参両録

参両録 序
原 夫数術の玄妙なる事ハ むかし大昊 八卦を画して 健順五常の道あらハれ 隷首 九章を
作して 律度量衡の法 をこなハれしよリ以来 六芸の其一に備り 天地運気の広大なる 人身経脈
の精微なる 皆是よりして明めずと云事なし さればもろこしにハ 人生れて 八つの年より これつ
らの事を習ひ はじめしとかや 我国にも 貴き賤き本とする道なれば 世に堪能の人多かるべけれど
も 師と顕ぜされバ 尋ぬべきやうなし 適々書を編集して 市にひさくもあれと  正き法をしるさゞ
れハ 用ゆるにたらず 中にも塵劫記は数度訂正せしやうにみえ待れば 目出度事のミ有べけれとも
方円の理にいたりてハ 約ならずして 格式をみたるこそ 口借きワざなれ 今国とし家とし饒にし 
て 民の心もすなほなる ひじりの御代のしるしに  聊其正道をしるして 参両録と号け侍る ひた
ふる愚かなるを みちびかんとなり僕まだ はたとせの春秋をも かうがへずして かゝる書を編る事誠
におほけなく 浮世の人もおもほすべけれども あやまちを あらたむるに憚る事なかれと 孔夫子も
のたまハせしよしなれバ 未練をもかへりみず 只理のあたる所をあらハす とハおもひ給へれど そ
もまた三五の十八にやあらんしらずかし
承応二癸巳三月吉日
榎並権右衛門尉
     和澄

参両録巻上目録
第一 数名付名 断
大数 大小乗 小数
粮数 田畠数 斤数
第二 十露盤次第
第三 九九
第四 八算 并見一 付置様
薪 木綿 俵物 其外 色々売買
第五 白作商立 同図并に掛算断
金銀米銭 くりワた 木ぶし生蝋 鯨油 伊万里物 椎茸万売買
第六 利算用
割不知 利を元へ直 内あげのそんとく
第七 おとり算
内おとり色々 外おとり色々 うんちん積
第八 等分算
買台を分やハたかしのなしくすし
第九 すいばゑ色々
第十 斤目直色々
第十一歩よせ并歩直
三角より九角迄 円物 五葉 花輪違 すかし きりかう あふぎ ぬりがうし しゆミ
だん
円形直色々 曲尺のうらおもて
ひワだまワし けんち色々
はくのつもり

大乗名
一十百千
万 十 万百 万千 万
億 万 万をいふ
兆 万 億をいふ
京 万 兆をいふ
垓 万 京をいふ
𥝱 万 垓をいふ
穣 万 𥝱をいふ
溝 万 穣をいふ
澗 万 溝をいふ
正 万 澗をいふ
載 万 正をいふ
極 万 載をいふ
小乗ハ一より次第十因也或ハ一十百千万と云ごとく 十万を億と云 十億を兆と云 十兆を京と云
極迄是になぞらヘ
小数
分厘毫絲忽微繊紗塵埃
是は次第十分也 衡物ハ壱匁を十に分たるを壱分と云 尺物ハ一寸を十に分たるを一分といふ 厘と
云は分を十に分たるを云 余皆是になそらヘ
粮数
石斗升合勺抄撮圭粟
石より内は次第十分也 石余ハ大数也
田畠数
一町 三千歩ヲ云
一反 三百歩ヲ云
一畝 卅歩を云
一歩 六尺五寸四方ヲ云
斤目
歩より内ハ少数次第十分也 或は六尺五寸に六寸五分を一分と云 又六尺五寸に六分五リを一厘と
云 六寸五分四方も一り也 厘を十に分たるを毫といふ 埃までこれになぞらヘ
百六十目 二百廿目 二百卅目 二百五十目 二百八十目 三百目 所によりものによりて不同有
右ハと唐目 平ノ目 白目 登り目 日本目 分銅目等也
九九之声
二二ノ四
二三ノ六
二四ノ八
二五ノ十
二六十二
二七十四
二八十六
二九十八
三三ノ九
三四十二
三五十五
三六十八
三七廿一
三八廿四
三九廿七
四四十六
四五二十
四六廿四
四七廿八
四八三十二
四九卅六
五五廿五
五六三十
五七卅五
五八四十
五九四十五
六六卅六
六七四十二
六八四十八
六九五十四
七七四十九
七八五十六
七九六十三
八八六十四
八九七十二
九九八十一
九九八十一と云は 九宛九合は八十一と成故也 皆同
△八算のこゑ並に置様
二に分時
一有ハ二一天作五 これは一を五となすなり
一より多ハ 二進一十 これは二引てその上ヘ十とあぐる
三に分時
一有ハ 三一三十一 これは一を三十にしてそのつぎヘ一くハふる
二有ハ 三二六十二 これは二を六十にしてそのつぎへ二くハふる
二より多ハ 三進一十 これは三引て上ヘ十とあぐる
四に分時
一有ハ四一廿二 これは一を二十にしてつぎへ二くハふる
二有ハ 四二天作五 是は二を五となす
三有ハ 四三七十二 これは三を七十にしてつぎへ二くハふる
三より多ハ 四進一十 これは四引て上ヘ十とあぐる
五に分時
一有ハ 五一倍頭二 是は一をはいして二となす
二有ハ 五二倍頭四 是は二をはいして四となす
三有ハ 五三倍頭六 是は三を六となす
四有ハ 五四倍頭八 是は四を八となす
四より多ハ 五進一十 是は五引て上ヘ十とあくる
六に分時
一有は六一加下四 是ハ一をそのまゝをきつぎへ四くハふる
二有は六二卅二 是は二を三にしてつぎへ二くハふる
三有は六三天作五 是は三を五に作す
四有は六四六十四 是は四を六にしてつぎへ四くハふる
五有は六五八十二 是は五を八にしてつぎへ二くハふる
五より多は六進一十 是は六引て上ヘ十とあくる
七に分時
一有は七一加下三 是ハ一をそのまゝ置下ヘ三くハふる
二有は七二加下六 是は二をそのまゝをきつぎへ六くハふる
三有は七三四十二 是は三を四にしてつぎヘ一くハふる
四有は七四五十五 是は四を五にしてつぎへ五くハふる
五有は七五七十一 是は五を七にしてつぎヘ一くハふる
六有は七六八十四 是は六を八にしてつぎへ四くハふる
六より多は七進一十 是は六引て上ヘ十とあくる
八に分時
一有は八一加下二 是ハ一をそのまゝをきつぎへ二くハふる
二有は八二加下四 是は二をそのまゝをきつぎへ四くハふる
三有は八三加下六 是は三をそのまゝをきつぎへ六くハふる
四有は八四天作五 是は四を五に作
五有は八五六十二 是は五を六にしてつぎへ二くハふる
六有は八六七十四 是は六を七にしてつぎへ四くハふる
七有は八七八十六 是は七と八にしてつぎへ六くハふる
七より多は八進一十
九に分時
一有は九一加下一 是は一をそのまゝをきつぎへくハふる
二有は九二加下二 是は二をそのまゝをきつぎへくハふる
三有は九三加下三
四有は九四加下四
五有は九五加下五
六有は九六加下六
七有は九七加下七
八有は九八加下八
右の置様一二になぞらヘ
八より多は九進一十 九引て上へ十とあぐる
右八算のこゑは以上四十四あり これを能云覚ゆる事専なり
八分図
△或ハ銀弐十三貫七百拾匁五分二厘を八人に分て取時
壱人前に弐貫九百六十三匁八分一厘五毛ヅゝ
八四天作五
八進一十八一加下二
八六七十四
八三加下六
八進一十八五六十二
八七八十六
八二加下四
二より九まての置やう みなこれになぞらへ わるは上より かくるは下より
見一次第
▲見一とは 目安にけた幾数も有を云 或ハ目安の頭に一ある時ハ 実の頭を其一数にてわり 其商
と目安の頭の次の数と九九によび 其数を実にて引 又商と目安の三ツ目と九九によびて その数を
実にて引 目安のけた幾数あるとも如此 若商の数多して引にたらざる時ハ 帰一倍一と云て商
を一引 次へ戻 またたらざる時ハ 又帰一倍一と云 又目安の頭の数程 実の頭にもあれ共 一
進一十とあかりてハ ひかれぬと云時ハ 見一無頭作九一と云て 実の頭の一を九にして 次へ壱
加ふる
盤次第
又目安の頭に二有時は 二分のこゑにて実のかしらをわり 其商と目安の頭らを段々に九九によび
引 若ひかれぬ時ハ 帰一倍二と云て二戻 又二進一十とあがり 次に不足の時ハ 見二無頭作九
二と作す
惣じて商多時ハ商を一引 目安の頭の数程次へ加 これを帰一倍一といふ 幾進一十とあかり 次
に引数たらずハ 其まゝ置九にして 目安のかしらの数程九ノ次へくハふる 是ハ目安の頭の数と
実のわり初の数と同数成時用 則見一無頭と云
△目安とハ幾数に分幾数をかけると云を左に置て 云之ヲ
△上と云も 法と云も 左に置也
△実と云も下と云も右に置なり
△商とは上を以て下を分たるときの数を云
△不尽とは分あまりたるを云也
△因数とは九々とよびては八十一を云 八九と云ては七十二を云 余同
十八分図
▲薪千百七十頁目 但壱匁に付拾八貫目ヅゝ
此代銀を問 六拾五匁と云
千百七拾貫目を実に置 十八貫目にてわる也
商の五と五八四十引
商の六と左の八とよび六八四十八引
一進一十五度あがる
見一無頭作九一商をもとむため也
商多故に三ど帰一倍一もどる商六にする
不置ハ見一無頭作九一
不引ハ帰一倍一
多ハ進一十
弐十五分図
▲木綿一端四匁六分に買申時 壱尺の
代を問 壱分八厘四毛といふ
壱端長二丈五尺にて四匁六分をわる也
商の四と左の五とよひ四五二十引
商の八と左の五をよひ五八四十引
二一天作五帰一倍一
商の一と左の五をよひ一五ノ五引
二有共二ちん一十と上ハ不足故見二無頭作九二帰一倍二商多故也
二進一十弐ツ引一とあがる
不置ハ見二無頭九二
不引ハ帰一倍二
多ハ弐進一十
三十六分
▲米三斗六升入を壱表に付拾四匁二分二厘に
かい申時 壱升の代を問 三分九厘五毛と云
三斗六升を目安にして 十四匁二分二をわる也
商の八と左の六とよひ
商の五と左の六とよひ五六三十引
商の三と左の六とよひ
六九五十四引
三一三十一三進一十同
三六十八引
三ちん一十と上八不足故見三無頭作九三
三一卅一商を三にして次ヘ一加
不置は見三無頭作九三
不引は帰一倍三
多は三進一十
四十一半分図
▲壱石四拾壱匁五分ツゝの米 四百六匁七分にハ
何石と問 九石八斗といふ
四拾壱匁五分にて四百六匁七分をわる也
五八ノ四十引
五九四十五引
一八ノ八引
一九ノ九引
四三七十二四進一十
見四無頭作九四
不置ハ見四無頭作九四 四を九にしてつぎへ四くワふる
不引帰一倍四 商を一引次へ四加ル
多四進一十 商の次を四引て商ヘ一くハふる
五十零二分
▲大豆七拾五石三斗 但十匁に五斗弐合づゝ
此代を問 壱貫五百目といふ
五斗二合を目安にして 七拾五石三斗をわる也
二五ノ十引
一二ノニ引
五二倍四五進一十
五進一十
不披置は見五無頭作九五 是は五を九下てつぎへ五くハふる
不披引は帰一倍五 是は商を一引て次へ五くハふる
多は五進一十 是は商のつきを五引商ヘ一くハふる
六千零零五分図
▲銀百六十八貫百四十目を 六千五に分
バ 何程に成と問 弐拾八匁ツゝといふ
五八四十引
二五ノ十引
六四六十四六ちん一十同
六一加下四六進一十
不置は見六無頭作九六 是は六を九にして次へ六くハふる
不引は帰一倍六 是は商を一引て次へ六くハふる
多くは六進一十 是は商の次を六引商へくハふる
七千九百零五分図
▲米四千六百七十九石七斗六升を 七千九百五人
に分は 何程と問 一人前五斗九升二合と云
二五十引
五九四十五引
五五廿五引
二九十八引
九九八十一引
七二加下三七ちん一十
五九四十五引
見七無頭作九七
七四五十五
おかれずハ見七無頭作九七 七を九にして次ヘ七くハふる
ひかれすハ帰一倍七商を一引次へ七くハふる
おほくは七進一十 商の次を七引商ヘ一くハふる
八千零九十弐分図
▲炭八千九袷二俵を 七貫三百廿三匁二分六
厘にかい申時 一俵ハ何程に当ぞと問
九分五毛宛と云
商の五と左の二と二五十引
商の五と左の九と五九四十五引
商の九と左の二とよひ二九十八引
商の九と左の九とよひ九九八十一引
八四天作五
八七八十六八ちん一十
おかれすハ見八無頭作九八 八を九にして次ヘ八くハふる
ひかれすハ帰一倍八 商を一引次ヘ八もどす
おほくは八ちん一十
商の頭を八引て商ヘ一くハふる
銀九百六貫二百卅三匁九分を 九万八百五
にわれハ何程に成と問 九匁九分八りと云
商の八と左の五とよひ五八四十引
商の九と左の五とよひ五九四十五引
商の九と左の五とよひ五九四十五引
商の八と左の八とよひ八八六十四引
右の九と左の八とよひ八九七十二引
商の九と左の八とよひ八九七十二引
九七加下九ちん一十        
見九無頭作九九
其まゝ置次へ九加ル
おかれすは見九無頭作九九
ひかれすは帰一倍九
おほくは九進一十
古人帰除の法をさうまくりと名づけ ひき算にせしかば いとすミやかなりしかども をろかなる
心賦にハ其位にまどふ事あるゆへ いツのころにや 右にしるす 八算見一を工夫して 実を積
と法の数とみくらべて かならずこゑの出あふやうに をしへしこそ 少しことくどきやうなれど
世をすくふ 心のふかき 達人のしはざと たれもいミじく申あへりけれ されども此法ハ或ハ
声を覚え 或ハ一度にて引所に ふたことこゑのかゝりてむつかし 爰に かめ井算といふ無類の
術ありとて 近年全部三冊の書にあらハせしよし人のかたりけれバ 何たる人の作れるにやと 道
の奥義ゆかしくて其書をかりもとめてみ侍りしに 更にかのさうまくりにかハらざるこそ興さめて
覚ゆれ  尤絶たるをづき すたれたるを おこして昔にかへす心ばせハ 殊勝なれども  鼠の
草紙のたぐひまでも 世間に出しつる上ハ  一ツの得心あるべき事なれバ 古法を其まゝ犯されずと
も作者の料簡を くハヘらるべき事也 僕仍ていま童蒙のたすけに  商立といふことを 愚案して
このつぎにしるすものなり
商立術式
先商立ハ実のかずに応て 頭に商を立 目安と商と九九によび 因数を実にて引 若商を立そこ
なひ 実多くハ商を増 すくなくハ商をへらして 因数実に多少なき様に商にて加減す 注に曰
商を立と云ハ 目安に二有時 実に二有ハ商を一と置 四有ハ商を二と置 六有は 三と置 余ハ
准之 又商を立そこなふと云ハ 目安に二有て 実に十二有時 商に五と置 九九によヘは 二五
十成故 実多し時に商ヲ増 六にして目安と九九よベバ 二六十二と成故に 因数実に逢 又目安二
実十二有時 商に七と置 目安と九九によベバ 二七十四と成故に 実すくなし 商を一ヘして六
に作し 目安と九九によベバ 二六十二と成故に因数実に逢 若実にはありて 商を一ませハ 又
実不足 まさゞれバあまると云時ハ 先目安に満ざるをのこして 重てわり 或ハ目安に二実に十
三有ハ 先商に六と置 目安と九九によび 因数十二を実にて引 一ツ残を 又次の商に五と置 目
安と九九によベバ 因数実に逢 則一を払て六半に成と云 目安幾数幾けたありといふとも これ
になぞらヘ
▲銀拾三貫百九拾目を 二にわれハなに程に成と問
六貫五百九十五匁と云
商に五置左の二とよひ二五ノ百匁引
商に九置左の二とよひ二九百八十匁引
商に五置左の二とよひ二五壱貫匁引
商に六置左の二とよひ二六十二貫目引
▲銀十八貫八百四十目を三にわれハ 何程になると問
商に八置目安とよひ三八二百四十目引
商に二置目安とよひ二三ノ六百匁引
商に六と置左とよひ三六十八貫目引
六貫二百八十目ツゝと云
▲米二百五十七石四斗を四にわれば なに程に成と問
商に五置目安とよひ四五弐斗引
商に三置目安とよひ三四壱石二斗引
商に四置目安とよひ四四十六石引
商に六置目安とよひ四六二百四十石引
六十四石三斗五升と云
▲銀三十六貫五百九十目を五にわれハ 何程に成そと問
商に八置目安とよひ 五八四十匁引
商に一置目安とよひ 一五五十匁引
商に三置目安とよひ 三五壱貫五百目引
商に七置目安とよひ 五七三十五貫目引
七貫三百十八匁と云
▲銀百三十一刄七分を六ツにわれハ 何程に成そと問
商に五置目安とよひ 五六三分引
商に九置目安とよひ 六九五匁四分引
商に一置目安とよひ 一六六匁引
商に二置目安とよひ 二六百二十匁引
廿一刄九分五厘と云
▲米千五百三十三石を七ツにわれハ なに程に成そと問
商に九置目安とよひ 七九六十三石引
商に一置目安とよひ 一七十石引
商に二置目安とよひ 二七千四百石引
二百十九石といふ
▲米四十八石三斗六升を八にわれハ なに程に成そと問
商に五置目安とよひ五八四升引
商に四置目安とよひ四八三斗二升引
商に六置目安とよひ六八四十八石引
六石四升五合と云
商を加減して 其商と目安の次々を段々に九九によび 実を引 又商立ざんは 目安の惣数と実の
惣数とみあはせ 実のかミに商を立 其商と目安の頭と九ゝによひ 実を引 又目安の次とは商九々
によひ 実を引 かくのことく次々を段々によひて 実にてひくなり 又目安と実の惣数を見合
商をおくと云ハ 或は百匁を十六にわるに 商を五と置は 実余る 七と置ハ不足する故に
▲銀十九貫百七十目を九にわれは 何程に成そと問
商に三置目安とよひ三九二百七十目引
商に一置目安とよひ一九九百匁引
商に二置目安とよひ二九十八貫目引
弐貫百三十匁と云
十六分図
右ハ 目安一けた有時のわりなり 縦幾けたありともこゝろへ同事 先目安いくケたも有とき 見
一を以テわれバ ロに註すごとく 商を求とて 八算を用 をかれさる時ハ見一無頭策九一と置
商を加減して 其商と目安の次々を段々に九九によび 実を引 又商立ざんは 目安の惣数と実の
惣数とみあはせ 実のかミに商を立 其商と目安の頭と九々によひ 実を引 又目安の次とは商九々
によひ 実を引 かくのことく次々を段々によひて 実にてひくなり 又目安と実の惣数を見合
商をおく   或は百匁を十六にわるに 商を五と置は 実余る 七と置ハ不足する故に
六と置のごとくし 初心の人のために 図をしるすなり
▲伽羅壱貫目を唐目にしてなに程有と問 六斤二分半と云
先壱貫目と実に置 百六十匁を目安にしてわれば 六斤二分半と知る也
商の五と左の六と五六三十引
商の二と左の六と二六十二引
商に五置左の一と一五ノ五引
商の六と左の六と六六三十三引
商に二置左の一と一二ノ二引
商に六置左の一と一六六百匁引
廿五分図
▲木綿一端代四匁六分にかい申時一尺ハ何程に当ると問 一分八厘四毛と云
先一端の長弐丈五尺にて代銀をわる也
商の四と左の五と四五ノ廿引
商の八と左の五と五八四十引
商に四置左の二と二四八引
商の一と左の五と一五ノ五引
商に八置左の二と二八十六引
商に一置く左の二と一二ノ二引
此わり 見一の内にも註す
是をみあはせ 商立 見一の
わかちを工夫すべし 余同事
かけさん
唐目六斤二分半ハ何貫目と問
○斤目に百六十匁をかくる也
左の六と右の五と五六三十と置
壱貫めと云
左の一と右の五と一五五と置五リを払
左の六と右の二と二六十二とをく
左の一と右の二と一二ノ二と置二分を払
左の六と右の六と六六三十六と置
左の一と右の六と一六ノ六置六斤を払
かけさん
壱尺を壱分八り四毛ヅゝの木綿ハ壱端ハ何程に当るそ
かけはしめ
左の五と右の四と四五二十と置
左の二と右の四と二四八と置四を払
左の五と右の八と五八四十と置
四匁六分と云
左の二と右の八と二八十六おく八を払て
左の五と右の一と一五ノ五と置
壱分八リ四毛に廿五をかくる也
左の二と右の一と一二ノ二とおく一ハ払て
かけざん ▲壱石に付三拾五匁八分ツゝの米七百三拾六石ハ 代銀なにほどゝとふ
○弐拾六貫三百四拾八匁八分といふ
先七百三十六石に三拾五匁八分をかくる也
かけはしめ
左の八と右の六と六八四十八と置
左に三けた有故に四十八と此けたより置也
左の五と右の六と五六三十と置
左の八と右の三と三八二十四と置
左の三と右の六と三六十八とおく
左の五と右の三と三五十五とおく
左の八と右の七と七八五十六とおく
六石ハ払
左の三と右の三と三三九とおく三十払
左の五と右の七と五七三十五とおく
左の三と右の七と三七二十一とおく
かけさんハ 先左の下と右の下と九々によび 其因数を左のけたの数程右の下よりけたをさかりて
をくなり 又左の下より二ばんめと 右の下と九々によび 其因数を下と下との因数をおきたる一
けた上に置也 又左の下より二はんめと 右の下と九々によび 因数を左の二はんめと右の下との
因数を置たる一けた上にをく也 いくけたもかくのことくして 左のかしらと右の下とよひたる時
ハ 右の下一けたをはらひて 則因数をそのけたにをくなり また右の二はんめと左の下とよび
はじめて 次第々々のをきやう 右のごとくさかりてをく たゞいくけたありとも右一けたに左の
下より一ツゝゝ九々によび 因数を右のごとく段々に置 左のかしらとよひたる時ハ 右の九々に
よびたるけたをはらひ 其あとに何十を置也 何も図に記ことし 商立のかけさんハロ傅
△銭壱貫文に付代拾六匁ヅゝにして銀子五十弐匁五分には 銭何程と問
三貫弐百七十八文
先五十弐匁五分を置 相場十六匁を以テわれバ 三貫弐百八十壱文弐分五厘と成 此八十壱文弐分五
リを別に置 四をかくれバ三文弐分五リと成 これほど引なり 百より内へ四をかけて それほど
引と云事は 九十六文を百文と云故なり
△右のせに壱匁にハ何ほどに当るそ
六十文ヅゝ
先壱貫文を本の数九百六十文と置 相場十六匁にてわれバ 壱匁に六十文ヅゝと知るゝ
壱匁に八十文ヅゝの銭 三貫弐百五十二
文の代を問 三拾九匁五リンと云
先三貫弐百文にめせんの四をかけて 百弐十八文と成 是を三貫二百五十二文の内を引は 三貫廿
四文と成 是を相場八十文にてわれは 三拾九匁五リンと知るゝ
△繰綿十一本
一本に九貫五百目入  たゞし
十駄に付四十八両也
此代を問 金十七両弐歩六匁六分
先十一本に弐十二匁をかけて これに四十八両をかくれバ 壱貫百六拾壱匁六分と成を 壱歩の代
十六匁五分にてわれバ 七十歩六匁六分と成 これをわる時 十六匁五分より内ハわらずに 其まゝ
置也 扨七十歩を四をもツて引八十七両と成 是を各々置つらねて 十七両弐歩六匁六分と知るゝ
右のくり綿金一歩にハ何程に当と問
壱貫四百八十四匁三分七厘五毛
先四十八両をめやすにして 七十壱貫弐百五十匁をわれバ 壱貫四百八十四匁三分七厘五毛と知るゝ
なり 本数の代をする時 弐十弐匁をかくると云事は 六十六匁を一駄の三わりたる数也 又七十
壱貫弐百五十目を十駄の替にてわる事は 十駄の弐百八十五貫を 四歩にてわる数の故也
△米千弐百七十五石壱石に付三十五匁ヅゝ
代を問 四十四貫六百廿五匁
是は千弐百七十五石と置 三十五匁をかくれバ 代銀と知るゝ
△木ふし三十二貫五百目 但十三貫め壱石に付八十五匁ツゝ
代を問 弐百十弐匁五分
是ハ先三十弐貫五百目と置 十三貫目を目安にしてわれハ 弐石五斗としるゝ これに八十五匁を
かくれバ 代銀と知るゝ
△生蝋弐百二十五貫目 銀二百匁に付十八頁目ヅゝ 
代を問 弐貫五百目
これは弐百弐十五貫目と右に置 十八貢目をめやすにしてわれバ 一弐五と成 是をばいして 代
銀と知るゝ
△鯨油七百五十貫目 十二貫目二付三十五匁ヅゝ
代を問 弐貫百八十七匁五分
是は七百五十貫目を右に置 十二貫目を目安にしてわれバ 六二五と成 是に三十五匁をかくれバ
代銀と知るゝ
△伊万里焼物の代三貫目を 内五分引て外三分の口銭をかくれバ 何程と問
弐貫九百三十五匁五分
是は目安に十匁と置 五分引は九匁五分と成 是を三貫目にかくれバ 正味銀弐貫八百五十匁と成
これに十匁三分をかくれバ 弐貫九百三十五匁と知るゝ
△椎茸三百廿石内二わり引正味壱石に付五十五匁ヅゝ
代を問 十四貫八十目
是は三百弐十石と置 五十五匁をかくれは 十七貫六百目と成 右に置 又左に壱匁と置 弐分引
は八分と成を 右へかくれハ 代銀と知るゝ 木くらげ同前 右の正味銀に 十匁に付三分の口せん
をかくれバ 代銀共にハ何程と成ぞ
合拾四貫五百弐匁四分と成
是は十四貫八十匁に十匁三分をかくる也
△銀八十五貫目を六ケ月借たる利元 合九十弐貫六百五十匁有 此利何分と問
元一貫目に付一ケ月に拾五匁ヅゝと云
是は九拾弐貫六百五十目と置 八十五貫目引 七貫六百五十匁と成 右に置 左に元銀八十五貫と
置 六月をかくれバ五百十貫目と成 是にて右をわれば 拾五匁ヅゝとしるゝ
△銀三貫目を 一ケ月に壱貫目に付ハ匁づゝの利にして 三ケ月借時 毎月利を元へ直しては 三ケ
月の利何程と問
利七拾弐匁五分七厘七毛五絲三忽六微
これは三貫目と置 壱貫八匁をかくれば 三貫弐十四匁と成 これに壱貫八匁をかくれは 三貫四
十八匁壱分九厘二毛と成 是に又壱貫八匁をかくれバ 三ケ月の元利三貫七十弐匁五分七厘七毛五
絲三忽六微と成 是を元三貫目を引ハ 利知るゝ 壱貫八匁を三度かくる事三月故也
△銀五貫五百目を 一ケ月二分の利にして借申時 四月めに銀三貫二百四十目 元銀を内上して
残を六月めにすます時 元利なにほどゝ問
利元弐貫八百八匁
是は五貫五百目に四月の利をかけ 四百四拾目と成 元へ加五貫九百四十匁と成を 四月めに納す
三貫弐百四十匁を引ハ 弐貫七百匁と成 これに二ケ月の利をかけて 二貫七百匁をくハふれ
バ 二貫八百八匁と成 是にて皆済する
△銀五貫五百目を 一ケ月二分の利にして借中時 四月めに元利共に三貫弐百四十目納申時 六月
めに利元なにほどにて皆済と問
元弐貫八百目
是は元しらずの法なり 先弐分に四月かけ八分と成 是に十匁加て目安に置 内あけの三貫弐百四
十匁をわれバ 元三貫目と成 五百目の内を引は 二貫五百匁と成 右に置 又左に二分と置 是
に六月をかくれば 壱匁二分となる これに十匁をくハヘて十壱匁二分と成 是を右にかくれバ
元利二貫八百匁と知るゝ 是にて皆済する也 右元増直と元直衰ハ 借銀内あげの時に 少のこと
ハりによりて 其違有事をしるす
△上米弐千石 中米五百石 下米三千石 合五千五百石 代百八十七貫目
右の米 上より中も 中より下も   外二わり五分おとりにしてハ 上中下各々壱石に付何程づゝに当
ると問
上米壱石に付 四十三匁二分八り七毛不尽一六リ
上に外二わりおとり中米壱石に付三拾四匁六分ニリ九毛六絲
中に外二わりおとり下米壱石に付廿七匁七分の三毛六糸八忽
先上米弐千石と左に置 又別に十と置 十二五分にわれバ 八分と成 是を中米の五百石にかくれ
バ 四百石と成 左へ加 又後八分を一二半にてわれバ 六分四厘と成 これを下米の三千石にか
くれバ 千九百廿石と成を左へ加 合四千三百廿石と成 是をめやすにして 銀高百八十七貫目を
われバ 上米一石の直と知るゝ 又上壱石の代を一二五分にわれバ 中米壱石の代と知るゝ 又是
を一二五にわれバ 下米壱石の代としるゝなり
△銀四拾四貫五百目
右の銀を 子五人にゆずる時に 兄より次男ハ内二割おとり 次男より三女ハ内二わりおとり 次
男より四男ハ内三割おとり 四男より五男は三百五十六匁おとりにして 各々何程とるぞと問
兄の取前 拾弐貫六百目
兄に二わりおとり次男の取銀 拾貫八拾目
二男に内二わりおとり
三女の取前 八貫六拾四匁
二男に内三わりおとり
四男の取前 七貫五十六匁
四男の高に三百五十六匁おとり
五男の取前 六貫七百匁
先左に兄分一と置 又別に一と置 次男の八分をかけて 左へ加 後八に三女の八分をかけ 六分
匹りと成を 左へ加 又次男の八に四男の七分をかけ 五分六りと成を 左へ加 又五男のふんに
五分六りを加 合三個五分六厘と成を 目安にして 四拾四貫五百匁に 五男の三百六拾六匁を加
て 四十四貫八百五拾六匁と成を 実二置てわれバ 兄の取銀と知るゝ 是に二男の目安八分をか
くれば次男の取銀知るゝ 是に三女の目安八分をかくれバ 三女の取銀知るゝ 又二男のとり銀に
四男の七をかくれバ 四男の取銀知るゝ 是を三百五十六匁引て 五男の取銀と成ス
△内引は 一と置 何わりを引て ほん銀にかくるなり
△外引は 一と置 何わりをくハヘて ほん銀をわるなり
△運ぢんを 積米の内にてとるといふ さんも外引にして 本米と成なり
△米八十石 大豆弐百石
二口代 六貫四百匁に 二人してかい申時
一人は三貫六百目出ス 一人は二貫八百目出ス 右の米大豆 出銀に応じて取時ハ 各なにほどづゝぞ
三貫六百目方ヘハ
米四拾五石 大豆百十弐石五斗
弐貫八百目の方ヘハ
米三拾五石 大豆八十七石五斗
先米八十石を 代六貫四百目にてわれバ 壱貫目に十弐石五斗と成 これを出し銀にかくれバ 銘々
取分と知るゝ 又大豆弐百石を 代六貫四百匁にてわれハ 壱貫目に三十一石二斗五升と成 是を
銘々の出し銀にかくれバ すなハちとりぶんとしるゝなり
△銀九貫七百六十目を 年に二わり五分にして借申時 毎年等分に銀を上 已上三年に納くすしにす
る時 年毎に何ほどづゝあげて等しきぞ
五貫目づふ毎年あげて等分也
先一と置 衰の法一二分五りにてわれバ 八分と成 是に一を加 又衰の法にてわれバ 壱四分四り
と成 是に一を加 又衰退の法にてわれバ 一九分五厘二毛と成 是を目安にして元銀をわれバ
五貫目づゝと知るゝ
衰の法一二分五りと云は 二わり五分と云故也 右のなしやうハ 先元銀に初年の利銀を加て 拾
弐貫弐百目と成 内五貫目をなして 残七貫弐百目と成 是に次年の利を加 九貫目と成 内五貫
目納して残四貫目と成 是に三年めの利を加てミれバ 則五貫目と成なり
粟布衰分均輸等を さまゝゝにしわくれども 皆右にしるす心得也 いづれもおしてしらるべし
下五十俵上八俵也 のほりハしれすと云
△此すいはゑに 俵何ほとゝ問
千弐百四拾七俵有
先上下合五十八俵と成 別に上の八俵を一俵引て 七俵と成をもツて 下の五十俵を引は 四十三
俵となる これを五十八俵にかけ 二にわれバ 千弐百四十七俵としるゝ 惣じてすいばゑを積る
に 上下バかり云時ハ 上を一俵引残程下を引ハ のほりと知るゝ也
△此すいばゑ 上ハ俵のほり廿俵有
下ハ何俵有ぞ
廿七俵有
先上ハ俵を一俵
引 登リに加は
下の数と知るゝ
又此惣数を知時は 
上の八俵と下
と合 のほりをかけ
二にわれバ 三百五十俵と知るゝ
△貫目を唐目の斤になをす時ハ 先貫目を置て 六二五をかくれバ 斤めとしるゝ
又斤目を貫目に直時ハ
先斤目を置 六二五にてわれバ 貫目としれ申候 十六をかけても同し
△しろめハ 貫目を弐三にてわれバ 斤めとしるゝ
斤目に弐三をかくれバ 貫目と知るゝ
△日本めハ 貫めに四をかくれハ 斤目と知るゝ 弐百五拾匁にわりてもよし 分銅目 平の目
其外いつれも斤めはこれになそらヘ
△平の目十八斤づゝの木ワたは 分銅目にしてハ何ほどにあたるぞ
 拾三斤二分
先十八斤に弐百廿匁をかけて 貫目にして 三百目にてわれバ 分銅目拾三斤弐分と知るゝ いづ
れも斤め直事同事意得なり
△此歩何程有と問
答曰 寸歩十九半有
先五寸と置 股の七寸八分
掛 三十九と成 是をニツに
われは 十九歩半と知るゝ
△此歩何程有と問
答曰 十歩零八分二り五毛
先方五寸を左右に置 かく
れハ弐十五と成 是に三角
法四分三三をかくれバ 歩数知るゝ
△此寸歩何程有と問
答曰 十歩零八分一厘二毛五糸
先方二寸五分を左右に置 か
くれバ六弐分五厘と成 これに
五角の法一歩七三をかくれハ 歩数知る
△此寸歩何程と問
答曰 十歩零三分九り二毛
先方二寸を左右に置 かく
れバ四と成 これに六角の法二
歩五九八をかくれバ 歩数知るゝ
△此寸歩何程有と問
答曰 十四歩五分六厘
先方二寸を左右に置 かくれ
ば四と成 是に七角の法三
歩六四をかくれハ 歩数知るゝ
△此寸歩何程有と問
答曰 十歩零八分六り三毛九糸四五
先一寸五分を左右に置 かくれバ
弐弐分五厘と成 是に八角の
法四歩八二八四二をかくれハ 歩数知ルゝ
△此寸歩何程有と問
答曰 十二歩六分四厘八毛
先径四寸を左右に置 かくれ
バ十六と成 是に円法七分七
零五をかくれハ 歩数と知るゝ
△此寸歩何程有と問
答曰 八歩九分二厘五毛
先二寸一分にて寸七分をかくれバ
三五分七厘と成 是に五葉をか
くれバ 十七八分五りと成を ニツわれハ歩となる
△此中ハのけて 輸違の内計
四所に歩数何程有ぞ
答曰 九歩二分九厘六毛
先寸四寸を左右に置 かくれば 十六と成 これに円法七九零五をか
くれバ 十二歩六分四厘八毛と成 実に置 別に又四寸を左右に置
かけ相て 是に円内方の定法五分をかくれバ八歩と成 是を以テ実を減す 残四歩六分四厘八毛と成
是を倍して惣歩数と知るゝ 又残四分六分四厘八毛を半ずつ壱所ノ歩知ルゝ
△此透子に寸歩に何程有と問
答曰 三歩三分一り八毛九絲四五
先内の方寸と 外の方寸と合て三寸六分五厘と成 これを二にわれバ
壱寸八分二厘五毛と成 これに幅三分零三毛壱絲をかくくれば 五分
五厘三毛一絲五忽七微五繊と成 是に六をかくれは 三歩三分壱厘八
毛九絲四忽五微七と知るゝ
△此切龍四面八壁には
寸歩何程有そ
答曰 二百六十八歩七分四毛
先方六寸を左右に
置 かくれバ三十六となる
是に切龍歩法七歩四六四をかくれハ 知るゝ
△此切龍六面八壁に寸歩何程有
答曰 弐百三拾六歩六分
先方五寸をかけあハせ廿五と成
是に歩法九歩四六四をかくる也
△此寸歩何程有ぞ
答曰 七歩六分五厘
先五寸一分に三寸をかくれば
十五三分と成 是を二にわれバ
七歩六分五厘と知るゝ
△此歩何程有ぞ
答曰 六歩五分壱厘
先四寸七分と一寸五分と合て
六寸二分と成 是に二寸一分をかく
れバ 十三零二厘と成を 二にわる
(巻四十一丁裏は破けているためその内容は不明)
△此かうし 立かまち共に 廿一本有 ふとさハ
一寸四方 よこの長八尺一寸有 よこに九本
有 立の長三尺三寸有
子のあひた三寸四方ヅゝ
有時 此かうしうら
おもてぬる時ハ 此歩
数なにほど有ぞと問
○四十六歩一分四リン有
法 よこの八尺一寸と 又両の
折まハしの二寸加へ 八尺三寸
と成 是に立三尺三寸をもつてかくれハ 廿七ま三分九り有 又うらの方ハ 立の三尺三寸へ折まハ
しの二寸を加て 三尺五寸と成 是に八尺一寸をもツてかくれハ 廿八ま三分五り 両合五十五ま七
分四りと成 又三寸四方の内にて 一寸四方のま六ツづゝくうち有 此空地百六十所有ゆへに 六ツに
百六十をかくれバ 九百六十有 是九ま六分なり 是を右五十五ま七分四りの内引ハ 残りて四十六
ま一分四りと知べし 何れもかうしのぬりハ 見やうかん用也
▲此しゆミだんの歩数なにほど有と問
○百七歩六分ありといふ
先上下三尺四尺五尺六尺合一丈八尺有 是にかんきノ
折まわり二尺をかくれハ卅六まと成 又上にも
是ほど有 合七十二
ま 又上平地五尺に六尺
をかくれハ卅ま有 又
中四寸に四方まわり
一丈四尺をかけて 五ま六
分合百七ま六分有
▲此六角のしゆミだんま数なにほとゝ問
○四ま四分四り一毛有といふ
法 上四寸五分に下一尺を加へて一尺四寸五分と成
是にかんきの九寸をかくれバ 一三令五と成 是に
六方をかくれバ 七八三と成 是を
ニツにわれバ三ま九分一り五毛
と成 又上四寸五分左右置 かけて
六角の法二五九八をかくれは 五分二り
六毛と成 是を右の三ま九分一り
五毛へ加へて 四ま四分四り一毛と知也
△此薄紙を四方成と替る時 何
寸四方のを取て 歩等そとふ
答曰 三寸一分一厘一毛八絲五忽
先三寸五分と置 方円直法八
分八九一をかくれバ 方寸知るゝ
△此円物を四方に作りてハ 何
寸四方に成ぞととふ
答曰 方四寸
先径五寸六分五り六毛八絲四忽と置
方絃数一尺四寸一四二一を以てわる也
又曰 四方成を円する時ハ かける法にてはわり わる法ハかくる也
此円ものを 大工かね
のうらのめにてさし
てミる時に 径八寸五
分有 これを角に作
りてハ 又表のめに
て方八寸五分の角
と成 裏のめハ則方
絃の数なり
△或ハひハた五尺縄にて直を定買時に 壱束にて弐寸づゝ不足する 是を五尺縄にて五
百七十六束のかたにハ 何束取てあふぞ
答曰 六百廿五束但四尺八寸縄にて
先五百七拾六束に五尺を二度かくれバ 壱万四千四百と成 右に置 又別に五尺の弐寸不
足四尺八寸を両に置 かくれば 廿三零四厘と成を以テ 右に置壱万四千四百をわれバ
取前と知るゝ
けんち積
○先四十六間に横十
八間をかくれバ 八百二
十八歩と成 三十歩
を以てわれバ 弐反七畝十八歩としるゝ これをわる時 三十歩より内ハ其儘置 此法ケんちにハい
つれも用ゆる
△此地何程有と問
答曰 一反九畝二歩
○先長五十弐間に
よこ廿二間をかくれバ 千百四十四歩と成 是を二にわれバ 五百七十弐歩と成を 三十歩を以テわ
れハ 壱反九畝二歩と知るゝ 二にわると云事ハ 或ハ廿二間を二にきり
如此になる 下の
きれを上のかけ
たる所へたせバ 十一間に五十二間の地と成故也
△此地何程有ぞ
答曰 三反五畝四歩五分
○先廿四間に十三間を加て ニツにわれば 十八間半と成 是に長五十七間をかくれば 千五十四歩
五分と成を 三十歩を以テわれば 三反五畝四歩五分知るゝ
△此地何ほと有と問
答曰 二反壱畝十七歩
○先廿一間に五間を加ヘ
廿六間と成を 二つにわれは十三間と成 是に長廿壱間をかくれハ 弐百七十三歩と成 別に置 又廿
一間に十三間を加て 三十四間と成を 二にわれバ 十七間と成 是に長廿二間をかくれバ 三百七十
四歩と成 別に置たるに加合て 六百四十七歩と成 是を卅歩にてわれバ 弐反壱畝十七歩と知るゝ
△此地何ほど有
答曰 壱反三畝七歩五分
○先五十三間に十五間をかれバ 七百九十五分と成を 二ツにわれバ 三百九十七歩五分と成 是
を三十歩にてわれバ 壱反三畝七歩五分有と知るゝ
△此地何ほと有ととふ
答曰 弐反五畝十六歩八分
○先四十間に十四間を加へ 五十四間
と成を 二ツにわれバ 廿七間となる
是に廿八間四分をかくれば
七百六十六歩八分となる こ
れを三十歩にわれハ 弐反
五畝拾六歩八分と知るゝ 弐尺六寸を四分とする事ハ 壱間十分の四成故也 間の端尺あらハ い
ツにてもそれ斗を六尺五寸にてわる 間の下に加る
△此地何ほど有と問
答曰 二反六畝○六一七四五
○先三十九間の内を廿
三間引は 十六間と成 是に廿二間をかくれバ 三百六十八歩と成 是を別に置 廿三間を左右に
置 かくれバ 五百廿九歩と成 是に円法をかくれバ 四百拾八歩壱分七厘四毛五絲と成を 別に
置たる所へ加合 七百八十六歩壱分七厘四毛五絲と成 是を三十歩を以テわればしるゝ
△此地なにほど有
答曰 二反三畝廿歩四分二五五一弐
先五尺弐寸を六尺五寸を以テ
われバ 八分と成 是に九十四
間を加て 周九十四間八分と成を 左右に置 かくれバ 八千九百八十七零四厘と成 是に円周七厘
九零五をかくれバ 七百十歩四分弐厘五毛五絲一忽二微と成 是を三十歩を以テわれバ 二反三畝歩
四分ニリ五毛五絲一忽二繊と知るゝ 三角より九角まて 法式は口に註す 其外異形おほしといヘ
ども 皆右の心得也 たゞ寸法を定るに品有べし 又三百坪にてわるといふ事誤也 検地のミに
あらず さやうの事おほし
△此廉弐尺五寸の蕎麦
形の四壁に 皆薄を置
時 弐寸四方の薄何枚入ぞ
答曰 二百七十枚○六分ニリ五毛
先弐尺五寸を左右に置
かくれバ 六百廿五と成 是に歩法壱七分三厘弐毛をかくれバ 千八
十弐歩五分と成 是を薄の弐寸をかけあはせ 四歩と成を以テわれバ
薄数知るゝ
 
参両録巻中序
此巻ハ陰陽方円の道を さとさしめん為に 開平立円の法をしるす 是より已前の 板行の書毎に其趣
委くみえたれ共 初心の覚悟に及がたき故に 今又 図式を作て 愚のおもハくを書付るもの也 此
外又速疾の法有といへ共万の道の極意ハ筆点に  顕さぬならひなれバ 若執心のかたもあらバ 直に口
授し侍らん  然に只はやきを 上手といへるハ ひが事也と塵劫記にしるされたれ共 上手とハ道に達
せる名なれバ 達道の人いかでか 不勘に遅事あらんや  遅きを上手とし 早きを下手とせバ 智ふ
智三十里を隔つとかや いへることも楊氏ハ 曹操にをとれりといハんや 早くして違あらんより  遅
してあハんにハしかじとの心根成ベケれ共 それハ勿論いふにたらず とかく世上にハ人もなげ成申さ
れやう哉と  つぶやくかたも有也
参両録巻中目彔
第一 坪積
わく じやかご 堤 方台
堀普請色々
第二 裁積
材木 石の積り色々
第三 升積并に昔舛
錐物 つるべ 七種 九物の
方物 水舟 おけ
第四 開平法并に図付式断
歩数断 数位 箱作式
相応式 異形作式
円形作式
第五 開立并図付式断
坪数断 数位 烏算 舛作式
桶樽色々 作式 立円作式
立丸事
第六 高倍延
五分より壱尺まて
参両録
坪数因式
栗石何程入と問
答曰 壱坪五分
先八尺四寸五分と置 五尺を
かくれバ 四十二歩二分五厘と成
を 間歩を以テわれバ 一歩と成 是に高さ一
間半をかくれバ坪数知るゝ
△此わくに坪何程有
答曰 壱坪五分
先中一間に二間をかけ弐
歩と成 二にわり 高一間半をかくる也
△此三角??くに栗石何程入ぞ
答曰 坪九分二厘五毛二絲八忽
先方七尺八寸を左右に置
かくれば六十歩八分四厘と成
是に三角の法四三三をかくれハ 廿六歩三分四厘三毛七絲二忽と成 是を間歩法四十二二五を以テわ
れバ 六分二厘三毛五絲二忽と成 是に高壱間半をかくれバ 九分三厘五毛二絲八忽と知るゝ
△此しや龍に くり石何程入といふ
答曰 二坪八分四厘五毛八絲
先壱丈三尺を左右に置 かくれハ
百六十九と成 これに周の円法七
九零五をかくれは 十三歩三分五
厘九毛四絲五忽となる これ
を間歩の法四十二二五を以テ
われは 三分壱厘六毛二絲
と成 是に長九間をか
くれハ 坪と知るゝ
△此堤の坪数何ほとある
答曰 百七十壱坪
先弐間と七間と合 九間
と成 これを二にわり 四間
半に高二間をかけ 九歩
となる これに長十九間
をかくれは 百七十
壱坪と知るゝ
方台坪因
○上 五間四方
○下 六間半四方
○高 壱丈壱尺七寸
△此土坪数を問
答曰 五十九坪八分五厘あり
先六間半に三をかくれは 十九間半となる 是に五間をかくれは 九十七歩半と成 是を実に置
別に又六間半を五間減ハ 壱間半となる これを左右に置 かくれは 弐歩二分五厘と成 実へ加
合九十九歩七分五厘と成 これに高壱丈壱尺七寸をかくれハ 干百六十七零七五と成 是を六五を
以てわれは百七十九坪五分五厘となる これを三をもツてわれは 五十九坪八分五厘と知るゝ
▲○長二百七十間 ○幅十三間 ○深三間
此坪 壱万零五百三拾坪
先弐百七十間に十三間をかくれは 三千五百十歩と成 これに深さ三間をかくるなり
▲○二十二間半四方 のふかさ二丈五尺に掘ル
此堀坪 四千零六十弐坪半有
先三十二間半を両に置 かくれハ 壱千五十六歩二分五厘と成 これに深二丈五尺をかけて 六
尺五寸にてわる時 坪知るゝ也
此式にて 因帰の能をあらはす
▲○古堀長三百間 ○幅八間 ○深二間半
此古掘を 右の四千六十二坪半を以テ 壱方より埋れハ 長何ほどうまるぞ
答曰 二百三間八寸壱分弐厘五毛
先幅八間に 深二間半をかくれバ 二十坪と成を以テ 四千六十二坪半をわれバ 弐百零三間壱分
弐厘五毛となる この壱分弐厘五毛はかりに 六尺五寸をかくれば 弐百三間八寸壱分弐厘五毛
と知るゝ
△又四千六十弐坪半を以テ 二百五十間に十六間の古堀をうむる時 深何程うまるそ
答曰 壱間一寸零壱厘五毛六糸二忽五微
先弐百五十間に十六間をかくれバ 四千坪と成 これを以て四千六十二坪半をわりて 間より下ヘ
は六尺五寸をかくる時 知るゝ
坪数因分
△此屋敷百二十間四方有 此内に幅五間 ふかさ二丈四尺二寸の堀を まハりにほり 此土を以て
中の屋敷をつきあぐる時は 何程たかくなるぞ
答曰 四尺六寸
先百二拾間の内を 堀の幅五間引 百十五間と成 これに四方をかくれは 四百六十間と成 これ
にほりはゞ五間をかくれば 二千三百と成 これにふかさ二丈四尺弐寸をかくれば 五万五千六百
六十となる 右に置 又百廿間の内 ほりのはゞ五間づふ両方にて引は百十間と成 これを両に
置 かくれば 壱万弐千百と成 これを右に置 五万五千六百六十をわれば 四尺六寸と成なり
△右の屋敷廻り 堀の土にて堤をつき申時 長八百間 高二間半 下六間半にしてハ 上にてはゞ
何程有そ
答曰 壱丈三尺四寸壱分
先四方廻り四百六十間に 五間をかくれば 二千三百と成 是に深さ弐丈四尺二寸をかくれバ 五
万五千六百六十と成 右に置 別に長八百間に高二間半をかくれバ 弐千と成 是にて右をわれ
バ 二丈七尺八寸三分と成を倍て 内六間半の尺を引 残則上の幅也
裁因式
長三間の五寸角に 壱尺の裁何程有ぞととふ
答曰 四切八分七厘五毛
先五寸を左右に置 かくれば 弐分五厘と成 これに長さ壱丈九尺五寸をかくれバ 裁切と知
るゝ 壱丈九尺五寸といふは 三間の丈なり
此角に裁何ほど有ぞ
答曰 六裁三分七厘
此木三裁壱分弐厘有
法に曰 八寸に四寸をかくれバ 三分二厘と成 右に置    間半に六尺五寸をかくれバ 九尺七寸五
分と成 是を右に置たる三分二厘にかくれば 裁と知るゝ
比木十弐切八分七厘有
去に曰 厚の八寸と五寸を合    壱尺三寸と成を 二にわれバ 六寸五分と成 是に幅壱尺一寸をかく
れバ 七分壱厘五毛と成 是に長一丈八尺をかくれバ 十二裁八分七厘と知るゝ
此木八裁三分二厘三毛九絲六忽五微有
法に曰 径九寸を左右に置 かくれバ 八分壱厘となる これに円法七九零五をかくれは 六分四厘
令毛三絲令忽五微と成 これに長二間に六尺五寸をかくれバ 壱丈三尺となるをかくれば 八裁三
分二厘三毛九絲六忽五微と知るゝ
此木五裁八分五厘七毛六絲○五微有
法に曰 本口九寸に三をかくれバ 弐尺七寸となる 是に六寸をかくれバ 壱歩六分弐厘と成 別に
置 又別に九寸の内 六寸減して三寸と成を 左右に置 かくれは 九厘と成
実に置たる壱歩六分二厘に加合 壱歩七厘壱毛と成 是に長壱丈三尺をかくれバ 二十二切弐分三
厘と成 是に円法七九零五をかくれバ 十七裁五分七厘二毛八絲壱忽五微と成 これを三を以テわれ
バ 則五切八分五厘七毛六絲零五微と知るゝなり
此木に裁何程有ぞと問
答曰 五裁二分 五寸と八寸をかけ長をかくる也
径五寸のまる木 長壱丈三尺有を 裁数同前にして 五寸の角に直して 長を問
壱丈三尺に七分九零五をかくる也
又曰 右のごとくに好角をまる木に直す時は 円法を以て長をわるなり
又曰 長同前にして 方径に直事 口に註
△此石の升目 何程有ぞ 但壱尺の裁を五斗めにして
答曰 壱石五斗壱升二合五勺
先広狭合壱尺一寸と成を 二
にわれバ 五寸五分と成 是に幅壱
尺壱寸をかくれバ 六歩五厘と成
これに長五尺をかくれば 三切
弐厘五毛と成 これに壱尺四
方の裁の舛目五斗をかくれハ
壱石五斗一升弐合五勺と知る
△此石二舛目何程有 右同積にして
答曰 四石四斗五升五合目有
先一尺五寸に九寸をかくれバ
壱歩三分五厘と成 これに長
六尺六寸をかくれバ 八裁九分
壱厘と成 これに壱尺の
裁の舛目五斗をかくれバ
四石四斗五升五合と知るゝ
石の舛目を積事は口
伝有 右ハ大かた也
△此切龍形の石に舛目何程有ぞ
答曰 弐石零三升六合四勺四抄八撮
先方一尺弐寸を
左右を置 かくれバ
一四分四厘と成
これに又壱尺弐
寸をかくれハ壱七
分二厘八毛となる
これに切龍坪法二坪三分五厘七毛をかくれバ 四坪零七厘二八九六と成 是に五斗をかくれバ 知る
升作式
△此四方錐物に今舛にて何程入と問
答曰 壱升五合入
△先四寸九分を左右に置 かくれバ 廿四歩零壱厘と
成 是に深さ壱尺二寸壱分半をかくれバ 弐百九十壱七分二厘
壱毛五絲と成 これを三を以テわれバ 九十七坪弐分四厘零五忽と
なる これを舛の定法を以てわれハ 入と知るゝ
△此釣瓶に 今舛にて 水何程入と問
答曰 二升四合八勺七抄入
先口六寸に三をかくれバ
壱尺ハ寸と成 是に底
三寸九分をかくれバ 寸歩
七十零弐分と成 実に
置 又別に口の六寸を三寸九分減は 二寸一分と成 是を左右に置 かくれバ 四歩四分一厘と
成 実へ加合 七十四六分壱厘と成 これにふかさ六寸四分八厘二毛七絲をかくれバ 四百八十三
坪六分七厘四毛二絲四忽七微と成 これを三を以テわれバ 百六十壱坪弐分二厘四毛七絲四忽九微と
成 是を今舛の法を以テわる也
△此六角の器に古升にて何程入と問
答曰 二升九合五勺三抄四撮七圭四栗六零八
先方三寸五分を左右に置
かくれバ 寸歩十二弐分五
厘と成 これに六角の法二
歩五分九厘八毛零六
をかくれば 三十一歩八二
六二三五と成 これに深さ五寸八分をかくれば 寸坪百八十四五分九厘二毛壱絲六忽三微と成 こ
れを六十弐坪半を以てわれバ 入め知るゝ 又壱六をかけても同事
△此五角の器に古舛にて何程入ぞ
答曰 一升一合一勺八才九撮六圭四
先方三寸五分を左右に置
かくれバ 十二弐分五厘と成
是に深三寸三分をかくれバ
四十零四分弐厘五毛と成
これに五角の歩法壱歩七分三厘をかくれば 六十九坪九分三厘五毛二絲五忽と成 これに壱六をか
くれバ入目知るゝ 九物七種の算用ミなこれになそらヘ
△右の五角入目はそのまゝにして 方四
寸にしてハ 深さ何程と成
答曰 二寸五分二厘六毛五六二五
先三寸五分を左右に置 かけ
て ふかさ三寸三分をかくれバ
四十零四分弐厘五毛と
なる 右に置 又別に今好四寸を両に置かくれバ 十六と成を以て 右をわれバ 尋ぬるふかさ知
るゝ かやうの時は いづれも定法は不用也 余は准之
△此水舟に尺坪何程有そ
答曰 三坪二分八絲五忽
長口 四尺同底三尺七寸
横口 弐尺底壱尺七寸
ふかさ 四寸五分
此術方台の式なり
口の径 七尺三寸弐分
底の径 七尺弐分
深さ 六尺四寸八分二厘七毛
△此桶に 今升にて水
何程入ぞととふ
答曰 四拾石六斗四升四合六勺六才四撮二置
先口七尺三寸弐分に三をかけて これに底七尺二分をかくれバ 尺歩百五十四一分五厘九毛二絲と
成 実に置 又口七尺三寸二分の内そこの径を引は 三寸残る 是を左右に置 かくれば九厘とな
る これを実へ加 百五十四弐四九二となる これにふかさ六尺四寸八分弐厘七毛をかくれば 九
百九十九坪九分五厘壱毛弐糸八忽八微八繊四沙となる これを三にわれバ 積三百三十三坪三分壱
厘七毛零九忽六微弐繊八沙となる これを今升の法六分四八二七にてわり 円法をかくれバ 入目
と知るゝ またむかし舛にて今好時は 積坪に十六をかくるなり 舛ハ古今共に口傅あり
△歩と云は凢壱寸四方 壱尺四寸 一間四方等也 或は寸歩を以テ四方成形を作に
開平数位
一有時は 一寸四方   四ヨリ内は壱寸余
四に満ば 二寸四方   九ヨリ内は二寸余
九に満ば 三寸四方  十六ヨリ内は三寸余
十六に満は 四寸四方  廿五ヨリ内は四寸余
廿五に満は 五寸四方  卅六ヨリ内は五寸余
卅六に満は 六寸四方 四十九ノ内は六寸余
四十九に満は 七寸四方 六十四ノ内は七寸余
六十四に満は 八寸四方 八十一ノ内は八寸余
八十一に満は 九寸四方   百ヨリ内は九寸余
百に満は 壱尺四方   余皆同前
一百万兆垓穣澗載は一の位也
故に四百有時は弐尺四方 又万有時は壱丈四方 四万有ハ弐丈四方と作すなり
十千億京行溝正極は十の位也
故に千六百有時は四尺四方 弐千五百有は五尺四方と作す也 又弐億五万有は五丈四方と作す
余は准之
開平法
△積尺歩千百弐十弐歩弐分五厘有 これを四方に作しては方何程に成ぞ
答曰 三丈三尺五寸
先積千百弐十弐
歩弐分五を実に
置 位をみれば九
百余 千六百に満さ
る故三丈余なり
故に実を九百歩
引て この形をもと
め 則商に三丈と置 別に三丈を倍して六丈となる これに三尺かくれバ 百八十歩となる これ
を実にて引
右のかたちの二方へ足せは
如此になる 今足
たる三尺をかけあハ
せ 九歩と成 是を
実にて引 角へた
せば 四方に満て
如此になる故 商
へ三尺加 残歩三十
三弐分五厘とな
る また別に三丈
三尺を倍して六
丈六尺となる こ
れに五寸をかくれ
ば 三十三歩となる これを実にて引て 右の三丈三尺の形へたせは
如此になる 今足
たる五寸をかけ
あはせ 弐分五厘
となる 実を引
て 角へたせば 三
丈三尺五寸四方
満る故 商へ五寸
を加る 商は則今尋る方数なり
開平式断
△或は右の形をもとむるとて 商を倍して六丈と作すと云は 図にしるすごとく 四方になさんと
て 二方へ足故也 又此六丈に三尺をかけたる事は三丈の形をもとめたる時 不尽二百廿二歩二分
五厘有を 三丈の二方へ二尺ヅゝ足ハ 不尽おほし 又四方ヅゝ足ハ 角へ足歩不足成故に 三
尺ヅゝ足さむとて 三尺をかくるなり 重て商の三丈三尺を倍して 五寸をかくる事も同事 余は
これになぞらヘ
△昔舛にて弐升弐合五勺入桶に 四方成はこを作時 深さ弐寸五分にしてハ
何程四方に成ぞ
答曰 七寸五分四方
先弐升弐合五夕に
昔舛の法六十二坪半
をかくれバ 百四十坪
六分弐厘五毛と成 是を深にてわり 五十六坪二分半と成 是を開平にて除之
相応開平
▲○横壱尺五寸 ○竪七寸五分有がくに 今
寸歩三百三十七歩半を 四
方へ相応に足ては 横
竪何程つゝに成そ
答曰 横三尺 縦一尺五寸
先壱尺五寸に七寸五分を
かくれバ 百十弐歩半と成
是に三百卅七歩半を加て
四百五十歩と成 是に七寸
五分をかくれバ 三千三百七
十五歩と成 これを壱尺五寸にわれば 弐百弐十五歩と成 是を実に置 開平の式を行へば 竪壱
尺五寸と成 又一尺五寸に 又古横壱尺五寸をかくれば 弐百弐十五歩と成 是を置て七十五分に
てわれバ 今尋るよこ三尺と知るゝ也
異形開平
△今舛にて弐升七合七夕壱抄二撮入
三角の器を作る時 ふかさ六寸四分八厘二毛七糸にして 方何程に成ぞ
答曰 八寸の三方
先弐升七合七夕壱抄弐
撮に 今舛の法六十四八分二
厘七毛をかけ 是をふかさ
六寸四分八厘弐毛七絲に
てわれバ 弐十七分壱厘
弐毛と成 是を三角の法四分三厘三毛にてわれば 六十四歩と成 是を実に置 開平の式を行へば
方八寸知るゝ
七種の方物これになそらへ 七種とは三角より四五六七八九角等なり 余同
開平円法
△此四百九十四歩零六厘二毛五絲を平
円にしてハ 径何程に成ぞ
答曰 径二尺五寸
先積歩を
七分九
り零五
を以テわ
れバ 六百
廿五歩と成
を 開平にて除ハ 径と知るゝ
開立数位
△坪と云は 凢壱寸四方 壱尺四方 壱間四方開立六面成物也 或ハ寸坪を以て四方六面の形を作るに
一有時は壱寸六面     八ヨリ内ハ壱寸余
八に満は二寸六面    廿七より内二寸余
廿七に満は三寸六面    六十四ノ内は三寸余
六十四に満は四寸六面    百廿五ノ内は四寸余
百廿五に満は五寸六面    二百十六ノ内は五寸余
二百十六に満は六寸     三百四十三ノ内は六寸余
三百四十三に満は七寸    五百十二ノ内は七寸余
五百十二に満は八寸     七百廿九ノ内は八寸余
七百廿九に満は九寸      千ヨリ内は九寸余
千に満は壱尺六面
十千兆𥝱澗極は一の位也 故に八千有時は弐尺と
作す 一兆有時は一丈と作す
十万京穣正は十の位也 故に弐万七千有時は
三尺と作す また弐京七兆有時は 三丈作す 余ハ准是
百億垓溝載は百の位也   故に一億二万
五十有時は五尺と作す 又七億二万九千有時は九尺と作す 余ハ皆これになそらヘ
開立法
△積尺坪三千三百七十五坪有
但寸坪にしては 三兆三億七万五千有
是を四方六面に作しては何程に成ぞ
答曰 壱丈五尺四方六面
先積三千三百七十五坪を実に置 位を見るに 千已上八千の内なれバ 壱丈余なり 故に実を千坪
引ハ
此形と成故に 先商に壱
丈と置 別に壱丈を
両に置 かくれは 百歩と
成 不尽の数を見合百歩
に五尺をかくれバ 五百坪と成 是に三方
をかくれバ 千五百坪と成 是
を実にて引ハ
此形成物三ツ出るを 右の
図のごとく成ものゝ三方
へたせば
如此の形と成 又別
に今足たる五尺を
両に置 かくれバ 廿
五坪と成 是に壱丈
をかくれは 二百五十坪
と成 是に三廉をか
くれは 七百五十坪と
成 是を実にて引バ
此形成物三出る これを右
の図のことく 口形の三度ヘ
足ハ
如此の形となる又
別に足数五尺
を置 五尺を二
どかくれバ 百
弐十五坪となる
実を引て 如此
なる形となして
是を角へたせば 壱丈五尺に
満る 則商へ此五尺を加る也
商と云ハ今尋方数なる故 右
のこどく三方へ足 其数にて三廉へたし 又角へたし 六面にみたる時 其足数を商へくハふるなり
開立式断
△夫開立法ハ 積坪の数位をミあはせ 六面成かたちをもとめ 扨三方三廉角へ右の図のごとく足
て 四方に成也 先右の形をもとむるに 百坪に五尺をかくると云事ハ 壱丈四方なる所へ 四尺
づゝ足は 三方へは百二十坪成故に不尽多し また六尺づゝたせば 三方へ百八十坪成故 廉角ヘ
たらず 故に五尺づふ足さんため 壱方の歩数に五尺をかくる也 余ハ准之
△鷹一浦に惣うらの数程づゝありて 壱羽して惣浦の数ほどづゝなきたるこゑ 合九億九千七百万
零零弐千九百九十九こゑ有 此鷹の数ハ何ほどぞととふ
答曰 一浦に九百九十九羽宛あり 浦の数こゑのかず同前
先九億九千七百万零零二千九百九十こゑと置 開立の式を行ヘバ 鷹のかず こゑのかず うらの
数と知るゝ
帯縦開立
△八舛入今舛を作時 口深何程に成ぞ
答曰 口底九寸八分四方 深五寸四分
先帯縦今舛の定法百
十七坪六分四厘九毛に 好八
舛をかくれば 九百四十一
坪壱分九厘弐毛と成 是を
実に置 開立の式を行ヘバ 方九
寸八分と知るゝ 探さを知時ハ 方数に深の定法五分五厘一毛零弐忽零四繊零八塵壱埃をかくれ
バ 五寸四分と成也 壱合より壱斗まてハ准之 又昔舛を作式ハ 好舛の数に六十二坪半をかけ
て 是を倍して実に置 開立の式を行へば 方寸と知るゝ 又ふかさを知たきといふ時ハ 方数に
五分かくれは知るゝ 又今舛も一斗余ハ舛の法を用替て 如此する 口傅
△八斗入桶を作時 口底深各々何程と問
口の径
壱尺九寸八分
底の径
壱尺九寸一分二厘
ふかさ口傅有之
一尺七寸三分ニリ三毛六絲
先桶作定法九十七坪零二厘九毛九絲と置 好舛数八斗をかくれハ 七千七百六十弐坪三分九厘弐毛
と成 これを実に置 開立の式を行へは ロの径壱九寸八分と知るゝ 又此一尺九寸八分に底の定法
九分五厘六毛をかくれハ 一尺八寸九分二厘八毛八絲と成 足を寸定九分九厘にてわれバ 底径壱
尺九寸一分二厘と知るゝ 又口の径一尺九寸八分に 深の定法八分六厘六毛一絲三忽をかけてハ
一尺七寸一分四厘九毛三絲七忽四微と成 是を寸定九分九厘にてわれバ 深さ一尺七寸三分二厘二
毛六糸と成 口傅有
△弐升壱合九夕七抄入長樽を作時 口底ふかさ各々何程に成ぞ
口径 五寸三分五厘六毛
底径 五寸八厘三毛
深 六寸六分一り一毛九○四微 口傅有也
先長樽作法六十九坪九分三厘四毛五絲弐忽八微と置 好舛数弐升壱合九夕七抄をかくれバ 百五十
三坪六分四厘六毛一絲五忽八微一沙六塵と成を実に置て 開立の式を行ヘバ ロの径五寸三分五厘
六毛と成 是に底の定法三分九厘一毛をかくれバ 弐寸九厘四毛一絲九忽六微と成 是を寸定四分
一り二毛にてわれバ 底の径五寸零八厘三毛と知るゝ也 又口の五寸三分五厘六毛に 深の定法五
分八毛六絲八微をかくれバ 二寸七分ニリ四毛一絲四微四繊四沙八塵と成を 寸定四分壱厘弐毛に
てわれば 深六寸六分壱厘壱毛九絲四微となる也 定法出所規矩の抄に註す 口傅有
△三升三合七夕五抄入平樽を作時 口そこふかさ各々何程に成ぞ
ロノ径 八寸二分六厘八毛
底ノ径 八寸一分三毛 口傅有之
深サ 四寸一分三り五絲五忽
先平樽作法百六十七坪四分六り六毛三絲七忽七微七繊二沙八塵に 好舛数をかくれバ五百六十五坪
一分九厘九毛二忽四微八繊三沙二塵と成を実に置 開立の式を行ヘバ ロの径八寸二分六り八毛と
成也 是に底の定法五分四り零二絲をかくれバ四寸四分六り六毛三絲七忽三微六繊と成 是を寸定
五分五り一毛二絲を以テわれバ 底の径八寸壱分三毛と成なり 又八寸二分六り八毛に 深定法弐分
七厘五毛三絲七忽をかくれバ 二寸弐分七り六毛七絲五忽九微一繊六沙と成 これを寸定五分五厘
一毛二絲を以テわれば 深四寸一分三厘五絲五忽と成 口博有
開立円法
△積寸坪壱万弐千三百五十壱坪五分六厘弐毛五絲入様に円き器を作時 径とふかさと同前にしてハ 何程
に成ぞ
先積坪を円
法七九零五に
てわれバ 一万
五千六百廿五
と成 実に置
開立の式行
積六万弐千弐百令八
但壱尺六面ノ
積なり 右
を立円法
にして
は さしわ
たしなに
ほどふとふ
径四丈八尺といふ
右の積を以テ丸玉の定法をあらハす時ハ 先四丈八尺と置 四丈八尺を二度かけて 其数をめやすに
して 六万弐千二百零八をわれバ 五六二五と成をミて
くミみてもそこからすまぬ玉の法
五六二五りし水にハあらねと
又或秘伝の書には 丸玉の貫法を五分壱厘 周を度ては六十弐帰を用と註せり 予考る者は 規矩
の抄に記す 名付団丸法といふ
高倍延
五分  壱厘二毛四絲  壱寸四厘九毛八絲
一寸五分 一分一厘一毛八糸  弐寸 一分九厘八毛零
二寸五分 三分七毛七糸    三寸 四分四厘三絲
三寸五分 五分九り四毛八糸  四寸 七分七り零三糸
四寸五分 九分六り五毛八糸  五寸 一寸一分八厘零三糸
五寸五分 一寸四一り二毛七  六寸 一寸六分六り一毛九糸
六寸五分 一寸九分二厘六毛八 七寸 二寸二分零六毛五糸
七寸五分 弐寸五分零     八寸 二寸八分零六毛二糸
八寸五分 三寸一分二厘四四  九寸 三寸四分五り三毛六糸
九寸五分 三寸七分九厘三一  壱尺 四寸一分四り二毛一糸
積置高倍の延ハ 勾股絃を以て これを考へしるす 此式を規矩の抄に註す 歩行にをよバざる所の
遠近を眼にてはかるも此術也
 
参両録巻下序
塵劫記の下巻に 十二ケ条の算用を あげて各法を闕て 後世の補を待様にみえたり 愚今其図を
写しのせて 此帖に註を加へあらハしぬ  但しれものゝしハざなれば たとひあふとも もちひられま
しき欤 なれども 諸事分明なる所 此道の肝要なれば 何ぞ秘所がましく 本算にあらすはなど こ
とゝゝしくは しるされたるぞや  抑大極の一理動静して 清濁のニ気 わかれしよりこのかた 四
象八卦千変万化する大道を かく手狭に思ハるゝハ とかく至極の所をしられぬゆへなるにや されば
ケ條のうちに すぢなき事もあるとおぼゆ 其義ハ左にことハり待らん 今又愚あらたに八の図をあげ
て 算法を演る事 まことに此書の極意にして 彼塵劫記の十二ケ條のだぐひにはあらず  つまびらか
に其格を明めず 其義をしるさゞる事は 世の人を欺かんとにもあらず 又わづらハさんとにもあら
ず 古人の所謂ひいてはなたずといふものか  但童蒙 工夫のたすけともならむぞかし
和澄
参両録巻下目録
第一  盈朒式
第二  差分式
第三  勾股断
第四  組合分式 三組三色 二組四色 二組三色
第五  三色盈朒式
第六  方台式
第七  円台裁断式並二唐木の事
第八  栗石積式
第九  円裁事
第十  九連事
第十一 差分図
第十二 横直絃図
第十三 裁断図
第十四 勾股図
第十五 方円卵図
第十六 弧矢弦図
第十七 円闕図
第十八 丸裁図
参両録巻下
盈朒
△さるぬす人 橋の下
にてぬのを分て取を 橋
のうへを通りあハせて
きけば 人ごとにぬの十二端
づゝわくれバ十二端あまる
又人ごとに十四端づゝわくれ
バ六端たらずと云也 此盗人
の数 布数ハ何程ととふ
○ぬす人九人 ○布百廿たん  
先あまると云十二たんと たらぬと云六端と 合十八端と成 これを実に置 別に十四端を十二た
ん引て二たんになる これにて実をわれバ 人数九人と成 此九人に十二たんをかけて あまると
いふ十二たんを加る時 百廿たんと知るゝ
差分
△木綿十反に付上十二斤づゝと 次十三斤づゝに買申を 二口合二千六十斤有
二口代壱貫五百八十八匁
是を木綿代銀各々分時は なにほどつゝととふ
上綿 百十斤    代八十八匁
次綿 千九百五十斤 代壱貫五百匁
先壱貫五百八十八匁に十三斤をかけて 弐千六十四斤四分と成 これを弐千五十斤引ば 四斤四分
と成 これを五分にてわれバ 八十八匁となるを以テ 壱貫五百八十八匁を引バ 次綿の代銀と知るゝ
別々の代に それゝゝの直をかくれバ 斤目と知るゝなり
勾股積 此図塵劫記に有
東いぬいうちまハリニ
方共に八十位置間有
又東方長さ何程ぞ
いぬいの方ひろさ問
ひつしさる方ひろさ問
東ひつしさるうちまハり
て二方共に七十二間有
横直弦交分
右のごくとに好候ては 問所さだまらざる故 可答やうなし 若此図のご
とく兌の角かねのて
にあふ時ハ 右のごとく問
候ても法あり
乾方 三十六間
坤方 二十七間
東方 四十五間
中歩 四百八十六歩
此式規矩抄に註す
塵劫記に有 三組三色
檜木 弐本 松木 四本 杉木 五本 三色銀合弐百弐拾目
檜木 五本 松木 三本 杉木 四本 三色銀合弐百七拾五匁おのゝゝ右のねと同前
檜木 三本 松木 六本 杉木 六本 三色銀合三百目おのゝゝいつれも右と同前
右檜木松杉各々一本に付何ほどぞ
答曰 檜壱本に付 三十目ヅゝ
松壱本に付 十五匁ツゝ
椙壱本に付 弐十目ツゝ
式に云
先口の一組檜木松木椙木代銀 いつれも別々に 口の組の檜の二本をかけて 五本にてわれバ 檜
二本松壱本二分杉一本六分代銀百十匁と成 これをもツて 今の三色又代銀を減ハ 残松弐本八分
杉三本四分銀百十匁と成 別に置 又中の三色并に代銀を 別々に減る所の二本をかけ 五本
にてわれば 檜三本松壱本八分杉弐本四分銀百六十五匁と成 これを以て 三本の組檜松杉代銀を
減ば 残松四本弐分杉三本六分百三十五匁と成 これを別に懸たる松弐本八分を別々に置 松の四
本弐分を以てわれば 松弐本八分椙弐本四分銀九十匁と成 これを以て別に置たる松杉代銀減ば 残
杉壱本銀弐十匁と成 これ即杉壱本の代銀也
○又松の直知度時ハ 杉三本六分に直の弐十匁をかけ 七十弐匁と成 これを以て百三十五匁の
内を引バ 残六十三匁と成 これを松四本弐分にてわれば 壱本の直十五匁と知るゝ也
○又檜の直を知時ハ 口の杉五本に廿匁をかけ百目と成 叉松四本に十五匁をかけ六十匁と成 二
口合百六拾匁と成 二百廿目を引バ 六十匁と成を 弐本にわる也
塵劫記に有 二組四色
松木 八十本 檜木 五十本 此銀合弐貫七百九十目
松木 百廿本 杉木 四拾本 まつ右のねと同前此銀合弐貫三百廿弐匁
杉木 九十本 栗木 百五十本 すき右のね同前此銀合壱貫九百三十弐匁
栗木 百廿本 檜木 七本 くり右のねと同前此銀合四百拾九匁
右檜木松杉栗
おのゝゝ一本に付何ほとそ
答曰 ひの木 一本に付 卅五匁
すき  一本に付 十九匁五リン
まつ  一本に付 十三匁
くり  一本に付 一刄四分五リン
塵劫記に有 二組三色
きぬ 三疋 ぬの 八端 此代合弐百七拾八匁五分
ぬの 弐端 さや 四巻 右のねと同前 但卅四匁七分此代合四百弐拾壱匁四分
さや 一巻 きぬ 弐疋 さや右のねと同前 但一巻八十八匁 此代合八拾八匁六分きぬハしめのねと同前 一疋三分
右のきぬさやおのゝゝいツれもねたんなにほとそ 此式准三組三色に                                                                       
盈朒法 塵劫記に有
▲今具足二両と上馬五疋と売て こんだ十三疋かハんとすれハ 小判五両あまる 又具足一両とこ
んだ一疋うりて 上馬三疋買とすれば 適足なり 又上馬六疋とこんだ八疋と売て 具足五両買
とすれば 小判たらざる事三両なり
右の具足上馬こんだおのゝゝねたんなにほとそと問
問曰 具足一両に付上馬一疋に付こんだ一疋に付何ほとそ
答曰
具足一領    小判六両宛
上馬一疋    同 弐両二歩ツゝ
小荷駄一疋     壱両二歩ツゝ
式に云
先三口合買物を分 具足三領上馬十一疋小荷駄九疋と成 買物ハ小荷駄十三疋具足五領上馬三疋
と成時に 買物を以て売物を引 買物を以テかい物を引ハ うり物の残 上馬八疋 買物の残 小
荷駄四疋具足弐領と成時に 小判は二両余る 是を置 中に云具足一領小荷駄一疋上馬三疋を
各々倍して 加合て 買物を以テ買物を引 売物を以テ売物を引は 売物の残 上馬二疋買物小荷
駄二疋と成 小判は弐両あまる 別に置て 又売物具足三領上馬十一疋小荷駄九疋 買物具足五
領上馬三疋小荷駄十三疋置 これに初云 具足上馬小荷駄各々加て 具足五領上馬十六疋小荷駄
九疋 又具足五領上馬三疋荷駄二十六疋と成 これを売物を以テ売物を引 買物を以テかい物を引
ハ 上馬十三疋売小荷駄十七疋買 あまる小判は七両となる時に 別に置たる上馬二疋小荷駄二
疋小判二両を各々置て 十三をかけて初の上馬二疋を以テわれバ 上馬十三売小荷駄十三疋買ハ
小判十三両余ると知るゝ 此二組を盈朒の式を行ヘバ 上馬の直と成 是を上馬十三にかけ 小
判十三両引は 十九両半と成 是を小荷駄十三にてわれハ 直と成
方台 此図塵劫記に有
▲北にほりをほる時に
此土五千六百坪
有 此土にて
南に下卅間
四方にして 高
九間天主の
土台をつく
時にハ 上にてハ
ひろさなにほと
そと問
答曰 上の方十九間五分二厘零五絲二忽不尽
式に云
先五千六百坪を高九にわりて これに概法五分八厘一毛をかけ 三百六十一坪余と成 余ハ捨て
残を実に置 開平の式を行ヘハ 上の方十九間と成 これを方台の式を行へは 五千四百九十三
坪と成を以テ 積五千六百坪を引は 残百七坪と成 これに六をかけ六百四十二坪と成 実に置
別に上の十九間に四をかけ 七十六間と成 法に置 下の方三十間に二をかけ 六十間と成 法
へ加 百三十六間と成 これに高九間をかけ 千二百廿四坪と成 これをめやすにして 実を壱
けたわれハ 商五分不尽三十坪と成 別に商の五分を倍して 五分をかけて 高九間をかけれハ
四坪五分と成 不尽を引ハ 残弐十五坪五分と成 実に其儘置 叉別に商の五分に四をかけ 高
九間をかくれバ 十八坪と成 目安に加 千弐百四十弐坪と成 是を以て実を 一けたわれは 商
弐厘不尽六分六厘と成 別に弐厘を倍し 二厘をかけ 高九間をかくれば 七毛弐絲と成 是を
以テ不尽を引 残六分五厘弐毛八絲と成 実に其まゝ置 又商の二厘に四をかけ 高九間をかくれ
バ 七分弐厘と成 是を目安に加 千弐百四十弐坪七分二厘と成 これを以テ実を一けたわれバ
商五絲不尽三厘一毛四糸四忽と成 別に商の五絲を倍し 五絲をかけ 高の九間をかけ 四微五
繊と成 是を以テ不尽を引ハ 残三厘一毛四絲三忽五微五繊と成 又別に商の五絲に四をかけ 高
九間をかくれバ 一厘八毛と成 是を目安に加 千弐百四十二坪七分三厘八毛と成 これを以テ実
を壱けたわれば 商弐忽不尽六毛五絲八忽零七繊四沙と成 別に商の二忽を倍二をかけ 高九間
をかくれバ 七塵二埃と成を以テ不尽を引時に 商置連十九間を加て 上の方也
円裁積 此図塵劫記に有
▲今唐木有 長三間に本口まわり五尺 すゑ口まわり二尺五寸あり 此代銀拾枚也 三人としてか
い申時 三人へ等分にきりてとる時には 本ハなにほとの長さ すゑより長さなにほととるそと問
円台 此図塵劫記に有
▲上まわり四十間 下のまわり
百廿間に 高さ六間ある時に
此うへにて土千二百坪
切てとる時にハ
上より高さ
なにほと
きりさかる
そと問
答曰 三間五分六厘六毛七絲不尽
式に云
先下の百弐十間を置 上の四十間を引ハ 残八十間と成を目安に置 又別に上四十間に六間をか
くれバ 弐百四十間と成 実に置 目安を以テわれは かりケんの長三間と知るゝ 是に四十間を
二度かくれば 四千八百と成 これに錐円の周法弐厘六毛三絲五忽をかくれバ 百弐十六坪四分
八厘と成 これに千二百坪を加合  千三百廿六坪四分八リと成 是に九間を三度かくれバ 九十
六万七千零零三坪九分弐厘と成 是を実に置 叉別に百弐十間を自かけて  一万四千四百と成
これに九間をかけ 十二万九千六百と成 これに二厘六三五をかくれバ 三千四百十四坪九分六厘
と成 是を以テ実をわれは 二百八十三坪一分六り六九八二九と成を 実に置 開立の式を行 商
を三間引 残を間所とする也 唐木をきる事准之
栗石積 此図塵劫記に有
栗石七百五十坪有を 高五尺ツゝにして 五段つミあげ 下よりの二段めの犬はしり
のひろさ一丈 三段めは七尺
四段めは六尺 五段めは五尺
如此につミて 下の
ひろさと上の
ひろさなに
ほと四方成
そととふ也
上ノ方 六丈三尺八寸零三厘五毛
答曰 下ノ方 拾一丈九尺八寸零三厘五毛
不尽有
式に云
先七百五十坪に坪の法二百七十四坪六分弐厘五毛をかくれは 二十万五千九百六十八坪七分五厘と
成 これを五尺にてわれバ 四万壱千壱百九十三坪七分五厘と成 これを実に置 別に概丈の法六
丈と置 自かくれは 三千六百坪と成 法に置 別に又上の犬走を倍し 六丈に加 合七丈と成
自かくれは 四千九百と成 法に加 又別に六尺を倍して 七丈に加 八丈弐尺となる 自かくれ
バ 六千七百弐十四坪と成 法に加 又別に七尺をはいし 八丈弐尺に加 九丈六尺となる 自九
千弐百十六坪と成 法に加 又別に壱丈を倍し 九丈六尺に加 十一丈六尺となる 自かくれば
壱万三千四百五十六坪と成   是を法に加 惣合三万七千八百九十六坪と成 これを以テ実を引ハ 上
の方六丈となる時下の方十壱丈六尺四方と知るゝ時に 引残物三千二百九十七坪七分五厘有 是実
に置 開平の式を以て一段々々へたして 間所をしるなり これを帯縦の開平と云なり 上の方に壱
丈加て 次の方数とする 又次の方数に一丈弐尺を加て 三段目の方数とする也 三段目の方数に
壱丈四尺を加て 四段目の方とする也
此図余考とハ歩数相違ある ゆへ法式ヲ可記やうなし
円裁
▲さしワたし百間の屋しきを 三人へわりて渡す時 一人は二千九百坪 一人は二千五
百坪 一人は二千五百
坪 北より矢のひろ   
さ 弦の長さハ
なにほどそ 又
中の矢のひろさ
弦の長さおのゝゝ
なにほとゝ問
九連は三
十三までの
数を図の
ごとくならべ
て落書
のやうに
竪横角
角周数
に作せと
の事にや
有ベケれ共
好所をし
るさざれ
はまたふ
かきことも
あらん
しらずかし
差分
木綿
上四百廿斤 中五百廿五斤
下三百廿斤
三口代銀 壱貫弐拾目
問云
上四百弐拾斤の代
上綿とハ銀十匁に付半斤違
中五百廿五斤の代
中綿とハ銀十匁に付三分違
下三百弐十斤の代
各々代銀なにほどになるぞ
横直弦
長弦三尺壱寸
短弦壱尺九寸
合股三尺五寸
問云
○矢の長サ
○中の歩数
各寿何程有ぞ
短刃の広九寸 長刃の広一尺六寸 長サ四尺弐寸
裁断
此図を短刃の方より弐百坪きりてとる時ハ 裁口までの長さ何程に成ぞと問
勾股
此図を いぬの角のかけたる廉より巳の方へむきて 寸歩六十きる時に
辰巳未
問云
○未の方 長ハ何程きるふぞ
○きり口の長
○きりたる物の矢
各々なに程になるぞ
方円卵
輪の外周 三尺六寸
同ふとさ 四寸八分周
中の大さ 同
輪環のはしなきがごとし
問云
此図に寸坪何程有ぞ
弧矢弦
此図のことく 円形成物土に埋て 少顕れたる弧と絃を度に
弧 弐尺四寸
絃 弐尺
問曰
○円満の径
○矢の長サ
○今見所の歩数
各々なにほど有ぞ
円闕
矢弐尺七寸
絃壱尺八寸
此図を絃の満
半より右の方を
弐百歩裁時
問云
○きりロノ長
○闕の弧
各々なにほどに成ぞ
丸裁
此丸形を寸坪
七十きる時
問曰
○裁ロノ渡
○闕ノ深
○同弧
おのゝゝなにほとに成ぞ
古昔算法之書 及彫刻者○不識其幾数矣 雖然○或謬之於乗除之幾○或失之於
格法之微 且雖曰加訂改○終無帰於至當者 于是有榎並和澄編選此書 号参両
録 其書素秘之不出家室焉 予請求之而不得矣 数年竭懇誠而 遂鏤梓木
広其傅 以供見閲 嗚呼 此之於前数書邪正黒白昭然可見也 庶于此傅不朽
寛文四年甲辰之仲秋
二条通
武村三郎兵衛新刻