
下 六寸三分五リ
上中四寸四り一毛
下中二寸八分八り七毛
恰 上一文宇 一寸一分五り五毛       下一文字 七分半
合 両わき 三分四り六毛つゝ         ちく   九分二リ四毛
如此出来なり術口伝有
但開平を以てする
▲此鳥篭長壱尺一寸はゝ八寸五分高九寸口広三寸足高二寸あり
今一つ此かつかうにつくるとき内のひろさ一倍にしては長さ
はゝ高さいつれも何ほとに出来と問

長  一尺三寸八分六リ
はゝ 一尺七分一リ
高  一尺一寸三分四リ
口  三寸七分八リ
足  二寸五分二リ
是を求術口伝あり但開立法を以て知之

第六 済統術
▲京舛弐斗四升入の箱を深さ八寸一分にして四方きりのことくにそこをとかし指時口広さ何程四方に
成と問
答口広二尺四寸五毛四方に成と云
術舛法六四八二七に弐斗四升をかけ又済統法三を
かけ扨深さ八寸一分を以て割後正矩に除之時口広しるゝなり
▲同弐斗四升入の箱を口ひろさ二尺四寸五毛四方にして右のことくに指時ふかさ何程に成と問時
深さ八寸一分に成と云
術六四八二七に弐斗四升をかけ又三をかくれは四六六七五四四と成其まゝ置 又左に口広さ両に置
かけ合それを目安にして右の四六六七五四四を割は深さしるゝなり
▲右四角のそことかりにます数積は口広両に置かけ合それにふかさをかけ扨舛の法六四八二七を以て
わり又済統の法三を以て割時入目しるゝなり
惣してそことがりたる物は口或は丸く或はなかく又は三角六角八角いかやうにても三を以て割は
同積あふなり
▲古舛一石四斗四升入積にして四方そことかりの箱さす時ふかさと口のひろさ四方いつれも同尺にし
て何程つゝに成と問
答三尺つゝに成と云 古升壱石四斗四升入
術一石四斗四升を古升の法十六を以て割時一寸六面の積九千とみゆる是に
済統の法三をかけ則積三増倍にみてそれを
正絜以て除之時口四方ふかさいつれも三尺つゝとしるゝなり
▲済統の法三の起は一尺四方深さ五寸有済統数六を以て口を面にして六つの底一つに合時一尺四方六
面さいのことくに成是を済統の深さ五寸あるゆへ真中より二つに割はロ一尺四方に高五寸つゝに成
是に済統三つつゝありしかれはロ一尺両におきかけ合さてふかさ五寸をかけ後済統数三つに割は一
つ分の坪しるゝゆへ是よりおこるなり
▲亦口広両に置かけ合それにふかさを倍してかけのち六に割は坪数しるゝ是本済統法起なり
▲亦口両におきかけ合ふかさかけ三三三三をかけてもおなし積なり是は一尺六面の積千の三ヶ一なり
済統明図
如此ほそき木を以てあんとんのさやのことく一尺四方六面にさし上四角に糸を
つけ一尺六寸七分つゝにのばし下四角へはりちかへるとき真中にて四筋のいと行
合そこのとかりと成て済統六つ有事あきらかに見ゆるものなり

第七 鱗形
一尺四方の平坪百六十九坪有是をうろこかたにして何程に成と問
答如此に成といふ
術有坪を定法二五を以て割又正矩に除之時下長弐丈六尺と成是を二つに割は角よ
り平へ一丈三尺と成是に一四一四二一をかくればのりの長しるゝ也
▲又右のうろこがた坪に積時は下の長弐丈六尺両に置かけ合六七六と成是に定法二五をかくれは百六
拾九坪としるゝなり
▲又六七六を四を以て割てもおなし事なり
▲うろこがたの定積二五といふ事は先下のひら一尺有時は角より平へ五寸有をうろこかたといふ也平
壱尺を二つに割は五寸と成是に又すみより平への五寸をかくる時寸坪二十五有ゆへ是定法なり

第八 鱗形二五図
積二十五
是定法なり
鱗形下平の長さ両に置
かけ合四を以て割ても同
坪に成と云心は一尺四方の
内に平一尺のうろこかた
四つあるゆへ也如図
○又角より平へのさしわたしに
一四一四二一をかけてのりの長
しるゝといふも如図角
より平へ壱尺有時は
のり一尺四寸一分
四り二毛有
ゆへなり
此一尺四寸
一分四り二毛を
しる事は高倍の法
正矩術を以て除之知也
但三角八六六の起に委有

第九 三角
▲一間四方の平坪三百八十九坪七分是を三角にして一方の間何程に成と問
答一方三十間つゝに成と云
術有坪を定法四三三を以て
われは九百坪と成是を正矩に
除之時三角の面一方の間
何程としるゝなり
▲右の三角坪数を積時は三十間両に置かけ合後定法四三三をかくれは三百八十九坪七分としるゝなり
▲面三丈有三角中指渡し角より平へは何程有そと問
答角より平へ弐丈五尺九寸八分有と云
法八六六に三丈をかくれはしるゝなり
▲此三角すみより平へ弐丈五尺九寸八分有時是に尺坪何程有と問
尺坪三百八十九坪七分有と云
術弐丈五尺九寸八分両に置かけ合後
一七三二を以て割は三百八十九坪七分と知る也
▲又弐丈五尺九寸八分を八六六を以て割は三角面のなかさしるゝ時それを両に置かけ合四三三を以て
かけても同事也
▲三角の法四三三といふは面一尺の三角に寸坪四十三坪三分有ゆへなり是をしる事図にあり

第十 三角の法四三三の起
積四十三三分 是定法なり
法求術三角の面一尺有時は角より平ヘ八寸六分六厘有是に面の一尺を二つに割て五寸をかくる時四
三三と成是三角の定法なり
▲三角一万の面一尺有は角より平ヘ八寸六分六り有といふはかねをあてゝ知かと問
答ていや算道によつて知之
術面一尺を両に置かけ合寸坪百有又一尺を二つに割五寸を両に置かけ合廿五坪有是を右百坪て減也
余り七十五坪有是を正矩を以て割時八寸六分六リ○二糸と成下の二糸は払て八六六を法とするなり
是によつて四三三の法にもほこり有本積は四三三〇一なり
▲又三角すみより平への長其まゝかけ合一七三二を以て割は坪数知る事は面一尺の三角すみより平ヘ
八寸六分六り是を両に置かけ合時寸坪七十四九九五六と成是を本坪四三三を以て割は一七三二と成
故是より出たり

第十一 六角
▲一寸四方の積六千四百九十五坪有是を六角にして一方の面何程つゝに成と問
答五尺つゝに成といふ
術積数定法二五九八を以て割は二千五百坪と成是を正矩を以て除之時六角の面しるゝなり
▲右六角の坪数積時は面五尺両に置かけ合定法二五九八をかくれば六千四百九十五坪と成なり
▲六角の法二五九八といふは面一尺の六角に一寸四方の積
二百五十九坪八分有ゆへなり此おこり図に有
△六角の法二五九八図
積二百五十九八是定法也
法を求術六角の面一尺有時は平指
渡し一尺七寸三分二リ有是を二つに割は
真中まて八寸六分六り有是に面一尺を二つに割て五寸
をかくれは四三三と成是に六方を懸(くる)時二五九八と成是より法出たり

第十二 六角の起
六角の面一尺有時平より平ヘ一尺七寸三分二リ有を知事是図にあり
▲右六角の起は面三尺の三角より面一尺の六角を出す時三角の
三すみに又面一尺の三角一つ宛三つ残る
扨又三角の面外三尺に八六六を懸は三角中惣立り
二尺五寸九分八リ有此内すみに残三角一つ分の立り
八寸六分六り引は残て一尺七寸三分二リ是六角平と
平の径也但三角六合六角となる○亦円の内より六角の起る法もあり

第十三 八角
▲一尺四方積三百九十一坪一分○○四を八角にして一方の面何程に成と問
答九尺つゝに成と云
術積数を定法四八二八四を
以て割は八十一坪と成是を正
矩を以て除之時八角の面知る也
右八角の坪数積時はおきて
九尺両に置かけ合定法四八
二八四をかくれは三百九一坪一分○○四としるゝなり又世間に四一四二の法はちがいあり
△八角坪積はやて
▲八角一つ有是に一寸四方の坪何程有と問
答五百十坪○五三有と云
八角の坪積は面の寸をとらす如此
取て積ばはやし大小共にあふなり
術角径二尺六寸八分七リに横
一尺九寸をかくれば坪数すぐに知也
▲右八角のすみ径二尺六寸八分七り両に置かけ合一四一四二一を以て割ても同坪と成定法なり
▲又平より平への径自乗して後一二○七一を懸ても同し
▲八角の面に二四一四二をかくれは平と平の径しるゝなり
▲同面に二六一三一二をかくれは角と角の径しるゝなり

第十四 八角の法四八二八四の発図
此坪百四十一四分二余あり
合四百八十二八四余是定法也
△八角の起
右八角を発時一尺四方の
角のかねのび四寸一分四り二毛
一糸是二に割は二寸七り一毛○
五つゝ有是を自乗して四二
八九二四八一〇二五と成又一尺を二つに
割五寸自乗して廿五あり
右へくわへて廿九二八九二四八一〇
二五あり是を正矩を以て
除之時八角の面五寸四分一リ
一毛九糸五四としるゝなり
▲亦法出す時是を相応して面一尺の八角を作なり其図前にしるす

第十五 萬高下割
△次第下り
▲銀九貫百目を上中下三人へ割渡す時上より中は二わり下り中より下は又二割下りにしてめんゝゝ銀
何程と問

上一人  三貫六百目
上より二わり下
中一人  三貫目
中より二わり下
下一人  弐貫五百目
まづ上一人に十二を二度かけ一四四と成又中一人に十二を一度かくれは一二と成是に下一人をくわ
へ右と三口合三六四有是を目安にして有銀九貫目を割時下のあたり弐貫五百目と知也又下のあたり
に十二をかくれは中の当知也又中のあたりに十二懸は上の当也
▲銀壱貫四百六十六匁九分弐リを人数六百四拾人に渡す時内上弐百人有中百八十人有上より二わり引
下百六十人有中より三わり引下々百四十人有下より四わり引如此次第さがりにしてそれゝゝのあた
り銀何程と問
上  二百人
五百六十七匁八分四リ
一人に付 二匁八分三り九毛二つゝ
中  上より二わり下り百八十人
四百二十五匁八分八リ
一人に付 二匁三分六り六毛つゝ
下  中より三わり下り百六十人
二百九十壱匁二分
一人に付 一匁八分二りつゝ
下々 下より四わり下り百四十人
百八十二匁
一人に付一匁三分つゝ
先上弐百人に十二と十三と十四をかけ四三六八と成 又中百八十人に十三と十四をかけ三二七六と
成 又下百六十人に十四をかけ二二四と成是に下々百四十人を加へ四口合一一二八四有是を目安に
して有銀を割時下々一人に付壱匁三分つゝと見ゆる是を百四十人にかけ渡す又壱匁三分に十四をか
くれは下一人の当と成それを百六十人にかけ渡す又下一人の当に十三をかけそれを中百八十人にか
け渡す又中一人の当に十二をかけそれを上弐百人にかけ渡すなり
▲銀五百目を人数五十人してとる時 上拾壱人
中拾八人 上より一人に付三匁五分下り 下廿壱人 中より一人に付四匁下り
右上中下それゝゝの割符 何程と問時に
上拾壱人  百五十八匁五分一リ
中拾八人  百九十六匁三分八リ
上より一人に付三匁五分下る
下廿壱人  百四十五匁一分一リ
中より一人に付四匁下る
先中拾八人に三匁五分をかけ六十三匁と成有銀五百目にくわへ又下廿一人に三匁五分と四匁合七匁
五分をかくれば百五十七匁五分と成是有銀に加へ三口合七百廿目五分有是を人数五十人を以て割時
上壱人に付拾四匁四分一リとみゆる是を上拾壱人にかくれば百五十八匁五分一リとしるゝ也 又上
丁人の当を三匁五分引中十八人にかくれば百九十六匁三分八リとしるゝなり又上一人のあたりを七
匁五分引下廿壱人にかくれば百四十五匁壱分一リとしるゝなり
△頭下り
▲銀壱貫弐百五十四匁有 人数八十二人に渡す時内上
卅二人は高を取 中卅人は上より一わり下り 下廿人は
上より一わり半下りにして何程つゝと問時
上卅二人  五百二十八匁
一人に付十六匁五分に当る
中三十人 上より一わり下り四百四十五匁五分
一人に付十四匁八分五リに当る
下二十人 上より一わり半下り二百八十目五分
一人に付十四匁○二リ五毛に当る
まず中卅人に九をかけ廿七人に成 又下廿人に八五をかけ十七人に成是に上卅二人くわへ三口合七
十六人有是を目安にして有銀を割時上一人に付十六匁五分とみゆる是を卅二人にかくれば五百二十
八匁と成なり又十六匁五分に九をかけ中三十人をかくれば四百四十五匁五分と成なり又十六匁五分
に八五をかけ下二十人をかくれは弐百八十目五分と成なり
▲銀八百七十目有 人数廿人に渡時内上八人は高を取中五人は上より一人に付五匁下り下四人は上よ
り一人に付七匁五分下り下々三人は上より二人に付八匁下りにしては何程つゝそと問時に
上八人   三百七十九匁六分
中五人   二百十二匁二分五リ
下四人   百五十九匁八分
下々三人  百拾八匁三分五リ
上より一人に付五匁下り
上より一人に付七匁五分下り
上より一人に付八匁下り
先中五人へ五匁をかくれば廿五匁と成 又下四人に七匁五分をかくれは卅目と成 又下々三人に八
匁をかけ廿四匁と成 右三口有銀にくわへ四口合九百四十九匁有是を人数二十人を以て割時上一人
に付四十七匁四分五リとみゆる 是を八人にかくれは三百七十九匁六分としるゝなり 又上壱人の
あたり四十七匁四分五リの内五匁引は中壱人に付四十弐匁四分五リと成これを五人にかくれば弐百
拾弐匁二分五リとしるゝなり 又一人の当を七匁五分引は下壱人に付三十九匁九分五リとみゆる
これを四人にかくれば百五十九匁八分としるゝなり 又上壱人のあたりを八匁引は下々壱人に付三
十八匁四分五リに成是に三人をかけわたすなり
△ケ数下
▲知行三千五百七十石納内三ケ一は銀七ケ一は大豆八ケ一は餅米にて上ケ残を蔵につめよといふ時い
つれもなにほとつゝそと問

千百九十石は銀にて上るぶん
五百拾石は 大豆に成   
四百四十六石弐斗五升は 餅米
千四百廿三石七斗五升は 蔵入
先納高を三つに割は銀にて上る米しるゝ又おさめ高を七つに割は大豆しるゝ又納を八つにわればも
ち米しるゝ 又おさめの内右三口しれたる程つゝ引残所をすなはち蔵入としるなり
▲銀四百三拾九匁五分にて酒三段に買時
上酒 一石に付 代銀百拾匁 中酒 一石に付 代銀九十目
下酒 一石に付 代銀七拾目 右三段の内中酒は上酒の
四ケ一又下酒は上酒の五ケ一買度といふ時上中下の升数なにほとつゝそととふ

上酒 三石
中酒 七斗五升 といふ
下酒 六斗
先中酒のね九十目を四に割は廿弐匁五分に成又下酒のね七十目を五に割は十四匁に成又上酒のね百
拾匁三口合百四十六匁五分有是を目安にして有銀を割時上酒三石としるゝ是を四に割は中酒知る又
三石を五に割は下酒六斗と知也
▲銀六百七拾七匁三分五厘にて茶を詰る時
極上  一斤に付  六十目
別儀  一斤に付  四十三匁
極揃  一斤に付  二十目
別儀揃 一斤に付  十五匁
つめ  一斤に付  八匁
右五色の内極上十五に折一つぶん別儀十五にをり一つ半ぶん極揃十五に折三つ半別義揃十五に折四
つつめ十五に折五つふん如此詰てほしきといふ時いつれもなにほとつゝそと問ときに
極上  一つといふは一斤の廿分一をいふなり
二斤六つ 此銀百三十八匁
別儀  三斤九つ  此銀百四十八匁三分五リ
極揃  八斤一つ  此銀百六拾壱匁
別儀揃  九斤八つ  此銀百三十八匁
つめ  拾一斤半  此銀九十弐匁
先六拾目右に置左に四十三匁に一五をかけ六拾四匁五分右へ加へ又廿目に三五をかけ七十目右へ加
へ又十五匁に四をかけ六十目右へ加へ又八匁に五をかけ四十目右へ加へ五口合て二百九十四匁五分
有是を目安にして有銀を割時極上二斤三分と見ゆる是に一五をかくれは別儀三斤四分五リとしるゝ
又弐斤三分に三五をかくれば極揃しるゝ四かくれは別儀揃と成五をかくればつめしるゝ扨いつれも
斤より下には二をかくれは幾つゝゝといふ事しるゝ是は一斤を袋二十にするゆへ廿分一を一つといふなり
△入子算
五つ入子を銀三十六匁にかい申候時二番目は頭に一わり下り三番目は頭に二わりさがり四番めは頭
に三わりさがり五番めは頭に四わりさがりにして頭の代は何程と問時
先十九八七六合て四十有是を目安にして惣代銀三十六匁を割時頭一つの代九匁としるゝ也 又頭の
代に九をかくれは二番目の代しるゝ也又八をかくれは三番目の代又七をかくれは四番めの代六をか
くれば五番めの代知る也
▲六つ入子を銀廿壱匁にかい申候時に入子一つに付銀四分つゝ次第にさけてはおのゝゝ何程と問時
先一二三四五と置合十五有是に四分をかくれは六匁と成是を惣代銀廿壱匁にくわへ入子数六つに割
時頭一つの代四匁五分としるゝなりのこりは次第に四分つゝ引なり
▲又下の代をさきへしる時は卅一匁の内六匁引残を六に割也
▲七つ入子一組有頭一つの代四匁三分といふ又末一つの代壱匁三分といふ時いつれも同し程つゝ次第
下りの算用にしては此七つ入子一組の代何程と問
答拾九匁六分と云
先四匁三分の内壱匁三分引残を六つに割は五と成右に別に置又左に一二三四五六合て廿一有是に右
の五をかくれは拾匁五分と成又四匁三分に七をかくれば三拾目一分有此内右の拾匁五分引は残て拾
九匁六分是惣七つの代也
△諸職人手間賃割
銀壱貫七百七拾目八分三厘諸職人七十五人に渡る内
大工   三十人つゝ 廿八日分 やねふきより一わり増
屋ねふき 十二人つゝ 十二日分 木引より一わりまし
木引   五人つゝ  十八日分 さくわんより一わりまし
さくわん 八人つゝ  十五日分 日用より二わり増
日用   二十人つゝ 廿日ふん
右の次第に人数日数にあふじ割渡す時それゝゝのあたり銀なに程ととふ時に
大工   三十人  廿八日分に 壱頁七十三匁三分一り八毛
やねふき 十二人  十二日分に百六十七匁二分七リ○四
本引   五人   十八日分に九十五匁四リ
さくわん 八人   十五日分に百十五匁二分
日用   二十人  廿日分に三百二十目
先大工卅人に十二を一度十一を三度かけそれに日数廿八日をかくれは○千三百四十一人六四八に成
又屋ねふき十二人に十二を一度十一を二度かけそれに日数十二日をかくれば○貳百九人八り八毛
に成 又木引五人に十二を一度十一を一度かけそれに日数十八日をかくれば○百十八人八に成 又
さくわん八人に十二をかけてそれに日数十五日をかけ○百四十四人に成 又日用廿人に日数廿日を
かくれば○四百人と成右かけたる算丸五口合弐千弐百十三人五三六有是を目安にして渡銀壱貫七百
七十目八分三リを割ば八分と成 是則日用一人に一日のちんとしるゝなり是に十二をかくれば左く
わん一人に一日のちんしれそれに十一をかくれは木引しるゝそれに十一をかくれは屋ねふきしれそ
れに十一をかくれは大エしるゝ日用一人の当を右かけたる算○丸の所へかくればそれゝゝの銀高し
るゝなり
△人の歳数知
子共十二人の年数合弐百廿有先兄より次男へ二つちかい次男より三男へ三つちかい三男より四男ヘ
二つちかい其次は三つちかい其次は二つちかい其次は又二つちかい其次は一つちかい其次は又一つ
ちかい其次は四つちかい其次は三つちかいそれより末子は五つちかいにて有り兄の年数は幾つそ又
末子は今幾つに成と問時
答 
兄   卅一歳 と答
次男  廿九歳 兄より二ちかい
三男  廿六歳 次男に三ちかい
四男  廿四歳 三男に二ちかい
五女  廿一歳 四男に三ちかい
六男  十九歳 五女に二ちかい
七女  十七歳 六男に二ちかい
八男  十六歳 七女に一ちかい
九女  十五歳 八男に一ちかい
十女  十一歳 九女に四ちかい
十一男 八歳  十女に三ちかい
末子  三歳  十一男に五ちかい
先惣年数弐百廿右に置左に兄より次男のちかい二に十一をかけ廿二と成右へ加へ又次男より三男の
ちかい三に十をかけ卅右へ加へ又其次のちかい二に九をかけ二九十八右へ加へ又其次三八廿四右へ加へ又
次二七十四右へ加へ又二六十二一五の五一四の四三四十二二三六又末子のちかいは五つ其まゝいつれも右へ加へ十二
口合三百七十二あり是を人数十二人を以て割時兄卅一歳としるゝ是を次第に其ちかいをひけはめんゝゝ
年数しるゝ末子は三歳に成なり
△親のゆつり銀割荷
銀弐百八拾三貫五百目を子共十二人にゆつる時兄の取分より末子の取分は壱貫目に付百拾匁つゝす
くなく取やうにしては次第に何程つゝさけてあふそめんゝゝ取分何程そと問時
兄   弐拾五貫目
次男  弐拾四貫七百五十目
三男  弐拾四貫五百目
四男  弐拾四貫弐百五十目
五女  弐拾四貫目
六女  弐拾三貫七百五十目
七女  弐拾三貫五百目
八男  弐拾三貫弐百五十目
九男  弐拾三貫目
十女  弐拾弐貫七百五十目
十一男 弐拾弐貫五百目
末子  弐拾弐貫弐百五十目
先百拾匁を十一に割は拾匁と成是則壱貫目に付拾匁つゝ兄より次男のちかいとしるゝゆへ兄ぶんに
壱貫目と右に置次男に九百九十目右へ加へ三男に九百八十目加へ四男九百七十目加へ如此次第に拾
匁つゝ引右へ加へ十二口合拾壱貫三百四十目有是を目安にして有銀弐百八拾三貫五百目を割時兄の
取分廿五貫目としるゝ是に九百九十目をかくれは次男の取分なり 又兄の取銀に九百八十目をかく
れは三男の取と成 此ことく又次第に拾匁つゝ引兄の取銀にかくれはめんゝゝ当知るなり
△道中荷物人足割
京より江戸まて道百弐十里有荷物十六荷に人足二十人懸り日数十二日に参差のはづにして一人に付
道中何程つゝのやすみ有そ又一日のうち何里何町目にてかわりいつれもろくに持合るそと問
答一人に付
道中ぢう二十四里やすむ
一日の内二里つゝてかわる
と云
先荷物十六荷に百弐十里をかけ人数二十人に割は一人に付九十六里つゝ持とみゆる是を百廿里の内
引は残廿四里是則一人のやすみなり是を十二日に割は二里つゝにてかわりてあふとしるゝなり
△鉄炮薬渡事
銀炮の薬弐拾三貫目四組へ渡時内壱組八分込六十挺一くみ壱匁下込卅挺一組壱匁三分込卅挺一くみ
四匁込廿挺なり右いつれも一挺に付数同程つゝうつ積にして薬何程つゝ渡ると問
一組 八分込   六十挺に 五貫五百二十目
一組 一匁一分込 三十挺に 三貫七百九十五匁
一組 一匁三分込 三十挺に 四貫四百八十五匁
一組 四匁込   二十挺に 九貫弐百目
先八分に六十挺かけ四十八匁又一匁壱分に卅挺かけ三拾三匁又一匁三分に卅挺かけ三拾九匁又四匁
に廿挺かけ八十め右四口合弐百目有是を目安にして薬弐拾三貫目割時百十五はなしつゝとみゆる是
をいつれも込と筒数にかけ渡す也 先八分に六十挺かけ扨百十五を掛は五貫五百廿目皆如此也
△橋銀割
新橋入用の銀拾弐貫五百目町数十
三町へ割かくる時はしより東に八町
橋より西に五町有東の橋つめの当
より西の橋つめの当は一わりさがりに
して又それより二町目三町目何れ
も末まて次第に一わりさがりに
しては町々の出銀何程そと問
答東
八丁目六百六千四匁八リ
七丁目七百卅目四分九リ
六丁目八百三匁五分四リ
五丁目八百八十三匁八分九リ
四丁目九百七十二匁二分七リ
三丁目壱貫六十九匁五分
二丁目壱貫百七十六匁四分五リ
はしつめ壱貫弐百九十四匁壱分
西方
はしつめ
壱貫百七十六匁四分五リ
二丁目
壱貫六十九匁五分
三丁目
九百七十二匁二分七リ
四丁目
八百八十三匁八分九リ
五丁目
八百三匁五分四リ
橋術
○壱つとおき是に 十一をかけて
○一一となる      是に十一をかけ又二かけて
○二四二となる     是に十一をかけ
○二六六二となる    是に十一をかけ
○二九二八二と成    是に十一をかけ
○三二二一下二と成   是に十一をかけ
○三五四三一二二に成  是に十一をかけ扨二つに割は
○一九四八七一七一に成 右丸八口数合て十八八二三下五
九一あり是を目安にして入用銀拾弐貫五百目を割時ひかし八町の方末壱丁の当り六百六十四匁八り
んとしるゝなり是に十一を次第々々に八町まてかけて上る也 又西五丁の方は東弐町目のあたりか
則西橋つめの当りなり六町目か又西五丁目のあたりなり
▲橋一つの入目銀八貫弐百五十目を町中へ掛時橋より西に通町五丁と横かたはら町弐丁有又東に通町
三丁と横町弐丁有町数合十二町して右の銀出す時先西橋つめを高にしてそれより末五丁迄は次第に
卅目つゝさがりて出しかたはら町弐丁は橋つめの当半分つゝ出し又東橋つめは西橋つめのあたりよ
く廿目すくなく出しそれより次第に卅目つゝ末三丁迄は引て出し横町弐丁は橋つめのあたりに是も
卅目つゝおとりて出す積にしてはいつれも何程つゝにあたるそと問時に
西橋つめ  八百目    西片原町  四百目つゝ
西二丁目  七百七十目     西三丁目  七百四十目
西四丁目  七百拾匁     西五丁目  六百八十目
東橋づめ  七百八十目    東横丁   七百五十目つゝ
東二丁目  七百五十目    東三丁目  七百二十目
先西の法一二三四又東一二又横町二是合十五有是に三拾目を
かくれは四百五十目と成是を高銀八貫弐百五十目に込 又東町数
五丁に廿目をかくれは百目となる是も高銀にこむ三口合八貫八
百目有是を惣町数十一の丁を以て割時西はしづめのあたり
八百目としるゝなり是を次第引なり
右惣町数十二町有を十一町に割事は片原町有ゆへなり
拝領米知行高に割符
▲侍数百四拾弐人に米千五百石被下候時割符の次第百石取より弐百石取は高百石に付二わり半さげて
取 又弐百石取より三百石取は二わり半さけいつれも九百石取まては右の次第にして又千石取は百
石取の四人半前取積にしてそれより又高千石に付二わり半さかりの割
百石取    八人ふん  三拾六石五斗五合
一人に付四石五斗六升三合一タ二才五
百五十石取  卅一人ふん 百九拾八石三升九合九夕
一人に付六石三斗八升八合三夕八三七
弐百石取   卅九人ふん 三百弐拾石三斗三升一合九夕
一人に付八石弐斗一升三合六夕三才八四六
弐百五十石取 九人ふん  八拾七石六升四合六夕
一人に付九石六斗七升三合八夕四
三百石取   十七人分  百八拾九石弐斗七升八合七夕
一人に付拾壱石壱斗三升四合○四才二七六五
四百石取   九人分   百弐拾壱石弐斗三升三合三夕
一人に付拾三石四斗七升○三夕六才六
五百石取   十二人分  百八拾四石七升三合一タ
一人に付拾五石三斗三升九合四夕二才五
六百石取   五人分   八拾四石壱斗七升三合四夕
一人に付拾六石八斗三升四合六夕八才
七百石取   四人分   七拾弐石壱斗弐升三合五夕
一人に付拾八石○三升○八夕七才五
八百石取   二人分   三拾七石九斗七升五合六夕
一人に付拾八石九斗八升七合八夕
千石取    三人分   六拾壱石六斗弐合三夕
一人に付弐拾石○五斗三升四合壱夕
千五百石取  二人分   五袷七石四斗九升五合五夕
一人に付弐拾八石七斗四升七合七夕五才
三千石取   壱人分   五拾石壱斗三合弐夕
米合千五百石有
△拝領米町役に応し割符
米百五拾石町中へ披下候時内九石六斗は方々礼物に入残百四拾石四斗を町数四拾五丁に割符する時
町役上中下五町組にして九段有上々役壱町のあたりを末九段目の下々の役壱丁は半分取積にしては
いつれもなに程と問時に
上々役    一くみ五丁  弐拾石八斗
上中役    一くみ五丁  拾九石五斗
上下役    一くみ五丁  拾八石弐斗
中上役   一くみ 五丁  拾六石九斗
中中役    一くみ五丁  拾五石六斗
中下役    一くみ五丁  拾四石三斗
下上役    一くみ五丁  拾三石
下中役    一くみ五丁  拾壱石七斗
下下役    一くみ五丁  拾石四斗
先九段に八をかけ八七十二町に成是に十五をかくれば百八丁に成是を目安にして有半百四十石四斗を
われば一くみに付壱石三斗つゝのさがりとみゆる扨又一二三四五六七八是合三十六有是に一石三斗
をかくれは四十六石八斗に成是を有米百四十石四斗に加へ百八十七石弐斗有是を九たんに割時上々
役一くみ五丁のとり米廿石八斗としるゝなり是を次第に壱石三斗つゝ引て取也 ○然は九段目にて
下々役一くみ五丁のとり米拾石四斗としるゝ是上々役一くみの半分なり

改算記三目録
一 屋ね坪積并ふき板積
二 瓦ふき并法行作り
三 普請惣しての坪積
堤の事        同築様長を知
同坪積        同根置不知の積
同ならし不知の積   同高さ不知の積
同築様        同法を究む
同高さを知      同根置を知
同ならしを知     同根置とならし知
蛇篭(しやかこ)の積       砂坪地口定む
丁場割        同夫数の積
日数の積       石垣根切
石垣頬(つら)坪積      同石数積
石数請取渡      天主の台根石
大石夫数積      同車の積
修羅引積       しん棒持
はさみ持       大八車
栗石つみ様      おくび成割
同末なし       上り坂の割二通
堤芝置積       岩木石積
四 石垣組橋の事

第一 作事屋ね坪并ふき板積
○指図に目く
なかさ十六間はり十
四間水たり四方に半
間つゝつま二間つゝて折
軒破風厚七寸五分つゝ
棟のしな厚三寸にして
右五寸弐分かうばいに立時此屋ね坪何程有そと問時
平屋ね坪 是は一間四方一坪なり  弐百八拾七坪四分一り六五
軒坪棟破風合 七拾二坪一分○六毛八
是は長一間にあつさ一尺を一坪といふ
角のほり     七坪九分七リ みのかうともいふ
是は長さ二間を一坪といふ
右屋ね坪積は先かうばいの法を以てのびを知る時五寸弐分かうばいのび一一二七一二なり 是をは
り水たり共に十五間にかくれば十六間九分○六八と成 是両原共に折廻しての屋ねはらなり 又長
十六間の内両つまに四間引残十二間是むねの長さなり 是に右の両共の屋ねはらをかくれは弐百〇
弐坪八八一六と成是をわきにのけておき又つま弐間に水たり半間合弐間半に右ののびをかくれは弐
間八一七八と成 是に弐間半をかけ又二をかくれは十四坪○八九有是は両原四角に有坪なり則わき
へ加へおく又はり十四間の内両つまに四間引残十間是はふ下の間也 是にのき十五間を加へ廿五間
と成 是を右の弐間八分一七八はつまの屋ねはら成 故是に廿五間かけ合時七坪○四四五と成 是
をわきへ加へ三口合弐百八十七坪四分一五六あり是惣屋ね平坪としるゝなり
▲又軒廻り六十四間有是に七寸五分を懸は四十八坪と成是軒坪也
▲又棟十二間に両めん六寸をかくれは七坪弐分と成是しなの坪也
▲又かた屋ねはゝ八間四分五三四の内つまの屋ねはゝ弐間八分一七八引残五間六分三五六是に四をか
け扨七寸五分をかくれは十六坪九分○六八はふ口坪なり委紬は口伝
▲角のほりの事つまの屋ねはゝに一四一四二をかけ又四をかけそれを長弐間て割は七坪九分七リと知
る是大かた也委細は口伝
右屋ね坪積 事多く心得かたし此外惣くゝりと云一算の積り有
如此所々の間打におよばす下に居て惣くゝりに積やう有之
此外ほう行作り或はいかやうの屋ねといふ共皆一算につもりやう有之
△ふき板つもり
右屋ね坪弐百八十七坪四分一六五有のきはふしな合て七十二坪一分○六八有是をこけらふきにする
時そきはゝ弐寸八分ふきあしならして一寸弐分又のき付板はゝ三寸あつさ三分有時是二色に板何程
つゝ入と問
そき 三十六万千四百九枚入なり
軒板 五万二千七十七枚入と云
先そ木はゝ弐寸八分にふきあし一寸弐分をかけ合三三六と成 是を目安にして一坪の法四二二五を
割は一二五七四四と成是を屋ね坪弐百八十七坪四分一六五にかくればそき数三十六万千四百九枚と
しるゝなり
又のき板はゝ三寸を以て六尺五寸を割は二一六六六……と成 又あつさ三分を以て一尺を割は三三
三…と成是に右の二一六六六…をかくれは七二二…と成是を右七十弐坪一分○六八にかくる時軒
板五万弐千七十七枚入と知る也
ふき板積右の次第なり 又すみのほりたになとにはそばとりかたさまなとゝ云板有之
○かな釘のつもりはのきまわり壱間に付釘三拾弐本程の積にしてよし
○竹くきは壱坪に付八合つゝほとのつもりにてよし
▲亦曰屋ねの事上にのほり間をうち積事は是めつらしからすふきなをしなり右に今積置は皆家不立以
前に知事なり

第二 かわらふき積
此長屋のき長四十間むね長四十間有屋ねはゝ三間
是を又かわらふきにする時丸かわら長八寸平かわら
はゝ八寸ふきあし五寸棟のしな五枚かさねにして
右いつれもかわら数なに程つゝ入そと問
答曰
平瓦五万七百枚
内六百五十枚   軒からくさ
丸瓦三万千七百五十弐枚
内六百四千八枚  軒ともえ
しなに 千六百二十五枚入なり
三口合八万四千七拾七枚入と云
右の外おにかはら又むまのつめなとゝ云瓦入也
先四十間倍し八十間に六五をかけ五十弐丈と成是を平かわらのはゝ八寸て割は六百五十枚と成是か
らくさのもんのき平かわらの数なり是を弐枚へらし六百四十八枚ともへのもん是のき丸かはらの数
なり 又屋ねはゝ三間倍し六間に六五をかけ三丈九尺と成 是をふきあし五寸て割は七十八枚と成
是に右からくさの数六百五十枚をかくれは平かわらからくさ共に五万七百枚としるゝなり又 三丈
九尺を丸かはらの長八寸を以てわれは四十八枚七分半となる此はをあけて四十九枚とおきこれに右
ともえの数六百四十八枚をかくれば丸かはらともへ共に三万七百五十弐枚としるゝなり 又むね四
十間を八寸を以てわりそれに六五をかけ又五を以てかくるときむねのしなに千六百弐十五枚入とし
るゝなり
△屋ね坪下より積法行作り
叉引物よりむね迄のつか柱高さ弐間有時
右の屋ね坪
五拾坪○五分○七八五有と云 是秘伝の積なり

第三 萬普請割
△坪積の事
▲平坪は立横かけ合坪数也○又間の末に尺寸有ば六五に割てかくるなり○又一方は間一方は尺寸斗の
時はすくにかけ合後六五に割ても坪なり○又両方皆丈尺寸の時は其まゝかけ合後平坪の法四二二五
を以て割は坪也○法四二二五といふは一間四方の内の尺坪数也 さい坪は立横高三方かくれは坪也
○間と尺有時は六五に割事右同前なり○又三方皆丈尺寸の時は其まゝかけ合後さい坪の法二七四六
二五を以て割は坪也 法二七四六二五といふは一間六面の内のさい尺坪数なり 又一方はひろく一
方はせはき時は両方置合二に割それに長さをかくるなり
△坪数堤に築長知事
土三千坪有是を堤につく時ならしはゝ弐間
根置はゝ六間高五間にして長何程に成と問
答長百五十間に成と云
右はならしと根置の間置合二つに割それに
高をかくれは二と成是を目安にして有坪を
割は長しるゝなり
△堤坪積の事
長百五十間根置六間ならし弐間高五間有
堤には坪数何程有そと問
答三千坪有といふ
右は弐間に六間置合二つに割は四間と成是に高五間をかくれは廿坪と成 是に百五十間を懸は三千
坪と知る也
△堤ねおきしらす坪積事
長七十五間 高弐間半 ならし壱間 ね置はうたれぬ時四寸のりにしてね置何程そ坪数何程有と問
答ね置三間 坪数三百七拾五坪有と云
右は先高さにのりをかけそれを倍してならし一間を加へれはね置三間としるゝなり坪積やうは今し
れたるね置とならしの間置合二つに割それに高をかけ又長さをかくるなり
△同ならし不知坪積事
長弐百間 高四間 ね置八間 ならし不打但五寸のり也 此坪数何程有そ又ならし間何程と問
答坪数四千八百坪 ならし四間有と云
右は先高にのりをかけそれを倍してね置八間の内を引は残て四間是ならしの間也坪積やうは右に記
ことく也
△堤高不知坪積事
長弐百五十間 ならし三間 ね置十一間 高さ不打 但八寸のり也此堤坪数何程そ高さ何程そと問
答坪数八千七百五十坪 高さ五間有と云
右はね置十一間の内ならし三間引は残て八間是を二つに割は四間是をのりて割は高五間としるゝな
り 坪積やうはいつれも同前なり
△堤つきやうのりを究知事
ね置はゝ九間半ならしはゝ五間高四間半に築時ねより何寸のりに築上りてならしと高さに取あふそ
と問
答五寸のりに築てよしといふ
右はね置間の内ならし間を引残を二つに割後高を以て割はのりしるゝなり
△坪数堤につき高をしる事
上三百七拾五坪あり是を堤につく時長七拾五間ね置三間ならし壱間にして高何程に成と問
答高弐間半に成といふ
右はね置とならしの間置合二に割それに長をかくれは一五と成是を目安にして有坪を割は高さしるゝ
なり
△同ね置をしる事
上四千八百坪堤につく時長弐百間高四間ならし四間にしてね置何程に成そと問
答ね置八間に成と云
右は長弐百間に高四間とかくれは八と成是を目安にして有坪を割は六間と成是を倍してならし四間
を引は残て八間是則ね置なり
△同ならしをしる事
土八千七百五十坪堤につく時長弐百五十間高五間ね置十一間にしてならし間何程に成そと問
答ならし三間に成と云
右は長に高をかけそれを目安にして有坪を割それを倍にしてね置を引は残る間ならしとしる也
△同ね置とならしをしる事
土三千坪有つゝみにつく時長百五十間高五間にして四寸のりにつく時ね置何程に究そならしは何程
に成と問

ね置六間に究
ならし弐間に成
と云
右は長に高をかけそれを目安にして有坪を割は四間と成 是を右に二所に置 又左に高にのりをか
くれは四五弐間と成是を右の一方へ加へ合六間ね置なり 又一方を弐間引残て弐間是ならしの間なり
▲此堤坪数何程有そと問
答千百八拾五坪六合有と云
右は下はゝ六間三尺九寸を置尺寸計を六五に割は六間六分と成是に
上三間加へて九間六分と右に置又下上長合弐百四十七間を右へ懸
又高をかけ其後四に割は坪数しるゝなり○大方は此積なり
又本積にする時壱坪八合余違有是は長さに上下有ゆへちかふ也
△蛇かこ坪積の事
此しやかこ長七間半廻り壱丈四尺
三寸有此内へ栗石何程入そと問
答二坪八合七タ一才八入と云
先廻りを六五に割は間になるそれを両に置かけ合又長さをかけて三六三
と成是に七九一一四をかくれは坪数しるゝ也又廻りを三一六に割は指わたしと成それ
を両に置かけ合七九をかけ六五に二度割それに長をかけても坪と成なり
是より右の算はやし
△砂坪地口定事
今日の役すな一坪に付拾五人かゝりにして出人九拾人分の坪数置場の地口何程取てよきそと問
答て
下はゝ 三間壱尺三寸
上はゝ 弐間五尺弐寸
下長 四間壱尺三寸
上長 三間五尺弐寸
高  半間と云
右は先出人の当坪を知に拾五人を目安にして九拾人を割は六坪と見ゆる此置場しるやうは先高を半
間と究是を目安にして六坪を割は十二坪と成是を大かた四方に位をみてはゝを定時  四四十六坪はなし
然は三間と究是て十弐坪を割は長四間としるゝなり 扨すなはのりをあらせねはつかれぬゆへはゝ
長共に上を弐分つゝ取て下へ弐分つゝ加へて置間より下へ六五をかくれは右図のことくなり 又高
を半間と究もすなはあまり高くはつきにくきゆへ大かた此高さよし但坪多く置はせはき時は又高を
ます或は長をます事もあり
▲又立横を究置高をしるは則立横かけ合有坪を割は高さしるゝなり
▲又高と横をかけ坪を割は立の間しるゝなり ▲又高と立をかけ合坪を割は横の間しるゝなり
右の算萬事に出合さん也堤の内にくはしく有
△堀丁場こくち割
堀長弐百四拾間上はゝ拾八間下はゝ十二間深さ六間にほる時今日の普請土壱坪に付三人半かゝりと
定出人千七拾壱人分の丁場長何程渡るそと問
答長三間弐尺六寸と云
術出人数を三人半を以て割は三百六坪と見ゆる右に別に置左に堀はゝ上下置合弐つに割それにふか
さをかくれは九拾坪有是を目安にして右三百六坪を割は三間四分と成間より下の四分に六五をかく
るなり
△同普請夫数積事
右の堀一坪に付三人半かゝりにして夫数何程にて堀立ると問
答七万五千六百人にて堀立ると云
術先坪を積上はゝ十八間に下はゝ十二間置合弐つに割それにふかさ六間をかけ又長弐百四十間をか
くれば弐万千六百坪と成是に三人半をかくれば七万五千六百人としるゝなり
△同日数を積事
堀長三百八拾間 上はゝ廿弐間半 下はゝ拾九間一尺三寸 ふかさ四間半にほる時役人毎目弐千人
つゝかゝるなり 土ののけ場何も弐丁半つゝ有時一日に八里あゆみにして此普請日数何程に仕舞と

答八十五日一時三分弐リに仕舞と云
術そこはゝ拾九間一尺三寸と置間より下を六五に割拾九間弐分と成是に上はゝ廿弐間半を加へ四十
一間七分と成是にふかさをかけ又長をかけ其算二つに割は三万五千六百五十三坪五分有是に壱坪の
荷数弐百七十五荷をかくれば九百八拾万〇四千七百十二荷半と成 是に行帰の道五丁をかくれば四
千九百〇弐万三千五百六十弐丁半と成是を一里の法三十六丁て割は百卅六万千七百六十五里六二五
と成是を八里て割ば拾七万〇弐百二十人と成是を弐千人て割ば八十五日一一と成此一一ばかりに十
二時をかくれば八十五目一時三分弐リと知也
△石垣ね切の地行に籠引の割
丁場の長百十四間有内五十間はふかさ五尺にきる四十間はふかさ六尺に切廿四間はふかさ六尺弐寸
五分切也
此普請に人足八百人かゝる時先五十間の丁場は人数何程かゝる又一間に何人役に当る
そ残四十間の場廿四間の所いつれもとふ時

五十間の所
三百十二人半
一間に付六人二分半に当る
四十間の所
三百人
一間に付七人半に当る
二十四間の所
百八十七人半と云
一間に付七人八分一二五に当る
術深さ五尺を以て同六尺を割時一二と成是に四拾間をかくれは四十八間と成又深さ五尺を以て同六
尺弐寸五分を割時一二五と成是に廿四間をかくれは三十間と成扨此三十間右の四十八間又五十間三
口合百廿八間有是を目安にして有人八百人を割は六二五と法出る是に五十間をかくれは則三百十二
人半としるゝ是五十間の丁場のあたり人也 此人数を五十間て割は一間に付六人二分半つゝと知る
なり 又四十間の丁場を知時は法六二五に右割たる間数四十八間をかくれは三百人と成是を四十間
て割は一間に付七人半と知る又廿四間の所は法六二五に右割たる間数三十間をかくれは百八十七人
半と成是を廿四間て割は壱間に付七人八分一二五としるゝなり
△石垣つら坪のりを聞積事
丁場長二十八間有此石かき高つゝ立四間にして四寸のりにつく時つらの坪数何程有と問
答百弐拾坪○六り二四有と云
術のり四寸を両に置かけ合十六と成是に百加へ正矩術を以て除之は一〇七七と成是則四寸かうはい
の延也 是に高四間をかくればつらの間四間三分○八と成是に長廿八間をかくれば百廿坪○六り二
四としるゝなり
△同石数積事
右の丁場に石弐尺八寸四方に廻して石数何ほと入そと問時に
答五百六十入と云
術百廿坪○六り二四に平坪の法四二二五をかけそれを右置左に弐尺八寸両に置かけ合それを目安に
して右を割也
△石数請取渡しつら坪廻し
石つら三尺四方に廻して弐千六百請取内今日請とる
分の石数大小共に百廿有此面の尺坪千四百四十坪有
是を右三尺四方に廻して何程に成と問
答百六十に成と云
術石一つゝゝの面の立横両に置かけ合百廿分の尺坪合
千四百四十坪有時これを三尺石の坪数三三九を以て
割は百六十としるゝ也いつれも日々如此して弐千六百都合をとるなり
△天主の台ね石地行に定事
上ならし十六間に十四間高ささま石共に十一間に
して築やうはね石より高壱間のあいたは五寸
のり二間よりは高壱間に付六寸五分つゝのりをおこ
すと云然は下ね石の地
行なわはり何程にしてよきと問

下 二十五間
同 二十三間
と云
術高十一間にのり五寸をかくれば五間半と成倍して十一間有是十六間加へ廿七間有此内おこすのり
間になをして両方のふん弐間引取は残る廿五間是則下一方の間長なり廿五間の内を又弐間引は一方
廿三間としるゝなり是は上ならしにて弐間ちがい申により下も如此なり
△大石夫数積
此石長三間はゝ七尺七寸に七尺三寸あつさ六尺あり是何程の夫数にて引そと問
答壱万五百三拾人にて引なり
術七尺七寸に七尺三寸置合二つに割それにあつさ六尺をかけまた
長三間をかけ扨六五をかけ其後十二人をかくれば壱万五百三
十人としるゝなり
△同大車にかける積
此石尺坪百八有車にかけ夫数何程にて引と問
是程の石は尺坪一つに大かた三人半つゝかけてよし
答て
三百七十八人にては引と云坪百八に三人半を
かくれは三百七十八人としるゝなり先是大積なり
かやうの大石は十人廿人多くてもたらずしても引なり
大づをしるすなり
△修羅の積
此石修羅にて引時は一尺坪一つに四人つゝ程かけてよし然は
四百三十二人引也
夫積は坪百八に四人をかくるなり
△同しんほう持積 むかて持ともいふ 或はまき持
此石尺坪四十一有此くらいの石はしんほう持にして
尺坪一つに三人つゝかけて大かたよし然は百廿三人持也
夫の積は坪四十一に三人をかくれは百廿三人としるゝなり
△はさみ持積
此石尺坪廿七ありはさみ持にして尺坪一つに二人つゝかけるなり
然は五十四人持なり
△同大八車の積
右大八車にのせる時も夫積ははさみ持と同前なり
右四積何も大積也或は人数少ましてもへしても持也先大づ如此過分に違事なかれ
△栗石積やう高知事
栗石弐千百十七坪弐合あり此置場屋敷の長さ七拾九間
はゝ三拾三間半有是につむ時高何程につみ合そと問
答高五尺弐寸と云
右は長七十九間には上二拾三間半
かけ二六四六五と成是を目安にして有坪を割は八と成是に六五をか
くれば高さ五尺弐寸としるゝなり
△栗石三階につみ長知事
栗石弐百五十一坪有此置場地
はゝ八間有是に右の栗石三かいに
積時高一間つゝにして四方
犬はしりも一間つゝ置てつみ下
地行長さ何程そ一段め三段
めのはゝ長何程つゝに成と問
下八間に十五開半
中六間に十三間半
上四間に十一開半
と云
右は先八間の内弐間引は六間有是 二をかけ十二坪と成是を有坪に加へ又六間の内弐間引は残て四
間是に四をかくれは十六坪又有坪へ加へ三口合弐百七十九坪有是を右に置左に八間六間四間置合十
八間是を目安にして右を割は下長拾五間半としるゝ其上段は次第に弐間つゝ引なり
△同五かいにつみ高を知る事
栗石五十四坪有を下六間四方にして五段つみ上け四方に犬走り半間つふ置てつむ時高何ほとつゝに
つみてあふそと問
答高三尺九寸つゝつみてよしと云
右は先下を六六三十六坪と置二段めを  五五廿五坪加へ三段目を  四四十六坪加へ四段目を三三九坪加へ五段目を二二
四坪加へ五段合九十坪有是を目安にして有坪を割は六と成是に六五をかくれは高さ三尺九寸としるゝなり
△栗石つみやう段を知事
坪数四拾七坪有を下長八間はゝ五間高半間つゝにして四方に犬はしりも半間つゝ置てつみ上る時何
段上るそと問
答又
三段と
上一段は高弐尺六寸と
以上四段上るといふ
右は先有坪を高半間て割は九拾四坪と成是右に置左に下長八間にはゝ五間をかけ合  五八四十坪右を引又
次の段を下段に四方犬走を引は七間に四間  四七廿八坪右を引又其次を三六十八坪右を引残て八坪有先三段
はしれたり此八坪には高半間をかけ  二五十を目安にして割は四分となる是に六五をかくれは弐尺六寸と
しるゝなり
△同犬はしりひろさを知事
栗石三百二十八坪有是を高五尺弐寸つゝにして三かいにつむとき内百八拾坪は下の段に置九十六坪
八分は中の段につみ残五十一坪弐分は上段につむ時下地行何程四方に取そ又二段三段の犬はしり何
程つゝ置てあふそ問
下 十五間四方
中 犬走二間
上 同一間半と云
右は先高五尺弐寸を六五に割は八分と成是を目安にして下の坪百八十坪を割は弐百廿五坪と成是を
開平法にすれは下地行十五間四方と究る中段の坪九拾六坪八分を右の目安八分て割ば百廿一坪と成
是を開平法にすれは中段の広さ十一間四方としるゝなり 又上段の五十壱坪弐分を同目やす八分
て割は六拾四坪と成 是を開平法にすれは上段の広さ八間四方と成也扨犬はしりを知時下段の広さ
拾五間の内中段のひろさ十一間を引は残四間是を二つに割は弐間是二段目の犬はしりひろさなり
又中十一間の内上八間引残三間是を二つに割は三段目の犬はしりひろさを壱間半としるゝなり
△同四階につみ地行知事やくら開平と云
栗石弐百四拾四坪五分有を四かいにつみて一段の高半間つゝにして四方犬はしりも半間つゝ置てつ
む時下地行何程に四方につみてあふそ残三段何れも広さ何程つゝに成そと問

術有坪を四かいに割又高半間て割それを大かた四方
くらいを見る時十一間の位也是を下より二番目の大方に定其下を十二間三番目を拾間四番めを九間
と定置扨下の段十二間を両に置かけ合百四十四坪有又二番目の十一間両に置かけ合百廿壱坪有又三
番目拾間両に置かけ合百坪又四番目の段に九九八十一坪有四段合四百四十六坪有是に高半間をかくれば
弐百廿三坪と成 是を有坪の内引残て廿一坪五合有右に別に置左十二間十一間十間九間合四十弐間
有是を目安にして右残る坪を一こえ割時半間と成越五分有又左に半間に半間を  五五廿五と置是に四かい
を懸又高半間をかくれば五と成是を右半間の下越五を引払は半間と見ゆる是程つゝいつれも定たる
大方に加ゆるなり
△おくび成屋敷割
此長六拾間はゝ廿四間有屋敷を三人へ等分に割渡す時おもての間何程つゝそと云時
惣坪数七百廿坪
術惣坪七百廿坪の内を一人の当弐百四拾坪引残て四百八拾坪有是を右に置左にはゝ廿四間を長六十
間を以て割は四寸かうはいと見ゆる時半かうばい弐寸を目安にして右の四百八拾坪を割は二四と成
是を弐千四百と見て正矩術を以て除之六十間の内それ程減は残て十一間○一と成此一に六五をかく
れは十一間○○六分五厘と成是一番のあたり間なり
又二番の当を知は弐百四十坪を右の弐寸を目安にして割は一二と成是を千弐百と見て正矩術を以て
除之六十間の内を減又一番の当り十一間○一を引は残十四間三四九と成是二番目の当間也間より下
に五六をかくる也 又三番目の当を知は六十間の内一番二番の当を引残間則当也
△同末なしの割
此屋敷東西まて長五拾間有
東のはゝ弐拾間西のはゝ四間
有是を三人へ等分に渡す時
先東よりおもての間なに
程そと問

東方拾間六寸二分四り七六八
中拾四間弐寸五分弐り三三
西方弐拾五間というなり

此坪数六百坪有
術東弐十間の内西四間引は残十六間を長五十間て割は三寸弐分かうばいと見ゆる是を目安にして弐
十間を割はかり間共に六十弐間半と成是に廿間をかけ二つに割はかり坪共に六百廿五坪と成此内一
人の当弐百坪引残を三寸二分の半かうばい一六を以て割は二六五六二五と成是を位に見て正矩術を
以て除之は五十一間五分三リ八八二と成是を六十弐間半の内を引は残て拾間○九分六二八と成是則
東の屋敷西の間口也 又中の当りを知は弐百坪を倍して四百坪是を六百廿五坪の内を引残を一六に
割正矩術を以除之それ程を六十弐間半の内を引又東の間口を引は残間中の当也 又西の当りは長五
十間の内を東と中の当を引残間西の当也
△上り坂の割
此坂下長五拾間高廿六間はゝ八間
あり是を同し坪数にして
二つに割下長何程つゝそと問

末三十五間弐尺三寸一分
頭十四間四尺一寸九分
術先坪を積高廿六間に長五十間をかくれば千三百坪と成是にはゝ八間をかくれは壱万四百坪と成是
を二つに割は本坪五千弐百坪有是を又二つに割弐千六百坪つゝと成 是をはゝ八間で割ば三百廿五
坪と成是を倍して六百五十坪と右に置左に高廿六間を長五十間を以て割は五二と成是を目安にして
右六百五十坪を割は千弐百五十坪と成是を正矩術を以て除之は三十五間三五五三四となる間より下
に六五をかくれは卅五間弐尺三寸一分是末のあたり間なり
又頭のあたりしるは長五十間の内末のあたり三十五間三五五三四引は残る間すなはち頭のあたりなり
▲此坂のほり廿五間はふ四間三尺有
是を知行高十六万石に割渡す時内
一組 二万四千石
一組 四万九千五百石
一組 八万六千五百石
右三組のあたり間のりなりに何程つゝにあたるそととふ
右二十五間の坂三組
知行高に応じ割付如此術いつれも同前なり但是にはすこし口伝あり
△堤芝置積
此堤長上百四十七間下百五十三間はゝ上弐間下八間高四間有
是にしは置時芝はゝ壱尺三寸長壱尺五寸にして何程入そと問

三千九百四十三枚三分入と云
△岩木石積
石垣がんぎのすわる所うらの土井長一丈三尺
四寸五分はゝ弐間有此土井八寸のり也と云時石一つのあつさ七寸つゝにして幾段
すはるそ又ふむ所のはゝ何寸つゝにすヘて土井のほりとあふそ又両かつら
石共に石何間入そと問
答 
岩木十二段すはる
端はゝ八寸七分五り云成
石二十八間九寸入と云也

第四 石垣組橋
堀はゝ 三十間石垣高 二十一間但五寸のりにつき上にてのり弐間半おこすなり
右の丁場にくみ橋をかくる時材本のそんりやう大工手間目用ちん釘かすがい萬共に
銀拾五貫四百目にて請取渡し有時に
此橋かけやうは先橋の高さ石垣の方にては尤弐十一間也又水たゝきの方にては高三間に橋はゝ四間
にして扨六寸角を以て立横高壱間四方つゝにくみ立て其あいだに又はゝ五寸にあつさ壱寸弐分の大
ぬきを二通とをし又廻り壱尺の丸太を以てま毎(こと)にま柱を入同廻り一尺の丸太にてま毎に十文宇にす
しかいを打扨橋の上の敷板のあつさ一寸弐分其上に又石引とをり筋ばかりにはゝ七尺にしてあつさ
弐寸の板を以て下より上まて敷とをす也 然は今材本のね段六寸角の弐間木拾本に付銀四十弐匁す
る時右橋の材木ぬき板丸太いつれも六寸角の弐間本にまはして四十弐匁の算用にしては惣木代銀何
ほと有そ
又普請首尾して後くみ橋をくづして右六寸角の相場半分ねに売積にして其銀と今請取拾五貫四百目
と二口合ての内を又萬ざう用釘かすがいのそん銀共に先弐貫五百目入積にして是を払て残銀を指引
して利銀何程有そ但そん有かととふ
答曰
橋の惣木を六寸角の弐間木に廻し四十弐匁にして
代銀弐拾三貫百弐拾四匁三分程有
同惣木を普請仕舞て右の半分ねに売萬指引して
利銀壱貫三百卅七匁八分五厘有リ
右組橋の積委細は口伝紙筆につくしかたし
右普請一巻は我か父先年江戸京大坂の御普請に交て数度多かりし事共なるを割渡しゝより其あら
ましをしるす今出合事もあらん

改算記巻下目録
一  勾倍延割付
二  同術秘伝
三  立木の長を積
四  町見の図
五  遠嶋の広さ積
六  布盗人を知る
七  運賃の割
八  俵杉成につむ
九  矢の竹斗様
十  買物銭数取
十一 元捨銀利足
十二 六石六年六拾石
十三 裁物一刀の直し
十四 月塩知死期
十五 鉄畑火矢の積
十六 同小筒定目当
十七 鉛鋳形寸法并同玉の術
十八 田畠高を分る
十九 日々一倍急術
廿 年切奉公人の給
廿一 象の重を量
廿二 人間を升数に積事
廿三 塵劫記難算の註
廿四 同違を改付亀井算の違
廿五 参両録の極意をあらはす
廿六 同違をしるす
追加
廿七 四角問答の違
廿八 因帰算の違
廿九 白作
楊枝形裁      くさび成裁
法台        丸本板に引
三連六形      勾股弦
済統積       堀屋敷
丸山恰合      金銀米銭
盈朒の法

第一 勾倍のび割付
五分    かうばいのび  一厘二毛四糸九忽
一寸    同        四厘九毛八糸七忽
一寸五分  同        一分一厘一毛八糸
二寸    同        一分九厘八毛○三忽
二寸五分  同       三分○七毛七糸
三寸    同       四分四リ○三糸
三寸五分  同       五分九り四毛八糸
四寸    同       七分七リ○三糸
四寸五分  同       九分六り五毛八糸
五寸    同        一寸一分八リ○三糸
五寸五分  かうばいのび  一寸四分一り二毛七糸
六寸    同        一寸六分六り二毛
六寸五分  同        一寸九分二リ六毛八糸
七寸    同       二寸二分○六毛五糸
七寸五分  同       二寸五分
八寸    同       二寸八分○六毛二糸
八寸五分  同       三寸一分二リ四毛四糸
九寸    同       三寸四分五り三毛六糸
九寸五分  同       三寸七分九り三毛一糸
一尺    同       四寸一分四り二毛一糸
右かうばいの割付ちんかうきにも有之といへ共相違おほく又法を秘密してしらせさる
ゆへさして重宝にならず或は五寸弐分五リかうばいののひなにほとゝいふ時
わり付になし是をしる事今此つきに法を付てくわしくいたすものなり

第二 高倍術秘伝
あるひは四寸かうばいののび何程と問時
七分七厘○三糸三忽と云
術四寸を両に置かけ合  四四の十六と成是に句倍の
定積百加へ正矩を以て除之時一尺○七分七厘○三糸三忽と
成一尺は旧(もと)残り七分七厘○三糸三忽をのびとしるなり
右五分より一尺まてのわり付る術皆同
前なりたとひ何寸何分何厘かうはいといふ共
則それを両に置かけ合寸坪に積り扨定法百加ヘ
正矩を以て除之時旧共に知を一尺減し残りをのひと知也秘伝々々
▲五寸かうばいにはり三間に立家けらば一尺三寸にして
たる木長さは何程になるそと問時

長一丈二尺三寸五分四リ弐毛三糸也
術五五二十五と置定積百加へ正矩を以て除之時一尺一寸一分八リ○三糸と成又はり三間に六五をかくれ
は一丈九尺五寸と成是を二に割けらば一尺三寸加へ一丈一尺○五分有是に右の一尺一寸一分八リ○
三糸を懸は知也
▲当代の一升ます弦(つる)の長さ何程有そと問
答六寸九分二厘九毛七糸といふ
先四寸九分自乗二四〇一と成を倍し
正矩を以て除之はしるゝなり
○亦四寸九分に一四一四二一をかけても同し
此すみゝゝ弦の長さ何程そと問
答 一尺六寸四分と云也
術三寸六分両に置かけ合十二九
六と成又一尺六寸両に置かけ合て
弐百五十六と成右と結て弐百六十八九六有是を正矩を以て除之は
弦長と知也○是を世間に勾股弦と云て秘伝仕る此術也
右かうばいの術是まて世に有算書に不見へ誠に
随為秘伝諸人のために今予(われ)此法を乱る可秘々
○或は句股有て弦を知る
○股弦有て勾を知る
○弦勾有て股を知る
○坪を知る
○山の高さを知る

第三 立木長積
是ははなかみを四方に折又すみを取て三角におり扨前の角と上の角と木の末三所ろくにため
合それより木のもとまて打てそれに居だけを入て木の長さにしていふ也これかりそめの積なり手さきくるひて
合かたし○又うちまたより見るもあり仮にても積るけんつえを以てもつもる見やういろゝゝあり

第四 町見積図
是よりむかいのむらまてとをさなにほと有ととふ時
十二町四十九間一尺五寸有と云
術長四尺はゝ弐尺の板を以て先前のすみよりさきのすみむかいの木のねを
目付にして三所一すしに見とをし又一方前のすみにかねをさし出し
さきのすみ右の目付三所いかにもろくにため合時前のかねにてあるひは
一り六毛に見ゆる時これを板長四尺にわれは四と成是を目安にして板はゝ
二尺をわれは五百丈と成是を六五を以て間まて割それを又六を以て町まて割は
十二町四十九間一尺五寸としるゝなり
右の外町積いろゝゝ有之中にもこれ秘伝の法なりとかくかねにため合事かん要なり 口伝

第五 海中嶋広積
むかいの丸しまより是まてうみのおもてとをさ壱里半
有時むかいの嶋のひろさなにほと有そと問時
廣四十八間三尺九寸有と云
術長四尺の板を以てむかひのしまを見る時さきのかねにてあるひは六分と
みゆる是を四尺に割一五と成是に一里半をかけ二二五と成是に三六をかくれば
八一と成是に六をかくれば四十八間六分と成此六分ばかりに六五をかくるとき
四十八間三尺九寸と知なり 口伝
右三ケ所の積又遠山の高さを積事谷のふかさをつるも皆同心持なりいつれも板を以て積り
又右の板四尺に弐尺と云共これさだむるにあらす又板にかきらす手前有物をとりて見る
たゝなににても立横広物程見る事やすしちかいなし
又かねにため合時あひとをき程厘毛のわけ
見えかたき時積やうあり
又むかいに丈尺のしれたる物を目付にしてつもる事は所によりならぬ事も有へし右わか流は指所を
目付にして積なり

第六 ぬのぬす人
▲ぬす人布をわくるをきけば人ことに八たんつゝわくれば四たんあまる 又九たんつゝとれば三たん
たらぬといふ此ぬす人ぬの数何程と問
答て 
ぬす人 七人あり
ぬの数 六十端
と云
まつあまりとたらぬをおき合七たん是則人数としるなり是に八たんをかけ四たんのあまりをくわヘ
てぬの数六十たんとしるゝなり
▲又十二たんつゝわくれば十二たんあまる十四たんつゝわくれば六たんたらぬといふ時は
ぬす人   九人
ぬの    百弐十たん
と云
右はあまるとたらぬおき合二にわれば人数九人としるゝなり是は十弐たんと十四たんはあひへだつ
ゆへ二つに割なりあるひは十二と十五といふ時は三つに割なり
盗人知図
合六十端
あまり○ 八端  一入
あまり○ 八端  一人
あまり○ 八端  一人
あまり○ 八端  一人
たらぬ● 八端  一人
たらぬ● 八端  一人
たらぬ● 八端  一人
七八五十六
余り㊉㊀ 十二端  一人
余り○㊁ 十二端  一人
余り○㊂ 十二端  一人
ふ足●㊃ 十二端  一人
ふ足●㊄ 十二端  一人
ふ足●㊅ 十二端  一入
ふ足●㊆ 十二端  一人
ふ足●㊇ 十二端  一人
ふ足●㊈ 十二端  一人

第七 うんぢん
▲米四百三十石ふねにつみのほる時うんぢん石に五升五合つゝ
右四百三十石の内にて払時本米請取所は何程と問
答 四百七石五斗八升三合
右は四百三十石を一石五升五合を以て割時本米と知るなり
▲又うんちんはかりを問時は四百三十石の内本米を引のこり
二十二石四斗一升七合 是うんぢんなり
▲舟一艘を道十三里有所迄銀廿一匁にて人数十八人してかる時内三人は三里のる九人は七里のる六人
は拾三里のる時一人に付うんちん何程つゝ払そと問時
三人 三里に  一匁弐分六り  一人に付四分弐リつゝ
九人 七里に  八匁八分二リ  一人に付九分八リつゝ
六人 十三里に 十匁九分二リ  一人に付一匁八分二リつゝ
先三人三里をかけ三三の九里と成又九人に七里をかけ七九六十三里又六人に十三里をかけ七十八里是三口
合百五十里有是を目安にして廿一匁を割は一里付壱分四リつゝと見ゆる是を九里にかくれは三人分
一匁弐分六リとしるゝ是を三つに割は一人分也又一分四リを六十三里にかくれは九人分也又一分四
リを七十八里へ懸は六人分

第八 俵杉成につむ事
俵数百弐拾弐俵有是を杉なりにつみて下の通何程に成と問

下通十五俵に成
二俵の余有と云
あまり俵也
先俵数を倍し開平を以て割は下十五
俵と知時次をわらす残る十九俵有此内又
十五俵引は四俵残る是を二に割は二俵のあまりと知也
▲俵数弐百三俵杉成につみて上のとまり八俵にして下なにほとゝ問
答下二十一俵といふ
先俵数を倍し四百六俵と成是に上のとまり  七八五十六俵加へ四百六十二俵あり是を長短正矩を以て除之
時下二十一俵と知るなり残なし 
▲同弐百三俵を下二十俵にしてはうへのとまりはなにほとに成と問

上四俵にてとまり
一俵のあまり有と云
先廿俵に廿一俵をかけそれを二つに割二百十俵と成是を二百三俵引は残て七俵有是を一俵と二俵と
三俵と引時残て一俵是あまり也上四俵といふ是は三俵まて引ゆへ其次四俵をとまりと知へし

第九 矢菎竹かそへやう
此まわりのかず四十弐本有時一束の数なに程有ととふ
此数百六拾九本ありと云
先廻り数を六に割は七本と成又廻り四十弐本に真廻六本置合二つに割ば
廿四本と成是に右の七本をかくれは百六十八本と成是にしん一本加へて惣数百
六十九本としるふなり
矢菎竹解図
そうじて同丸の物或は銭碁石にても
一つを六つにてまはし其上を十二てま
はし次第に六つましにまはすものなり

第十 買物銭数程取事
せに一貫文にて、ふり、なすび、もゝ是三色買時に
ふり  一つに付 銭弐文つゝのね
なすひ 一文に  三つつゝのね
もゝ  一文に  八つつゝのね
右のねにして三色にて銭数程九百六十かい度と云時
瓜  四百三十  此銭八百六十文 一つに付二文つゝ
茄子 百六十二  此銭五十四文  一もんに三つつゝ
桃  三百六十八 此銭四十六文  一もんに八つつゝ
買物数合九百六十有 せに数合九百六十文
先瓜を多分にして四百三十ときわ
め二文をかけ八百六十文と成是を九百
六十文の内を引は残長百文有是に
もゝ八つをかくれば八百と成又九百六十
と置此内瓜四百卅引は残五百三十有
是を右八百の内を引残て弐百七十あり
右に別に置左にもゝ八つの内なす
ひ三つ引は残り五つ有是を目安に
して右の弐百七十を割は五十四文と
なる是なすひの代としるゝ是に三つ
をかくれは百六十二としるゝなり九百
六十の内瓜なすひを引は残数もゝなり

第十一 元捨銀利足を見
たとへは銀三貫五百目借此利三わり八分の算にして一年に一貫三百卅目つゝ五年にて相済といふ書
物有然は是何程の利足に当ると問
答二わり六分八毛七払に当と云
先三わり八分に五年をかくれは百九十目と成此内百目は元九十目は利と先覚へ此元百目を五年に割
ば弐十目と成右に別に置扨一二三四五合十五有是を右の廿目をかくれば三と成是を目安にして右の
利九十目を割は三十目と成是に五年をかくれば百五十目と成是に一貫目くわへそれを目安にして右
の三十目を割時二わり六分○八毛六九五六五としるゝ也

第十二 六石六年六十石
▲米六石借六年目に六十石に成時是何程の利足に当ると知事ならぬ算と世間に云今法を付てしらする
時利は
四わり六分七厘八毛○一に当といふ也
法は先六十石を六つに割扨開平に一度除之又開立を以て除之時四割六分七八〇一と知也此利六石に
六度かくる時六十石となるへし○又曰二年と云時は開平斗を以て知る
▲又三年といふ時は開立斗を以て知之
▲また四年といふ時は再開平を以てしるゝなり

第十三 附物裁やう
此しようゝゝひはゝ三尺弐寸
長五尺有是を四方になをす
時こまかにたちくずさすしてなをし度といふ時
如此一かたなにつゝけて四尺四方にたちなをすなり
亦いつれをなをすときも同心持なり
右をまたはしにてつぎ度といふ時は如此三つにたちてあわするなり此外たちやうあり
是をなかさ三尺になをすときは弐寸に五寸つゝのかんきにたちてあふなり
如此になる

第十四 月出人塩時 知死期を察る法
卅日   卯の刻に出   酉の刻に入
一日   卯の四分過より 酉の四分過まて
二日   辰の二分前より 戌の二分前まて
三日   辰の二分過より 戌の同迄
四日   辰の六分過より 戌の同迄
五日   巳の刻より   亥の刻迄
六日   巳の四分過より 亥の同迄
七日   午の二分前より 子の同迄
八日   午の二分過より 子の同迄
九日   午の六分過より 子の同迄
十日   未の刻より   丑刻迄
十一日  未の四分過より 丑の同迄
十二日  申の二分前より 寅の同迄
十三日  申の二分過より 寅の同迄
十四日  申の六分過より 寅の同迄
十五日  酉の刻より   卯の刻迄
十六日  酉の四分過より 卯の同迄
十七日  戌の二分前より 辰の同迄
十八日  戌の二分過より 辰の同迄
十九日  戌の六分過より 辰の同迄
廿日   亥の刻より   巳の同迄
廿一日  亥の四分過より 巳の同迄
廿二日  子の二分前より 午の同迄
廿三日  子の二分過より 午の同迄
廿四日  子の六分過より 午の同迄
廿五日  丑の刻より   末の刻迄
廿六日  丑の四分過より 末の同迄
廿七日  寅の二分前より 申の同迄
廿八日  寅の二分過より 申の同迄
廿九日  寅の六分過より 申の同迄
術其日に四をかけて辰よりくる四つ目ゝゝが知死期なり
六九 卯午
卅。一
六九 酉子
五八 辰末
二。三。四
五八 戌丑
四七 巳申
五。六
四七 亥寅
九六 午酉
七。八。九
九六 子卯
八五 未戌
十。十一
八五 丑辰
七四 申亥
十二。十三。十四
七四 寅巳
六九 酉子
十五。十六
六九 卯午
五八 戌丑
十七。十八。十九
五八 辰未
四七 亥寅
廿。廿一
四七 巳申
九六 子卯
廿二。廿三。廿四
九六 午酉
八五 丑辰
廿五。廿六
八五 未戌
七四 寅巳
廿七。廿八。廿九
七四 申亥

第十五 鉄炮火矢仕懸やう
てつほうの長台共に三尺五寸有筒にて打時
矢のせいさしわたして廿町行といふ時今町
をちゞめて十五町うち度が筒口なにほと
あけてよきそと問
答二尺三寸一分五厘
あけてよきといふなり
術廿町を両に置かけ合四と成
又十五町を両に置かけ合二二五
と成是を右四の内にて引
残一七五有是を正矩の術を
以て除之時十三町二二八七五七と成是を廿町に割は六六一四三七八五と成是を筒の長三尺五寸に懸
れは則筒口何程上ると知也

第十六 同小筒定目当
一間     はしより一寸一分七り九毛   上をねらふなり
二間     ほしより八分五り八毛     同理り
三間   ほしより五分五り五毛  同
四間   ほしより二分六り九毛  同
五間   星をつき割
六間   ほしより二分五り一毛  下をねらふなり
七間   ほしより四分八り五毛  同
八間   ほしより七分○二毛  同
九間   ほしより九分○一毛  同
十間   ほしより一寸一分九リ  同
十五間  ほしより一寸五分二リ七毛  同
二十間  ほしより一寸九分五リ  同
廿五間  ほしより一寸八分九り六毛  同
三十間  ほしより一寸七分三リ  同
卅五間  ほしより一寸四分六り二毛  同
四十間  ほしより一寸○八り三毛  同
四十五間  ほしより五分九り六毛  同
五十間    星をつき割
五十五間   はしより七分○四毛 上をねらふなり
六十間   ほしより一寸五分一り七毛 同
右小筒のねらいは五間五十間ほしにのせ廿間をとふげにして割付なり或は筒の厚薄薬のかけんに
ても少つゝの違は可有なり
鉄畑玉の飛行図也

第十七 鉄炮の玉鉛鋳形の寸法
壱匁玉  さしわたし  二分九り三毛七糸七払
壱匁五分 同     三分三り六毛二糸
弐匁   同      三分七リ○二糸
弐匁五分 同      三分九リ八毛七糸
三匁   同      四分二リ三毛七糸
三匁五分 同      四分四り六毛○三
四匁   同      四分六り六毛三糸
壱両   同      四分七り七毛七糸○九
四匁五分 同      四分八リ五毛
五匁   同      五分○二毛三糸四
五匁五分 同      五分一リ八毛六糸
六匁   同      五分三り三毛八糸
六匁五分 同      五分四リ八毛九糸
七匁   同      五分六り一毛九糸五
七匁五分 同      五分七り五毛○四
八匁   同      五分八リ七毛五糸四
八匁五分 同      五分九り九毛 五糸
九匁五分 同      六分二リ二毛▽糸七
拾匁   同      六分三り二毛九糸
弐十目  同      七分九り七毛四糸
三十目  同      九分壱り弐毛八糸
四十目  同       一寸○○四毛七糸
五十目  同       一寸○八り二毛三糸
六十目  同      一寸一分五リ○一糸
七十目  同      一寸二分一リ○八糸
八十目  同      一寸二分六り五毛八糸
九十目  同      一寸三分一り六毛五糸
百目   同      一寸三分六り三毛五糸
弐百目  同      一寸七分一リ八毛
三百目  同      一寸九分六り六毛六糸
四百目  同      二寸一分六り 四毛五糸
五百目  同      二寸三分三り一毛六糸
六百目  同      二寸四分七り七毛七糸
七百目  同      二寸六分○八毛四糸
八百目  同      二寸七分二リ七毛一糸
九百目  同      二寸八分三り六毛三糸
一貫目  同      二寸九分三り七毛七糸
拾貫目  同      六寸三分二リ九毛一糸
百貫目  同      一尺三寸六分三り五毛五糸
▲右なまりいかたの寸法は正珠術を以て作之
▲又玉のおもさを積時はさしわたし両に置かけ合又一度かけ其後三九四四三一二の法をかくるとき其
おもさをしるなり
▲亦曰秘伝の法 たま廻りの寸を取両に置かけ合又一度かけ扨八を以て割時則おもさしるゝ是早積の法也
▲亦法有此玉まわり一尺弐寸此おもさをとふ時
先一尺弐寸を四つに割は三寸と成是を両に置かけ合又一度かけ二
七と成是に八をかくる時おもさ弐頁百六十目有と知るなり

第十八 田地上中下有を斗代不知に高を分る事
田畠合六十町 此高千弐拾六石あり

上田十二町  中田十二町
下田十二町  畠二十四町
有時定は畠壱反に付一石三斗五升代にして田は是より次第々々に同し程つゝ上りて上田中田下田い
つれも高何程つゝそと問時
二石弐斗五升代 上田十二町  此高弐百七十石
一石九斗五升代 中田十二町  此高弐百三十四石
一石六斗五升代 下田十二町  此高百九十八石
一石三斗五升代  畠二十四町  此高三百廿四石
と云
右は先六拾町に壱石三斗五升をかくれは八百拾石と成是を高千廿六石の内を引は残て拾六石あり
是を十二町に割は拾八石と成右に別に置左に一二三と置合六つ有是を目安にして右の拾八石を割は
三斗と成是則次第々々に三斗ましの斗代としる也扨一石三斗五升を廿四町にかくれは畠の高三百弐
拾四石としるふ又一石三斗五升に三斗加へ壱石六斗五升を十二町にかくれは下田の高百九拾八石と
しるゝ又壱石六斗五升に三斗加へ壱石九斗五升を拾弐町にかくれは中田の高弐百三拾四石としるゝ
又壱石九斗五升に三斗加へ弐石弐斗五升を拾弐町にかくれは上田の高弐百七十石としるゝなり

第十九 日日一倍
あるひは米一粒をひにゝゝ一ばいにして卅日に何程に成と問
答 五億三千六百八十七万九百十二粒に成
まつ定積五一二と置是に一〇二四の法を二度かくる時右の数しるゝなりなん十日といふ共此心持なり
▲又或は五十九日なとゝいふ時は右定積に法を五度かけて又五を一度かくればしるゝなり
右ひにゝゝ一ばいの法ずいぶんはやき術なり専世間にするは八算五の段にて日数ほと割あるひ
は百日といふ時は百度割是初心にてをそし右我か法は百日といふ時は九度にてすむ是はやきせうこなり

第廿 年切奉公人の給
たとへば今銀百弐拾目かし人一人八年ぎり定置時右の銀二わり半の算用にして一年に何程つゝの給
分にあたるそと問
答三拾六匁○四厘七毛八糸二忽
まつ二わり半とおき是に元一つくわヘ一二五となるを法として一つを割は八分と成是に一つくわヘ
法を以て割は一四四と成又是に一つ加へ法を以て割は一九五二と成かくのことくに加へては割くわ
へては割八度して其数三三二八九一一三六となる是を目やすにして百弐十目をわればすなはち一年
の給ぶんしるゝ也

第廿一 象の重知事
▲武帝の御子蒼舒の曰
象のおもさをしるへき
やうは象をふねにのせ
水あとつかん所をしるし
おき扨さうをおろし
又物をつみてそれを
はからばかならす象の
おもさをしるへきと
のたまふとなり
誠に可知事なり

第廿二 人間を升数に積事
有人我身を升数に積てたべといふやすき事と
てやかて水風呂桶を取いだし水一はい
入其人をいらせ扨あがりたるあとへ又
水を升にてはかりて入る時弐斗一升五合
入則其方の升かず
弐斗一升五合有といふ
右蒼舒(さうじよ)の御智恵と是等を一つに
いふへきにあらね共是皆算勘の
とうり入所なり此外或は尺寸
とられさる物の積に右此こゝろヘ
あるへきなり

第廿三 塵劫記十二ケ所の注
△勾股積 十二の内
東乾打まわり二方共に八十一間有よし
東方長さ
いぬいの方広さ
坤の方ひろさ間とあり
予答
東長四十五間
乾広三十六間
坤広三十七間
坪数四百八十六
東坤打まわり二方共に七十弐間有よし
右勾股積割付といへ共かゞみかねにあふと云理りなければ仕度まゝになる或は東なかさ五十間いぬ
いひろさ三十一間ひつしさるひろさ廿弐間坪弐百十六坪半有といふてもあふ也はなから勾股と有は
定てかねにあふ所をいふ物と心得やかて其法を以て割付右答ことく也其法は口伝
▲右仕度まゝに成といふは是にあり
東いぬい打まわり二方共に八十一間あり
此坪弐百拾六坪半あり
東ひつしさる打まわりて二方共に七十二間有
△円截積 ちんかうき十二の内
此木長三間に本口廻り五尺末口廻り弐尺五寸あり是を三人として等分に三つに切取時本中末各(おのゝゝ)長
何程つゝとるそと問といふを
予答曰
 本長 四尺弐寸三分四リ
 中長 五尺六寸三分六リ
 末長 九尺六寸三分
△円截法註
▲是を知術先法を以て借間借坪をもとめしる扨惣坪積内借坪を減し本坪と成是を三に割又借坪に加ヘ
借法を以て除之正紫を用て後惣間をかけ借間を退時末の間知なり  細註口伝
▲中間知時本坪一五を以て割後右の次第にして又末間退時中長しるゝなり
▲本の間知は三間の内中末の長退時則本長知るなり
△二組四色 ちんかうき十二の内
松木  八十本
桧木  五十本
ひの木おくのねと同し 代合弐貫七百九十目
松木  百弐十本
杉木  四十本
まつ前のねと同し 代合弐貫三百廿弐匁
杉木  九十本
栗木  百五十本
すき前のねと同し 代合壱貫九百卅弐匁
栗木  百弐十本
桧木  七本
くり前のねと同し 代合四百拾九匁
右桧木松杉栗おのゝゝ一本に付何程と問を
予答
桧木 一本に付三十目つゝ
杉木 一本に付十九匁五厘つゝ
松木 一本に付十三匁つゝ
栗木 一本に付十四匁五分つゝ
▲四色術先弐貫七百九十目に桧七かくれは壱貫九百五十三匁と押下て見る又四百十九匁に桧五十かけ
弐貫○九十五匁と増して見る又弐貫三百廿弐匁を松百廿に割  七八五十六をかけ壱貫○八十三匁六分と成
是を右弐貫○九十五匁と合三貫百七十八匁六分有此内右の壱貫九百五十三匁引残て壱貫弐百廿五匁
六分ヘ杉十八本六六・・・栗六百本の
代と成なり又壱貫九百卅弐匁に四かけ七貫七百二十八匁ヘ杉三百六十本栗六百本の代也此内右壱
貫弐百廿五匁六分引残六貫五百〇弐匁四分有是右に置左に杉三百六十本の内十八本六六六・・・引残を
目安にして右残銀六貫五百〇弐匁四分を割時杉一本に付十九匁五厘つゝと知也
▲亦杉一本のね十九匁五厘に九十本をかけ壱貫九百卅弐匁の内を引残を百五十に割時栗壱本に付十四
匁五分つゝとしるゝなり
▲桧木松のねをしる仕様も同前なり
△三組三色 ちんかうき十二の内
桧木  弐本
松木  四本
杉木  五本
此銀合弐百弐十目
桧木  五本
松木  三本
杉木  四本
此銀合弐百七十五匁
桧木  三本
松木  六本
杉木  六本
此銀合三百目
右桧木松杉おのゝゝ一本に付代何程つゝと問を
予答
桧木 一本に付 三十目
松木 一本に付 十五匁
杉木 一本に付 弐十目
▲三色術弐百弐十目に三番目の桧木数三をかくれは六百六十目に成又三百目に初口の桧数二をかけ六
百目に成是を右六百六十目の内引時松桧木は組て落るなり残り六十目有を三を以て割時杉一本に付
廿目と知也此三を以て割事は初口の杉五本に三を懸十五本と成又三番目の杉六本に二をかけ十二と
成是を右の十五本の内引は残て三本有ゆへなり
▲桧木のね知時は弐百七十五匁の内杉四本の代に二四八十目引残りを倍し三百九十目と成又三百目の内杉六
本の代二六百廿目引残百八十目有是を右三百九十目の内引残弐百拾匁を七を以て割時桧一本に付三十目
としるゝなり此七に割事右杉の時三に割と同心持なり
▲松ね知時三百目の内桧木三本の代三三の九十目引又杉六本の代二六百廿目引残九十目を松六本に割は拾五
匁と知也
△二組三色 ちんかうき十二の内
きぬ  三疋
ぬの  八端
銀合弐百七拾八匁五分
ぬの  二端
さや  四巻
銀合四百弐拾壱匁四分
さや  壱巻
きぬ  二疋
銀合八拾八匁六分
右三色おのゝゝねたん何程つゝに当ると問を
予答
きぬ  一疋に付  三分
ぬの  一端に付  三拾四匁七分
さや  一巻に付  八拾八匁
▲術四百廿一匁四分に八をかけ又八拾八匁六分に三をかけ二口合其内弐百七十八匁五分つゝ二度引残
を三五を以て割時さや一巻に付八十八匁と知るゆへぬのきぬもしれたり
ちんかうきの外
△三組三色 木数代銀をかへてくむ
桧木  三本
松木  四本
杉木  五本
此銀合三百八十目
桧木  四本
松木  五本
杉木  六本
此銀合四百八十目
桧木  五本
松木  六本
杉木  七本
此銀合五百八十目
右桧木松杉各一本に付銀何程つゝに当ると云事しるゝかと我又これをとふ
△盈朒法 ちんかうき十一の内
具足  二両
上馬  五疋
売テ之
小荷駄十三疋買は小判五両余る
具足  一両
小荷駄 一疋
売テ之
上馬三疋買は適足なり
上馬  六疋
小荷駄 八疋
売テ之
具足五両買すれは小判三両不足
右の具足上馬こんた各ねたん何程そと問を
予答
具足  一両付   小判六両
上馬  一疋に付  小判弐両弐歩
小荷駄 一疋に付  小判壱両弐歩
盈朒術先適足を退て余不足の所を指引く時上馬十一疋売具足三両こんた五疋買小判弐両の余と成是を適足を以
て具足三両こんだ三疋上馬九疋退時跡は上馬弐疋売こんた弐疋買時小判弐両の余なり然は上馬とこ
んだはね段壱両つゝちかい有と先知るなり
○亦最初に小判五両余と有所を適足を以て具足弐両退は上馬十一疋売こんだ十五疋買時小判五両は
其まゝ余る是小判五両上馬五疋こんだ五疋退時残上馬六疋こんだ拾疋是又適足なり此こんだ十疋の
内上馬六疋引残四疋を以てね段ちかいの一両を割時上馬壱疋付小判弐両半としるゝなり
○亦弐両半の内一両引は残一両半是こんだ一疋のねなり○亦具足のね知時上馬六疋の代小はん拾五
両又こんだ八疋の代小判拾弐両と二口合廿七両是に三両の不足を加へ具足数五を以て割時具足一両
付小判六両つゝとしるゝものなり
△方台  ちんかうき十二の内
此にほりをほる時に此土五千六百坪有此土にて南に下三拾間四方にして高九間天主の土台
をつく時には上にてはひろさ何程そと問を
予答
十九間五分弐厘五糸二五なりと云
術有坪五千六百坪を高九間に割かりに
正矩を以て位を見る時廿四間余にあたる
を先大かた廿四間半とさだめ是を倍して
下三拾間を引は拾九間残る是を上の大方に求なり扨此坪数を積は五千四百九拾三坪有是を有坪五千
六百坪の内て減は百七坪残る是を又高さ九間に割済統の法三をかくれは三十五坪六六六……と成此
上に大方十九間とならへて立置扨法に又大方十九間を倍してそれに下三十間を合て六十八間を初て
目安とし正矩の次第を以て残る坪を十九間の下より割てゆけは則上の方十九間五分弐リ○五糸二五
余としるゝなり
△円台 ちんかうき十二の内
上廻り四十間下まわり百廿間高さ六間有所を此上にて土千弐百坪切てとる時上より高さ何程切さか
るそと問を
予答
上より高さ
三間三尺六寸七分三り五毛
切て下ると云
法唐木同前也 但末長三間借坪
百廿六坪五八余本坪三千弐百九十一坪余
先求之後にしるゝなり
△栗石積 ちんかうき十二の内
栗石七百五十坪有を高五尺つゝにして五段つみあけ下より二段目の犬はしりのひろさ
壱丈三段目は七尺四段めは六尺五段目は五尺如此つみて下のひろさと上のひろさ何程
四方に成そととふを
予答曰
下段広  十一丈九尺八寸○三り五毛六糸
二段目  九丈九尺八寸○三り五毛六糸
三段目  八丈五尺八寸○三り五毛六糸
四段目  七丈三尺八寸○三り五毛六糸
上段広  六丈三尺八寸○三り五毛六糸
術坪数を尺坪になをし実にして段数に割又高を以て割先かりに一こえ開平を以て位を見るそれを下
より二段目の大方に定おのゝゝ犬走を加減し五段坪積実を減し残を櫓(やぐら)開平を以て五段十方へぬるなり
○亦普請割の内にくわしくしるす
△円截積 ちんかうき十二の内
さしわたし百間の屋敷三人へ割て渡す時一人は弐千九百坪一人は弐千五百坪一人は弐千五百坪北よ
り矢のひろさ弦の長さ何程そ又中の矢のひろさ南弦の長同矢各何程そと問と有
予答曰
北矢の広 三十九間壱尺六寸九分
北弦(つる)の長 九十七間四尺三寸二分七り七毛
中矢の広 二十五間四尺○八分弐リ
南弦の長 九十五間三尺○一分六り六毛五糸
南矢の広 三十五間○七寸二分八厘
右さしわたし百間の屋しき坪数究三人へ割付る図也法は口伝
幾度も開平を以て除之事あり又坪をあてゝ見る時弓を知る法有口伝なり
ちんかうき十二の内か
ちんかうき十二の内か
一二三四
五六七八
九十十一
十二十三十四
十五十六十七
十八十九廿
廿一廿二甘三
廿四廿五廿六
廿七廿八廿九
卅卅一卅二卅三
右両図たとへは赤子のうなづくがことし

第廿四 塵劫記の違を改
新篇塵劫記上巻に此丸田廻り百廿間内の
屋敷廻り八十四間田のはゝ六間として
二反十二歩と有
一反九畝十一歩也
一畝一歩のちかいあり
右三ケ所間を打積事先あしし二所打て積時はちかいなし此積は先廻り
百廿間両に置かけ合一方四千四百坪と成 又八十四間を両に置かけ合七千〇五十六坪と成是程を右
坪数の内にて引は残て七千三百四十四坪有是を丸定法一二六四を以て割は五百八十一坪と成是を田
の法三を以て割時一反九畝十一歩と知なり是程を二反十二歩の内引は残て一畝一歩のちかいなり
▲右のちかいは三所間に相違有ゆへなり知之事先百廿間の内八十四間引は三十六間残る是を三一六に
割又二つに割は五間六分九り六二と成是則田のはゝ成を六間とするゆへちかいなり
又六間と百廿間を用る時は内廻りに相違あり又六間と八十四間を用る時はそと廻りに相違有也
△塵劫記中巻立円法の違
積六万二千二百令八を立円法にしてはさしわたし
四丈八尺とあり
五丈一寸余に成なり
亦四丈八尺を坪に積右六万二千二百令八の内を引は七千の余八千程もちかい有 亦四丈八尺を三乗
して右六万二干二百令八を割は五六二五と成是は径一尺の玉に一寸四方六面の積五百六十二半有と
心得たるものなり五百まてはなし是によつてくわふんのちかいあり○正珠口伝
△ちんかうき同銀玉の違
まわり三尺の銀玉此おもさをちんかうきに
七十八貫七百五十目と有
三拾貫目まてなし
右廻り三尺の銀玉二つにても七十八貫目にたる事なし是軽忽なるちがいなりとかく嵯峨の人玉の理
を不披知と見へたり其故は寛永十八年霜月に初て右二つの積を出といへ共類を以て是を割は如此相
違有又其以前度々ちんかうき出といへ共開立円法といふ事終になし然不披知事実正也たゝしらさる
をしらすとせよ
△ぢんがうき中巻屋ね坪の違
此屋ね坪積に軒のあつ四寸にしてしなのあつ弐寸にして角のほり三間半
此坪数百五十七坪四分とあり是あわぬなり右屋ねの図ちんかうき中巻に
有之殊外あやまり多しまつのきむねけたゆきと是三ケ所間のちかいたる屋ね世間に是なし又所々の
間みな相違ありそれゆへ坪数の積猶以あわす右けん書付のことくには家不立物也くわしくは大工に
可被尋しかしなからのきまわりと屋ねはゝを以て家の作りやうを見るに一尺三寸三分三リかうはい
につくりたる物也 仁家にかやうのはやき屋ね我終に見す又所々のちがいことゝゝく改しらすへき
なれ共註ながく成あいたこれをのせず次に屋作りたいていをしるす
△屋作り定(さだまり)大つの事
かやふき   一尺か九寸五分  かうばい
かわらふき   八寸か七寸五分  かうばい
こけらふき   五寸五分か五寸    かうばい
とりふき   三寸か二寸五分  かうばい
△ちんかうき中定積の違
開立定積八百の割
九二三一七五五とあり
九二八三一七九なり
右ぢんかうきの割付九二三一七五五を三乗して見れば十三余ちかい有也 又定積初心成人の為と有
共必算に用之事おほぎゆへ改所なり
ちんかうき中
△同ますのちかい
当代のます一合より割付有といへ共或は寸法に相違有か或は入目多少有か十をに一つも合事まれ也
わけ物ひしやく樽小桶大桶いつれも右同理り筆紙につくしかたししかしなから寸法相違有事を一
つ改しるしおく
八升ます
ひろさ九寸八分三り四毛
五寸四分一り八毛ふかさ
と有
今改時
ひろさ九寸八分
ふかさ五寸四分
なり
右当代の八升ますは口ひろさ九寸八分そこふかさ五寸四分にて有一リもほこりなく人目一札もちが
いなし是にあたる所をぢんかうきに三り四毛と一リ八毛はなにを以て付られ候哉いつれも是に通(つう)す
るゆへ余(よ)のますも相違あり
▲亦升改知は京升ひろさ四寸九分をふかさ二寸七分を以て割時一八一四八一五と成如此ますことに改
めて右一八一四八一五と成時は相応といふ一八に不成時は相違なりとしるへし又寸法相応しても或
は入目ちかう事あり是又相違なり
ますつくる事は口伝なり但積よりはやき術あり他流に不知之
ちんかうき中
△坪升目の違
▲此つほに入目
古ます七斗弐升五合七夕六才入とあり
五斗八升六夕入なり
ぢんかうき中
△かうばいのひ割付の違
▲五分かうばいのひ
四り二毛四糸九忽とあり
一り二毛四糸九忽なり
▲一寸かうはい
四り五毛八糸とあり
四り九毛八糸七忽なり
▲三寸五分ののひ
五分九り一毛三糸とあり
五分九り四毛八糸なり
▲六寸ののび
一寸六分六り一毛とあり
一寸六分六厘二毛なり
▲六寸五分ののひ
一寸九分二リ六毛とあり
一寸九分二リ六毛八忽なり
▲七寸ののひ
二寸五分六毛九糸とあり
二寸弐分六毛五糸五忽なり
▲七寸五分ののび
二寸九分とあり
二寸五分なり
ちんかうき下
△一劫のけしの数違
四十里四方六面の箱に入たるけしの数をちんかうき下巻に
五百廿四垓八千六拾五京四千七百八十四兆粒と有
右の積百京粒のちかい
ありけし一寸に四十粒
つゝならふ積なり
高四十里
これを一劫と
いふたゝし
六丁一里也
ちんかうき下
△将基の盤に置米数の違
米一つふをしやうきのばん目の数程倍々して一めんふんあつめたる米を
ます数にして四十京二千九百七十五兆二千七百卅二億令四百八十七万六千三百九拾壱石五斗六升八合七夕二才
五札一粒とあり
一粒なり○是一りうのちかいは右けしの数百京粒のちかいよりも大事なり但升数は相違なし
○我米数をいふ
二抒四千百七十八垓五千百六十三京九千弐百廿九兆弐千五百八十三億四千九百四十一万弐千三百五十一粒あり
右の米の四方六面にして
九十五里廿一町廿八間五尺弐寸八分とあり
是は六町一里の積か卅六町一里の積か右は京升か古升か又俵にして積かいつれにしても相違也
ちんかうき下
▲三十三間に米置違
堂の一まに米一つふ置次のまには二つふ置まことに一ばいつゝおき三十三間に皆置米
合弐千八百十九石三斗五升五合と有
千四百卅一石六斗五升五合七夕六才五札一粒なり
右十二ケ所の違はしんへんちんかうき寛永十八年に違闘をたゝして出之と有を我又愚勘を以て是を
改見るに右のちがい有但下巻四枚目迄あらまし改軽忽する所をしるす斗也是よりおく改に不及下巻
口四ケ条を察せよ又それより以前のちんかうき猶以相違あり
▲かめ井算演出しのちがい
米百五拾七石五斗を知行所三所より道の法にていたす時
高壱万五百石の所   八里よりは
弐拾弐石五斗いたすとあり
高弐万千石の所    四里よりは
四拾五石いたすとあり
高四万弐千石の所   弐里よりは
九拾石いたすとあり
右の割付皆相違なり知行高に
相応せす道のはこびに不同有
又法をみるにちがいたりしかしな
からかめ井算はかすならぬ書
相違尤なり改に障なし
▲右の割やうをしらする事
先弐里を目安にして四里を割は
二と成此二を以て高弐万千石を割は
一万五百石と成右に別に置又弐里を
目安にして八里を割は四と成此四を以て高壱万五百石を割は弐千六百廿五石と成是を右へ加へ 又
四万弐千石をも右へ加へ右三口合五万五千百廿五石有是を目安にして出米百五十七石五斗を割時二
八五七一四三と成右割おく一万五百石にかくれは則四里の所より出る米知る又二八五七一四三を弐
千六百廿五石にかくれは八里の所より出る米しるゝ又二八五七一四三を四万弐千石にかくれは二里
の所より出る米しるゝ然は
高一万五百石
八里の所より 七石五斗いたす
高千石に付五里廿五町四十弐間五尺五寸六分のはこびに当る
高弐万千石
四里の所より 三拾石いたす
高千石に付右同程のはこびなり
高四万弐千石
二里の所より 百弐拾石いたす
高千石に付右同程のはこびなり
▲如此図してかめ井諸算記とやらんにのき八間棟八間として屋ね坪ふき板の積有是筋なき事なり
右はつまつくりといふ屋ね也かくのことくの屋ねにのき八間むね八間といふ事世界にはなし是をさつ
するにちんかうきに如此の屋ね積有右と同積と心得坪数板数同ことくにうつしたる物也是は
かくへつなり此外大かたかめ井算はちんかうきのあやまりをも不改みなうつしたる所おほしとかくかめ井諸算
記はかすならす

第廿五 参両録八つの極意を顕(あらはす)
△差分 八つの内
木綿
上四百廿斤 中五百廿五斤
下三百廿斤
三口代銀壱貫弐拾目
問云
上四百弐拾斤の代
上綿とは銀十匁に付半斤違
中五百廿五斤の代
中綿とは銀十匁に付三分違
下三百弐十斤の代
名々代銀なにほどに成そとあり
予答
上四百二十斤  代銀三百五拾目
中五百廿五斤  代銀四百弐拾目
下三百二十斤  代銀弐百五十目
▲横直弦 参両録八の内
長弦三尺一寸
短弦壱尺九寸
合股三尺五寸
問云
○矢の長さ
○中の歩数
各々何程有ぞ
右矢の長さ中の歩数を知度よし
予答記(しるす)
矢の長さ 一尺六寸七分七厘一毛五糸
中の歩数 二百九十三坪五分○一二五
▲裁断 参両録八の内
短刃の広九寸 長刃の広一尺六寸 長さ四尺弐寸
此図を短刃の方より弐百坪きりてとる時は
裁口まての長さ何程に成そと問を
予答なかさ一尺弐寸と云
右裁段の図 如斧(まさかりの)成る
▲勾股 参両録八の内
此図をいぬ角のかけたる廉より
巳の方へむけて寸歩六十切時
問云
○未の方長は何程きるゝそ
○きり口の長
○切たる物の矢
各々何程に成そと有を
予答曰
未の方長   一尺四寸九分三リ○四糸
切口の長   二尺○六分一り二毛○一忽
切たる物の矢 五寸八分二リ一毛八糸五忽
△方円印 参両録八の内
輪の外周三尺六寸   同ふとさ四寸八分周   中のふとさ同   此輪環(たまき)のはしなきがことし
問云
此図に寸坪何程有ぞ
右図のことく成輪の寸坪を知度より参両録に有
予答  八十七坪三分二厘七毛五糸
右一寸六面の積なり
▲弧矢弦 参両録八の内
此図のことく円形成物云に埋て少あらはれたる弧と弦を量に
弧弐尺四寸 弦弐尺
○円満の径
問云○矢の長さ
○今見所の歩数
各々なにほと有ぞと有を
円満の径 二尺三寸五分八り五毛
予答 矢の長 五寸五分四り二毛五糸
今顕歩 七十九〇一あり
▲円闘 参両録八の内
矢弐尺七寸 弦壱尺八寸
此図を弦の満半より右の方ヘ
弐百歩裁時
問云
○きり口の長さ
○闕の弧
各々何程に成ぞと有を
午答曰
裁口の長さ  二尺五寸三分五厘
闕の弧  二尺七寸一分六り五毛五糸
右の図は径三尺の丸を矢三寸かいたるものなり
△丸裁 参両録八の内
此丸形を寸坪七十きる時
問云
○裁口の渡り
○闕の深さ
○同弧
おのゝゝ何程に成そと有を
予答曰
裁口渡り 一尺○三分二リ四毛
闕の深さ 一寸五分二リ六毛
同く弧  一尺一寸○二リ七毛五糸

第廿六 参両録の違を記す
△円台割の違
上まはり四十間下のまはり百廿間高さ六間有時に
此うへにて土千弐百坪切て取時上より高さなに
ほときりてさがるそと問
として塵劫記下巻有是を
参両録といふ書に
三間零六厘二毛零八忽不尽
と答られたりこれ
過分に相違あり
あかす
右円台の積参両録にこたへられたる所をわれ坪をつもりて見ればやうゝゝ九百十八坪ほとならては
なしこのむ坪数とは弐百八十弐坪ほとたらず是過分の相違なりまことにぢんかうきに序せらるゝこ
とく其身のこゝろにあふとおもはるゝかなれども又るいをもつてこれをわれはかくのことくさうい
出来す○われ又此術を本算をもつて割付所すなはち此口にあらはすなり
参両録
△栗石積のちかい
塵劫記に曰栗石七百五拾坪有を図のことく高五尺つゝにして五段つみあけ下
より二段めの犬はしりのひろさ一丈三段目は七尺四段めは六尺五段めは五尺
如此につみて下のひろさと上のひろさ何程四方に成そととふなりと有を参両録に
上の方六丈一尺七寸四分八リ一毛
下の方拾一丈一尺七寸四分八り一毛
不尽有
と答られたり是筋なき答やうなり我是を当て見るに先上下の方数相違して犬はしりにあはず但下の
方を実にして坪数を積てみれは五段合六百廿六坪程有是を本坪七百五十坪の内を引は百廿四坪の違あり
右円台栗石の術塵劫記にも奥儀に秘されたれは参両録の積あはざる事尤也 併(しかしながら) 少のちがいは是
非なき事右のことく過分に相違事は算道の至ざる故なり○われ又此積を術する所則此口にあらはすなり
▲亦参両録に丸物の歩積の定法周径共にいつれをはかりても七九零五を用と改られたりこれふしん也
是を用は周法三一六二二七七余に当是程有か
▲亦参両録に七付五分かうばいの延弐寸五分零としるされたり此零はいかなる事そや是又筋なし

第廿七 四角問答の違
四角問答上
池水積の違
此池に水一はい入へきと云時
深さ八間
積廿万六百七拾弐坪六分四厘あり
但六尺五寸四方に京升を以て
四拾弐石三斗六升弐合七夕入積也
改註
右のことく図して水積
八百五拾万千三拾四石八斗四升六合五タとあり
本法にして八百五拾万千四拾四石八斗九升七合九夕六才入也
○拾石五升一合四タ六才ちがいなり
右池の積やうは弐百五十弐間を両に置かけ合円法七九をかけ二つに割深さ八間をかけ又坪の法二七
四六二五をかけ扨京升の法を以て割は水しるゝものを殊外くどゝゝしくして有故かへつて相違出来
也殊に図の理りもきこえず惣して池なとはかならす下すぼりにのりなくてはくずるゝ物なり但いど
かわのことくまはりにかわ有かしらず
四角問答上
△同違田を養事
亦右の池水を以て壱反に四寸つゝためて田何町養へきといふを
畝千八拾六町九反九畝四坪六合六夕やしなふと有
本法にして千八拾六町九反七畝廿歩○四リなり
○壱畝拾四歩弐分六リちがいなり
改註
右田の積本法と云は先池坪の積廿万六百七十弐坪六分六リに間の法六五をかけ扨四寸を以て割又田
の法三を以て割は則やしなふ田数としるゝ物をこと六ヶ敷しるす事初心なり
四角問答上
△内海田にする違并堤の事
長拾八町の堤有てむかいに山二つあり但山より山迄のあい九町あり土手の角よりむかいの山の角ま
て堤にして長何町あり内の畝何程といふを
畝九十七町弐反とあり
八十一町なり是本積と知へし
○拾六町弐反のちがいなり
堤長拾八町
改註
右内海の田并に堤の積は先田を積時は十八町に九町をかけ二つに割はしるゝなり
亦角角堤の長を積時は十八町を両に置かけ合三百廿四と成是に九九八十一加へ四百〇五有是を開平にし
て町より下に六をかけ又間より下に六五をかくれはしるゝ物をあたら手間紙を入てながゝゝとしる
さるゝ事ついへなり殊に算用もあわす
四角問答上
▲桶寸法の違
一拾石入
口指渡 四尺四寸
底同 四尺四寸
深さ 四尺二寸三分八り六毛
改註
と有右のことく作りては輪のしまりやう合点不参ら此外壱斗より五石まての桶いつれも相応せず口
底の指渡したゞ一寸ちがいと斗(ばかり)作られたり惣して桶は深さに応し底をちゞめ大小共に相応にこそ作
りたき物なれ右のことく覚へては好(このむ)時ならざる物なり
▲亦塵劫記参両録に有桶の法ものりたらず我改めて作る所一の巻にしるす
四角問答上  わげる
▲馬柄𣏐曲(わける)板の違
口指渡三寸一分六厘
底指渡二寸五分三厘
とあり
此坪
三拾壱坪九分七リ とあり
京升にて四合三タ一才入なり
改註
右壱尺に八寸深さ五寸と有図は定てひしやくにわける板と見へたり右の積にてはわけたる時上下こ
ぐちそろはす口底指渡坪数升数いつれも相違有へし
如此地紙形に板をこしらゆれば
底すほりのわけ物に成なり
四角問答上
▲山土坪の違
高弐拾五間
積四万坪とあり
改註
右山の図丸山とも見へず又方台のことく角(かく)有とも見へす併其書の法に上指渡し三十間と註あれは定
て丸山成へし丸山なれば
○積三万弐千弐百五十八坪三三三三なり
右四万坪の積とは
○七千七百四十一坪六六六のちかいなり
▲但又方台のことく角山なれば
○積四万八百三拾三坪三三なり
故右山の積四万坪と有はいつれにしても過分の相違なりそれは本法にあらさるゆへなり本法と云は
済統の術なり則升積の所にくわしくしるす桶のつるべの法同意なり
四角問答中
▲米相場わけの事
一米千弐百石  此代四拾八貫目なり
右の米ね段高下にわけ度と云時
一弐百八拾一石弐斗五升  石四十三匁つゝ
此代銀拾弐貫九十三匁七分五厘
一九百三石七斗五升  石三十九匁つゝ
此代銀三拾五貫弐百四十六匁弐分五厘
一拾五石              石四十四匁つゝ
此代銀六百六十目なり  と有
改註
右高千弐百石の米三段にわけられたる所尤相違なし然共此算我意(がい)にまかせて五十色々或は百色々に
してもよく都合する算なれば算用とはいはれまじきかとはおもへともわれも又此巻に買物銭数ほと
取といふ事をしるす事はおさなき人まても世間に云ふるゝ事なれは自由自在に成所を見するなり右
のさうばわけと同意なり幾色々にしても成なり
四角問答中
△板坪廻しの違
厚一寸
是を地扇なりに板にまはす
此坪四百坪なりと有
改註
右のことくの図有此四百坪を以て十八色になりをかへて作ると有是四角問答の要(かなめ)と見へたり先地扇
子にまはしたる所は尤相違なししかしなからあやまり有
▲亦地扇子を丸木の上下大小有木に廻すとして其図に
四角問答中
此坪四百坪なりと有
改註
右丸木の図先以平物のやうに見ゆる右に理りなくは丸木とは知るべからずよし図はともあれ坪数相
違あり又坪を用は尺寸相違あり図の尺付を以て坪をみれば
○四百廿八坪七分三厘六四有なり
此ふん坪おほし是本積済統の法を以て改也
▲亦坪を以て丸木に作る事は円台の術なり
四角問答中
此坪四百坪あり
改註
右丸の図も板坪廻し十八色の内に有定て玉と見へたり玉ならばたまとことはり度物なり平円にまぎ
るゝ扨廻りの尺寸を用て坪を積てみれば四百坪はなし又四百坪を玉にしてみれは廻り
○弐尺九寸四分にあまる
是すこしのちかいなれとも開立の
たぐひなれば坪数にしてはちがい
おほしとかく玉のつもりはまわりを
四つに割三乗してすなはち坪数
しるゝ是大かたなり
本法は口伝
四角問答中
如此寸方付に殊外算用有とあり
厚壱寸也
此坪四百坪也と有
上の一尺六寸四分は開平法を以作也と有
改註
右の図も板坪廻しの内に有先以四ケ所寸方の付やう大にちがい有是はなにを以て作られし哉亦図の
坪を積て見る時は上二ヶ所の寸法は不入一尺三寸に一尺をかけ二つに割ば則坪数となる然は
六十五坪なり 右四百坪の積とは
三百三拾五坪のちがいなり
右図の理りはみないつわりなり
四角問答中
図のあやまり
此坪四百坪なり
角より左百四十坪弐分九り弐毛
厚さ一寸板
改註
此図も十八色の内に有右寸方の付やうにては四百坪はなし愚あんずるにさだめて
如此にてあるへし
これ四百坪あり
色々の理りにおよはず
四角問答中
此坪四百坪也と有
改註
此図も十八色の内にあり是あやまりなり 右の図のことくにては坪数きわまらず
若如此なれは四百坪あり叉今付置上壱尺弐寸五分
下弐尺五寸の所に長(なが)みじかあれば坪ちかふなり 右図のことく下のとがりに丸みあれは又いよゝゝ
坪ちかふなり
四角問答下
開立円法の事
玉指直(さしわたし)三尺
積一万三千七百七十坪
改註
と有此玉の法をわつてみれば五分一と法出る此法定て師のつたへにて有べけれとも我玉の法をたゞ
して知る所は五分まてなし然によつて余の玉の積もみな相違有かと覚ゆ
正珠定積のおこり私の書にしるす
右四角問答のあやまり凡そ十二ケ条此改算記しるしおはつて後初て一見の時則改て加之右の外少つゝ
の違おほし又理のきこへざる事もあり第一よろしき書にあらず開平開立法をそろばん弐丁三丁にて
引とあり是しかるべからず愚の覚へたる法は則二の巻にしるすとをりなり正矩正絜と名付く但書に
しるすよりも口伝にていとやすし開平は猶初心の八さんよりもやすき事なり

第廿八 因帰算の違
△平円歩法断
径周の歩法
七分九令五
七厘九令五
と有
たとへは径一尺の円歩数を積時一尺を両に置かけ合一一の百歩と成是に七分九令五をかくれは則七十九
〇五と知時○亦径一尺の円周三尺一寸六分是を両に置かけ合は九百九十八五六と成是に皮法七厘九
令五をかくれは歩数七十八坪八分五六一六八と成故是相違也
但円周の法三一六二二七七余にしては尤なり予は三一六を用
△搾形(さくぎやう)坪数の違
厚四才
幅九才
歯三寸
竪弐尺弐寸
にして
此寸坪百六十八坪に成と有
三百〇八坪なり
右くさひの坪積は先はゝ九寸を倍し一尺八寸是に三寸を加へ弐尺一寸有是にあつ四寸をかけ又たつ
弐尺弐寸をかけ扨六つに割は三百八坪としるゝ也
右搾形のつもり因帰算に印さるゝ所は
弐百六十坪の相違なり
▲そは形の違
そは形の法一分一七八三とあり
方五寸にして
此寸坪拾四坪七分弐厘八毛七五とあり
右そはかたとは立三角四面にして則蕎麦のことし此定積は一一七八四八なり因帰算の流とは少ちか
い有此法を求事勾股の術なり
右四角問答因帰算は此改算記を調へ上京の時分初て披見の則即時に改て加之也此外両書のあやま
りおゝからん取わき四角算の書には筋なき事共数多有之

第廿九 自作
楊枝形 此内かしらの方にて一尺四方六面の積
五つ切取といふ時
かしらより長二尺三分七リきりとる也
くさび成先なし
此木本末同積にして二つにきりなかさ
何ほとつゝといふ時
答曰
本長 二尺三寸七分一り五毛
末長 五尺一寸二分八リ五毛
切口 二尺○二分五り七毛
同く 一尺六寸二分○五毛六
法台
土四千七百四坪有是を上ならし十八間四方に究一尺五寸のりにしては下ひろさ
なにほとそ又高さは何程に成そと問

高さ 八間
下広さ 卅間
丸木板に引間数知事
此さしわたし二尺五寸有丸木をあつさ八分かけの板に引時両の引おとし
五分つゝのけて又板の両みゝもかねにあわせけつりすて板間数なに程有そと問
答曰
板数 三十枚
間数 九間三尺七寸六分
三連六形
三角丸の大さすえ同前 △三  〇一  □四   此寸歩数合一万三千五百六十二
丸四角の大さ右同前 ○三  □六  四   此寸歩数合七千五百六十
四角五角の大さ右同前 □十  七  八   此寸歩数合六万三千四百九十九
五角六角の大さ右同前 八  七  六   此寸歩数合七万千五百七十一
六角七角の大さ右同前 一  五  △九   此寸歩数合五万六千八百四十
七角三角の大さ右同前 九  △二  ○五   此寸歩数合三万七百十五
右三四五六七角の方丸指渡し各々何れも大さ何程そ
勾股弦
京升六斗入
深さ 壱尺三寸
角の径弐尺四寸
此箱のなかさ何程そはゞ何程そ問也
済統積
此丸いけ上廻り弐百五十間有そこひろさしれずつつ立深さもしれず但しのりにて八間有
内七間三尺まては水有うヘ三尺五寸に水なし又上より水ぎはまてつつ立ふかさ
二尺一寸ある時此水坪何程有そ又此東に新田十二町有一日に水二寸六分引
の積にしては幾日の用水有そと問
堀屋敷
八十間四方の屋敷
内まはりに上はゝ八間下はゝ五間ふかさ四間のほりをほり則其土を以て堀の
のりをうけて屋敷をつきあくるとき高さなにほとあるるそと問
丸山恰合
此丸山上廻四十間下廻り百十間のほり十二間半あり
今土弐千坪あり是を右の山のなりに少も無相違作りて下廻り
なにほと上廻り何程のり間何程又すぐに立高は何程に成そと問
金銀米銭
米百三十石  此代
金小判八十五両
銀八十四匁六分
銭二十五文
米百弐十石  此代
銀五貫目
銭四頁九百四十六文
金壱分二朱
米九十六石  此代
銭二百四十百文
金小判六両
銀九匁六分
右米一石に付銀何程ぞ 小判のね何程に当そせにのねなにほとそと問
盈朒の法
座敷右の天井太さ二寸の木にてひろさ一尺一寸のかうしに但かうし一まに絵一つゝ有今是を仕なを
す時ふとさ一寸の五分半の木を以てかうしひろさ八寸弐分つゝにくみ右の絵を用ひ其外
今又絵百七十五書たすと云此座敷たゝみ何畳敷そととふなり
此書を常に心にかけは諸の算道いつれの事かもれ侍るへき但かくいへはとて物毎に品かはりなはさ
しあたりてまきるゝ事もなとかなからんとにかくに事にあひ物にふるゝたび事に工夫をなして其後
此書にあわせその理をたゞさは諸の算方分明なるへし故に凡の事師は其身の心第にも又其身の心な
るへし爰に又予塵劫参両の諸をおひ八ケ条の図を顕し積割をしるさす世の人に勘弁あれかしとおも
ふかゆへなりさりとては此書の極意にもあらす又難算にもあらず誠にひちはまつけのことくとやら
む何よりもやすき法なるへし
天和三癸亥暦九月古辰
北村四郎兵衛
又予塵劫参両の諸をおひ八ケ条の図を顕し積割をしるさす世の人に勘弁あれかしとおもふかゆへな
りさりとては此書の極意にもあらす又難算にもあらず誠にひちはまつけのことやらむ何よりもやす
き法なるへし
万治二巳亥暦仲春吉旦
中野氏道伴刊行