新刊算法起

新刊算法起序
夫算術者古包犠氏之王
天下也仰則観象於天俯
則観法於地奥龍馬出河
遂則其文以書八卦八乗
八而作易也 因以探無極
太極之玅両儀四象五行
之位定也 日月之運行四
序之循環誠以萬代不易
之法也 大哉為聖人之徳
矣不升而考普天之理不
歩 而盡卒土之法況其餘
矣歟巫醫商買百工律呂
井田軍義之法胡為棄之
也不所既至其玄妙不勘
不才也 前有塵劫記行於
世雖佀捧心慣頻早忘其固
陋而聊為童蒙集之鹿明
達之士莫生笑矣

新刊算法起上巻目録
第一   九々の起り
第二   八算の古事
第三   見一掛算の古事
第四   升の起り糧の数字
第五   小数付金銀分両枚の字ノ起
第六   大数
第七   軽重の法
第は   寸尺付六尺五寸一間の起り
第九   田の小数付九ヶ條定法の起
第十   行棊菩薩ノ御検地の起
第十一  検地口博之法
第十二  池田に水積
第十三  普請道の法算
第十四  知行割
第十五  蔵に米積
第十六  遠近算
第十七  内を外に見外を内にみる算
第十八  木わたうりかい
第十九  切米さん
第二十  込引さん
第二十一 しやうふわけ口博之法
第二十二 酒のうりかい
第二十三 味噌たくさん
第廾四  月不知の次第
第廾五  夢想算
超  てうとはそろはんのつふのとふ字に用

第一 九九ノをこり
九々といふことはてんぢくより始る世自在
皇子七才の時左ノ御ひざに小竹一本
生たり御門いろゝゝきせひし給へとも
ぬけす其後廾ノ御とし正月朔日に
天より田といふ字一方へすほりて落た
り取上ヶ御らん候へは日文字ノすはる竹
五本と成其時御ひさノ竹八十一にわれ
ぬけたりそれより筭といふ字を竹
かふりに王廾とかく也天より落たる竹
なればとて一本を五さんにたてゝ九九
といふ事をおく也
五本ノ竹ヲ九九と置ヲそろはん
歌に 算法ノをこりの九九をしる人は
八十一期のたからなりけり

第二 八算ノ次第大唐韓姓秀ノ曰
八ノ徳儀をほめて   又字ヲ法算共云
一に分
ニに施
三に得
四に哆
五に治
六に賄
七に智
八に極
歌に筭分施得哆治賄知極

第三
見一ノ次第かんせいしうノいわく一を
見てならひなけれは九につくる一なりとかき
見一無頭作九ノ一とよめり引にひかれぬ時は
帰一倍一又しさんといふは九九を親として
置をかけさんといへり
歌に  割算は九々と見一 二つなり
ひかれぬ時は帰一倍一
同   掛算は何もおなし九々しさん
みぢかき方を左にそおく

第四
升は粟より起り米ノ惣名ヲ粟とも云
一粟 一そくとはあわ一粒 升法 口五寸四方 ふかさ二寸五分
一圭 一けいとは粟十粒 粟十粒米一粒ノ六分也
一撮  一さつとは同百粒 米六粒ヲーさつと云
一抄  一さいとは同千粒 同六十粒ヲーさいと云
一勺  一しやくとは同一万粒 同六百粒ヲーしやく
一合  一かうとは同十万粒 同六千粒ヲー合と云
一升  一しやうとは同百万粒 同六万粒ヲー升と云
一斗
一石
歌に 粟よりもをこれるは是日本升 ごまは大唐米は天竺

第五
小数付金銀数ノ字は黍より起リきひを 分両数に云
茫渺 びようぼうとは海上に風ノ吹候成煙
抄挨 しやあひとはとふほこり雰もやとも云
微塵 みぢんとは家内にたまるほこりちりを云
忽 こつ
絲 し
毫 もう
歌に
みちんさへ積れはしゆみノ山と成
まして数ある物ノおほさよ
厘 り
分 金二分九り五毛一朱一匁一分八り一分
四匁七分八リ一両
四十四匁壱枚
匁 銀四匁三分一両 四十三匁壱枚

第六
大数
一石匁十 百貫十百千
万十百千
億十百千
兆十百千
京十百千
垓十百千
𥝱十百千
穣十百千
溝十百千
澗十百千
正十百千
載十百千
極十百千
歌に 百万と千万まては万の内 万ツツ万ノ数はー億
歌に 百億と千億まては億の内 此億よりノ数は一兆

第七
万おもさノ積 一寸四方高一寸六面ノ法目
金一寸おもさ百七十五匁
銀一寸おもさ百四十匁
鈆一寸 重さ八十八匁
錫一寸重さ六十三匁
真鍮一寸 六十九匁
銅一寸 七十五匁
唐金一寸 六十六匁
鉄一寸 六十匁
青石一寸 三十匁
ひの木一寸 三匁五分
土一尺六面十一貫目
砂一尺十貫五百匁
水一尺六面七貫五百目
上米一升に三百七十匁
上米五斗に十八貫五百め
此米一升に五万六千粒
中米一升に六万粒人
上大豆一升に三百卅八匁
此大豆五斗に十七貫目
此大つ一升に五千弐百粒
歌に古しヘノ法目なるらし金銀ノ坪を作りてかけて見されは
同重きさへ其品  ノ有物を人ノ心ノかけらもせす

第八
寸尺は米より起り米ノよこを一分と云
こめよこ一分一厘一毛一糸一忽
箱に水もらぬほとノすきを一こつを云
米十粒よこ
一寸
一尺一間六尺五寸四方ヲ田ノ一坪也
一丈   十間 六十間ヲ一町と云
十丈   百間 四方ヲ田ノー町三千六百坪
百丈   千間
千丈  万間十万間
右六尺五寸一間にさたまることは人間ノ手ノたか
たかゆびノ中ノきざより上ノきざまてノあいた
一寸にして其人ノせひ六尺五寸有物也小男は
ゆひの寸みしかし大男はなかしたとへ生れ子
にてもゆびの寸みしかきにより其せひ六尺
五寸有により一間とさたまりたり又一間ノ間
ノ字ノ定る事はたかゝゝゆびノ間と云字ヲ
間とよむにより一間とそさたまりしとなり
又人間ノ間ノ字ヲとる共云也

第九
田ノ小数
一町 但六十間四方米より起ル
ー反 むかしは三百六十坪今は三百坪
一畝 三十歩をいふ卅歩とは三十坪也
一歩 一坪をいふ今は三百坪六尺五寸四方
一分 長六尺五分よこ六寸五分
一厘 六寸五分四方
一毛 長六寸五分よこ六分五リ
一糸 六分五り四方
右九ヶ條ノ起り定法は古来よりありとは
いへとも細にしるすは初心ノ為也
▲金銀ノ算用にけりんもちかはぬといふこ
とはありたとヘは一匁一分一り毛と云毛ノ字
を毛とよむにより毛りもちかはぬと云也
▲米ほとに一才もちかはぬといふは斗立ノ通
米六粒ノことは也
▲万こまかなる積りにみちんもちかはぬといふ
ほこりちり也右三通は何も細きほこり也
すてへしとおもへはさる古事に
三国一ノ大山はちいさし
みちんはおほきし
右の心は一国一ノ大山もししゅみの山にくらへては
大海ノー滴なるべし又みちんはおほきしとは
みちんノ下にしやあひびょうぼうとあれは
如此にいふ也何も此心持にてすて申ちり
割てふんゝゝノ手前ノちり積り上るちりは
すこしにてもすてぬものなるへしと也

第十
行棊御検地ノ起
行棊菩薩は泉州大鳥郡家原寺
にて白鳳八年戊辰に御誕生被成十八ノ
御としより御宣旨を受まひ日本ノ
御検地をあそはし則御けさに六角八角
丸物長よこノつきゝゝノ御けさにて田地の
ほりをさため家原寺門前より打はしめ
たまへり則上田中田下田とて三ヶ所是
あり今に三ヶ寺ヘーヶ所宛寺領にめさ
れて其後日本諸神諸佛ノ開元に成
万民にかしよくをおしえ御検地さんを
ひろめさせたまひしことたちまちノ
知恵文珠ノ御化身也百姓は不及申
万民ノ祖師也算法に十二祖師ありと
いへとも商売ノ利をしれるは此祖師也
ゆヘは商実法起四つノ法は銭に正利を
たゝして五宝法ともほめさせられたり
と也

第十一
検地算
法に十七間弐尺超八分と置
間より下弐尺超八分を六五にて
われは十七間三二と成是左
右におきかくれは三百坪と成
田之法三にてわれはー反と成
右十七間ノ下二超八を六五にてわるは六尺五寸一
間之故也是は間にちゝめるにより六五にてわる也田ノ法
三にわると云はー反三百坪ノゆへ也

法に長三十間によこ
十間かくれは三百坪
と成田ノ法三にわる也
法に升六間弐超は七とおきに超
は七を六五にわれは廾六間三にー
と成左右に置かくれは六九にはと
なる是を三角ノ法四三三をか
くれは三百坪と成田ノ法三にわる也
▲壱反と云
 法に十九間三尺一寸五分三リと置
 三尺一五三を六五にわれは十九間
 四は五と成是左右に置かくれは
三七九六六五と成是へ円法七九をかくれは三百
坪と成是を田之法三にてわれは壱反と成也
▲右の三百坪を弐間ノよこにして長何ほとと問
時は三百坪と右に置弐間を以てわれは長百
五十間と成也なにほとにても置用おなし
▲壱反九畝廾二歩半
法に升五間に卅間かくれは七五と成
是へ旧法七九かくれは五百九十
二坪半と成田之法三にてわる也
▲壱反六畝廾歩
如此成田は三角ともしれず
丸物共見えぬ時ノ法は長卅間
と置十五にわれは廾間と成是へ
廾五間をかくれは五百坪と成田ノ法
三にてわる也十五にわるといふは太めノ心也たとヘはー反と置
十五にわれは六畝六分六り六と成是を田ノ惣名には
大といふ也少とはー反を三つにわり三歩三分三り三毛
右と合壱反と成也検地には田之法三にてわるに
三十坪まてはわる也卅坪より下はわらぬ也 是はー畝卅
坪之故也米守ノ時には卅坪より下をわる也検地ノ
時わらぬ故也何も検地には見積の聞也
歌に
検地には上手も下手もなきものを
目なわの大事さほの打様
▲壱反弐畝十八歩八分四リ
法に長卅間と置よこ十四間引は十六間と成是へ
十四間かくれは弐百廾四坪と成又十四間左右に置かくれは
一九六と成是へ円法七九かくれは百五十四坪八分四リ
と成右へ加へ合三百七十八坪八分四リと成田之法
三にてわれはー反二畝十八歩八分四リと成
▲帯割ノ次第此ことく成田を兄弟三人へ坪次第に分ル時は
長百聞に両方よこも坪に相応
千五百坪は兄   千三百坪は二男
千弐百坪は三男    以上四千坪
右ノ田をわけて見れは
此七ふ五リを尺に
見る時は六五かくれはは
四尺八寸七分五リ
何ノよこも同
三ロノよこ合五十間
法に千五百坪と置惣高四千坪にてわれは三七五
と成是へよこ五十間かくれは十八間七五と成是兄ノ
よこノ間也二男は千三百坪と置四千坪にわれは三二五
と成是へよこ五十間かくれは十六間二五と成三男は千弐
百坪と置四千坪にわれは三と成是へ五十間かくれは十
五間と成右三ロノよこ合五十間と成是一方ノよこノ割
又三十間ノよこノ方しるは兄の割代三七五是へ卅間
かくる二男ノ割代三二五に卅間かくれはよこと成三男
割代三によこ高卅間かくれは三男ノよこと成右斗
立之通也又坪見る時は両方ノよこ合二つにして長を
かくれはめいゝゝ坪と成此算を帯割といふ也
▲四方截
如此成田を坪次第に切積
▲坪しる時はよこ五十間に
切ロノよこ合二つにして
長ノ切口かくれは千五百
坪と成次第に同
惣坪合四千坪
法によこ五十間之内卅間ノよこ引廾間と成是を
長百聞にわれはー間に付二分つつノ下り也
切口をしるは千五百坪と置よこ五十間にわれは長卅
間と成是へ二ふかくれは六間ノ下リと成是二つにして三有
長卅間にかくれは九十坪ノ不足坪と成是別におき
よこ五十間ノ内右ノ六間を引は四十四間有是代
にして右之九十坪をわれは長二間超四五五と成
是へ二ふかくれは四ふ超九一ノ下リと成是二つにして
二超四五五と成是へ長二間超四五五をかくれは四ふ
一り八四ノ不足坪と成是右に置切口四千四間ノ内
右ノ四超九一ノ下リを引は四十三間五ふ九超九と成
是代にして右に置四一八四をわれは長九毛六糸と成
右ノ割長卅間と又二間超四五ノ長と三口合三十二間
超五五と成是千五百坪ノ長と成也是へ二ふノ下リ
を長へかくれは六間四ふーり一毛ノ下リと成右五十
間之内引は四十三間五ふ八り九毛ノ切口ノよこと成
次ノ切口見るも如此ノ置用也是はかんにて切也
丸木石垣にても同置用也開平法にて切はおくに有

第十二 池ノ水積
池ノはゝ坪 壱万九千百七十五坪
池ノはゝ坪しるは東西ノ長合弐百六十間と成二つに
して百三十間と成右に置又北南長間合弐百
九十五間有二つにして百四十七間五と成是へ右ノ
百三十間かくれは壱万九千百七十五坪と成也
水坪をしるは樋所ノふかさ一丈中六尺南五尺
三口〆弐丈一尺有是三つにわれは七尺と成別に置
北ノふかさ四尺中三尺南二尺三口合九尺有三つに
われは三尺と成右ノ別に置七尺と合壱丈と成
二つにして五尺と成是を六五にてわれは七六九二
と成是は間にちゝめたるふかさノ尺也是へ右ノ池ノはゝ
坪壱万九千百七十五をかくれは水坪壱万四千
七百五十坪としるゝ也右に六五にてわるといふは六尺
五寸一間ノ故也
▲堤なとしるはね置何間上口何間是を馬ふみ
といふ也上口ね置合二つにして高サかくれはいく坪と
しるる也是へ長さかくれは堤ノ坪しるゝ也
▲古堤には腹付とてつくろひふしん有何尺と定
高なにほと長何十間とさたまり候いく尺ノ分ヲ
六五にてわり高サかけ長かくれは坪数しれ申候
何も本坪平坪ノわかちを心得候ヘは何たるかた
くふみありても見積か専一也池田薄割互積リ
なとは平坪といふ也本坪といふはくり石土水の
たくひをいふ也六尺五寸四方左右に置かくれは
ー尺四方ノま四十二二五有是平坪也是へ高サ
六尺五寸かくれはー尺四方六面ノ坪弐百七十四六
二五有り此心持也されは土水なとの本坪つもり
には弐百七十五にちりを人つもる也或は石にても
水にても舛目なとつもる時はこまかなすかつもる也
万事みはからひ専也
歌に
平坪ノ四十二二五ノ尺ノ坪
検地かわらや薄にもちゆる

本坪ノ弐百七十四六二五
土石水の舛目にそよき
▲田に水積る次第右之池水ありしろ田ヘは
何十町水あると問時はまつあらしろといふは
みつけなきしろき土いろノ田也此田に水卅五坪
入つもりにしては右之水坪壱万四千七百五十坪
と置卅五坪を以てわれは四拾弐町壱反四畝水
▲右壱反に三十五坪入時はふかさ何寸に成と問
七寸五分八リと云
法に卅五坪と置六五をかくれは二二七五と成
是を田ノ法三にてわれは七寸五分八リと成也
▲壱反に七寸五分八リノ時はいく坪と問卅五坪と云
法に七寸五分八リと置六五にてわれは四九二七と
成是へ田ノ法三百坪かくれは卅五坪と成也
右ノ池水植田は何十町水といふときも其一反ノ
水何十坪と定水坪をわれはしるゝ也田ノ水積
も何寸と定め右之法はおなし池なとノ水は其
かゝりノ田なにほと有間此池には二へん三へんと
つもる也行棊は検地ノ事は不及申池まて
ことゝゝくつきたていろゝゝ諸法度まて定
たまひし佛也
歌に
唐土につうする算とけんすると
是そ和国ノ割初(そめ)としれ

第十三 普請遠近割
卅六町道にして一日七里ノつもり土一坪壱荷に三斗
五升めふうたいともに定土ノ取場六町あり一日に
ー坪をなにほとにて持と問十三人一分と云
法に三十六町へ七里かくれは弐百五十二町と成
是右に置土ノ取場六町あり行帰十二町あり
是にてわれはー日に一人として廾壱荷としるゝや
別に置土一坪にー尺六面ノ坪弐百七十五あり
一尺六面ノ法目に拾壱貫目有也米一升之法目
三百七十匁を以て右之十一貫めをわれは土一尺六面
ノおもさ弐十九升七合目有ふうたいを五升にして
三斗五升目と成是壱荷也土一坪ノ弐百七十
五荷有是を右之廾壱荷にわれは十三人一分と成
▲遠近算は万事よき法也たとヘは砕水にて
も其法目を以てつもる也道ノ法に廾間卅間と
いふ時はー町之法六十間にてわり一町ノ何ふと定也
歌に
一文字よみこゑおほく字は壱つ
近名かはると道ノ法(のり)算
▲坪ちらし次第たとヘは土十五坪有上口壱尺八寸
ね口二尺二寸高六尺ノ垪(ヘ)につき申時なにほと
長有と問三百四十三間四尺八寸七分五リと云
法に上口ね口合四尺有二つにして式尺と成是へ
六尺かくれはー尺ノ坪十二と成別に置土一坪には
ー尺ノ物弐百七十五有是へ十五坪かくれはー尺ノ物
四千百廾五と成右に置右之十二を以てわれは
三百四十三間七五と成此七五ばかり六五をかくれは
三百四十三間四尺八寸七分五リノ長と成也
▲土五坪有是を三間に五間ノ屋敷へつき申時は
なにほとあつさ有と問弐尺一寸七分と云
法に土一坪ノ法弐百七十五と置五坪をかくれはー尺
六面ノ坪千三百七十五と成別に置三間に五間
かくれは平坪十五坪と成是へ平坪ノ法四二二
五をかくれはー尺ノま六百三十三坪七五と成是
代にして右之千三百七十五をわれは弐尺一寸七分
と成也
▲栗石台十間四方に高五間を五重に一間つゝ高に
つき申時上ノ重まで一重ノ惣廻より一尺つゝ犬はしり
へり申五重めにては何丈四方成又何百坪有と問
五重ノ有坪四百四十一坪二分九り八も三糸
法に下台十間四方は百坪也 二重めは十間ヲ
六丈五尺として二尺引六丈三尺四方左右に置
かくれは三九六九と成是へ高六尺五寸かくれは
二五七九八五と成是ヲ六尺五寸にて三度
われは二重目ノ有坪九十三坪九ふ四リと
成五重めまて置用おなし次第に二尺引也
三重め六丈一尺四方  有坪八十八坪超七一
四重め五丈九尺四方  同八十二坪三八八三
五重め五丈七尺四方  同七十六坪八九九
右五重有坪合四百四十一坪二ふ九り八も三
右五重めにて五丈七尺有也右之法二重めより
六丈三尺左右にかけ高さかけ六五にて三度
わるは丈にてあるにより両に置ゆへ二度又高
さかくるゆヘ一度以上三度わる也下の台は十間
はしたなきにより左右にかくる也高さかけ本坪
と成検地は平坪ノ初也何も平坪ノ心に
歌に
薄割と普請検地はおなし算
太郎よ二郎よと名をそ付けり

第十四 知行割
三年ノ物成弐千百八十弐石五斗有一年は五つ
一分取一年は四つ五分取一年は五つ四分取如此候へ共
本高しらすと問答曰千四百五十五石と云
五つ下の物成七百四拾弐石五升始ノ年
四つ五分ノ物也六百五十四七斗五升二年
五つ四分ノ物成七百八十五石七斗三年め
三口物成合弐千百八十二石五斗
法に三年ノ物成弐千百八十二石五斗と右に置
三年ノ取合十五有是を以てわれは千四百五十
五石と成是本高也又年こノ物成は本高に
其年ノ取をかくれはめいゝゝに右ノことくしるゝ也
▲右之高千四百五十五石に夫米六升ノ時は左に
六升と置右ノ高へかくれは八十七石三斗としるゝ也
四升五升はかりといふとも本高へかけ申者也
▲右之物成七百四十弐石五升納申時に口米
とて石に三升に定り有右之物成へ三升かくれは
弐十弐石弐斗六升壱合五勺佐成也
▲弐十石納所申時此内にて口米引時は右に
廾石と置左に一超三と立右をわれは十九石
四斗一升七合と成也此一超三にてわるは口米
本米合壱石三升ノ故にわる也弐十石には
六斗なれとも口ノ口とて少ちかひある故也
歌に
夫米とは高にかけぬる算ならし
三升ノ口は かくる物成

口米はそとなり内て引口は
三升ノものに二升九令一

第十五 蔵ノ米積
長五間によこ三間高サ弐間ノ蔵に米なにほと
つむと問但俵ノ長三尺二寸五分俵口高長ノ
半分ノ時は四百八十石積と云
法に俵ノ長三尺に寸五分と置六五にてわれは
五と成是にて長五間ヲわれはー筋に十俵双ふ
又俵口高は右長ノ五を二つにして二五と成是
左に置蔵ノよこ三間ヲ左ノ二五にてわれはー筋
に十二俵ならひと成右をかけ合百廾俵と成
右別に置俵口高ノ割二五を以高弐間を割
は上へ八俵と成右之百廾俵へかくれは九百六十
俵と成是を二を以てわれは四百八十石と成也
▲右之蔵に俵長弐尺俵口ノ高一尺三寸ノ俵
はなにほとつむと問弐千四百三十七俵と云
法に蔵の長五間を六五にてかくれは三丈二尺
五寸と成是俵ノ長弐尺にてわれは長一筋に
十六俵二五とならふ又蔵ノよこ三間に六五を
かくれはー丈九尺五寸と成是を俵口ノー尺三
寸にてわれはよこ一筋に十五儀ならふ右ノ十六二
五へかくれは弐間四十三俵七五と成是別に置
蔵の高弐間へ六五かくれはー丈三尺と成俵口ノ
高一尺三寸を以てわれは上へ十俵ならふ是を右ノ
別に置弐百四十三七五へかくれは弐千四百亦
七俵半と成也米にかきらす寸尺定り候ヘは
筋ノ数材木以下に至るまて心持はおなし
歌に
長はなかよこも高さも俵口ノ
寸にわるそと心得てよし

第十六 遠近算ノ津出し
御蔵に米四百八捨石有三ケ村より道ノ法に出ス
三里ノ村より弐百十三石三斗三升二合三勺
四里村より百六十石
六里村より百六石六斗六升六合六勺
法に三里ノ村は三にて壱石をわれは三斗三升三三
三と成 四里ノ村は四にて壱石をわれは二斗五升
六里ノ村は六にて壱石をわれは壱斗六升六六六
と成三口合七斗五升有是を以四百八十石を
われは六四と成是は三里の村は壱石之わり三三
三三三をかくれは弐百十三石三斗三升三合三勺と
成四里ノ村も六里ノ村も右六四へ壱石ノわりを
かくれはめいゝゝにしるゝ也百村にても法立同
▲俵直しといふはたとへは四斗俵百俵と本俵に
なをす時は百俵と置四斗を以かくれは四十
石ノ本俵と成也又百俵と置四斗俵壱石は
八斗也是をかくれは本俵は十俵と成也心持
はおなし算也大小共同杉さんなとはしるさす

第十七 内を外に見外を内に見る算
内引内廷外引外延ノ次第くわしく塵劫記に
有により書付るに不及ス内にわり引は外にて
なにほとにあたると問法に二わりと置八にわれは
外にて二わり半と成也又外二わり引は内にて
なにほとと問法に二わりと置十二を以てわれは
内にてーわり六分六り六毛と成何も此心持也
歌に
内二わり外にて二わり半ノ引
此そと内て見れはにわりよ
歌に
二わり引内は八にてかけてよし
そとは十二てわると心得

二わりましそとは十二をかくる算
うちは八にてわるとしるへし

三分引内は九七をかけてよし
外はー超三てわるへし

三分まし外をはー超三をかけ
うちは九七てわるとしるへし
右金銀米銭町役作料等に用工夫専也

第十八 木わた斤目の定リ
河内平野目壱斤弐百弐十目 一分は廾二匁
大めは百六十五匁  大めとは七分五リを云
半は百十匁     半とは五分ノこと
小半は五十五匁   小半とは二分五リ
八分一は廾七匁五分  八分一とはー分二リ五毛
大和郡山ノ目壱斤弐百四拾目 一分は廾四匁
大めは百八十匁  半は百二十匁
小半は六十匁   八分一は三十匁
▲平野目に百斤市へ出申候相場をわしといふ
銀百匁にわし百五十斤ノ時は右に百斤と置
わし百五十斤にてわれは銀六十六匁六分六り也
▲わし百五十斤ノ時銀六十六匁六分六り有
わし百五十斤と置六十六匁六分六リかくれは
わた百斤と成也
▲木わた壱斤を七分にかい申時は銀十匁に
何斤にあたると問十四斤わた目六十二匁八分
法に壱斤と右に置七分を以てわれは十四斤
二分八り五五と成此二分八五五しれぬ時はー斤
ノ法目二二をかくれは六十二匁八分ノわた目と成
右へ加へ十四斤わた目六十二匁八分と成也
▲木わた八十三斤大め有わし百三十斤ノ時は
右之大めノわた目百六十五匁有是を弐二ノ
法にわれは七分五リと成右と合八拾三斤七分
五リと成是とわし百三十斤にてわれは銀
六十四匁四分弐リと成也半は五分小半弐式は
八分一といふとも右法立おなし
▲木わた合七百四十斤
わし十五斤かへ わし十四斤五分かへ 代五百目
右二口ノわしにて代銀五百匁也右十四斤
半ノ銀なにほとそ十五斤方ノ銀も問
わし十四斤五分ノ方 弐百九十斤   代弐百匁と云
わし十五斤ノ方 四百五十斤   代三百匁と云
二口〆七百四十斤 二口〆五百目
法に代銀五百匁にわし十五斤かくれは七百五十
斤と成内高わた七百四十斤引は十斤と成
右に置わし十五斤ノ内十四斤半引は五分と成
是代にして右ノ十斤をわれは弐百匁と成是
十四斤半ノ方ノ銀也是へ弐百匁かくれは弐百
九十斤としるゝ也又十五斤ノ方しる事は代ノ
五百匁に十四斤半かくれは七百廾五斤と成高ノ
七百五十斤ノ内引は十五斤と成是右に置
十五斤ノ方十四斤半引五分有是代にして
右をわれは三百匁と成是へ十五斤かくれは四
百五十斤と成是は根分といふ算也今まて
ノ算記に在也候へ共念ノ為に此折にもかく也
歌に
後といひ当座に日記つけされは
まきれてしれぬわたの斤数

算ならはいく度も置書事は
年号日付ことかきをせよ
▲平野目にてわし百五十斤ノ時大和目にては
なにほとにあたると問百三十七斤半ノわしと云
法に平野め弐百廾匁に百五十斤かくれはわため
三十三貫匁有大和目之法二四にわれは右之ことく成
▲大和めに百五十斤有平野にしてわしなにほと
にあたると問百六十三斤六分三リと云
法に大和ノ法目弐百四十匁に百五十斤かくれは
わため三十六貫目と成平野目ノ法二二を以て
われは百六十三斤六分三リと成也
▲わたにふんたうめとて三百目一斤ノ国あり
此目に三百斤有平野目にしてはいか程そ
大和目にしてなにほとそと問
四百九斤一分ひらの
三百七十五斤やまと
法に三百匁と置三百斤かくれは九十貫めと
成平野めノ法二二にてわれは四百九斤一分ノ
斤数と成又九十貫めと置大和め法二四にわれは
三百七十五斤と成也
▲市出に木わた四百斤有高下に五荷有
出しこみノわし百廾斤にして代銀三百卅三匁
三分三リに当右五荷ノ高下に
七十五斤一荷 わし百十七斤かへ代六十四匁一分
八十斤一荷  わし百十五斤かへ六十九匁五分六リ
八十三斤一荷 わし百廾斤かへ六十九匁一分七リ
九十五斤一荷 わし百卅斤かへ七十三匁七リ
六十七斤一荷 わし百廾五斤かへ五十三匁六分
五口代銀合三百廾九匁五分右出しこみ
代銀ノ内引勺三匁八分三リあまる是宿ノとく
歌に
わたとわた相場にわれはかねと成
かねにかくれはわたとしるへし
又わた百斤に付銀六十匁又は七十匁と定ル時
歌に
かねとかね相場にわれはわたと成
わたにかくれはかねとしるへし

第十九 切米算
銀三十三貫匁三頭へ出申候人数卅三人高下ノ引
番近頭  是はわり代也
下十人  頭に百匁下り十人故○壱貫目ノ代
かち頭  右ノ頭に百匁下り故○百目ノ代
下十人  此頭に百匁下り故弐百目是十人故○弐貫匁ノ代
ぬし頭  右ノ頭に百匁下り故○弐百目ノ代
下十人  此頭に百匁下り故三百目十人故○三貫め代
○五口合六貫三百匁是を高銀卅三
貫目と加へ三十九貫三百目と成是を人数
三十三人にわれは壱貫百九十匁九分一リと成
是番近ノ頭かね也是より下は百匁引壱貫
九十匁九分一り下ノかね也十人故かくる也かち頭は
番近頭より百匁下り下は此内を引右の書立也通に引也
番近頭   銀壱貫百九拾匁九分一リ
下拾人   同十貫九百九匁一分
かち頭   銀壱貫九十匁九分一リ
下十人   同九貫九百九匁壱分
ぬし頭   同九百九十匁九分一リ
下十人   同八貫九百九匁一分
〆三拾貫目
右ノ法は番近頭は割代也下は百匁下ル故に
十人代一貫目かち頭は右ノ頭に百匁さかる故
百匁ノ代下は此頭に百匁下ル故弐百目十人
ゆへ弐貫目ぬし頭はかち頭に百匁下ル故へ二百
目ノ代此下は頭に百目下る故三百目十人故
三貫目さて五口合六貫三百匁右に書付るか
ことし又次第々々ノ下る法は右に其下リを加へ
其次は又さかり加へる也何も心持はおなし
▲銀三十三貫目三頭に出つわりに
番近頭より下へは百匁下り又番近よりかち
かしらヘはーわり引此頭より下は百匁下ケ又
ぬし頭はかち頭よりーわり引此下は頭に百匁
下ケ割よといふ法立に
番近頭 左代に百匁   割代也
下十人 同壱貫目    かへ銀百匁下リゆへ壱貫目
かち頭 右頭に一わり引同九十匁
同十人 同九百目    かへ銀百匁下リゆヘ壱貫目
ぬし頭 次ノ頭に一わり引同八十一匁
下十人 同八百十匁  頭に百匁下ケゆへ加へ壱貫目
左代合弐貫九百八拾一匁
法定ノ加へ銀三口合三貫目有是を高銀へ
加へ三十六貫目と成是右に置左代ノ弐貫
九百八十一匁を以てわれは壱貫弐百七匁六分
五リと成是番近頭ノ銀也是より定り引也
番近頭    銀壱貫弐百超七匁六分五リ
下十人 右に百匁引  同十壱貫超七十六匁五分
かち頭 右頭に一わり引 同壱貫超八十六匁八分八リ
下十人 此頭に百匁引 同九貫八百六十八匁八分
ぬし頭 右頭に一わり引同九百七十八匁一分九リ
下十人 此頭に百匁引 同八貫七百八十一匁九分
六口合三十三貫目右ノ法は左代とて
百匁に定め下は壱貫匁又かち頭はーわり引ノ
右九と左に置番近頭ノ百匁にかくれは九十匁
と成其次々々も右書付ことくにして左代合
さて割代に加へ銀かね下リノ分書立申を
高銀三十三貫めに加へ左にわれは番近頭ノ
かねと成也夫よりかね引は引一わり引九ノ
代にてかくる也又次第々々に何匁引次は何わり
引と有は加へ銀に何わり引ノ所にてもすきの
銀加へ銀と立也此法にも左代ノ置用おなし
▲右二ヶ條は切米算といふ上は侍右ノ段に
下は日用等に用ゆる算法也右之外に先銀
なとかりこし有割有是は不足に加へ銀に人也
初心ノ方は右ノ法とくと心得られ候ヘはーつノ法
よりいくつも法ノいつる者也
歌に
割算ノ加われるしなはおほけれと
工夫ひとつにます法そなき

はやくともしつかに算を合すへし
ちかへは下手といつもよはれん

第二十 込引算
日用五百人五組に銀三十貫目渡ルこみ引に
九十組  是組はわり代也是より次第々々也
百人組  右に三匁まし 此三匁を上ノ百人にかけ三百匁ノましかね
百十人組 次に七匁引 内右ノ三匁引は四匁と成上へかくれは四百四十匁引かね
百人組  次に九匁まし 内右ノ四匁引は五匁と成上へかくれは五百目ましかね也
百人組  次に六匁引 内右ノ五匁引は一匁と成上へかくれは百匁と成引かね也
右ましかね合は百匁 右引かね合五百四十匁
右ましかね内引かね引は弐百六拾匁と成是は
ましかね也高三拾貫め之内引は廾九貫七百四十
匁有是五百人にわれは五十九匁四分八リと成
是九十人ノー人まヘノ銀也是より次第にまし引也
五十九匁四分八り一人まへ人高にかくれは
九十人組 銀五貫三百五十三匁二分
六十二匁四分八り右同 右ねに五匁まし
百人組 同六貫弐百四十八匁
五十五匁四分八り右同 次に七匁引
百十人組 同六貫百超二匁八分
六十四匁四分八り人高にかけ次に九匁まし
百人組 此銀六貫四百四十八匁
五十八匁四分八リ右同次に六匁引
百人組 同五貫八百四十八匁
五口分三拾貫目
右ましかね引合ましかねおほき故高銀内
引勺銀人高にわる也若ましかねより引かねノ
おほきこみ引は高銀に加へ人高にわる者也
歌に
ましかねノおほくは高を引てわれ
引かねおほき算は加へよ
▲日用五百人五組に銀三十貫匁渡る次第々々
内引外ましノこみ引に
正未九十人九十人組 代十を立 上ノ人足へかくれは正未九十人と成
正未九十人百人組右に内一わり引
正未百十八人分百十人組次に外二わりまし
正未八十六人四分百人組 次に内二わり引
正未九十五入超四リ百人組 右ノ頭に外一わりまし
内一わり代九と定右ノ
十へかくれは九と成上かけ正未
外二わりは代十にと立次
九にかくれはー超八と成上かけ
内二わり代八と定次ノー超八
にかくれは八六四と成上かけ
代十一と立右ノ八六四に
かくれは九五超四と成上へ
かけ正未と成
正未人足合四百八拾人超二分四り有是
代にして高銀三十貫匁をわれは六十三匁四分
六り八毛と成是より次第  正未人足にかくれはしるゝ
九十人組ノ正未九十人    銀五貫六百廾二匁一分八
百人組ノ正未九十人     同五貫六百廾二匁一分八リ
百十人組ノ正未百十八人八分 同七貫弐百廾一匁二分八リ
百人組ノ正未八十六人四分銀五貫三百九十七匁三分
百人組ノ正未九十五人超四り 同五貫九百六匁九分六リ
五口合三十貫目
右法立は五組五百人に卅貫匁わくる時一組は
なみノくらい也是より内一わり引又ましなとは
右法立ノことく正未人足にして右高銀われは
正未壱人ノ銀しれ申候是をめいゝゝノ正未に
かくれは銀しるゝ也


第二十一 しやうむわけ銀四百貫目を五人して
わくるに兄ノ取半分五男ノ弟とる故に二男三男
四男は其相応にわけよといふ時に
兄     取銀百六貫六百六十六匁六分六リ
二男    同九十三貫三百卅三匁三分三リ
三男    同八十貫目
四男    同六指六貫六百六十六匁六六
五男    同五十三貫三百卅三匁三分三リ
五口銀合四百貫目
法に四百貨匁と右に置五人にわれは八と成是を
しやうむわけノ法十五にわれは五十三貫三百卅三匁
三分三リと成是弟かね也倍して百六貫六百六
十六匁六分六リと成是兄ノかね也右ノ五三三
三三三三ノ弟ノかね右に置五人故四人にわれは
十三貫三百卅三匁三分三リと成是引かね也兄
より次第に引は兄ノ半分弟銀に成也人数かわり
ても法立おなし五人故四人に刻は引かね也六人
ならは五人にわる也何も法はおなし

第二十二 酒ノ買次第
銀三百匁にて上中下ノ酒同程買申時に
諸白壱匁に弐升     一と置二升にわれは五分
壱匁に片白弐升五合   一と置二升五合に割四分
壱匁になみ三升     一と置三升にわり三分三り三毛
三口合壱匁二分三り三毛有是代にして
右ノ銀三百匁をわれは弐石四斗三升三合に成
是上中下ノ酒ノ升数也是へ刻代ノねをかくる也
諸白弐石四斗三升三合  銀百廾一匁六分五リ
片白弐石四斗三升三合  銀九十七匁三分二リ
なみ弐石四斗三升三合  同八十一匁超二リ
酒合七石弐斗九升九合  代銀合三百目
歌に
みきときく菜ノ名をも菊の酒
一さんよりもをこる刻代

第二十三 味噌たくさん
大豆弐石五斗有但
大豆一升にかうじ八合同一升にしほ四合あわせかうじよりしほ二わり引
かうじ一升を大豆にする時は一升と置かうし八合に
われは大つ一升弐合五勺と成 又しほの大つは
二わり引故八合と置しほ四合にてわれは大つ
弐合と成也二口ノ大つ合壱升四合五勺と成
右に弐石五斗と置壱升四合五勺にてわれは
一七二四一と成是へかうしノ大つ一升弐合五勺
かくれは弐石一斗五升五合壱勺と成又一七二四
一ノ刻を置しほ大つ弐合かくれば三斗四升四合
八勺ノ大つと成二口合弐石五斗是よりにあわ
する時はかうしノ大豆弐石一斗五升五合一勺と置
かうし八合あわせノ故外ノ物なれは十を加へ十八
と成右へかくれは三石八斗七升九勺ノ云そ
と成又しほの大つ三斗四升四合八勺右に置
しほ四合あわせノ故十四を右へかくれは四斗
八升二合八勺と成二口合四石三斗六升二合
ノ味噌と成也右数おほき法立なる間
初心ノ方はエ夫聞也
歌に
目を見るは断なれや米とまめ
しほてかたまる味噌ノ五躰を

第二十四 月不知わり不知本不知ノ割
月不知といふは本銀七百匁に利銀卅三匁
六分余候わりは百匁に付八分つゝいく月に成と
問答曰六月に成と云
法に七百目に八分かくれは五匁六分と成是代
にして利銀卅三匁六分をわれは六月と成也
▲わりしらすといふは本七百匁に利三十三匁六
分余候月は六月に成わりを問答曰八分と云
法に七百匁にて利三十三匁六分をわれは四わり
八分と成是を六月にてわれは八分と成也
▲本不知といふは本利共七百卅三匁六分
有わりは八分月は六月に成本銀はなにほと
と問七百匁と云
法に六月に八分かくれは四匁八分と成是へ百
匁を加へ百超四匁八分と成是代にして右に
七百卅三匁六分と置左ノ代へわれは七百匁と成
歌に
借銀は皆外ましノ物なれや
本に加へてなす利なりせん

第二十五 夢想算
銀子八十匁に三年切て人置申時一年二わりノ
利にして三年なから同銀にあたる割なに
程つゝに当と問答曰三十一匁六分五リと云
法に二わり故十二匁と置二年めは十二匁と
始ノ十二匁とかくれは十四匁四分と成又三年め
は十二匁と十四匁四分とかくれは十七匁二分八リ
と成 三年分合四十三匁六分八リと成是
代にして八十匁をわれはー八三一五と成是ヘ
三年めノ十七匁二分八リをかくれは三十一匁
六分五リと成是三年なから同先銀也
扱合せ見る時は高銀八拾匁と置卅一匁
六分五り引は四十八匁三分五リと成是ヘ
十弐匁をかくれは五十八匁起二リと成
此内卅一匁六分五り引は廾六匁三分七
リと成是へ十二匁かくれは卅一匁六分五
厘と成也右三ねん共め此銀にかわり有
とし不同ありても法立同是そふし
きノ算也師の寛永五年二月廾一日夜
爰に山伏ノおしえさせ給へりいかなる
仏神と有類被敷に南北にかくれなく
沙汰仕算也初心ノかたゝゝしなん聞也
わたくしにあらす佛ノ御つたへ被成候へは
か様にことかきをする也徳は万法に用
是をーノ調法にて開板する者也
歌に
知恵に文殊祖師ノ行棊か大天狗
ゑん日なれは弘法大師か
和歌に無師 古歌を以為師
算者に無師 算記を以為師
いや爰歌にくらべ物あり
伝受の連歌は人のをるはいかい者のじまん
名医者は人の用  藪薬師の手からはなし
本手法起の算は人知  そろはん置ノいげん
或人の曰そろはん置の歌合で塵劫記
ノ積り所を見てよしあしと評定する方有
山家ノ者高野山に登りて日本は如此ひろき
所かといふにをしゆヘは暦八卦に至る迄
算数ノ内也中にも塵劫記ノ祖師は
行棊也此祖師の一代目録算といふ物有
是をみたまわぬものと見して候はやゝゝ
高野より下向して和州図中なとを
みたまへといへりー笑々々
歌に
古しへといまとまたあるよの中に
古事もおこりも出ん算法
上巻終

新刊算法起下巻目録
第一    坪定の次第
第二    三角の法起付なをしの法
第三    六角の法起付なをしの法
第四    八角の法起付なをしの法
第五    円法起付なをしの法おこり
第六    三角六角は角の直ノ法起
第七    壷算
第八    すみつ見る法
第九    切籠法起
第十    ぬき入子算
第十一   橋割
第十二   材本細割
第十三   うらかね直
第十四   きぬ割 口伝之法
弟十五   万かなめ積
第十六   開立圓法を見一にて作ル
第十七   平方截(へいほうさい)
第十八   目録割
第十九   こうはい割
第廾    瓦積り
第廾一   祇園精舎金積り
    佛説大数
右ノ内所々に薄つもりあり

第一 坪定ノ次第
本小坪
一尺四方六面ノ坪
一寸四方六面ノ坪
是ヲ一坪とかく
平小坪
一尺四方ノ坪
一寸四方ノ坪
是ヲ一まと書
右升ノ法に十六かくるおこりは口五寸四
方左右に置かくれは一寸ノま升五と成是ヘ
ふかさ二寸五分をかくれは一寸ノ坪六十二五
と成是別に置一尺四方六面ノ箱にー寸ノ
坪千有是右に置枡坪六十二五を以て
われは壱斗六升と成也一尺四方六面ノ箱
に一斗六升入故に十六をかくる也
▲今枡ノ法に六四八二七を以てわるをこりは
枡ノ口四寸九分四方左右に置かくれは一寸ノ
ま廾四超一と成是へふかさ二寸七分かくれ
はー寸ノ坪六拾四八二七有故に六四八二七
にてわる也是左代にして一寸六面坪千を
われは壱斗五升四合二勺五才六撮入也是を
今枡ノ法にいたしたく候へとも角かね有に
より一尺六面ノ箱に水はかり見れは凡
壱斗五升五合四勺ほと人かとおほへ候間
下愚かつもりには今升ノ法にー五五四を
かくる也しかれはつるノかねおのつから引道
理也よろつノ舛つもりノ置用法を
以て坪を定其後舛ノ法をかくる也
歌に
今舛ノつもりには十五五四ノ法
十六かくる法は古升

第二 三角ノ法に四三三をかくるおこりはー尺ノ
三角かみに作り二ツに切入ちかへ見れは
五寸二八寸六分六リ有かけ合一寸ノま数
四十三三有故也
右検地にてもはく置時も三角之間左右に
置かけ四三三をかくれは何十坪としるゝ又はく
おく時はー寸ノまなにほとゝしるゝやたとヘは右ノ
まにはく置ときは三寸薄なれは左右かくれは
ー寸のま九つと成是代にして右ノ四十三三を
われは三寸はく四枚八分一り一毛と成也
▲三角に枡つもり時は一方ノ寸二尺左右にかくれは
四と成是へ三角ノ法四三三をかくれはー七三二と成ふかさ
三尺かくれは五一九六と成是ヘ今枡ノ法十五五四をかくれは
八斗超七合五勺八才四分と成
▲一尺四方ノ物を三角になをし一方ノ寸何ほとゝ問
法にー尺と置三角直しノ法一五一九六をか
くれは一尺五寸一分九り六毛と成也
又一尺ノ三角を四方になをす時は一尺と置直シ法
一五一九六を以てわれは六寸五分八り四方に成也
左右に置かくれはー寸ノま四十三三と成也又一尺ノ
三角にも四十三三有也
▲弐尺五寸四方を三角になをし申時は二尺五寸
と置三角直しノ法一五一九六をかくれは三角
一方ノ寸三尺七寸九分九リと成是左右にかくれは
ー四四三二四と成三角ノ法四三三かくれは
六百廾五としるゝ也此ま数を見るはしやうこ也
▲三角ノ法四三三叉三角直しノ法一五一九六
二色あり是よりおくにも皆二色ノ法有なに
ほとにても一法ノ心持おなし

第三 六角に二五九八かくるおこりは一方一尺ノ
六角十二に切人ちかひ見れは如此に成両ノ
寸かくれは一寸ノま弐百五十九八と成
又一尺ノ六角は三角六ツ有四三三に六をかくる共云
歌に
六角ノ法二五九八六ツにわる
四三三まは三角ノ法
▲六角升積する時はー方ノ寸一尺左右に置
かくれはーと成六角ノ法二五九八かくれは
二五九八と成是ヘふかさ二尺かくれは
五一九六と成是へ今舛之法十五五四を
かくれは八斗超七合四勺五才八撮四圭と成
▲弐尺四方ノ物を六角になをし六角一方ノ寸
なにほとゝ問一尺二寸四超八と云
法に二尺と置六角直しノ法六二超四をかくれは壱尺
二寸四分超八と成也又六角一万ノ寸を置法
六二超四を以われは四方一万ノ寸と成おこりはおくに有

第四 八角法四一四二ノおこりは指渡し一尺
なれは一方ノ寸四寸一分四り二毛有物也然共二も
なとゝかねにさゝれぬ物也此をこりは一尺四方
を角から角まてをうらかねといふ角々を
おろしたる故にー方ノ寸と成くわしくはこう
はいノ所に見ゆる指渡し一尺左右にかくれはー也
是へ八角ま数八十二八四をかくる也此法は図に有
歌に
八角ノ法ノをこりはうらかねノ
のひこうはいや一方ノ寸
▲八角ノ図ノ次第指渡し一尺あれは一方ノ寸四寸
一分四り二毛あり切法に八ツに切内四つを
二つ切にして以上十二に切入ちかへ見れは長二尺に
よこ四寸一分四り二毛と成是を長へかくれはー寸
ま八十二八四と成也右十六に切ても同
▲壱尺四方物を八角になをし一方ノ寸なに
ほとゝ問四寸五分五り一毛と云
法に一尺と置八角直し法四五五一をかくれは右のことく
又ま数見る時は右八角ノ法におく也
又八角ノ寸を置法四五五一を以われは四方一方ノ寸
と成也おこりはおくに有
▲右八角升積時は二色ノ法有指渡しノ寸左右
かけ其上へま数ノ法八十二八四かけ又ふかさ
かけ升之法かくれは升数しるゝ也
▲八角一方ノ寸いふ時はたとへは二寸あらは左
右にかくれは四と成是をはいして八と成是へ
ふかさ九寸ならは右へかけ七二と成是を八
角ノ法四一四二を以われは一七三八二と成
是へ今枡ノ法十五五四をかくれは弐升七合
超一一六入也右二色之法大小共同

第五 円法七九ノをこりノ図
指渡し一尺あれはまわり三尺一寸六分
有物也是を卅二に割は九分八り七毛
五糸つゝ有是を
人ちかへ見れは
はゝ五寸に長
一尺五寸八分
有長よこかくれは
ー寸ノま七十九有也
右卅二に切一方に十六又一方に十五勺一つを二つに割
両はしに置也以上三十三に切てもつめかたほと
丸み有により直しノ図に心持をする也
▲円廻法三一六にわれは丸き指渡しと成又
指渡しに三一六をかくれは丸きめくりノ寸
と成おこりは一尺ノ丸物にめくり三尺一寸
六分有故也
歌に
円廻法三一六は円法の
七十九まにかくる四のこゑ
▲円法を四方になをし四方を円法になをす次第
一尺と置円直法一一二五を
かくれは円法指渡し一尺一
寸二分五リと成又円き
指渡し右に置一一二五を以
てわれは四方一辺ノ寸と成
右一ー二五ノおこりは一尺四方にま
百有円法七九にわりー二六五
八二三と成是を開平法に
われはー尺一寸二分五リノ円法指渡しに成也

第六 三角六角八角直シ法ノをこり
三角直しノ法一五一九六ノをこりは一尺四方に
一寸ノま百有三角ノ法四三三を以てわれは二
三超九二四と成是開平法にわれは三角一
方ノ寸一尺五寸一分九り六毛と成是おこり也
▲六角直シノ法六二超四ノおこりはー尺ノ物に
ま百有是を六角ノ法二五九八を以われは
三八四九と成是開平法にわれは六角一方ノ
寸六寸二分超四毛と成是おこり也
▲八角直しノ法四五五一ノをこりはー尺四方に
ま百有是を八角ノま法八十二八四を以て
われはー二超七ー二と成是開平法にわれは
ー超九八七と成是へ八角ノ法四一四二をか
くれは八角直シノ法四寸五分五り一毛と成也
▲右直シノ法おこり也又五角七角十角
といふ共一尺に作り紙に切ちかへ見れは法も
をこりもしるゝ也

第七 壷積
▲かた分に六合一勺
▲つはに弐斗一合四勺
〆弐斗七合五勺
法に口五寸左右にかくれは二五と成かた二寸かくれは五
と成是へ円法七九かくれは三九五と成是升法
十五五四とかくれは六合一勺三八三入かたノ分也又
つはノ寸五寸一尺二寸一尺一寸一尺底七寸五口合テ
四尺五寸有是五つに割九寸と成左右に置か
くれは八一と成是へつほの法八をかくれは六四
八と成ふかさ二尺かくれはー二九六と成升ノ法
十五五四とかくれは弐斗七合五勺と成也
▲つはは遺おほくして定法は見合にする也故は
底ノとかりたるも有うえ口も有遺品ノ
かはるとも寸をとるにきてん有三所にて
取つほは四所も五所も取物也さて今其物
数ほとにわる故也又八をかくる事は少ノ
こうはいあるにより八をかけ申候形見積聞也
▲つほノ寸とられぬ時は廻ノ寸を取たとヘは
廻五尺あれは円廻法三一六にてわれは指
渡し一尺五寸八分二リと成此内つほノあつさ
四分あれは両方八分引一尺五寸超二リと成也
歌に
鋳物師ノ四方番近ノ丸き物
算者はつほの積り大事よ

割算にちかふへきやうなき物を
寸ノとるこそ大事なりけり

第八 すみつノ法ノ次第
▲一寸ノ坪千に今升ノ法かくれは壱斗五升五合四勺入
▲一寸ノ坪千超超三三三に今升ノ法かくれは壱斗五升五合九勺入
▲一寸ノ坪千超十三三三に今升ノ法かくれは壱斗五升七合五勺入
▲一寸ノ坪千超三十是へ今升ノ法かくれは壱斗六升超一勺入
▲一寸ノ坪千超五十三三一二に今升ノ法かくれは壱斗六升三合七勺
▲一寸ノ坪千超八十三三三に今舛法かくれは壱斗六升八合四勺
▲一寸ノ坪千百廾是へ今升ノ法かくれは壱斗七升四合入
▲一寸ノ坪千百六十三三三今升かくれは壱斗八升超八勺
▲一寸ノ坪千弐百十三三三に今升かくれは壱斗八升八合六勺
▲一寸ノ坪千弐百七十今升かくれは壱斗九升七合三勺
▲一寸ノ坪千三百卅三三三有今升かくれは弐斗七合弐勺入
法に弐尺左右にかくれは
四と成二つにして二と成
一寸六面坪千引は千と成是をすみつノ法三に
われは三百卅三三三ノすみつと成是へ右ノ千
加へ千三百卅三三三と成是へ今升ノ法十五
五四をかくれは弐斗七合弐勺と成也
▲右十一ヶ條内すみつ九ヶ條ノ法はたとヘは
上口壱尺壱寸底九寸ふかさ一尺ノ箱は
まつ上口一尺一寸左右に置かくれはー寸ノま百
廾一と成又そこ九寸左右に置かくれは八十一
と成右二口合弐百弐つ有二つにして百一
と成是別に置上口そこノ尺合弐尺有
二つにして一尺と成是左右に置かくれは一寸
ノま百と成右別におく百壱つノ内引残
壱つと成是をすみつノ法三にてわれは
三三三と成是へ右引百を加へ百超超
三三三と成是へふかさ一尺かくれは千超超
三つ三分三リと成是へ今升ノ法十五五
四をかくれは壱斗五升五合九勺と成也
是よりー尺九寸まてノ法おなし千より上ノ
分は底なしまてすみつ也上口そこ口にて
もふかさにても寸尺ノ高下ありても此法
三を用也是にかきらす三角六角八角
丸物等にても上口よりそこノ寸すほり申ふんは
すみつ有也是を一ノ調法にて開板する者也
六面ノ箱より一首
六面ノ箱ノすみつノすみつをは
法にさためて作る底なし
底なしノ返歌に
そこなしの底より出る底なしを
さしてすみつノ法とさためん
▲桶に升積次第
▲壱石四斗七升八合一勺入
法に二尺二寸左右に置
かくれは一寸ノま四百八
十四有又底壱尺八寸
左右に置かくれは三百
廾四と成二口合八百超八つ有是二つにして
四百四つと成別に置上口底ノ寸合四尺有
是二つにして二尺と成左右に置かくれはー寸
ま四百と成右別に置四百四つ内引は四つノ
すみつ有法三にわれはー三三三三と成是へ
引たる四百を加へ四百超一三三三三と成是へ
ふかさ三尺かくれは一寸ノ丸坪壱万弐千超八
十と成是へ円法七九かくれはー寸ノ坪九千
五百十一六と成是へ今升ノ法十五五四を
かくれは壱石四斗七升八合一勺と成也
▲右ノ内にて今迄ノ算用とはなにほとノ
ちかひと問四合九勺と云
法に上口二尺二寸そこ壱尺八寸合四尺と成是
二つにして弐尺左右にかくれは四と成ふかさ
三尺かくれは一二と成円法七九かくれは九四
八と成是へ今升ノ法十五五四をかくれは
壱石四斗七升三合弐勺と成右ノ升数を
壱石四斗七升八合一勺と置引は残四合九勺
と成也右すほりノすくなき故に如此すこし
ちかひ申上口と底とちかひおほきほと升
数ノちかひおほし

第九 切龍天地ノまのけて
此八寸ノきりこノそとまわりにー寸ノまなにほと有と問
答曰四百七十七ま六分九リ六毛と云
法に八寸左右に置かくれは六四と成是へ四面
八角(やすみ)ノ法七四六四をかくれは四百七十七ま六分
九り六毛と成也
▲右天地ノけ四面八角ノ法に七四六四をかくる
をこりは一尺ノきりこ一まにー寸ま百有是へ
四面故四かくれは四百と成別に置八すみは
ー尺ノ三角也一尺ノ三角には一寸ノま四十三三有
是へ八すみ故八かくれは一寸ノま三百四十六
四有右別に置四百を加へ七百四十六ま四
分有故に七四六四をかくる也
▲右ノまに三寸はく置時は三寸左右にかくれは
ー寸ノま九つ有是代にして七百四十六四を
われは八十二枚九分三り入といふ
▲六面八角ノきりこ九寸一方ノ寸也此そとまわ
りノま数なにほとゝ問
答曰七百六十六ま五ふ八り四
毛有といふ
法に九寸左右に置かくれは八一と成六面八すみ
ノ法九四六四かくれはー寸ノま右ノことくに成也
▲右九四六四ノ法ノをこりは右天地のけし
きりこ法七四六四に天地ノ二まノ小ま弐百
を加へ候へは一寸ノま九百四十六四有故也
今升▲壱斗八升七合五勺入法に八寸左右に置かくれは六
四と成是ヘ八寸かくれは一寸ノ坪五百十二と成きりこ枡
積ノ法二三五七をかくれはー二超六七八四と成
是升ノ法十五五四をかくれは一斗八升七合
五勺入也大小共同
▲古桝ノ法にして一升より壱斗まて帯縦開立を以つくる也
壱升 きりこ一まノ寸 弐寸九分八リ三毛 ふかさ四寸二分一り八毛
弐升 一ま三寸七分五り七毛 ふかさ五寸三分二リ三毛
三升 一ま四寸三分 ふかさ六寸八リー毛
四升 同 四寸七分三リ 同 六寸六分九リ
五升 同 五寸二分 同 七寸三分五り四毛
六升 同 五寸四分一り八毛 同 七寸六分六五
七升 同 五寸七分四毛 同 八寸一分一り七毛
八升 同 五寸九分六三 同 八寸四分三三
九升 同 六寸二分一毛 同 八寸七分七リ
壱斗 同 六寸四分二リ五 同 九寸八リ六毛

第十 ぬき入子算
七つ入子銀廾壱匁に買申候内三升なへなき時は
八分四リ
一升
一匁六分八
二升
二匁五分二リ
三升
三匁三分六
四升
四匁二分
五升
五匁四リ
六升
五匁八分八リ
七升
三升なへ代銀をのけ残合廾一匁
法にー升なべより七升まてノ数合廾八有内
三升引は廾五と成是代にして廾一匁をわれは
八分四リと成是一升なへ代也次第に八分四リます

第十一 橋刻
四町有筋
五町有筋
三町有筋
六町有筋
内三町目は半町也
町数合十七町半
右ノ入目銀三貫目頭町四丁有この分はおなし
銀にして残ノゑだ町は次第に三十匁下リ
頭町四町ノ割銀一町に付 弐百廾八匁つゝ
二町目四筋一町二付 次第に三十匁下り 百九十八匁つゝ
三町目四筋一町に付 百六十八匁つゝ 内八十四匁は半町ノ銀
三町有筋ノ銀合五百九十四匁
四町目三筋一町に付  百三十八匁つゝ
四町有筋銀合 七百三十弐匁
五町目二筋一町に付  百八匁つゝ
五町有筋銀合 八百四十匁
六町目壱町      七十八匁
六町有筋銀合八百卅四匁 内半町とも
打銀合三貫目
右ノ法は頭町 何ものけて三町ノ法ー二
四町ノ法一二三  五町ノ法一二三四
六町ノ法一二三四五   四口ノ法合三十三有
是は半町故一つに立也
左に置下り卅匁をかくれは九百九十匁と成
高銀三貫目に加へ三貫九百九十匁と成是
を町高十七丁半にわれは弐百廾八匁と成
是四町ノ頭町一町ノあたり銀也是より次は
卅匁下り次第に卅匁つゝ下ル也右ノ斗立ノ
通也大めやゝなとゝ遣しかはるとも法
立おなし

第十二 材木直シ
六寸丸太を角になをしなにほとゝ問
法に六寸と置円法なをしノ法一一二五にわれは
五寸三分三リノ角木と成也
▲七寸角を円法になす時は七寸と右に置
円直法一一二五をかくれは七寸八分七り五毛ノ
丸木ノ差渡しノ寸と成也
歌に
円直(えんじき)法一ー二五にわれは角
かくにかくれは丸き小口よ
▲材本細割ノ次第
五寸角ノ長一丈三尺木を六寸円にしてはなに程そ
法に五寸角左右に置かくれは一寸ノま廾五と成
長一丈三尺かくれはー寸ノ坪三千弐百五
十と成是別に置六寸左右に置かくれは
ー寸ノま卅六と成是へ円法七九かくれは廾八
四四と成是代にして右ノ三千弐百五十坪
をわれは一丈一尺四寸二分七リノ長と成也
▲五寸丸太ノ長一丈三尺有六寸角になをし
長いか程有と問七尺一寸三分二リと云
法に五寸丸太左右に置かくれは二五と成
円法七九かくれは一寸ノま一九七五と成
是へ長一丈三尺かくれは一寸ノ坪弐千五百六
十七五と成別に置六寸角左右にかくれは
ー寸ノま卅六と成是代にして右ノ弐千五百
六十七五をわれは長七尺一寸三分二リと成也
▲右二ヶ條は細割といふたとヘは唐木に
ても一寸ノ坪何百何千置惣代銀われは
ー寸ノ坪十をに付何分としるゝ也
▲六寸角ノ勘定に五寸に七寸角をたて
申候是にちかひ有たとへは六寸左右にかくれは
ー寸ノま卅六と成又五寸に七寸かくれは卅五
と成右とは壱寸ノま一つすくなし何も四方
四角なる物はおほし寸直しにちかひ有物也
▲板直しノ次第たとへは三尺に長七尺ノ板
十五枚有是を四尺四方ノ板になをしなに
ほとゝ問十九枚六分と云
法に三尺に七尺かくれはー尺四方ノま廾一有是へ
十五枚かくれは三百十五有右に置四尺左右
にかくれは十六有是にて右ヲわれは十九枚六と成
▲竹まわしノ次第五尺縄しめを三わに
わくる時は一わノなわなにほと有と問答
弐尺八寸八分六リと云
法に五尺と置円廻法三一六にわれは指渡
一尺五寸八分二リ二毛と成是左右にかくれは
ー寸ノ丸坪弐百五十超三三五六八四と成
是三つにわれは八十三四四五二二八と成是を
開平法にわれは指渡し九寸壱分三り五毛
ちり入有是へ円廻法三一六をかくれは弐尺
八寸八分六り六毛ノなわノ寸と成也たとヘは
三尺縄にても法立同
▲右一寸ノ丸坪といふは円法の指渡し左右に
かくる故也是へ円法七九かくれは一寸四方ノ
坪と成也右はなわはかり見るにより円法
七九はかけぬ也又七九かけておなしゆヘは開
平法に割て又七九にわれはおなし坪と成
所々にて開平法開立法ノ割をしるし
度候へともーヶ所にても心持おなし

第十三 うらかねなをし
丸木さしわたし二尺五寸あるを四角にけつ
るやうにつくる時は角ノおもてなにほとゝ
問一尺七寸六分七り七毛と云
法に弐尺五寸と置うらかねノ目一四一四二を
以てわれは一尺七寸六分七り七毛ノおもて
かねと成角より角をうらかねにて見れは
同尺也
▲丸木ノめくり七尺九寸有是角につくる
時は七尺九寸と右に置うらかね直しノ法四四六
九に割は角ノおもてー尺七寸六分七り七毛と成
此四四六九ノをこりは先七尺九寸と置円廻
法三一六にてわれは指渡し弐尺五寸と成
うらかねノ法一四一四二にてわれは壱尺七寸
六分七り七毛と成也此円廻法三一六と法
一四一四二とかけ合見れは四四六九ちり入
なるにより二度わる代を一度にてすむに
より法に用也

第十四 きぬ割数を知
きぬ五色合五百五十疋箱に入▲ちりめん
よりさや廾疋すくなし▲さやよりりんす十疋
すくなし▲りんすよりはぶたい五疋少し
▲はふたいよりらしや五疋少しめいゝゝに問
ちりめん百卅五疋   さや百十五疋
りんす百五疋     はふたい百疋
らしや九十五疋   五口合五百五十疋
右法ノわけノ代
ちりめん
さや 右よりすくなし廾疋 四上へかけ八十疋
りんす 同断十疋  三上へかけ三十疋
はふたい 同断五疋  二上へかけ十疋
らしや  同 五疋  一上へかけ五疋
右はすくなき分   〆百廾五疋有高
きぬ五百五十疋と加へ六百七十五疋と成也
是を五色にわれ八百三十五疋と成是ちり
めんノ数也是より次第にすくなき絹ほと
引は右ことくめいゝゝにしるゝ也右ノ法立
は先ちりめんより何十疋すくなしと次第に
もくろくに作り扨下よりーかけ次は二かけ
其次は三かけ又次は四かけ又次はすくみ也
百千万にても法立おなし是は口伝ノ法也
▲きぬ長八尺はゝ一尺八寸 代銀廾八匁
右ノきぬはゝ弐寸五分に長八尺に帯たけに
買申時は代銀廾八匁と置はゝ一尺八寸に
われはー五五五五と成是へ弐寸五分かくれは
帯代三匁八分八リと成也
▲右ノきぬをはゝ一尺八寸に長壱尺五寸ノきれ
かい申候時は廾八匁と置長八尺にわれは三五
と成是へ壱尺五寸かくれはきれ五匁二分
五リと成也右二ヶ條は長入時は長にわり候
前よこはゝいる時ははゝにわる也何もきぬ
割は目にかけてうりかひする法もあり又
二色三組なとゝいふ割符(わりふ)ノ舩算といふも
あり工夫聞也

第十五 万かなめ積リ
石火矢ノおもさをしるはたとヘは指渡し一尺
弐寸有長一丈有穴三寸長六尺にして鉄に
して問六百五十六貫九百六十四匁ノおもさ也
法にー尺弐寸左右にかくれは一寸ノま百四十四
と成是長一丈かくれはー四四と成是へ円
法七九かくれは一寸ノ坪一万千三百七十六と
成是別に置穴三寸左右にかくれは九と成是ヘ
長六尺かくれは一寸ノ坪五百四十と成是ヘ
円法七九かくれは一寸ノ坪四百廾六六と成を
右ノ壱万千三百七十六ノ内引は壱万超九
百四十九四と成是へ鉄一寸ノ法目六十
匁をかくれは六百五十六貫九百六十四匁ノ
おもさと成也
▲右ノ壱万超九四九四と置古升ノ法十六
をかくれは壱石七十五升一合九勺と成是へ三貫
七百五十匁をかくれは六百五十六貫九百六
十四匁ノおもさと成也此法立は升数に積
かなめ三貫七百五十匁をかくるはー升にー寸ノ
坪六十二五有六十匁をかくれは一升ノ法目
三貫七百五十匁と成也か様におほきものは
升積にしててつからかね一升ノ法目かくる也
つりかねなと積時はかたにすなをはかり
何十貫めかたといふ也
▲寸ノとれぬ道くにたとヘはすいゑんあま
ふさ 四よう 八よう しゆつはう玉同くさり
ほうちほうちゆくいき物ほり物等まても
寸尺とられぬにはー尺四方ノかみをはり何枚
入とかそへあつさをかけ一寸ノ坪何十と積唐
金一寸ノ法目をかくる也かみはるにきてん有也
▲錫鉢あつさ一分有一方をかみにはり弐枚
いれは一尺四方には一寸ノま百有二枚二弐百有
あつさかくれはー寸ノ坪廾と成是へすゝノ法目
六十三匁かくれは壱貫二百六十匁ノおもさと成
歌に
ほり物をのこさすはるははく積リ
かなめつもりは紙ノこうはい
▲或人ノ曰ほり物いき物にかみをはり積とも
人間はつもりかたしといふ答曰目口はなの
あななとノふしんと聞へ候下愚かつもりには
ふしきの桶を持候去尋ノ人をいるれはし
れ申と云先ノ方さあらは人とて桶ノ中に人
其時ふたをして水をいるゝ中よりいかんと云
下愚か桶には壱石入間其方ノ外へ水を
いれはかり見て水六斗あれは其方は
四斗成といへはあやまりノよしと申候

第十六 開立円法
此玉ノおもさしるは玉廻法
三を以まはり三尺をわれは
指渡し壱尺有左右にかくれは
ーと成高一尺かくれはー尺ノ
玉坪千と成是へ玉ノ法五
六二五をかくれは一寸ノ坪五
百六十二五有是へ銀一寸ノ
法目百四十匁をかくれは七十八貫七百五十匁と成
▲指渡し一尺五寸有左右
 に置かくれは二二五と成
 高一尺五寸かくれは三
 三七五と成是へ玉ノ法
 五六二五かくれは一寸ノ
 坪千八百九十八四三
 七五と成是へあかかね
 一寸法七十五匁かくれは
おもさ百四拾弐貫三百八十二匁八分也
▲指渡し二寸ノなまり玉おもさなにほと有
そと問三百九十六匁と云
法に二寸左右にかくれは四と成是へ高二寸かくれは
八と成是へ玉ノ法五六二五をかくれは一寸ノ坪
四五と成是へなまり一寸ノ法目八十八匁をか
くれは三百九十六匁と成也
▲右ノ玉をからかねにして見れは弐百九十七
匁ノおもさといふ
法に右ノ坪四五に唐金一寸ノ法目六十六匁を
かくれは弐百九十七匁と成也
右三ヶ條玉ノ坪見る此五六二五ノこゑは
開立円法より出る何も一尺四方ノ箱にー尺
ノ玉をつくり其外へ水を入玉を取残ノ
水坪積りしるる者や何も玉を作るには
開立ノ入也玉を三つに切四つに切事はみな初
心ノおよひかたし
歌に
五六二五はたゝまるかれや玉ノ法
かどのあるには物のかゝるに

第十七 平方截とものほり坂とも云
▲高卅間に長六十間如此成坂を坪次第に切事一人は
五百坪一人は三百坪一人は百坪合九百坪有めいゝゝ
坪に分る時五百坪高卅間より根いか程切口三百坪
百坪めいゝゝノ切口ノ間根口ノ間を問答図ノ書立也
法に六十間左右にかくれは三千六百坪有有坪九百
にてわれは四と成是割代也是へ百坪かくれは
四百坪と成是開平法にわれは二十間ノねと成
是へ五ふノ下リかくれは切口十間と成也又三百坪
根口しるは右ノ割代四と置二百坪一番ノ百
坪かり合四百坪と成右ノ四へかくれ八千六百坪
と成是開平にてわれは四十間と成内廾間は
百坪ノかりノ間に引廾間と成是根口也五ふかくれ
は十間と成前十間と加へ廾間ノ切口次も法立同
▲如此ノ石垣を知行割にして
割付ル坪数式千坪有
高八万石

三万石    某
高卅間より請取切口廾四間余根書立ノ通
三万石 某
中間ノ刻
弐万石 某
中より十間迄ノ刻
是は右ノ石垣ノ法ノ図也
  法に高卅間と置一方ノ高
  十間引廾間と成根ノ百間
  を以われは一間に付二ふ下り
  としるゝ也
 本坪弐千坪かり坪弐百五
 十坪と合弐千二百五十坪
 根間合百五十間
▲法に百五十間左右に置かくれは
弐万弐千五百坪と成是右に置惣坪弐干
弐百五拾坪にてわれは一と成別二置弐万石
ノ五百坪にかり坪弐百五十坪加へ七百五十坪と
成右割代一へかくれは七千五百坪と成開平
法にわれは八十六間六分超弐毛五と成内五十
間ノかり坪引残卅六間六超弐五有是五百
坪ノ根口也又切口を見るは根口ノ間に二ふノ下り
かくれは七間三ふ二と成一方ノ高十間へ加へ見る
に十七間三二と成也
▲三万石ノ根口をしるは右ノ二色坪七百五十
坪に七百五十坪加へ千五百坪と成右ノ割代
一にかくれは壱万五千坪と成是開平にわれは
百廾二間四ふ七四五と成此内かり坪五十間
五百坪ノ間二口合引は三拾五間八七二と成
是中ノ七百五十坪ノ根口也又切口見るは根口
を置下り二ふかくれは七間一七四四ノほりと成
切ロノ十七間三二に加へ廾四間四九五ちり入と成
是切口也
▲高三万石ノ七百五十坪ノ根口をしるは右ノ
ことく三口ノ坪合千五百坪是へ七百五十坪
加へ弐千弐百五十坪と成右ノ割代ーにか
くれは弐万弐千五百坪と成是開平方に
われは百五十間と成右かり坪ノ間五百
坪ノ間七百五十坪ノ間三口合百廾二間四七
四五と成百五十間内引残廾七間五二五五ノ
根口と成也是へ二ふノ下リかけ扨切口加へ
候ヘは高三十間に合申候也ことゞゝく右に書
立置申候工夫専也知行割めいゝゝノ高に坪
をわる也上巻にはかん切と名付見一にて
わり付置申候開平法いく人は此法何も
此心持とすみつノ法と二いろにては丸木ノ
円載積りいか成むつかしき積りにても
此算ノ心持とくと心得候ヘは其知恵
にて又きてんノつく者也
歌に
開平法一百万はおなし割
十算は又千と十万

第十八 目録算
第二ノかきぬきに平坪三百十六坪有を
長よこノかしらーけたちかへ二けたよりは同寸
尺にわるはまつ右に三百十六坪と置長四
十六間七ふ五り八毛一五を以われはよこ六間
七ふ五り八毛一五と成也
▲第三ノ坪に千超八十二坪半を長百超
九間八ふ五り四毛を以てわれはよこ九間超
八ふ五り四毛と成也
▲第六ノ坪に七百七十九坪四分有是を長
七十間超九ふ八り超四八四を以てわれは十
間超九ふ八り超四八四ノよこと成也
▲右之外にあまた候へとも三ヶ條かき申候此
割は初心ノかてん参ましく候間指南
なさん人に御尋尤に候何も法ノしれさる
分三色にて有候下直ノ身に情(せゐ)をうしなひ
申候故積算うりかひ算はしるさす今
まてノ算記ノ註ともいふへき者か
▲右三ヶ條は目録割といふ也しやうこさん共
いふ也
▲平坪弐百坪有是を長ノ半分よこにして
なにほとゝ問答曰長廾間によこ十間といふ
法に弐百坪と置倍して四百坪と成是
開平にわれは廾間四方と成是長に用也
よこは廾間二つにして十間と成也
▲三十坪有長ノ半分よこにしてはなにほとゝ
問答曰長七間七ふ四り六毛よこ三間八ふ
七り三毛といふ
法に三十坪を倍して六十坪と成是開平
にわれは七間七ふ四り六毛ノ長と成二つにして
よこ三間八ふ七り三毛と成也
▲右二ヶ條は帯縦開平といふ也是にこのみ
ある者也何も心持おなし
▲上巻下巻ノ内毛リノちりを入もあり又は
すつるもあり法立ノちかひなき様にと存
候へとも無心之仕合に候也

第十九 こうばひのび五分あたりにわり付
こうはい細に塵劫記にありといへとも板ノ
あやまりか七寸八寸ノ所ちかひあるにより
今又下愚かあらため申也塵劫記には
糸忽まて候へとも其ちりをこみ引して
毛まてに書付る也
五分 一り六毛
一 寸 四り六毛
一寸五分 一分一り 二毛
二寸 一分九り八毛
二寸五分 三分超七毛
三寸 四分四リ三毛
三寸五分 五分九り一毛
四寸 七分七リ
四寸五分 九分六リ
五寸 一寸一分九リ
五寸五分 一寸四分一り三毛
六寸 一寸六分六り二毛
六寸五分 一寸九分三リ
七寸 二寸二分
七寸五分 二寸五分一リ
八寸 二寸八分六毛
八寸五分 三寸一分三リ
九寸 三寸四分五り四毛
九寸五分 三寸七分九リ
一尺 四寸一分四り二毛
歌に
尺四方角へとのびのうらかねは
ー尺四寸一分四り二毛

第二十 瓦積算
五間に弐間ノ家にのき一尺出し弐間ノよこ
切つまにしてこうはい五寸にきわめ屋ねノ
坪を問十二坪九分と云又瓦は長一尺によこ
九寸にしていか程入と問答曰弐千超十一枚と云

からくさ七十枚 平千百六十九枚
ともは六十八枚 丸七百枚
鬼瓦弐つ 鳥ふすま弐つ
法に弐間ノかたむね一間是六尺五寸也是へ
一尺ノのきを加へ七尺五寸有是へ五寸こう
はいノ法一寸一分八リをかくれは八寸八分五リ
ノのひと成是へ七尺五寸ノ加へ候へは八尺三寸
八分五リと成是かたむね也又片棟を加
へ壱丈六尺七寸七分と成是六尺五寸にて
われは弐間五分八リと成是へ長五問を
かくれは屋ね坪十二坪九分と成也
▲瓦ノ数をしるは屋ね坪一坪は六尺五寸四
方也是によこ九寸ノ瓦七枚ならふ六尺三寸
残二寸は小口ノあき也瓦長一尺内五寸ノかけ
引は五寸と成是にて六尺五寸をわれは十
三枚ふく是へ右ノ七枚かくれは九十一枚と成
是平瓦也又丸瓦は切かた有により長五寸
有是にて六尺五寸をわれは八枚一分有是へ
七通りかくれは五十七枚ちり入成右平と合
百四十八枚と成是へ屋ね坪十二坪九を
かくれ八千九百超九枚と成又むねにのし
とて平二色丸一色以上三枚入ねむ長五間
を六五にかくれは三丈弐尺五寸と成是を瓦長
一尺にわれはー筋に三十弐枚半入是へ三枚かくれは
九十八枚と成右千九百九枚に加へ弐千七
枚と成鬼鳥ふすま四枚入弐千十一枚と成
▲右ノ瓦家坪十坪にわれは一坪に付弐百一
枚と成也
▲右ノ瓦十二坪九分にわれは屋ね坪一坪に付
百五十六枚つゝ也
右ノことくに積候ヘはたとヘはこうはいノちかひ
有瓦に大小有ても法立おなし右ノ内にもこ
まかにのしなとノ法はきこえす候扨われか
けとて外に入物也
▲瓦積リには屋根坪を積か専也塧なと
には四方つま又堂なとにははふいつま又
十六ノ角十二ノ角なとむつかしき坪積也
番近なとゝ積合してつもるか専也鬼瓦
すみノ有ほとゝ入物也善瓦きくわちかひな
とゝ数ノ小道具有物也

第二十一 天竺祇園精舎ノ金積
しやたつ長者沢尊に七堂からんノ建立
支度と申上らまゝ沢尊長者ノ心をしら
しめん為に四十里四方に金一尺敷たまへと
ら伝くれは長者うけたまはつて敷たまふに
すてに壱尺一寸におよへり沢尊心らんして
十一寸とかゝせたまひ寺とよませたまふ
其後きをんしやうしや御建立ありしと也
その金ノつもりにかそへ見れはおよそ
十五兆超四百八十億貫余ありしと也
是を日本ノ人数にわれは行棊ノいわく
四十八億九万九千六百四十八人と改めさせ
られたり此人高にわれは一人前に三万千三百
四十九貫三百四十九匁一分八り七毛五糸と
あたれり銭にこれほと民ノ持人ノ候や
目出度長者といへり
歌に
沢尊は明星を見て御たう成
たるまはかへに九年まとろむ
恒河沙(かうがじゃ)
日の本ノ浜ノ真砂は積るとも
此恒河沙ノ数はつきせし
那由他(なゆた)
芥子劫ノ数を積ると那由他劫
佛なくては誰かつもらし
阿僧祇(あそき)
石劫ノ年をふるともいかてかは
南無あ僧祇ノ切徳しらす
不可思議(ふかしき)
大海を一滴つつに分るとも
南無不可思議ノ数ノ切徳を
無量大数(むりうたいす) 右佛陀にて積り不知
一 右算法起は大略医者にをなしたとヘは算
者の習ひ得るといへとも工夫なきは医学ノ
達者いこつなくして薬のまわらぬにひとし
一 商実法起四つの法を以算用するは望聞
間切(もうもんけんせつ)ノ四つを立脈取にをなし
一 二色二組の物を三色四組ほとに法を加へて
算用合すへしといふはたとへは五味ノ物にー
二味も加減してはいさいするに同し
一 九ゝは八算見一しさんかけさん五ノ法
を以万の算をつもるは肝心脾肺腎(かんしんひはいじん)の
五ざうを見立病をなをする同し
一 そろばんに上に壱つ下に五つ合て六つの
つぶあり上つおろしつゆびのさきにて
置立何百何十の数をしるは六脉をゆび
に取出をへ何病と見立薬をもる
にをなし
窺(うかかふ)に当代算法の祖師嵯峨ノ吉田
佐渡ノ百川此かたゝゝをさしおき下愚(かぐ)
か分として算法起と外題にうつ事は
誠におそれあり然とも初心の順逆
をほとこさん為なるへき歟也
歌に
古しへの法より外の法なれは
無調法とそ人やいふらん

堺大小路口
田原仁右衛門尉
承応元年
辰極月吉日