和算用字和解



和算書に見える和算用語凡例集を抜粋してみました.〈用字凡例〉や〈用字和解〉といったタイトルで書かれている.
漢籍では『算法統宗』に見える.( )内は原文についている振り仮名.訓点は省略した.検索等にご利用下さい.

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和算用語凡例集一覧表
No.
書名
著者
用語説明部分のタイトル
01算元記 1657 藤岡茂元用訓
02算爼 1663 村松茂清用字
03古今算法記 1671 沢口一之算盤異名
04数学乗除往来 1674 池田昌意乗除の名の字
05九数算法附録 未詳 嶋田貞継(1607〜1680)用字凡例
06和漢算法 1695 宮城清行用字凡例
07和解図式算法天元指南 1698 佐藤茂春用字凡例
08大成算経 1683〜1710 関孝和・建部賢弘用字例
09古今増補算学重宝記改成 1715 算盤の異名
10小学九数名義諺解1720沼田敬忠附術用字凡例
11算法指南車 1769 小川愛道用字註解
12秘術改撰算学重宝記(天明7年版)1787 算盤の異名
13算法知恵海大全 1793 算法名之事
14 改正天元指南 1795 藤田貞資 用字和解
15 大増補改算記綱目 1795 用字凡例
16 算学稽古大全 1808 松岡能一用字凡例
17 算法点竄指南録 1815 阪部廣胖用字和觧
18 廣用算法大全 1825 藤原徳風用字凡例
19 算法新書 1830 千葉胤秀用字凡例
20 算法身之加減 1830 渡部一算学用字
21 算法稽古図會大成 1831 算法用字
22 算法大全指南車 1832 用字註解
23 算学提要 1833 竺眞應用字凡例
24 算学速成 1836 武田復用字
25 算法智恵袋 1844 序:吉田光由算法名目の註釈
26 眞元算法 1845 武田眞元算法の換名
27 算法摘要大全 1846 武田眞元算法換名
28 算法稽古宝 1846 算法用字
29 算法図解大全 1848 算法用字
30 算法開蘊 1848 剣持章行用字
31 多門直入算法重宝記1851 友鳴松旭 算法用字
32 秘術改撰算学重宝記(嘉永4年版) 1851 算法用字
33 啓廸算法指南大成 1855 小野光衛門以正用字凡例
34 算学備要大成1856佐々木定保用字格
35 秘伝捷径袖珍算法1797山田昌信用字の例
36 算法早まなび1847福田復算法用字
37 算法便覧1826武田眞元算法換名
38 算法統宗 1593 程大位用字凡例

01 算元記
帰除(きじよ)とはわる事也.のぞく共云.又自除自帰と云はそろはんの左右同数にて割をいふ.
乗因(ぜういん)とはかける事也.のする共云.又相因とは掛合を云.再(さい)因二乗再乗と云は二度かける事を云.
自因(じいん)自乗(じぜう)とはそろはんのつぶ左右同数にてかけ合を云.又再自因再自乗とは同数二度かけるを云.
(しやう)とはわりあらはす数をいふ.又くらひを見出すこと也.
(じつ)とはそろはんにて右の方也.是を正(まさ)に置共或は下に直(なを)す共云.
(はう)とは同左の方也.是を目安に用ゆ共或は上に立るとも云.
折半(せつはん)とは長(ちやう)(たん)合て二つにわるを云.
減去(げんきよ)とはへらしさることをいふ.
(せき)とは何にても坪数を云.
不尽(ふじん)とは何にても残る数を云.
(れい)とはそろはんのけたあいとぶことをいふ.

02 算爼
因乗(ゐんじよう)かくる事なり.略(りやく)して一字書ても同し.
帰除(きしよ)わる心なり.略して一字をもかくなり.
相因(さうゐん)かくる事なり.相乗(さうしよう)も同し.
自因(じゐん)同数(おなしかず)をかけあわする事なり.自乗(じじよう)も同し.
再自因(さいじゐん)同数(おなしかず)を二度かくる事.再自乗(さいじじよう)も同し.
(まく)自因(じゐん)の積(せき)をいふなり.
(くは)まぜあわするといふことなり.
(へい)あわするといふこころなり.
減去(げんきよ)へらしすつる也.引落(ひきおと)すといふに同し.
止餘(しよ)とどまりあまる也.残餘(ざんよ)止残(しざん)なとも同し.
不盡(ふじん)わりあまりのはしたをいふ.
折半(せつはん)二つにわけて其一つの事なり.半(はん)と計(はかり)も用ゆ.
(れい)一位へたてたる也.略してかんむりなしにもかく也.令令は二けたきるゝをいふ.
(たん)是も零(れい)と同し.
(けい)さしわたし也.
たてよこ同寸をいふ.
立方たて横高同寸をいふ.さいのことし.

03 古今算法記・13 算法知恵海大全
(き)と云は割(わる)事なり.
(ちよ)と云も割(わる)事なり.
(しやう)と云は掛(かけ)る事なり.
(ゐん)と云も掛(かけ)る事なり.
相乗(あいしやう)と云も掛(かけ)る事也.
自乗(じじやう)と云は同数を掛合る事也.
自因(じいん)と云も同事なり.
自之(これをじする)と云も同事なり.
再自乗(さいじじやう)と云は同数を二度かけ合する事なり.
再自因(さいじいん)と云も同事なり.
再自之(ふたたびこれをじする)と云も同事也.
(ほう)とは割たりかけたりする時見合する左のかずをいふなり.
目安(めやす)と云も同事也.
(じつ)と云は割へき数の右にあるをいふなり.
(しやう)と云は割あらわするかずをいふ也.
折半(せつはん)と云は弐つに割事也.
半之(これをなかばにする)と云も同事也.
(は)と云はたつよこ合る事也.
相併(あいならふ)と云も同事也.
加入(かにう)と云はくわゆる事也.
(せき)と云はたつ横(よこ)かけあわするをいふ也.
(べき)と云は同数をかけ合せたる数をいふ也.
(れい)と云は一桁間あくを云.あるいは千十といふがことし.百の字落るゆへ千零十といふなり.
不尽(ふじん)と云はわり残る数をいふ也.

04 数学乗除往来
(のぞく)(のける)これはたとえは馬五疋を五人にのけるといふ五人にわたす事なり.
(のる)(じやうする)五寸と六寸と乗してもなかの坪丗坪有.これを五六丗といふのごとくなり.
(ちなむ)(いん)これも乗するとおなじ事也.
(しやう)これは見たてゝあらはす数なり.算木のばんのうへにあらはるゝ也.
(じつ)これは商の下にをく数の名なり.算ばんのかきつけのことく也.
(ほう)これは実の下にをく数の名なり.算ばんにあり.
相因(さういん)・自因(じいん)・相乗・自乗これみなそろばんにてかけあわするといふ.たとへは五と七とよびて五七の丗五.
たとへば七と七とよびて七々の四十九.みなおなし事なり.
除約(のぞくつゝむる)これみなそろばんにてわるといふやうのことなり.
減去(げんさる)これみなそろばんにて引といふやうの事なり.
(しやう)これはあかき算木のなゝり.陽の名也.
(ふ)これはくろき算木の名なり.陰の名也.
(れん)これは法の下にあるなり.開平方にて天元の一をいつも廉といふ也.

05 九数算法附録
假如假者假借之義.借辭以述其事.如者然也
原數本數也
積數積者聚也.言數積聚也.即本實數也.
虚數非本實數.言假數積聚也
該數該者兼備也.與凡數義同.
緫數緫者聚束也.又統也.與該義同.
變數變者更也.又易也.言於因歸乗除之間其數變易也.
通計首末全曰.通計者會也.又算也.言者會通其數也.
落也.數虚也.如言一百零一是也.
并合兩數相合也.
折半減去一半也.
減去減者耗也.去者除也.減却除却義並同.
止餘止者畱也.餘者殘賸也.言者以少減多而數殘餘也.
不盡歸除實數不終也.
若干數未定之辭幾許幾多義並同.
在位使積數在實位也.
自因兩數共單位,而數亦齊矣.
自乗兩數共多位,而數亦齊牟.
相因兩數共單位,而數不齊彼與此相呼也.
相乗兩數共多位,而數不齊彼與此相呼也.
自歸不分單位多位兩數共齊牟.
相歸不分單位多位兩數各不齊牟.
遇也.又除也.遇有數而歸之辭也.
益也.益數以歸之辭也.
移上前一位也.
還原復初數也.
纒束也.存約數之義也.
四方也.又謂圓之對也.
周也.又謂方之對也.
長也.
所以為圓之器也.
所以為方之器也.即今曲尺也.
外圍也.
周中之弦也.又縦也
立起也.
陥也.
横闊也.
横廣也.
直長也.又謂横之對也.
廣闊也.又謂縦之對也.
兩隅相去也.又不正也.
方直也.
曲角也.
直也.又謂短之對也.
長之對也.
因乗義因者生也.謂九九陞積之義也.單位曰因多位曰因乗通而言之曰乗也.皆從末位起呼
九九相生之數次第乗之也.
歸除義歸者會也.謂會萬分之數而歸於一也.除者減也.謂約存身數而減其餘也.單位曰歸多
位曰歸除通而言之曰除也.
皆従首位而起其法之首位呼歸餘位呼除故曰歸除.
商實法義置右者謂之實.置左者謂之法.於其因歸乗除之間章者謂之商.實者積數之本,法者因
歸乗除之用,商者因歸乗除之章數,所謂物成熟可章度也.假如有一歳三百六十五度
四分度之一若知章歳分數,以三百六十五度四分度之一為實,以統法八千四百分為
法,用因乗則得三百零六萬八千一百分是商也.又有章歳三百零六萬八千一百分,若
知晝夜分数,以三百零六萬八千一百分為實,以三百六十五度四分度之一為法,用歸
除則得統法八千四百分是商也.

06 和漢算法
商(しやう)とは割(わり)あらわすを云.
実(じつ)とは法にて割(わる)べき数(かす)を云.
法(ほう)とは割(わり)懸(かけ)共に見合る数を云.目安といふもの也.
帰(き)とは一桁(けた)の法にて割(わる)を云.
帰除(きぢよ)とは二桁(けた)以上の法にて割(わる)を云.
因(ゐん)とは一桁(けた)の法を懸(かける)を云.
乗(じやう)とは二桁以上の法を掛(かける)をいふ.
相因(さうゐん)・相乗(さうじやう)共にかけ合るを云.
自因(じゐん)とは同数(どうすう)(おなじかす)一桁(けた)かけ合を云.
自乗(じじやう)とは同数二桁(けた)以上かけ合るをいふ.自之とも云.
再自因(さいじいん)・再自乗(さいじじやう)共に同数二度かけあわするを云.
自因(じいん)・自乗(じじやう)共同数三度かけあわするをいふ.自乗(じじやう)以上餘(よ)は之に倣(ならへ)
折半(せつはん)も半之と云も皆(みな)二つに割を云.
和(くは)と云も相併(あいならぶ)と云も皆幾(いく)数にても合す類(るい)を云也.
加入(かにう)とは増添(ましそゆる)の類(るい)をいふ也.
減(げんずる)とは引(ひく)をいふなり.
差(たがひ)とは多少にして同数ならざるを云也.
倍(ばい)とは本ある数(かず)を一ばいするを云也.
冪(べき)とは同数懸合(かけあわせ)たるを云.又畧(りやく)して巾(べき)とも書也.
零(れい)とは一桁間のあくを云.
不尽(ふじん)とはわりのこる数を云也.
還源(くはんげん)とは初(はじめ)の術(じゆつ)にかへす術を云也.

07 算法天元指南
商(しやう)割あらわす数を云なり.
実(じつ)法にて割べき数を云なり.
法(ほう)割掛ともに見合する数を云なり.
帰(き)一桁の法にて割ことなり.
除(じよ)二桁以上の法にて割ことなり.
帰除(きじよ)同上.
因(いん)一桁の法を掛ることなり.
乗(じやう)二桁以上の法を掛ることなり.
因乗(いんじやう)同上.
相因(あひいん)一桁掛合することなり.
相乗(あひじやう)二桁以上掛合することなり.
自因(じいん)同数一桁掛合することなり.
自乗(じじやう)同数二桁以上掛合することなり.
自(みずからす)之(これを)同数掛合することなり.
再自因(さいじいん)一桁の同数二度掛合することなり.
再自乗(さいじじやう)同数二桁以上二度掛合することなり.
三自因(さんじいん)一桁の同数三度掛合することなり.
三自乗(さんじじやう)同数二桁以上三度掛合することなり.
折半(せつはん)二つに割ことなり.
半之(なかばす)之(これを)同上.
和(くは)相合することなり.
併(へい)同上.
加(か)増そゆることなり.
相加(さうか)同上.
加入(かにふ)同上.
併入(ならべいる)同上.
減(げん)引ことなり.
相減(あいげん)同上.
差(しや)多少のちがいのことなり.
倍(ばい)一倍にすることなり.
三(みたびす)之(これを)三を因ずることなり.
四(よたびす)之(これを)四を因ずることなり.
上位(じやうい)算盤の上又左の方を云なり.
下位(かい)算盤の下又右の方を云なり.
首位(しゆい)左の方を云なり.
尾位(びい)右の方を云なり.
身(み)掛割のとき見合する位を云なり.
本位(ほんい)法位に對して呼合する位を云なり.
定位(ぢやうい)位の究まり定まるを云なり.
列(れつす)置備ふることなり.
右行(うぎやう)右の方に列したるを云なり.
左行(さぎやう)左の方に列したるを云なり.
進(すすむ)上へ上ることなり.
退(しりぞく)下へ下ることなり.
階(かい)算盤の間ことを云也.又桁と云がごとし.
零(れい)一桁間のとぶことなり.
不盡(ふじん)割のこる数を云なり.
直(ちよく)縦横の形ちを云なり.
斜(しや)直ならざる形ちを云なり.
積(せき)何にても形ちの中の歩数を云也.
冪(べき)同数を掛合たる数を云なり.又略して巾(べき)とも書なり.
見商数(けんしやうのかず)商にあらはれたる数を云也.
適等(てきとう)そひとしく同じきことを云なり.
就(つく)分(ぶんに)分は分母子の分なり.其分母に就き分子に就と云義也.
寄(よせ)左(さに)左の方へよせ置と云ことなり.
(よせ)(くらいに)・寄(よせ)甲位(かういに)・寄(よする)乙位(おついに)の類(たぐひ)は重(かさね)
て呼(よび)(いだ)すべき為(ため)かりに名付(なづく)る也.

08 大成算経
是發題語之端也.凡設正題下全問而其體真者皆首註此字而又結其尾之辭也.
假如與前同辭也.但於篇中設假問而不真者皆用此辭而却不結最末之語也.
於題中言之者定用此字也.凡如新言事別發語之類初添只字次添又字末添復字而註之,
但所言雖多其文前後相通則各不書之. 若言答数及諸術者皆用曰字也.
若干是数未定辭故畧題中及答数而不書之,則各用此二字分註于諸云辭與得答之旁也.
幾何與前同辭而定為題末之結語也.是故設真者以之附于問数之下或據題又添註各字于
上而全其文若假題者畧而不書之
法曰是術首之辭乃所為本自定而為準者皆註如此而為其枝之規模也.
術曰與前同辭也.但其技本無定式而臨機施之者皆用此文而別應変之義也.
草曰此辭或術前先得数而後施之或別段而再演其理者皆非真之所為故各如此書之.
解曰是又演段之首辭也.
置也.術中以假諸数施之者用此字.
與前同辭.用真数而成技則如此書之若張上下者上註副字.
加入合一物雙位之辞大率添入字或合両三物則有夾與及両字而用此辭者矣.
相并或作併是合衆位之辞先書諸位相乗之名目而後註此両字于緫位之下.
列并合二位三位者約而言之則先如此書而後註諸位之號又於位中間挾註與及両宇也.
但二次巳上相乗之名,混雑者不用此文.
内減両数先置,多者於其中減少而如此註之.
以減先置少者用其数減多而如此註之.
自之本其號具者與并数減餘之属未號位者各一次乗則大率畧乗字而不書之.
自乗位已有號者宜言乗字若二次已上則又上添再三等之数而註之.
相乗本有號者與寄諸位者及雖未號以緫計餘数乗者皆添相字.
乗之或就諸分或乗無名数者各一十已上則定不言相字.
幾之以分数一十巳下因之者省因乗両字各不註之.
謂加并之緫故大率註于得数之上或依文有省之是以不必為例也.
是相較之残也.定書于減数之下而不添得字也.
是数已定之辞於術中得諸数而各言其名目則定皆註如比.
與前同辞.但於術中求之数不言其號則如此書而分註数式于其下畧式而不載則添註数之字
若積二次巳上之技者唯於最末可註 之又求答数者毎言諸名悉書此字.
或作个.是諸数之通稱乃本自具数與逢加減開 除之技而得者各帯分数則皆據此曰若于箇也.
稱與前同.但寄賭位者與逢因乗之技而 求者各帯分数則皆用此號曰若干段也,
是数位虧之稱故随其空位重而書之如註一 千零零一者是也.或画小圈而補其虧者亦同.
数中位缺而尾一箇位則不抅缺位之多 少皆書此一字如註一萬單一者是也.
寄位術中二位則以先寄者註如此或書寄左 衆位則冒枝幹宿卦之名而各號某位也.
寄左是常對于消数而寄之辭故術中一位與三位巳上皆以最末寄者定如此註之.
再寄有両位則皆以對而寄者如此書之.
而一是歸除之辞也.得自然式者與作法實而 求之者皆上添實如法三字而註此文.
去之止法数已下而用者定書此文故上添満某二字而註之.
約之以諸分與無名数除之者皆如此書而不必用除宇.
除之是両技通用之辞也.凡歸除唯作實不言法而求之則皆曰以某除之開方作諸級数而求之
則随其乗数皆曰 開幾乗方除之也.
開之是開出之辞乃得自然式而求之者皆随乗数曰某方開之不添除字.
推前術臨求答諸数或其品最多或所為文繁者各畧其技而註此辞也.
合問是術尾之辭故所施全則註得諸答数之後而結上文若仮則唯書也之一字.

09 算学重宝記改成・12 算学重宝記 (天明 7 年版)
帰(き)といふはわる事也.
因(いん)といふはかける事也.
除(ぢよ)といふはわる事也.
乗(じやう)といふはかける事也.
自乗(じじやう)といふは同数をかけ合する事也.
相乗(あいじやう)といふはかける事也.
自因(じいん)と云は自乗(じじやう)と同.
自之(これをじする)といふも同事也.
再自乗(さいじじやう)とは同数を二度かけ合する也.
再自因(さいじゐん)といふも同事也.
再自之(ふたたびこれをじす)といふも同事也.
法(はう)とは割たりかけたりする時見合する左の数を云.
目安(めやす)といふも同じ事也.
実(じつ)といふは割べき数の右に有をいふ也.
商(しやう)といふはわりあらはするかずをいふなり.
折半(せつぱん)とは二つに割事也.
半之(これをなかばにする)といふも同事也.
和(くは)とは立横合する也.
相併(あいならぶ)といふも同事也.
加入(かにう)といふはくはゆる事也.
積(せき)といふはたつよこかけ合する事也.
冪(べき)といふは同数をかけ合せたるかずをいふ也.
零(れい)といふは一けた間あくをいふなり.たとへば千十といふごとく百のけた飛
故に千令十といふなり.
不尽(ふじん)といふはわりのこるかずをいふなり.
右のこえよくゝゝそらんじ給ふべし

10 小学九数名義諺解
術の中にて字に注すること煩しきゆへこゝに集めて注す.附術と見合すべし.
とは割あらわれたる数を云う.俗これをあたりと云.
とは法にて割るべき数を云う.俗これをわりきと云.
とは俗に云目安也.わるにもかけるにも見合する目当の数也.
とは俗に云かけると云こと也.
とは俗に云割ると云こと也.
帰除とは俗に云八算見一にてつ割こと也.分て云へば帰とは八算にて割ること也.
除とは見一にて割ること也.通して云へば割を云.
因乗とは俗に云八算見一の掛算也.分て云へば因は八算の掛算,乗は見一の掛算也.
ゆへに因は一桁の掛算也.乗は二桁以上の掛算也.通して云へば只掛るを云也.
如法而一とは目安にて割と云こと也.
相乗とは俗に云掛合すること也.但二桁以上の数也.
自乗とは同数を掛合すること也.但二桁以上の数也.
自因とは同数にて一桁なるを掛合すること也.
再自乗とは同数を二度掛合すること也. 再自因も同じ.
三自乗とは同数を三度掛合すること也. 四乗五乗以上皆倣之.
折半之とは二つに割て半分にすること也, 半之も同じ.
とは俗に云置き合すること也.  相併とも併之も皆同じ.
とは俗に云引と云こと也.
とは掛合たる数を云.
とは桁の間のあくこと也.
とは俗に云坪ということ也.
とは同数を掛合たる数也.
不尽とは割残数を云.

11 算法指南車・22 算法大全指南車
商(しやう)とは割(わり)あらわすを云.
実(じつ)とは法にて割べき数を云.
法(ほう)とは割かけともに見合るかずを云.目安といふ物也.
帰(き)とは一桁の法にて割を云.
帰除(きぢよ)とは二桁以上の法にてわるを云.
因(ゐん)とは一桁の法をかけるを云.
乗(じやう)とは二桁以上の法をかけるをいふ.
相因(さうゐん)・相乗(さうじやう)共にかけ合るを云.
自因(じゐん)とは同数一桁かけ合を云.
自乗(じじやう)とは同数二桁以上かけ合るを云.自之とも云.
再自因(さいじいん)・再自乗(さいじじやう)共に同数二度かけ合するを云.
三自因(じいん)・三自乗とも同数三度かけ合するを云.三自乗以上餘(よ)は倣(ならへ)之.
折半(せつはん)も半之と云もみな二つにわるをいふ.
和(くは)と云も相併(あいならぶ)と云も皆幾(いく)数にても合す類をいふ也.
加入(かにう)とは増添(ましそゆ)るの類を云也.
減(げんずる)とは引(ひく)をいふなり.
差(たがひ)とは多少にして同数ならざるを云也.
倍(ばい)とは本(もと)在数(かず)を一ばいするを云也.
冪(べき)とは同数を懸合たるを云.又畧して巾(べき)ともかくなり.
零(れい)とは一桁間のあくを云.
不尽(ふじん)とは割のこる数を云.
還源(くはんげん)とは初(はじめ)の術(じゆつ)にかへす術を云也.

14 改正天元指南
凡国字を以て本字に附するものは初学の為にすることなれは其詳音を不用唯世俗の語に従ふ.
商(しやう)割あらわす数を云なり.
実(じつ)法にて割べき数を云なり.
法(はふ)掛割ともに見合する数を云なり.
帰(き)一桁の法にて割ことなり.
除(ぢよ)二桁以上の法にて割ことなり.
帰除(きぢよ)同上.
因(いん)一桁の法を掛ることなり.
相因(さういん)同上.
乗(じやう)二桁以上の法を掛ることなり.
相乗(さうじやう)同上.
因乗(いんじやう)幾桁にも相通して掛ることを云なり
自因(じいん)一桁のもの同数を掛合することなり.
自乗(じじやう)二桁以上のもの同数掛合することなり.
自之(これをじす)同数掛合することなり.
再自因(さいじいん)一桁の同数二度掛合することなり.
再自乗(さいじじやう)二桁以上の同数二度掛合することなり.
三自因(さんじいん)一桁の同数を三度掛合することなり.
三自乗(さんじじやう)二桁以上の同数三度掛合することなり.
折半(せつはん)二つに割ことなり.
半(はんす)之(これを)同上.
和(くは)相合することなり.
併(ならぶ)同上.
加(くわう)増そゆることなり.
相加(さうか)同上.
加入(かにう)同前.
併入(へいにう)二品の数を合せ加ふることなり.
減(げん)引ことなり.
内減(うちげん)多数の内彼の数を減ずることなり.
以減(もってげんず)彼の数の内此数を減ずることなり.
相減(さうげん)多数の内少数を減ずることなり.
差(さ)多少のちがいのことなり.
倍(ばい)二を掛ることなり.
三之(これをみたびす)三を掛ることなり.
四之(これをよたびす)四を掛ることなり.
上位(じやうい)算盤の左の方を云なり.
下位(かい)算盤の右の方を云なり.
首位(しゆい)幾桁もつゞきたる数の其始の一桁を云なり.
尾位(びい)幾桁もつゞきたる数の其終りの一桁を云なり.
本位(ほんい)法に對して呼合する位を云なり.
身(み)同上.
定位(ぢやうい)位を定むることなり.
列(れつす)置備ふることなり.
右行(うぎやう)右の方に列したるを云なり.
左行(さぎやう)左の方に列したるを云なり.
進(すすむ)上へ上ることなり.
退(しりぞく)下へ下ることなり.
級(きう)算盤の畫方の上下に重ることを云なり.
罫(くわい)算盤畫方の横に並ぶことを云なり.
零(れい)一桁間のとぶことなり.
不盡(ふじん)割つきざる数を云なり.
直(ちよく)縦横の形を云なり.
斜(しや)直ならざる形ち或は矩合せさる形ちを云なり.
積(せき)何にても形ちの中の歩数を云也.
冪(べき)同数掛合せたる数を云なり.又略して巾(べき)とも書すなり.
見商数(けんしやうすう)商にあらはれたる数を云也.
適等(てきとう)其理同じきものを云なり.
就分(ぶんにつく)分は分母子の分なり.其分母に就き分子に就と云義なり.
寄左(さによせ)左の方へよせ置と云ことなり.
寄位 ・寄甲位・ 寄乙位,或名極 此類は重て呼出すべき為に名付け置く処なり.

15 大増補改算記綱目
算法掛割方術のことばを知る.
商(しやう)とは割(わり)あらわすをいふ也.
実(じつ)とは法にて割べき数をいふ.
法(ほう)とは割懸共見合る数を云.目安といふもの也.
帰(き)とは一けたの法にて割を云.
帰除(きぢよ)とは二桁以上の法にて割を云.
因(ゐん)とは一桁の法をかけるを云.
乗(じやう)とは二桁以上の法をかけるを云.
相因(さうゐん)・相乗(さうじやう)ともにかけ合るを云.
自因(じゐん)とは同数一桁かけ合るを云.
自乗(じじやう)とは同数二桁以上かけ合るを云.自之ともいふ.
再自因(さいじいん)・再自乗(さいじじやう)共に同数二度かけあわするを云.
三自因(じいん)・三自乗共に同数三度かけあわするをいふ.三自乗以上の餘(よ)は倣(ならへ)之
折半(せつはん)も半之と云も皆二つに割を云.
和(くは)といふも相併(あいならふ)と云も皆幾数にても合す類を云也.
加入(かにう)とは増添(ましそゆ)るの類をいふ也.
減(げん)ずるとは引(ひく)をいふなり.
差(たがひ)とは多少にて同数ならざるをいふ也.
倍(ばい)とは本(もと)ある数(かず)を一ばいするを云也.
冪(べき)とは同数を掛(かけ)合たるを云.又畧して巾ともかくなり.
零(れい)とは一桁間のなくをいふ.
不尽(ふじん)とはわりのこる数を云なり.
還源(かんげん)とは初(はじめ)の術(じゆつ)にかへす術を云也.

16 算学稽古大全
法(ほう)割懸(わりかけ)ともに見合(みあは)す数なり.又目安(めやす)ともいふなり.
実(じつ)法(ほう)を以て割(わり)かけすべき数(かず)の事なり.
商(しやう)割(わり)あらわしたる数(かず)の事なり.
帰(き)法(ほう)一桁(ひとけた)にて割ことなり.
帰除(きぢよ)法(ほう)二桁(けた)以上にて割(わる)事也.又除之(これをのぞく)而(しかも)一(しいちにして)も同事なり.
因(いん)法一桁(けた)にてかける事也.又因(よる)はかゝりてある事なり.
乗(じやう)法(ほう)二桁以上(いじやう)にても懸る事也.又相乗(さうじやう)相因(さうゐん)同じ事なり.
自乗(じじやう)同数(おなじかず)かけ合(あは)す事也.又自之(じし)もおなじ事なり.
再自乗(さいじじやう)同(おなじ)数二度(ど)懸(かけ)あはす事也.
三自乗(さんじじやう)同数(かず)三度(ど)かけ合(あは)す事なり.逐て此(かく)のごとし.
折半(せつはん)二つに割事也.又半之(これをなかばす)もおなじ事なり.
和(くは)幾(いく)数(かず)も合(あは)す事也.又相併(あいならべ)も同じ事(こと)也.
加入(かにう)増添(ましそゆる)の類(るい)なり.加(くはへ)もおなじ事なり.
減(げんずる)引(ひく)ことなり.
差(たがひ)多少(たせう)にして同数(どうすう)ならず過不及(かふぎう)の事也.又較(かう)も同じ事也.
止餘(しいよ)多(をゝ)き中(うち)にて少(すくな)き数を引残(ひくのこ)り也.又餘(よ)も同じ事なり.
倍之(これをばいす)原(もと)ある数(かず)ともに二つ合(あは)すことなり.
三之(これをみたびす)原(もと)ある数(かず)ともに三つ合すことなり.逐て此(かく)のごとし.
冪(べき)同数(どうすう)かけ合(あは)せたる数(かず)の事也.又・巾(べき)もおなじ事也.
積(せき)多少(たせう)懸(かけ)合せたる数の事なり.
零(れい)一桁(けた)間(あいだ)あく事なり.令(れい)もおなじ.
単(たん)たとへば一万零(れい)零零一を一万単(たん)一と書なり.
不尽(ふじん)割残(わりのこ)る数(かず)なり.又不満(ふまん)有奇(ゆうき)も同じ事なり.
為(して)先(まづ)かりに某(それ)にして後(のち)に定(さだめ)る意なり.
内減(うちげんじ)多(をゝ)き中(うち)にて少(すくな)きを引(ひく)事なり.
以減(もつてげんじ)少(すくな)きを以(もつ)て多(をゝ)きうちにて引(ひく)事なり.
今有(いまあり)問(とい)の発端(ほつたん)に用(もち)ゆる字(じ)なり.仮如(たとへば)もおなじ事なり.
若干(じやくかん)いまだ数(かず)を定(さだま)らざるをいふなり.問(とい)の句中(くちう)に用(もち)ゆる字(じ)也.
幾何(いくばく)右同段(みぎどうだん)なり.問(とい)の末(すへ)の結(むすび)に用(もち)ゆる字(じ)也.
箇(こ)数(かず)の結(むすび)に用(もち)ゆる字(じ)なり.たとへば二箇(こ)三箇(こ)のごとし.
段(だん)数の上(かみ)に某(それ)の名(な)を加(くは)へ結(むすび)に用(もち)ゆる字(じ)也.
列(れつし)をく事なり.又置(をく)もおなじ事なり.
約(これを)之(つゞめ)無名(ななき)の数(かず)を省(はぶ)くことなり.
去之(これをさる)法(ほう)の数より以上(いじやう)を棄(すて)る事也.又法(ほう)の数(かず)より以下(いげ)を棄(すつ)るも同じ.
合問(といにがつす)術(じゆつ)の末(すへ)の結(むすび)に用(もち)ゆる字(じ)なり.

17 算法点竄指南録
此書中に用ゆる字のみに限らず,都(すべ)て算に多くとりあつかふ字を出し,俗語を用ひて字義の大抵を釈す.
商(しやう)割あらはす数をいふ.
実(じつ)ほうにてわるべき数をいふ.
法(ほう)かけわり共に見あわせる数を云 俗に目安といふ.
帰(き)或 皈一けたのほうにてわる事をいふ.
除(じよ)けたかずにかかはらずわる事をいふ.
帰除(きじよ)上におなじ.
約(やく)是もわる事をいふ.
因(ゐん)一けたの法をかくるをいふ.
相因(さういん)ひとけたの法をかけるをいふ.
乗(じやう)けたの数にかかはらずかけるを云.
相乗(さうじやう)是もけたかずにかかはらずかけあわせる事をいふ.
因乗(ゐんじやう)上におなじ.
連乗(れんじやう)一度かけ合せたる所へまた一度も二度も別の物をかけるをいふ.
自因(じゐん)一けたの物同数をかけあわせるをいふ.
自乗(じじやう)けた数にかかわらず同数をかけあわせる事をいふ.
自之(これをじす)上におなじ.
再自因(さいじゐん)一けたの同数を二度かけ合ることをいふ.
再自乗(さいじじやう)けた数にかかはらず同数を二度かけあわせるをいふ.
三自因(さんじゐん)一けたの同数を三度かけあわせるをいふ.
三自乗(さんじじやう)けた数にかかはらず同数を三度かけあわせるをいふ.
折半(せつぱん)ふたつにわるをいふ.
半之(はんす)上におなじ.
実如法而一(じつごとくほうしかもいつにす)法にて実をわる事をいふ.
倍之(ばいす)二をかける事をいふ.
三之(みたびすこれを)三をかける事をいふ.
四之(よたびす)四をかける事をいふ.
一段(いちだん)二段(にだん)三段(さんだん)一ツ二ツ三ツといふがごとし.
一次(いちじ)二次(にじ)三次(さんじ)一度二度三度といふがごとし.
一箇(いつこ)二箇(にこ)三箇(さんこ)一ツ二ツ三ツといふにおなじ.
和(くは)あひあわせる事をいふ.
併(へい)二数あひあわせる事をいふ.
加(か)ましそゆる事をいふ.
相加(さうか)是もましそゆる事也.
加入(かにう)上におなじ.
截(さい)きる事をいふ.
分(ぶん)わくる事をいふ.
減(げん)ひく事をいふ.
内減(うちげん)此数の内彼数を引事をいふ.  【参考】$a内減b=a-b$
以減(もつてげんず)彼数の内此数を引事をいふ.  【参考】$a以減b=b-a$
相減(さうげん)漢人は少を以多を引事に用ゆ.今我邦の人はいつれにても多き内少を引に用ふ.
差(さ)(たがひ)多少不同の数をいふ.
較(こう)相減ずる余の数をいふ.
同矩(どうのり)彼も是も同じのりといふ事也.
互(ご)たがひに也.たとえへは互乗とあるは右の上を左の下にかけ,左の上にあるを右の下にかくるを云.
逓(てい)たがひ也.たとえへは等逓差といふは甲と乙の差も乙と丙の差も同じことをいふ.
原(げん)(はじめ)初の数也.
開方(かいほう)自乗したる数を原に還すなり.又平方以上の通称也.
開立(かいりう)再自乗したる数を原に還す也.
甲商(こうしやう)甲数を平方にひらきたるを云.乙商丙商の類みなこれにならへ.
二箇商(にかしやう)二ヶを平方にひらきたるを云.三ヶ商五ヶ商の類みな是にならへ.
見商数(けんしやうすう)商にあらはれたる数をいふ.
積(せき)俗に坪数と云.かけてなる数をいふ○田畑屋敷箔布の類の坪を平積といふ.箱の坪材木銅鉄の類の坪を立積といふ.○通じて積とはかりにいふなり.
冪(べき)同数をかけ合せたる数をいふ○二度かけ合せたる数を再乗巾と云.三度かけ合せたる数を三乗巾といふ.○四乗巾以上是にならへ.
覓積(べきせき)球の皮の坪をいふ.
上位(じやうゐ)上のかたをいふ.
下位(かゐ)下のかたを云.
首位(しゆゐ)いく位もつづきたる其始をいふ.
尾位(びゐ)幾位もつづきたる其終りをいふ.
本位(ほんゐ)法にたひしてよびあわする位をいふ.
身(み)上におなじ.
右行(うこう)右のかたに列したるをいふ.
左行(さこう)左のかたに列したるをいふ.
進(すすむ)上へあげる事をいふ.
退(しりぞく)下へさがる事をいふ.
階(かい)さんばんの畫方の上下に重るをいふ.
級(きう)上におなじ.
罫(くわい)(けい)さんばんの畫方の横にならぶ事をいふ.
零(れい)一けた間のとぶをいふ.
空(くふ)もののなきをいふ.
就分(つくぶんに)分は分母子の分也.其分母につく分子につくといふ事也.
不盡(ふじん)わりつくさざる数をいふ.
有奇(ゆふき)上におなじ.
適等(てきとう)その理おなじき物をいふ.
矩合(くごう)かねあひ也.みだりにゆがまず.大工の曲尺のごとく方面の角の如くなるを云.
奇数(きすう)一三五七九かくの如く二を増数をいふ.俗に半の数といふ.
偶数(ぐふすう)二四六八十かくの如く二を増数をいふ.俗に調の数といふ.
直(ちよく)ゆがまずすくなるかたちを云.
斜(しや)すぐならざるかたち,あるひは矩合せざるかたちをいふ.
省(しやう)はぶく也.たとへは,三ツある物は一ツ二ツにもし,四ツある物は二ツ三ツにもするを云.
遍(へん)あまねく也.のこりなくと云がごとし.
変(へんず)あらためかへるをいふ.
化(くわす)上におなじ.
括(くくる)二位三位ある物を一位にするをいふ.
觧(とく)上の如く括りたる物を元のごとく別ゝに分るをいふ.

18 廣用算法大全
列(れっし)・置(おいて)是はいづれも思ふ数(かず)を算盤(そろばん)の桁(けた)にならべ置くことなり.
実(じつ)とは何にても法をもって或は掛け或割るべき数のことなり.
法(はう)とは割算掛算ともに見合すべき左の数をいふ.俗に目安といふなり.
商(しやう)・見商(けんしやう)・得商(うるしやう)是はいづれも割あらわす数又は開きあらわしたる数をいふなり.
歸(きす)とは一桁の法にて割るをいふ.歸(きす)之(これを)とも書く.
除(じよす)・除(のぞく)之(これを)・歸除(きじょ)是は何(いづれ)も二桁以上の法にて割るをいふなり.又如(ごとくの)何ゝ(なにゝの)而(しかも)一(いちにして)とも書く.同義なり.
因(いん)(よる).相因(さういん)是は何も一桁の法を掛るをいふなり.又因(よる)は既に掛りてある数(すう)のことなり.
乗(じやう)・相乗(さうじやう)・乗(じやうす)之(これを)是はいづれも二桁以上の法をかけるをいふなり.
自因(じいん)とは一桁にて同数のものを左右に置かけ合すをいふなり.
自乗(じじやう)・自(じす)之(これを)是はいづれも二桁以上の同数のものをかけ合すをいふなり.
再自乗(さいじじやう)・再(ふたたび)自之是はいづれも右に同く同数のものを二度かけ合すをいふなり.
三自乗(さんじじやう)・三(みたび)自之是も右とおなじく同数のものを三度掛合すなり.此上幾自乗に至るもおなじ意なり.
折半(せつはん)・半(はんす)之(これを)是はいづれも二つに割るをいふなり.
和(くわ)・相併(あいならべ)是は幾数(いくつ)も合すをいふなり.又三つ合したるを三和四つ合したるを四和などといふ也.
倍(ばい)・倍(ばいし)之(これを)是はいづれも原(もと)の数を二つ寄せるをいふ.即(すなはち)一倍にすることなり.
三(みたびし)之(これを)是も右と同く原(もと)の数(かず)を三つ寄せるをいふなり.此上幾数よせるも同じ意なり.
加(くわへ)・加入(かにふ)是はいづれも今ある数に外(ほか)の数を添入(そへいれ)て一数(ひとつ)にするをいふなり.
減(げんず)・ 減去(げんきょ)・以減(もつてげんず)・内減(うちげんず)是はいづれも引くことなり.但以(もって)減(げんず)とは今求むる数を以て他の数の内を引くをいふ.内減とは今求むる数の内にて他の数を引くをいふなり.
差(さ)・較(おとり)是は何も多少両数ありて多き内少きを引きたる残りの数(かず)をいふ也.
冪(べき)とは同(おなじ)品(しな)を掛合したる数の名なり.或は再自乗の品を掛合したるを再乗冪と云也.
約(つゞめ)之(これを) とは多数のものをたたみ縮むる義(ぎ)にして繁(しげき)を省(はぶ)くの類(るい)をいふなり.
止餘(しよ)・餘(あまり)是はいずれも多き数の内にて少き数を引たる残りをいふなり.
箇(か)とは数の結(むすび)に用ゆる字なり.たとへば二箇三箇などいふも二つ三つと云に同じ.
段(だん)とは数の累目(かさねめ)をいふなり.たとへば某(それ)の数の五つ寄せたるを某(それ)の数五段と云類也.
積(せき)とは平坪(ひらつぼ)立坪(たてつぼ)などいふに同じ.すべて圍(かこみ)の内の坪数(つぼすう)をいふなり.
零(れい)とは一桁間(けたあひ)のあくをいふなり.零ゝは二桁あくこと也.○如(ごとく)此(かくの)白圏(しろまる)を書も同じ.
適等(てきとう)とは数の等く揃ひたるをいふなり.
不盡(ふじん)・有奇(ゆうき)・不満(ふまん)これはいずれも割残(わりのこ)りの数をいふなり.割(わ)り尽(つき)ずといふことなり.
収(おさめ)之(これを)・去(さる)之(これを)収之とは不尽(ふじん)を約(たた)みて假に一数とする也.去之とは其不尽を捨るをいふ也.
進(すゝめ)退(しりぞき)進は上(かみ)へすすみあげる也.退は下(しも)へしりぞきさげる也.二桁(けた)上(あげ)るを二位(にゐ)進(すすめ)と云がごとし.
強弱(がうじゃく)強(がう)は割残る数を捨たるをいふ.弱(じやく)は割残る数を一つに収め入れたるをいふなり.
奇(よす)左(ひだりに)・奇(よす)右(みぎに)・奇(よす)位(くらいに)・奇(よす)甲位(こういに)・奇(よす)乙位(おついに)此類(このるい)はいずれも術(じゆつ)の中(なか)にて設(まふ)け置(おき)たる数(かす)を重(かさ)ねて呼出(よびいた)すに便(べん)ならん為(ため)に名(な)を附(つけ)るなり.畢竟(ひつきやう)符丁(ふてう)の如(ごと)きもの也.

19 算法新書
法(ほう)算顆盤(そろばん)の左(ひだり)へ置(おく)数(すう)をいふ.
実(じつ)算顆盤の右(みぎ)へ置数をいふ.
商(しやう)割(わり)得(え)たる数(すう)惑(あるい)は開(ひら)き得たる数をいふ.
帰(き)法(ほう)一位(ゐ)(めやす一けた)に割をいふ.
除(じよ)法(ほう)の位数(ゐすう)(めやすのけたかず)多少(たせう)に拘らず割をいふ.
帰除(きぢよ)合名(がうめい)なり上に同じ.
約(やく)除と同じ.
因(いん)(よる)法一位を掛(かけ)るをいふ.
乗(じやう)法の位数多少に拘らず懸るをいふ.
相乗(さうじやう)上におなじ.
自乗(じじやう)実(じつ)と法(ほう)と同数(どうすう)を相乗(さうじやう)するをいふ.
自之(これをじす)上に同じ.
再自乗(さいじじやう)自乗して亦乗するなり.
三自乗再自乗して亦乗す.
連乗(れんじやう)三件(さんけん)以上(いじやう)の数を相乗するをいふ.
遍乗(へんじやう)諸数(しょすう)へ遍(あまね)く法(ほう)数を乗するなり.
維乗(ゆいじやう)四所(しよ)の数斜(なゝめ)に相乗するなり.
互(ご)乗・斜(しゃ)乗上に同じ.
累乗(るいじやう)逐(おつ)て法数を乗するなり.
倍之(これをばいす)同数を加ふるなり.
三之(これをみたびす)三を乗するなり.
二段(にだん)倍して成数(なるすう)也.
三段(さんだん)三を乗して成数也.
加(か)増添(ましそゆ)るなり.
相併(あいならべ)二数相合なり.
相併て成数なり.
内減(うちげん)本数の内を除き去るなり.
相減(あいげんず)少を以多を減するなり.
餘(よ)(あまり)相減する残(のこり)なり.
剰(じやう)(あまり)満(みち)餘(あまる)なり.
差(さ)多少不同の数なり.
較(かく)相減ずる餘(あまり)なり.
率(りつ)齊(ひとしき)数(すう)なり.
冪(べき)自乗(じじやう)して成数なり.
再乗冪(さいじやうべき)再自乗して成数なり.
巾(べき)・冪(べき)の略(りやく)なり.
積(せき)相乗(さうじゃう)して成数なり.
原(げん)初(しよ)数なり.
還(くわん)原(げん)舊(きう)数(すう)(もとのすう)へ復(かへる)なり(しよ)数なり.
開方(かいほう)累乗(るいじやう)(かさねじやうず)して舊(もと)へ復(かえす)をいふ.
隅(すみ)曲(まがれる)角(かど)なり.
截(さい)(きる)割断(さきたつ)なり.
周(しう)外圍(そとめぐり)なり.
側円(そくえん)円柱斜(ななめ)に截(き)る所(ところ)の截面(めん)をいふ.
変(へん)改(あらため)換(かゆ)るなり.
進(しん)(すすむ)位(くらい)を上に移(うつ)す.
退(たい)(しりぞく)位くらいを下に移す.
列(れつ)置(おく)なり.
上位(じやうゐ)算顆盤(そろばん)の左(ひだり)をいふ.
下位(げゐ)算顆盤(そろばん)の右(みぎ)をいふ.
首位(しゆゐ)第(だい)一の位なり.
尾位(びゐ)末(すえ)の位なり.
零(れい)空位(くうゐ)(とびけた)なり.
省(せう)(はぶく)諸数(しよすう)遍(あまね)く等数(とうすう)に除(のぞく)(さる)なり亦(また)略(りやく)也.
去之(これをさる)満(みつ)るを除(のぞく)(ひく)なり.
缺(けつ)(かけ)端(はし)の缺(かけ)なり球缺(きうけつ)円缺(ゑんけつ)の類(るい).
不盡(ふじん)除(のぞ)き(わり)尽さるなり.
則(そく)法(のり)なり.

20 算法身之加減
術(ぢゆつ)とはさし引割掛する手立の事なり.
とは常に算顆の右に置き,法を以てわりかけすべき数の事なり.
法(はふ)とは常に算顆(そろばん)の左に置き,実に見合割掛する数の事なり.俗に目安といふ.
とは法を以て実を割て得る数をいふなり. 假令米三石七斗五升を三人に配分する時,米三石七斗五升を右に置き実とし,三人を左に立て法として実をわれは一人分米一石二斗五升宛となる.是を商と云.其業(わざ)を術といふなり.
とはかけることなり.
自乗とは同数をかけ合す事なり.五と五をかけ合せ五五二十五となる類なり.
自之とは自乗におなじ.
自因とはこれも自乗と同事なり.
相乗とは別々の数を掛合す事なり.三と八をかけ合三八二十四となる類なり.
相因とは相乗におなじ.
因乗とは是も相乗に同じ.古は用て今は用へす.
再自乗とは同数二度掛合事也.五に五をかけ二十五となるに又五をかけ百二十五となる類なり.
再乗とは再自乗に同じ.
三自乗とは同数三度かけ合す事也.二と二をかけ四となる.是に又二をかけ八となる.是に又二をかけ十六となる類也. 四自乗,五自乗といふも乗数度を累る事也.余はこれに倣ふべし.
とはわることなり.○除之○以除 各上に同じ術中文意を以て解へし.○二除○折半○半之○二歸 各二つにわることなり.
三除とは三つに割事也.四除とは四つにわること也.余はこれに倣ふ.○三因四歸(さんをかけしにてわる)とは三をかけ四にてわる事なり.○五因三歸(ごいんさんき)とは五をかけ三にて割事也.余はこれに倣ふへし.
此字は一桁ものにてわる事をいふ.○因 この字は一桁ものをかける意に用ゆ.○甲因乙 とは甲乙の数掛合せたるを云.此時は因の字意全く乗の字に仝し.桁数には拘らすとしるへし.
相乗とは別々の数を掛合す事なり.三と八をかけ合三八二十四となる類なり.
甲因乙因丙とは甲乙丙の三数各累ね乗たる数をいふ.余は是に倣へし.
加入とは甲数に乙数を合せ入る事なり.○加 上に同し.
併之○相併○併置各加入と同じ事なれども此三名は甲乙丙の三数或は子丑寅卯辰の五数なる累(かさ)ね合す事に用るなり.余はこれに倣ふへし.
とは甲数より乙数を引くなり.○去(さる)○減去(げんきよ) 各上に仝し.○相減 とは多数の内少数を引事なれとも亦多を以て少を引き反復して負数に変る事もあるなり.
内減とは甲内乙を引く事也.○以減 とは乙数を以て甲数の内を引事なり.
とは甲乙の数を合せたるをいふ.○二和 とは上におなし.○三和 とは甲乙丙の三数を合せたるをいふ.
四和とは甲乙丙丁の四数を合せたるをいふ.五和以上これに倣ふへし.
倍(ばいす)とは一を倍して二,三を倍して六とする事.倍の字は乗ずるの意なり.三倍とは三を乗し,四倍とは四を乗し五倍とは五を乗す.六倍以上これにならふ.
甲一段乙二段とは甲数一つ乙数二つということなり.○三段○四段○五段○六段 の類いは皆それゝゝに段数を累(かさ)ねることなり.
甲円一箇乙円二箇 とは甲円一つ乙円二つをいふ事なり.○三箇○四箇 とは皆物の数の事也.個の字箇の字に同じ.又个の字は古字也といふ.
差(さ)(たがひ)とは多数より少数を引きのこりし数をいふ.較の字差の字と同意なりといふ.
餘(よ)とは多数より少数を引きあまりの数をいふ.余は畧字なり.
止餘(しよ)とは餘と同じ事なり.古は止の字を冠に用ゆ.今はこれを省きて用えす.
不盡とは割り残りたる数をいふ.
有奇(いふき)とは不尽あるをいふ事なり.
冪(べき)とは同数を掛合せたるをいふ.再乗冪とは二度かけ合たる数をいふ.三乗冪とは三度かけ合せたる数をいふ.自乗して得たる数の事也.四乗冪以上皆これに倣ふへし.冪は古字なり.・巾この二字は畧字なり.
積(せき)とは俗にいふ坪のこと也.一寸四方を寸積,一分四方を分積,一尺四方を尺積,一間四方を間積といふ.平坪(ひらつぼ)は平積,立坪(たてつぼ)は立積(りつせき)といふ.又曰一度掛合たるを平積,二度掛合せたるを立積,三度かけ合せたるを三乗積といふ.四乗積以上咸これに倣ふ.
歩(ほ)とは是も俗に坪のことなり.
奇(き)・偶(ぐ)とは奇は半(はん)数,偶は丁(てふ)数のことなり.
零(れい)とは算顆(そろばん)の桁間のあき間をいふ.又曰令は畧字也.亦○この印を畧し用ゆるなり.
単(たん)とは一万令令令一を一万単といふ.
進(すゝむ)とは一桁左に上る事也.二位進は二桁左に上る事なり.
退(しりぞく)とは一桁右へ下る事なり.二位退は二桁右へ下ることなり.
互減(ごげん)(たがへにひく)とは左右の数の内多より少を互ひに引き去(さ)り,左右に算数を得て止む.又互約ともいふなり.
累減(るいげん)(かさねひて)とは多数より少数をいく度も引去る事也.
累加(るいか)(かさねてくわへる)とはいく度も加へいれる事なり.
累乗(るいじやふ)(かさねかける)とは幾度も掛けかさぬることなり.
累除(るいぢよ)(かさねわる)とは幾度も割りかさぬる事なり.
約(やくす)(つづむる)とは以左約右,亦は以等数約左右天三数 の類いなり.一体不尽なきものを割るを約すといふ.
遍乗(へんじやふ)(あまねくじやふす)とは諸数へあまねく掛る事なり.
連乗(れんじやふ)(つらねかける)とは三件以上の数をかけ合す事也.
斜乗(しやじやふ)(ななめにかける)とは四所の数を三所宛(づゝ)左右斜に掛合す事なり.
維乗(ゆいじやう)とは上に同じ.
満(みつる)(まん)とは甲数乙数より多き時は甲数乙数に満るといふ.
盈(あまる)(えい)とは上に同じ.
剰(じやふ)(あまる)是も上に同じ.
満去之(みつるさるこれを)とは甲数より乙数多きときは甲数より乙数を幾度も引さるといふ事なり.
歉○朒此二字はいづれもたらぬ事也.
不満(ふまん)(みてづ)とは甲数より乙数は常にたらぬといふ事也.
布算(しくさんを)とは二色三色四色の数を別々にならべおく事.幾色にて是に同じ.
以上(いしやふ)(もつてかみ)とは是より上といふ事也.以下(いか)(もつてしも)とは是より下といふ事也.
首位(しゆい)とは始の位なり.尾位(びい)とは末の位也.
原数()とは初数の事なり.
括(くゝる)とは假如(たとへば)甲乙数を合て甲乙和とする事也.
還源(かんげん)(もとへかへす)とは甲乙和と括りし数を甲乙とわけてもとへかひす事也.
省(はぶく)とは実法に等数有ものは是をぬきさる事なり.
率(りつ)とは俗にいふ定法になる数の事也.
今有(いまあり)とは今有何(なに)々と題(だい)の発語(はつご)に用ゆる也.假如(たとへは)假令(たとへは)ともに同じ事なり.
隔斜(へたつしゃ)とは斜(なゝめ)の筋(すじ)をへたて物をいれるとき題中に用ゆる文字なり.
容(いれる)とは方円直鈎股菱三斜三角四角なとの物をいれるとき題中に用ゆる文字也.
若干(しやくかん)とは題辞(だいじ)の数仮(かり)に何ほどといふ事にて題中用ゆる文字なり.辞(じ)・辭(じ)(ことは・ことは)二字同じ.
整数(せいすふ)とは不尽なき数の事なり.
極(ごく)数とは至て多き数又至て少き数をいふなり.
欲(ほつす)使(しめんとして)積(せきを)至(いたつて)多(おふから)とは至て多積を求る事也.少からしめんとは少積を求る事也.
とは除乗(わりかけ)するに其時入用の数を算顆(そろばん)におく事也.列するも同事なり.
合問(あいすといに)とは答の数を得て術の終りに結び用ゆる文字なり.

21 算法稽古図會大成・28 算法稽古宝
帰除(きじよ)二字ともに割(わる)事なり.帰は一けた,除は二けた以上(いじやう).
因乗(いんじやう)二字ともにかける事に用(もち)ゆるなり.
令(れい)・零(れい)・下(か)三字ともにそろばんのつぶをとんで数(かず)無(なき)を云.○をしるすにおなじ.
併(へい)これはあはすといふことなり.
折半(せつはん)二つに割(わる)をいふなり.

23 算学提要
上(うえ)左の方なり.
下(した)右の方なり.
法(ほう)左の数なり.又目安とも
実(じつ)右の数なり.
商(しやう)割あらわしたる数也.
帰(き)法一けたにて割也.
加入(かにう)ましそゆるなり.又加へるともいふ.
累加(るいか)いく度もかさねて加へるなり.
減去(げんきよ)ひく事なり.又減しるとも云
累減(るいげん)いく度もかさねて引ことなり.
以減之(もつてげんず)少きを以て多きを引ことなり.
内減之多きうちにて少きを引ことなり.
互減(ごげん)之たがひに引あふことなり.
差(さ)多少相減したるのこりの数なり.又較共いふ.
乗(じやう)かける事なり.因するともいふ.
相乗(あいじやう)かけ合事なり.
自乗(じじやう)おなじ数をかけ合すなり.
再自乗(さいじじやう)同数二度掛合す也.畧して再乗とも.
三自乗(さんじじやう)おなじ数を三たびかけ合すなり.
冪(べき)同数を懸合したる数なり.又巾とも.
和(くはす)多少の数を合す也.相和とも.
三和三つ合したる数なり.四和は四つ合したる也.
相併(あいならべる)多少の数を合す也.相和ともいふ.
倍之(ばいすこれを)二を掛るなり.
二之(ふたたびす)二をかける也.三之は三をかけるなり.
二段二つ合したる数也.三段は三つ合したる也
折半(せつはん)二つ割ことなり.半之ともいふ.
除(ちよ)割事なり.
二除(にちよ)二つ割事なり.三除とは三つにわることなり.
累除之(るいちよ)いく度もわる事なり.累乗はいく度も掛る也.
率(りつ)定法なり.
箇(こ)一箇は一つ,二箇は二つ也.
積(せき)たとえば一寸四方は寸積,一間四方は間積なり.
歩(ふ)上におなじ.
列(れつす)元ある数別におくなり.
寄位別に置くなり.甲位乙位などいふ
止余(しよ)減じたる余り也.
変(へんじ)其数を違へざるやうに変しかへるなり.
進(すゝむ)一位進は一けた上へあぐるなり.
退一位退は一けた下へ置かへるなり.
約之たとへば五に約するは五にわるなり.
若干(じやくかん)いまだ数を定めず意に随ふて定むべき也.
不尽(ふじん)割残りたる数なり.又割きれなき数も云.
為(して)先かりに夫にする也.
幾何(いくはく)いかほどなり.
零(れい)一けた飛ふなり.
単(たん)たとへば十令万令上十万単という.
合問(かつすとい)こたへのおわりにおくむすび字也.

24 算学速成
実(じつ)かけわりすべて右のかずをいふ.
法(ほう)同く左の数をいふ.
除(ぢよ)わるなり.
乗(じやう)かけるなり.
帰(き)法一けたにてわるをいふ.
因(いん)法壱けたをかけるをいふ.
相乗(さうじやう)彼と是とをかけるをいふ.乗と同じ.
自乗(じじやう)実と法と同じ数をかけるをいふ.
自之(じすこれを)上に同じ.
再自乗(さいじじやう)同じ数を二度かけ合すなり.
半之(なかばすこれを)二つにわる也.
倍(ばひす)之二をかけるなり.
二之(ふたゝびす)上に同じ.
二段(にだん)倍して成数也.
三之(みたびす)三をかけるなり.
三段(さんだん)みたびしてなる数也.
加(か)入るなり.
相併(あいならぶ)彼と是と合する也.
和(くわ)相併て成数也.
減(げん)引なり.
内減(うちげんず)是の内彼の数を引なり.
以減(もつてげんず)彼の内是の数を以て引也.
差(さ)彼と是を引合たる残りを云.
余(あまり)上に同じ.
巾(べき)自乗してなる数也.
再乗巾(さいじやうべき)再乗してなる数也.
積(せき)相乗してなる数也.
商(しやう)割得たる数,或開き得たる数也.
率(りつ)定法なり.
列(れつす)置なり.
二約之(にやくす)二つにわるなり.三約も是に等し.
二除(にじよ)上に同じ.
開方(かいほう)累乗したる数をもとの方になをす也.
个(こ)一个は一つ,二个は二つ也.
原(げん)はじめなり.
上(じょう)左の方なり.
下(か)右の方なり.
進(しん)位を上に移す也.
退(たい)位を下に移す也.
不尽(ふじん)わり尽ざる数也.
有奇(ゆうき)上に同じ.
零(れい)一けたとぶをいふ.
単(たん)三つとぶをいふ.

25 算法智恵袋
除(ぢよ)とはわる事なり.
帰(き)と云もわる事なり.ただし一位のときかくいふなり.
実(じつ)とはわるべきかすのみぎにあるをいふ.
商(しやう)とはわりえたるかずをいふ.
法(ほう)とはひだりにあるかずをいふ.
目安(めやす)と云も法と同じことなり.
因(いん)とはかけることなり.
乗(じやう)と云もかけることなり.
相乗(さうじやう)とはかけあはすことなり.
自乗(じじやう)とは同じかずをかけあはすことなり.
自因(じゐん)と云も自乗(じじやう)とおなじ.
自之(これをじす)と云も自因(じゐん)とおなじ.
再自之(ふたたびこれをじす)とは同じかずを二度かけあわすことなり.
再自乗(さいじじやう)といふも上と同じことなり.
再自因(さいじいん)といふも上と同じことなり.
折半(せつはん)とは二つにわることなり.
和(わ)とはあはすことなり.
相併(あいならぶ)と云もあはすことなり.
加入(かにう)とはくはふることなり.
積(せき)とはかけえたるかずをいふなり.
冪(べき)とは同じかずをかけえたるをいふ.
零(れい)とは一けたとぶをいふ.
不尽(ふじん)とはわりのこりたるかずをいふなり.

26 眞元算法
法(ほう)かけわりとも見合す左のかずなり.
目安(めやす)右に同じ.
実(じつ)法を以てかけわりする右のかずなり.
商(しやう)わりあらはしたるかずなり.
帰(き)わることなり.
除(ぢよ)(のぞく)右に同じ.又帰除ともいふなり.
除之右におなじ.
因(いん)かけることなり.
乗(じやう)右におなじ.
乗之(じやうこれに)右におなじ.
相乗(あいじやう)右におなじ.
相因(あいいん)右におなじ.
自乗(じじやう)之同じかずをかけ合すなり.
自之(じしてこれに)右におなじ
冪(べき)同じかずを掛合したるかずなり.
巾(べき)右の異字.
再自乗(さいじじやう)同数を二度かけ合すなり.
再乗巾(さいじやうべき)右同じ.
三自乗()同数を三度かけ合したるなり.
三乗冪()右に同じ.
折半(せつぱん)二つわりなり.
半之右に同じ.
二除之右に同じ.
三除之三つ割也.四つ割は四除之なり.
倍之(ばいすこれに)二をかける也.三をかけるは三倍之するなり.
相和(あいくは)たとへば長平合すは長平相和なり.
相併(あいならぶ)右におなじ.又和式併とも云.
加入(かにう)右におなじ.
累加(るいか)元のかずへ今いく度もくわへる也.
減去(げんきよ)多き内少きかずを引なり.
減之(げんずこれを)右におなじ.
較(かう)(たがひ)譬は長の内平を引残は長平の較なり.
差(さ)(たがひ)右におなじ.
止餘(しよ)引のこりのかずなり.
還原(くわんげん)初めの数にかへるなり.
原数(げんすう)初におくかずなり.
零(れい)一けたとぶなり.
令(れい)右の畧字
単(たん)譬は一万○○一を一万単といふなり.
不盡(ふじん)除残りのかずなり.
不満(ふまん)右におなじ.
有奇(ゆうき)右におなじ.
余(よ)(あまり)右におなじ.
為(して)先かりに夫と定るかずなり.
内減(うちげんず)多きうち少き数を引なり.
以減少きをもつて多きを引なり.
累(るい)減いく度も引ことなり.
互(ご)減たがひに引あふなり.
率(りつ)定法なり.
箇(こ)一箇は一つ也,二箇は二つ也.
積(せき)一寸四方は寸積なり.一尺四方は尺積なり.
歩(ふ)右におなじ.
列(れつす)元あるかずをいままたをくなり.
寄位(よするゐ)別に置くなり.甲位乙位なぞいふ
約(やくす)之五約するは五にわるなり.
若干(じやくかん)いまだ数の定らざる也.
幾何(いくはく)いかほどなり.
上(かみ)左の方.
下(しも)右の方.
変(へんす)其数を改めかゆるなり
進(すゝむ)一位進は一けたうへにあぐるなり.
退(しりぞく)一位退は一けた下へ下るなり.
名甲(なづくかう)後に用ゆるためにかりに名つけ置也.
収一(おさむいちに)はしたのかずを一とおさむるなり.
逐(おふ)逐減は累減なり.逐加は累加なり.
下分位は棄之壱より下はすてるなり.
合問(がつすといに)術の末に結びとめる文字なり.

27 摘要算法大全・37算法便覧
実(じつ)かけわりすべき右(みぎ)のかずをいふ.
法(ほう)見合(みあは)すべき左(ひだり)のかずをいふ.
上(かみ)左(ひだり)のかたなり.
下(しも)右(みぎ)のかたなり.
変(へんず)其数(そのかず)を改(あらため)かへる也.
進(すゝむ)一位(くらい)すゝむは一(ひと)けた上(かみ)へ置(おき)直(なほ)すなり.
退(しりぞく)一位(くらい)しりぞくは一けた下(しも)へ置(おき)直(なほ)す也.
互減(ごげん)たがひに引(ひき)合(あ)ふ也.
原(げん)はじめのかず也.
還原(くわんげん)はじめのかずにかへるなり.
加入(かにふ)ましそゆるなり.
乗(じやう)かけるなり.
因(いん)右(みぎ)におなじ.
相乗(さうじやう)かけ合(あは)す事なり.
自乗(じじやう)同数(どうすう)をかけ合(あは)することなり.
再乗(さいじやう)同数(どうすう)を二度(にど)かけ合(あは)すること也.
三自乗(さんじじやう)おなじ数を三たびかけ合すなり.
冪(べき)同数(どうすう)をかけ合(あは)したるかずなり.
帰(き)わる事(こと)也.除(ぢよ)ともいふ.
減(げん)引(ひく)ことなり.
減去(げんきよ)多少(たせう)引合(ひきあ)ふ也.
和(くは)多少(たせう)合(あは)したるかず也.相併(さうへい)ともいふ.
差(さ)多少(たせう)相減(あいげん)じたる残(のこり)なり.又(また)較(こう)ともいふ.
累減(るいげん)いくたびもいくたびも引(ひく)事(こと)也.
累加(るいか)いくたびもいくたびも加(くわへ)る也.
累乗(るいじやう)いくたびもいくたびもかけることなり.
累除(るいぢよ)いくたびもいくたびもわるなり.
倍(ばいす)之(これを)二をかける也.
二(ににす)之(これを)右(みぎ)に同(おな)じ.三之とは三をかけるなり.
二段(だん)右(みぎ)におなじ.
半(はんす)之(これを)二つにわる事也.折半ともいふ.
三除(さんじょす)之三つにわること也.四除は四つにわる也.
商(しやう)割(わり)あらはす数(かず)也.
率(りつ)定法(じやうほう)なり.
箇(か)一箇(か)はひとつなり,二箇(か)はふたつなり.
積(せき)たとへば一寸四方(しはう)は寸積(すんせき)也.一尺四方は尺(しやく)積也.
歩(ぶ)右(みぎ)におなじ.
列(れつす)元(もと)あるかずを今又(いままた)をくなり.
寄(よす)位(くらいに)別(べつ)に置くなり.甲位(かうゐ)乙位(おつゐ)などといふ也.
止餘(しよ)減(げん)じあまり也.
約(やくす)之たとへば五に約(やく)するは五にわる也.
若干(じやくかん)いまだかずのさだまらざる也.
幾何(いくばく)いかほどなり.
不尽(ふじん)割(わり)殘(のこり)の数(かず)なり.
有奇右(みぎ)におなじ.
零(れい)一桁(ひとけた)とぶなり.
単(たん)たとへば十零万零々々一は十万単という也.
為(して)先(まづ)かりに夫(それ)にする也.
合(がつす)問(とひに)術(じゆつ)のすへにむすび止(とむ)る字(じ)なり.

29 算法図解大全
法(ほう)右の方におきてかけわりに見合す数なり.目安ともいふ.
実(じつ)右の方におく銀高石高その外かけわりすべき数なり.
商(しやう)法をもつて実の数をわりてあらはれたる数をいふ.
帰除(きぢよ)法二けた以上にてわるをいふ.
帰(き)法一けたをもつて割をいふ.
因(いん)法一けたにてかけるをいふ也.
相乗(さうじやう)法二けた以上にてかけるをいふ.自乗・相因・自因といふも同じ事なり.
再自因(さいじいん)二度かけるをいふ.再自乗といふも同じ事なり.
冪(べき)かけ合たる数をいふ.・巾(べき)と書もおなじ事なり.
和(くは)幾(いく)数(かず)も合すをいふ.相併も同じ.
減去(げんきよ)引てへらすをいふ.
止残(しざん)止余(しいよ)といふも同じ.引て残るをいふ.
折半(せつはん)二つに割事也.又之(これをなかばにす)といふも同じ.
不尽(ふじん)割(わり)のこりし数(かづ)をいふ.

30 算法開蘊
掛割共に見合する数を云.
法にて割べき数をいふ.
割得たる数をいふ.
法一桁にて割をいふ.
法の桁数の多少に拘らず割をいふ.
除と同じ.
法一桁を掛()るを云.
法の桁数多少に拘らず掛るを云.
相乗上に同じ.
自乗同数掛合事をいふ.
自之上に同じ
再自乗同数二度掛合るを云.即自乗而又乗する也.
三自乗同数三度掛合るを云.
連乗三件以上相乗するをいふ.
維乗四品の数斜に相乗するを云.
累乗逐て乗するをいふ.
累除逐て除也.
累約上に同じ.
倍之同数を加へる也.
三之三を乗する也.
一箇一つ也・二箇二つ也・三箇三つ也.
二段二つ也・三段三つ也.
一次一度・二次二度・三次三度也
相併相合す事を云.
相合す事を云.
多少不同数也.即相減余数也.
以減此数を以て彼数の内を引也.
自乗数也.
再乗冪再自乗数也.
三乗冪三自乗数也.
自乗相乗或連乗成数を云.
上位算顆盤の左を云.
下位算顆盤の右を云.
上へ移すをいふ.
退下へ移すをいふ.
首位其條にて最上を云.
尾位其條にて最下を云.
不尽除尽ざるを云.
有奇上に同じ.
無奇零一の位を下らず.即不尽なきを云.

31 多門直入算法重宝記・32 秘術改撰算学重宝記(嘉永4年版)
帰除(きじよ)二字ともに割(わる)事(こと)也.帰(き)は一けた,除(じよ)は二けた以上.
因乗(いんじやう)二字(じ)ともに懸(かけ)ることにもちゆるなり.
令(れい)・零(れい)・下(か)三字(じ)ともにそろばんのつぶをとんでかづなきをいふなり.○をしるすにおなじ.
併(へい)あはすといふ事(こと)也.
折半(せつはん)二つに割(わる)をいふ也.
積(せき)かけえたるかづをいふなり.
不尽(ふじん)わりのこりたるかづをいふなり.

33 啓廸算法指南大成
法(はう)割掛(わりかけ)ともに見合す数なり.
実(じつ)法を以て割掛すべき数なり.
商(しやう)法を以て実を割尽して得たる数なり.
除(じよ)割事をいう.或は帰除す又除之ともいうなり.
乗(じやう)掛る事をいう.或は相乗じ相因ともいうなり.
自乗(じじやう)同数のものを掛合するをいう.又自之ともいうなり.
再自乗同じ数を二度掛る事をいうなり.
三自乗おなじく三度掛るをいう.四自乗以上逐てかくのごとし.
折半(せつはん)二つに割事なり.又半之ともいうなり.
彼と是とを合せる数なり.幾品にておなじ又相併ともいうなり.
加入彼を置,是を加へる事なり.加へたる数をいう時は彼と是の和という.
減(げんす)彼を置,内是を引く事なり.
倍之(ばいす)原(もと)ある数を二つ合する事なり.
三之おなじく三つ合する事なり.逐てかくの如し.
冪(べき)同数を掛合せたる数をいう.又略して・巾とも書なり.
積(せき)彼と是を掛合せたる数をいう.又略して責とも書なり.
零(れい)一位間(あいだ)のあく事なり.又略して令とも書く.譬ば壱匁壱厘,或は壱石壱升というが如し.

34 算学備要大成
法(ほう)珠子盤(そろばん)の上(かみ)に置数(おくすう)と云.俗にいふ目安(めやす)なり.
(じつ)珠子盤(そろばん)の下(しも)に置数(おくすう)と云.法(はう)を以(もつ)て割(わり)かけする数(すう)なり.
商(しやう)わり得たる数(すう)又開(ひら)き得たる数(すう)をいふなり.
帰(き)法(はう)一桁(ひとけた)にてわる事也.
因(いん)(よる)法一桁にてかけるをいふ.
除(じよ)(のぞく)法の桁数(けたかず)多少(たせう)に拘(かゝ)はらずわるをいふ.
乗(じやう)(のる)法のけた数多少にかゝはらずかけるをいふ.
帰除(きぢよ)法のけた数にかゝはらずわることなり.
約(やく)除(じよ)に同じ
如法而一(はうのごとくしかもいつにして)といふも除に同じ.
自乗(じじやう)実法(じつはう)同(おなじ)数(すう)かけ合(あは)すことなり.
自之(これをじして)上におなじ
再自乗(さいじじやう)自乗(じじやう)したる上へ亦(また)乗(かけ)ることなり
三自乗(さんじじやう)再(さい)自乗したる上へまたかける事也.
連乗(れんじやう)三件(さんけん)以上(いじやう)の数を相(あい)のるをいふ.
遍乗(へんじやう)諸数(しょすう)へあまねく法数をかけるをいふ.
維乗(ゆいじやう)四品(よしな)の数(すう)斜(なゝめ)に相乗るをいふ.
互(ご)乗同上(うえにおなじ).
斜(しゃ)乗同上.
累(るい)乗逐(おつ)て法数をかけることなり.
折半(せつぱん)二つにわる事なり.
折之(これをせつし)同上.
半之(これをはんし)同上.
和(くは)幾(いく)数(すう)も合(あはす)す事(こと)なり.
相併(あいならべ)同上.
倍之(これをばいし)同数(どうすう)を加(くは)ふるなり.
二之(これをふたたびし)同上.
三之(これをみたびし)三をかくることなり.
加(か)増添(ましそふ)るなり
加入(かにう)同上.
減(げん)引(ひく)ことなり.
内減(うちげんす)本(もと)の数(かず)の内(うち)を引去(ひきさ)るなり.
相減(あいげんし)多内(おうきうち)すくなきを引去る也.
止餘(しよ)多(おうき)内(うち)少(すくなき)を引(ひき)残りをいふ.
餘(よ)同じ事也.
剰(じやう)(あまり)満(みち)餘(あま)り也.
差(さ)(たがひ)多少(たせう)不同の数をいふ.
較(かう)同上.
二段(にだん)倍(ばい)して成数(なるすう)也.
三段()三をかけて成数なり.
冪(べき)同数をかけ合せたる数なり.
積(せき)多少(たせう)かけ合せたる数(すう)なり.
零(れい)一桁(けた)間(あいだ)のあくるなり.
単(たん)一万零(れい)零零一を一万単(たん)一と書(かく)なり.
不尽(ふじん)除残(わりのこ)る数(かず)なり.
不満(ふまん)同上.
有奇(ゆうき)同上.
棄之(これをすつ)不尽(ふじん)を捨(すつ)るなり.
去之(これをさる)同上.
収之(これをおさむ)不尽(ふじん)を畳(たたみ)て一数とするをいふ.
整之(これをせいす)亦上に同じ.
箇(こ)一个(いつこ)二個(こ)数(かず)の結びに用ゆる也.
列之(これをれつし)おく事也.
置(おく)も亦同じ.
率(りつ)定法(じやうはう)なり.又斉(ひとし)き数なり.
進(しん)位(くらい)を上(かみ)に移(うつ)すなり.
退(たい)位(くらい)を下(しも)にうつすなり.
還源(かんげん)旧数(もとのかず)へ復(かへ)る也.
変(へん)改(あらた)め換(かゆ)るなり
強(がう)割残(わりのこ)る数をすてたるをいふ.
弱(じやく)割残る数を一つに収(おさめ)入たるをいふ.

35 袖珍算法
実(じつ)とは割算(わりざん)又は掛算(かけざん}にても珠盤(そろばん)の右の方に置数(おくかず)をいふ也.
(ほふ)とは同'おなじく)左の法に置数をいふ.又目安(めやす)共いふ也.
商(しやう)とは法(めやす)にて実(じつ)を割(わり)或(あるひ)は平方(へいはう)立方(りつはう)等(とう)に開(ひらき)て得(え)たる数(かず)をいふ也.
除(ぢよ)とは割(わる)事也.但(ただし)法(めやす)の数一位(ひとけた)成は帰(き)ともいふ也.
乗(じやう)とは掛(かくる)事也.但法(めやす)の数(かず)一位(けた)なるは因(いん)ともいふ也.
相乗(さうじよう)とはかけ合す事也.又同じ数を掛合すは自乗(じじよう)共いふ.或(あるひ)は畧(りやく)して自するともいふ.二度掛るを再乗(さいじよう)といひ,三度かくるは三乗(じよう)といふ.今は二度以上のものも通(つう)じて冪といふ也.一乗(いちじょう)冪,再乗(さいじょう)冪,三乗(じよう)冪などのごとし.
はくわふる事也.
は引事也.
折半(せつぱん)は二つにわる也.又は半(なかば)にするともいふ也.
和(わ)とは併(あは)する数也.
較(たがひ)又差とかくといふは多(おほ)き内少(すくなき)を引たる残也.
零(れい)又令とかくとは珠盤(そろばん)の位(けた)のとぶ事也.零零とは二位(けた)とぶ也.
不尽(ふじん)とは除法(ぢよほふ)にても又開方法(かいはうほふ)(ひらきざん)にても位数永(なが)く尽(つき)ぬほこりをいふ.

36 算法早まなび

実(じつ)かけわりともすべて右に置数をいふ.
法(ほふ)同く左に置かずをいふ.目安の事也.
列(れつす)何にてもかけわりすべきかずをそろばんの上におくこと也.置ともいふ.
帰(き)一けたの法にてわるをいふ也.
除(じよ)二けた以上の法にてわるをいふ.
因(いん)一けたの法をかけるをいふ.
乗(じよう)二けた以上の法をかけるをいふ.
相乗(さうじよう)かれとこれとをかけるをいふ.
商(しやう)わりたる数又開きたる数を云.
自乗(じじやう)実と法と同じ数をかけ合するをいふ.自之(これをじす)と云もおなじ.
再自乗(さいじじやう)同じ数を二度かけ合すを云.再自(これをふたゝびじす)といふもおなじ.
半之(これをはんす)二つにわることなり.折半(せつはん)といふもおなじ.
倍之(これをばいす)二をかける也.二之(これをふたゝびす)ともいふ.
三之(これをみたひす)三をかけるをいふ.
二段(にだん)倍してなる数をいふ也.
三段(さんだん)みたびしてなる数をいふ.
加(くわふ)入るゝこと也.加入(かにふ)ともいふ.
減(げんす)引くこと也.減去(げんきよ)ともいふ.
内減(うちげんす)是の内かれの数を引く也.
以減(もつてげんす)かれの内是の数を引く也.
相併(あいならべ)かれとこれを合すをいふ.
和(くは)相併べてなる数也.三和(さんくは)三つ合すをいふ.
差(さ)かれとこれと引合たるのこりをいふ也.餘(あまり)といふもおなじ.止餘(しよ)ともいふ.
冪(べき)自乗してなる数也.略しては巾と書く.
再乗冪(さいじようべき)再自乗してなる数也.
積(せき)相乗してなる数をいふ.つぼかずのこと也.
率(りつ)定法のこと也.円率,斜率などゝいふ.
約之(これれをやくす)多き数をつゞむることなり.
二約(にやく)とは二つにわるを云.三約は三つにわる也.
箇(か)名のる数に用ゆ.一箇は一つ,二箇は二つ也.
原(げん)はじめなり.原数などゝいふ.
適等(てきとう)彼と是と数のひとしくなる也.
開方(かいはう)累かけたる数を元の方になおす也.
進(すゝむ)位を上へうつす也.二位進は二けた上へうつす也.
退(しりぞく)位を下へうつす也.一位退は一けた下へうつす也.
寄甲位(かふゐによる)術のうちにて設け置たる数をかさねてよび出すに便ならんため付る品の名にして十干十二支にいろゝゝあり.為甲(かふとす)共いふ.寄左(ひだりによる)と云も同じ.
只云(たゞいふ)問の数をくゝりていはんための詞也.又云(またいふ),別云(べつにいふ)みな同じ.
零(れい)一けたとぶをいふ.○を書くも同じ.
単(たん)三つとぶ也.一万○○○一を一万単一といふ也.
強(がう)わりのこりたる数をすてたるをいふ.
弱(じやく)わりのこりたる数を一として入たるをいふ.
収之(これをおさむ)不尽をおさめて一とする也.
去之(これをさる)不尽をすてさるをいふ也.
不尽(ふじん)わりつくさゞるかずをいふなり.有奇(いうき)といふも同じ.
35 算法統宗
乗除用字釋
以者用也.置者列也.為者數未定也.得者數巳成也.
呼者呼喚其數也.命者言也.首者第一位也.尾者末
位也.身者本位也.率者齊數也.實者所問之物也.法
者所求之價也.乗之者九字相生之數也.除之者謂
九歸歸除商除之類.
様数也本数也
法之單位者又由也入巳之數也
増添也餘少也
法之多位者先歸後除合名也
減少也乗成之數也
法實合變數也九數用此下一位也
本位也法也
上邊大位也下邊小位也
直長也廣闊也
横闊也横闊也
長也方面也
立起也凹下也
加上本数也二数相合
割断也撥開也
初数也多少不動数也
倉同其数改換其數
量度算盤之中
進上前一位隅有數而言逢
脊梁之上又位之左脊梁之下又位之右
随身變數也退移下後一位
闊也長也
兩隅相去又不正也勾股斜曰弦弧矢亦有弦
曲角也直也
外圓也相減除也
脊梁之上又位之左方直也
四面同數周中之弦
盤中横梁隔木列位各置位次
折半減去一半還原復舊數也
商除心與意商量除之相乗長闊或銀貨算
自乗法實數同相乗再乗自乗之而又乗
遍乗先以一法遍乗諸數商總合用商開之法于盤中
開方即自乗還原也開立即自乗再乗之還原
中實即商總也併率如一二三四五併得十五數也
得令斤兩貫箇石等類也得術乃法首位毎下該得之名
互乗如四處數目上下斜角相乗相減如二數以少減多餘曰較
合得算數定奪維乗四處顛倒相乗
若干一為數始十為數終未算難定幾何與若干相同